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花嫁の魅了~異形の子等の願い~
しおりを挟む「まるで、石」
零は人が石になっているのを見て呟いた。
「これも異形の仕業か?」
「零さん大正解ー!」
地面からフエが飛び出してきた。
「メデューサの類いがいるのか、異形にも」
「勿論! あ、でも花嫁である零さんは石にならないよ」
「石にならないのはいいが、異形を殺せば石になった人達は戻るか」
「戻るだろうねー、でもその間に体の一部が欠損したらそのまま戻ってしまうから早めに異形を退治した方がいいねー」
「で、異形の場所は?」
「其処」
フエは指指すが、何もない。
「何もないぞ」
「でも居るんだよ、姿を隠してる間は干渉できない」
「参ったな……」
零は頭を書く。
「急ぎなんだよね?」
「ああ、」
「じゃあちょいと失礼」
フエはペンダントとぶちっとちぎった。
キシャアアアア‼
メデューサのように蛇の髪を持つ女の異形が現れた。
「グッバイ!」
フエは、頭を切り落とし、袋に詰め、体は焼却処分した。
「……フエ」
「何?」
人々が元に戻り、フエが袋をどこかへしまったのを見て零は言う。
「私のペンダント引きちぎらないでも良いのでは無いか?」
「いやー突飛的にやらないと!」
「そうなのか」
フエは零の首にペンダントを戻してかけた。
ガヤガヤと人々がうろたえている。
「後は警察に任せるか」
「んだねー」
零は警察に連絡をした。
「全く、零さんは自分の魅力分かってないなぁ」
異形の子等の住処に帰って来たフエはぷんすこと怒っていた。
「何? どうしたの? フエ姉さん」
蓮がやってくる。
「あー聞いてよ蓮、警察の無能共が零さんをナンパしてたのよー」
「零さん、顔は綺麗だもんね」
「零さん、スルーして偉い人と話してたけど、それでもしつこく話しかけてナンパしてたから偉い人キレちゃってざまぁって感じ」
「『花嫁』の魅了は人にも及ぶからね」
「んだねー」
フエは会議室に入り、ごろんと、テーブルの上に横になる。
「『花嫁』が結婚したらどうしよう」
「零さんは人とは結婚しないって言ってるから大丈夫よ」
「ならいいんだけどねー」
フエはごろごろとテーブルの上に寝転がるような仕草をする。
「ちょっとフエ姉さん行儀悪い」
「行儀悪くてもいいのよー」
「全く……」
「ねえ、蓮」
「何、フエ姉さん」
「零さんが誰かの番いになったらどうする?」
「どうするもなにも、今までと変わらないでしょう」
「……ダヨネー」
「どうしたの急に」
「んーナンパされてるの見て、零さんに普通の幸せがあるんじゃないかなーとか考えたり考えなかったり」
「姉さん……」
「でも無理だよねー『花嫁』に普通の幸せは無理! だから今までの『花嫁』達はみんな悲観して自殺した!」
「……姉さん」
「でも、零さんは今はそうじゃなくとも、もしかしたら、を考えちゃうんだよ」
「そうなんだ……」
蓮はどこか寂しそうなフエを見て呟く。
「今はいいんだ、でもいつか、その可能性が消えないから……あともう一つ人間から差別されることがないか」
「『花嫁』は不老不死に近いもんね……」
「そう、だから私達が異形の子が守らなきゃ」
「……うん」
真剣な表情のフエに、蓮はただ頷いた──
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