クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

文字の大きさ
70 / 238

とある冬の日~心幼き異形の子等との遊戯~

しおりを挟む



「寒い」
「雪が降ってますからね」
「地球温暖化じゃなかったのか」
「そうは言われましても……」
 零はベッドの上で丸くなり、毛布にくるまっている。
 それを瑞穂が苦笑しながらお茶を入れて持ってくる。
「はい、お茶です」
「すまないな、今日はちょっと外出は無理だ異形案件が来たらレオンとニルスに回してくれ……」
「畏まりました」
 瑞穂がそう言うと零は温かいお茶を飲み干す。
「うん、美味い」
「有り難うございます」
 空の湯飲みを渡し、零はころんと横になった。
 瑞穂はそれを洗い、仕舞うと一階へと下りてゆく。


 零はぬくぬくと布団の暖かさを感じながらまどろんでいた。

「零さーん! 冬だよ、雪だよー!」

 いつもの如く突然来る来訪者、フエによってそのまどろみはかき消された。
「私は寒いのが苦手だ、放っておいてくれ」
「あら、そうだったの、それはごめんねー」
「分かったら寝かせてくれ、寝ていたいんだ」
 零は再び丸くなる。

「んーでもなぁ」
「なんだ?」
 零が不機嫌そうに言うと。

「う」
「はなよめさん」
「はなよめさん」

「マヨイにエルに、りらがどうしても零さんと遊びたいんだと」
「……」
 フエの言葉に、零は盛大にため息をついた。

「フエ、服をとってきてくれ」
「はーい」
 フエはにこりと笑って服をとってきた。
 そして、服を布団の中に入れると、もぞもぞと零が布団の中で蠢いていた。

 布団から出ると、いつもより厚手の服を着た零がそこに居た。

「で、何をして遊びたいんだ」

「おにんぎょうあそび!」
「おままごと!」
「うー」
「りらは人形遊びで、エルはままごと、そしてマヨイはどっちでも良いと」
 零はベッドに腰をかけながら言う。

「さいきんおにんぎょうあそびばっかり、おままごと!」
「おにんぎょうあそびがいちばんなの!」
「うー!」
 喧嘩しそうになった二人をマヨイが止める。
「マヨイおねえちゃんごめんなさい」
「マヨイおねえちゃんごめんね」
「う!」
 マヨイはにこりと笑う。
「じゃあ最初にままごとして次に、人形遊びをしよう」
「え、いいの?」
「今日の私は引きこもりだ、両方遊んでやる」
「わぁい!」
「わぁい!」
「う、よかった」
「マヨイ、普通に話してくれてもいいんだぞ、今みたいに」
「他の人と、話したのが、バレると、隼斗さん、自傷行為しちゃう、から」
 マヨイはしょんぼりと言う。
「……そうか」
「う」
 マヨイはいつものしゃべり方に戻った。
「マヨイ……そういうときは嘘つくのも必要よ?」
「う⁈」
「嘘をつくって発想が無かったんだな……」
「だろうね……」
 零とフエはどこか遠い目をした。


 その後、おままごとで、誰が「花嫁」の夫役になるかでもめたが、両方の「花嫁」になることでなんとか丸く収めてままごとをした。
 ちなみにマヨイはそれを収める役をやり、ままごとでは子ども役になり、またどっちの子どもかでもめたが、ふたりの子でフエが収めた。
 フエは近所に済むお姉さん役をやっていた。


 それが終わると人形遊びをし、其処でも色々もめたがマヨイとフエと零でなんとか収めた。


「三人とも遊んだ?」
「あそんだー!」
「あそんだの!」
「う!」
「じゃあ帰ろうね」
 と言ってフエは三人に帰るように促し、三人は帰って行った。

「お前は帰らないのか?」
「弱ってる『花嫁』さんに忍び寄る連中がいるからね、帰らない」
「そうか、すまんな」
「いえいえ」
 零は再びベッドに横になった。
 そして十数分後静かに寝息を立て始めた。

「それにしても零さんが寒いの苦手なのはどうしてなのかねぇ」

「でも、暑いのも嫌いだって行ってたし変温動物みたい、なんか可愛い」

 フエはくすくすと笑いながら静かに眠る零を見つめていた──




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...