96 / 238
ニルスとの出会い~愉快犯を籠に入れる為に~
しおりを挟む「おい、所長」
「何だ荒井」
食事中の零に荒井が声をかけて来た。
「ニルスの野郎と出会ったって一体何処で出会ったんだ」
「……」
零は食事を一通り食べ終えてから口を開いた。
「奴が人を異形にしようとしていた遊びの最中に出会ったよ」
「んだと?」
「──話をしよう」
零は語り始めた。
「骨董品が不気味?」
「はい、主人の買った骨董品がどうも不気味で……今船に積んであるんですが、その船でお披露目会をやるのをどうか止めてほしいんです」
「わかりました、瑞穂留守を──」
「私も行きます! 零さんだけだと不安ですから!」
「……くれぐれも無茶はするなよ」
「はい!」
「ではご夫人、案内を」
「はい」
身なりの良い婦人は零と瑞穂と共に船のある場所へと車で向かった。
「この船の中にですか?」
「はい、今は鍵のかかった部屋に保管されているそうですが……」
「おお、我が妻よ! どうした? は、もしや骨董品を見たいという御方ですかな?」
どこか目がぎょろりとした身なりのよい男が現れてそう言った。
「ええ、気になりまして」
「今はお見せできませんが、明後日の夜に海の上でお披露目を致します!」
「そうですか」
「では、船へどうぞ、客室は幸い空いておりますので」
零は男が背を向けたのをみて眉を潜めた。
「奥様、旦那様はもう骨董品に魅了、いや、洗脳されております」
「なっ……」
「機会を見て骨董品をどうにかします、それと同時に旦那様も」
「……お願いします」
夫人と別れ、零達は船に乗り込んだ。
船には複数の若い男達が乗っていた。
「瑞穂、私から離れないように」
「はい」
そう言って忠告してから、零は目を見開いた。
黒い髪に赤い目浅黒い肌の黒いスーツの男がこちらをみてにたりと笑ったのだ。
「……確実にヤバい案件だな、君を置いてきた方がよかったかもしれん」
「え?」
そう言った直後悲鳴が聞こえた。
「だ、誰かきてくれー! 亮二が死んでる!」
「‼」
現場に向かうとワインの瓶が置かれたテーブルに突っ伏すように男が死んでいた。
不気味な男も着いてきた。
零は死んだ男の体を見ると体に鱗のようなものができているのに気づいた。
不気味な男はワインを調べてにたりと笑った。
「毒が入ってますね、このワイン。このワインを飲んで死んだのでしょう」
「お前、何者だ?」
「ニルス、探偵ですよ?」
「奇遇だな、私も探偵だ」
「平坂零さん、でしたね。この界隈では有名ですよ」
男──ニルスはにたりとわらった。
零は男の様子で、彼が実際は探偵などではないことを見抜いていた。
が、あえて言わなかった。
そしてその夜──
船の上部が騒がしいと、寝ている瑞穂を起こさず、一人ベッドから出た。
すると海へと落ちようとする複数の若者がいた。
「何をしている⁈」
零は若者達の服を掴み止める。
「止めないでくれ、このまま化け物になるくらいなら死んだ方がマシだ!」
「いやだ、化け物にはなりたくない!」
「なんでこんなことに!」
若者達は目がぎょろりとなっており、皮膚はうろこ状になっていた。
「マヨイ! フエ!」
「う!」
「呼ばれて来ました、イエーイ!」
「ふざけてないでどうにかしろ!」
ふざけモードのフエに怒鳴ると、フエは肩をすくめてその場から居なくなった。
マヨイは若者達を触手で包み込み「治療」を開始した。
「零さん、件の骨董品破壊しようとしたら、おじ様が邪魔だったからマヨイの使い魔に包ませてから壊して消滅させたよ」
「よくやった、どんな物だったんだ?」
「んー簡単に言えば、海の上で見ると、見た人達を半魚人に変貌させる異形が作ったものだね、おじ様は魅入られてたけど、骨董品こわしたし、マヨイの治療もあるから大丈夫だと思う」
「そうか」
「それより」
フエはぎろりと暗闇の中に居た男を睨み付けた。
「ニルス、アンタだね、焚き付けたのは」
「好奇心旺盛な彼らの好奇心を止めなかっただけですよ、我が主」
「二度とすんな」
フエは吐き捨てるように言った。
そして少し考える仕草をフエはして──
「ニルス、今度からアンタは零さんの探偵事務所で働け」
「主が言うならば……」
ニルスはにたりと笑って頭を下げた。
「フエ⁈」
零は驚愕の声を上げる。
「大丈夫、こっちからも派遣するから」
「なら、いいが……」
零は不安そうにいった──
「──と言うのがニルスがこの探偵事務所にいる経緯だ」
「おい、フエ何してんだよ。あんな爆弾ここにいさせるとか」
「失礼だなーこれでも考えたんだよ、ニルスの被害者を減らす為に」
フエが天井からぶらんといつもの如くぶら下がって出現した。
「第一その後すぐレオンを派遣したし」
「そうなのか?」
「ああ、事務所の前に立っていてフエから派遣されたと名乗ったよ」
「疑わなかったのか」
「ああ」
そう言うと、荒井は額を抑えた。
「どうした?」
「お前の危機管理能力が怖いんだよ」
「……」
「フエの名前で通したら、ヤバい異形でした、なんて事案あったんじゃねぇの?」
「いや、それはない」
「異形連中は私の名前を呼べないからね、ニルス以外」
フエは着地し肩をすくめる。
「俺が守るしかねぇか……」
「どうした?」
「何でも無い、さっさと歯磨きしてこい」
「? 分かった」
歯を磨きに行く零を見つめる荒井を見て、フエは肩をすくめた。
「面倒くさい男だねぇ、慎次は」
「うるせぇ」
フエに慎次は悪態を吐いた──
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる