クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

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異形食いの反動~「花嫁」を求める~

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 びちゃ、びちゃ
 海から巨大な異形が顔を出す、声を上げようとしたその瞬間──

「はじめまして、さようなら」

 小さな影が、その異形の首を切り落とし、声を上げさせぬままに、黒い肉癖で異形を包み込み全て食らいつくした──




「うぇーまじぃー」

 異形を喰らったフエは自室のベットで休んでいた。

「異形不味いのしってるけど、今日のは特に不味かった」
「お前が不味く感じる場合は人間に対して危険度が高いということだからな、我慢しろ」
「う゛ー」

 紅はそう言って、フエの頭を撫でて部屋を出て行った。

「う゛ー辛いー」
「フエ、大丈夫か?」
「柊さん……ちょっとしんどいだけー」

 柊が部屋に戻ってきて、フエが横になっているベッドに駆け寄る。
 柊の顔を見てフエはふにゃりと顔を緩めた。
 その表情を見て、柊は少し不安そうな顔のまま、フエの顔に手を伸ばした。

「こんなに冷たい……」
「ごめんねー暖かくなくて」
「……じゃあ私が暖める」

 柊はそう言ってベッドに潜り込み、フエを抱きしめた。

「あー……暖かい」
「ふふ、いつもと逆だな」
「うん、そうだね」

 二人は笑いあって眠りに突いた。




 不味い。
 消化仕切れない。
 アレが欲しい。
 「花嫁」の肉体が欲しい。




 フエは、目を覚ます。
 汗だらけの体を拭き、ベッドから離れ、姿を消した。




 深夜。
 零は眠りについていたが、気配で目を覚ました。

「フエ?」

 起きようとしたと同時に、押し倒され、肩をかじられ、犯された。
 いつもの異形性の発露時の性行為のような甘いものではなかった。




「零さん、マジごめん」
「肩が痛い……」
「ああ、ごめん、今治療するから」

 フエが肩を撫でると、噛んだ後は綺麗に消えた。

「やばげな異形喰ったら、ちょっと食あたり起こして……」
「それで私が犯された訳か、私は薬か」
「んー否定できない」

「私が食うべきだったか」

 紅が現れた。

「げ」
「げ、とは何だ。お前がいなくなったと柊が半泣きで私の所に来たから迎えに来たんだ」
「柊さん……」
「あと、零。後でマヨイかクラルに診てもらうように言っておく。フエに噛まれたんだからな」
「分かった」

 痛みは無くなったが零には違和感があった。

「フエ、戻るぞ」
「うん」
「言い訳を考えておけ」
「はーい……」

 紅とフエが居なくなると、零はシャワーを浴び、体を拭いてベッドに横になった。
 そっと肩を撫でる。

「私を食いたかったのか、それとも──」

 最後まで言うこと無く、零は疲労感から眠りに落ちてしまった──





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