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巨大異形VS巨大ロボ~異形は大きくてもフエ達の餌食になる~

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「やぁ『私』どうしてる?」
「やぁ『私』いつも通りだよ」

 世界の果てで二人のフエは顔を合わせる。

「私の本体は世界の中心で眠り続けているし」

「いつも通りだけども、康陽さんと蓮の絆に嫉妬したり」

「まぁぼちぼちかなぁ」

 フエがそう言うと向こう側の「フエ」が言う。

「大体似ているかなぁ?」
「だよね」
「ただこっちでは異形の連中が地球で大暴れして大変だった」
「マジ?」
「マジマジ、聞いてくれるー?」
「うん!」

 フエは「フエ」の語る内容に耳を傾け始めた。




「今日は暇でいいな」

 その日、全員見廻りも終えて暇を探偵事務所で持て余していた。

「そうですね」
「平和が一番だからな」
「……」
「おい、ニルスなんだその顔は」
「いえ、何でもありませんよ。平和が一番、ですねぇ」
「とぉー!」
「ごふっ!」

 フエが其処へ、ニルスにアッパーを食らわすように現れた。

「零さん大丈夫⁈」
「どうした? 今は暇だが」
「なら、今すぐアームドがある格納庫へ行って!」
「?」
「早く」
「分かった、行くぞレオン、慎次、ニルス……」

 凄い振動が探偵事務所を襲った。

「地震⁈」
 瑞穂達が机の下に隠れる。

「いや、地震じゃない。異形だ‼」
「零さん正解! 行こう!」
「瑞穂、伊賀、高嶺! お前達は避難を‼」
「「「は、はい!」」」

 零達は急いでアームドのある、格納庫へと走った。
 そして乗り込み、フエに指示されるままに、向かう。

「普通のアームドと自衛隊のアームドも破壊されてるな」
「異形相手に専用のものをつかってないんだもん、こうなるのは仕方ないよ」

 破壊されたアームド達の屍の向こうには三体の巨大な異形が居た。

「一番厄介なのは真ん中だから、真ん中に零さん突っ込んで、食いついてきたら私がここから外に転移して喰うから」
「探偵事務所から転移はだめだったのか?」
「長距離転移だと相手に察知して逃げるタイプだから、近距離で──」
「じゃあ、コクピットを開けておく」
「え⁈ ダメダメそれじゃあ零さんの身が危険──」
「こうすればいい」

 零はヘルメットを外した。

「もー零さんの馬鹿!」
「ではいくぞ!」

 零は真ん中、ニルスは右、レオンと慎次は左の異形に向かっていった。

 零のアームドが真ん中の怪人のような異形を抑えるつけるような動作をすると、向こうはそれを抑える動作をした。

 腕と腕を絡めて抑えあい、動きがなくなる。

「コックピットを開けるぞ」
「もーなるようになれー!」

 フエが自棄になって飛び出すと同時に、怪人のような異形の頭部の顔らしき部分が頭部から伸びてコックピットを目指す。

「それがアンタの本体かぁあああ!」

 フエは叫んで、その顔の部分を足で切断した。
 真っ二つに。

 そして黒い肉癖を足下から出現させ、全身を包み捕食した。

「もう、二度とやらないでよ!」
「多分な」
「もー!」
「それより他は?」
「あー他はー……」

 他の異形は、レオンと慎次が対応したのは、レオンと慎次のアームドが動けなくしてから、慎次の異形性の影の手で取り込み、消滅した。
 ニルスが対応したのは植物らしきものに囲まれ、寄生され、養分にされて死亡した所を、火炎放射器で燃やされた。
 それをフエが喰った。

「とりあえず、これで異形対応は終わりか?」
「んだね」
「よし、戻るぞ」
『『『了解』』』

 零達はアームドに乗ったまま、姿を消した。

 後日、自衛隊のアームドの特攻とも言える作戦でなんとか撃破したと情報が書き換えられており安心した。
 零達の存在はある意味秘匿でなければならないのだ。

「もうちょっと、自衛隊にはお金かけてほしいよね」
「全くだ」
「異形がいるの向こうも分かってるんだから」
「だが国民は分かっていない」
「あー今回の件も異形とは言わず未確認生物で通したもんな」
「その上、細胞一つ残さず崩壊とか結構無理ない?」
「無理はあるが……お前達が喰ったり、慎次の影に喰われたりとかあるからなぁ……」
「細胞一つ残すと何が起きるでしょう!」
「兵器運用?」
「Exactly!」

 零の答えに、フエは手を広げてくるくる回った。

「人間考えることはどこもおんなじよ!」
「やれやれ」




「と言うことがありましたー!」
「巨大ロボVS怪獣いいわね、異形だけど!」
「絵面だけならねー‼」

 向こう側の「フエ」は叫ぶ。

「巨大ロボって憧れるなぁ」
「今度写真もってこようか?」
「本当⁈ お願い‼」
「OKOK」

 ひとしきり会話が盛り上がっていたら時間が来たようだった。

「おっと、そろそろ戻らないと柊さんがすねる」
「私もー」
「じゃあね『私』」
「またね『私』」

 そう言って「世界の果て」から姿を消す二人。
 再び「果て」は静寂に包まれた──





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