クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

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もう一人のフエの一日~ある意味平凡な一日~

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「頼まれたからアームドの写真現像しておかないと」

 そう言って、カメラ用のプリント用紙に念写する。
 フルカラーで念写されたらしく、綺麗に映っていた。

「うむうむ、これでよし」

 十数枚用意し終えると、空間を空けて仕舞い、柊の所へ向かう。

「柊さーん!」
「フエ……」

 憔悴しきった顔で柊がフエに抱きつく。
 フエは柊を抱きしめ、背中をさする。

「遅くなってごめんね、あっちの『私』と会話するのに盛り上がったから」
「ううん、いいんだ。君が『君』と会話をするんだ、楽しめたなら何よりだよ」
「もー本当有り難う」

 フエは柊にキスの雨を降らせる。
 キスされた柊はうっとりとした表情を見せた。

「じゃあ、ベッドに入ろう?」
「ああ」

 扉に鍵を閉め、二人仲良くベッドに入る。
 しばらくすると、柊の艶めいたあえぎ声が聞こえてきた。


 そして夕方──

「……まずい」

 フエは自分が不味い状況にあることに気づいた。

 異形性が「発露」し始めているのだ。

 となると、零に沈めて貰う他ないが、後で柊が何というか。
 せっかく機嫌が良いのに、悪くなってしまう。

 が、我慢する気はないので、服を着て、さっと姿を消した。




「零さんヘルプミー!」
「異形性の発露か!」
「うん! だからたしけてー!」

 フエは零に泣きつくように抱きつくと、慎次に合図をして部屋の外へと出て行って貰い、鍵をかけた。

 そしてベッドに座り。

「ほら、おいで」
「わーい!」

 フエは零を押し倒し、服に手をかけた。

 しばらくしてから、零の濁った声が部屋中に静かに響き渡った。


「あーすっきりしたー」
「そうかい、私は腰が痛い」
「ごめんねー」

 フエは零の腰をさすり、薬を塗ってからその場を後にした。




 帰ってくると、柊はむくれていた。
「柊さーん?」
「浮気者……」
「し、仕方ないじゃん! 異形性発露しはじめてたんだもん!」
「私ではだめなのか……」
「うん、駄目」

 フエがそう言い切ると柊はぐずぐずと泣き始めた。

「わーちょっと泣かないでー!」
「ぐず……フエの浮気者……」
「もー!」


 フエはその後の時間を柊説得へ費やした。




「全く偉い目にあったよ」
「分かる分かる、柊さん、嫌がるもんね」
「でも分かってほしい、私達の性だから」
「そうだよね」
「こう言う時は蓮の康陽さんが羨ましいよね」
「分かる」

 二人の「フエ」は「世界の果て」で話あっていた。

「それはそうと、これが写真」
「うわーお、本当ロボットVS怪獣じゃん、特撮みたい!」
「残念だけど特撮じゃないんだよねぇ、この写真見たら普通の人なら発狂しちゃうし」
「デスヨネー」

 フエは頷き「フエ」はため息をつく。

「宇宙規模だから、他の場所とかでも起きるかもねー」
「そっちは凄いね、こっちは小規模に見せかけて人間利用するからしゃれにならないわよ」
「大変だねーそっちも」

 二人は頷きあう。

「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
「そうだね、帰ろう」
「どうか帰ってから異形性の発露来ませんように」
「こればっかりは私達もどうしようもないよね」
「うん、わかる」
「じゃあ、気をつけてねー」

 二人の「フエ」は別れ、静寂だけが残された──





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