133 / 238
もう一人のフエの一日~ある意味平凡な一日~
しおりを挟む「頼まれたからアームドの写真現像しておかないと」
そう言って、カメラ用のプリント用紙に念写する。
フルカラーで念写されたらしく、綺麗に映っていた。
「うむうむ、これでよし」
十数枚用意し終えると、空間を空けて仕舞い、柊の所へ向かう。
「柊さーん!」
「フエ……」
憔悴しきった顔で柊がフエに抱きつく。
フエは柊を抱きしめ、背中をさする。
「遅くなってごめんね、あっちの『私』と会話するのに盛り上がったから」
「ううん、いいんだ。君が『君』と会話をするんだ、楽しめたなら何よりだよ」
「もー本当有り難う」
フエは柊にキスの雨を降らせる。
キスされた柊はうっとりとした表情を見せた。
「じゃあ、ベッドに入ろう?」
「ああ」
扉に鍵を閉め、二人仲良くベッドに入る。
しばらくすると、柊の艶めいたあえぎ声が聞こえてきた。
そして夕方──
「……まずい」
フエは自分が不味い状況にあることに気づいた。
異形性が「発露」し始めているのだ。
となると、零に沈めて貰う他ないが、後で柊が何というか。
せっかく機嫌が良いのに、悪くなってしまう。
が、我慢する気はないので、服を着て、さっと姿を消した。
「零さんヘルプミー!」
「異形性の発露か!」
「うん! だからたしけてー!」
フエは零に泣きつくように抱きつくと、慎次に合図をして部屋の外へと出て行って貰い、鍵をかけた。
そしてベッドに座り。
「ほら、おいで」
「わーい!」
フエは零を押し倒し、服に手をかけた。
しばらくしてから、零の濁った声が部屋中に静かに響き渡った。
「あーすっきりしたー」
「そうかい、私は腰が痛い」
「ごめんねー」
フエは零の腰をさすり、薬を塗ってからその場を後にした。
帰ってくると、柊はむくれていた。
「柊さーん?」
「浮気者……」
「し、仕方ないじゃん! 異形性発露しはじめてたんだもん!」
「私ではだめなのか……」
「うん、駄目」
フエがそう言い切ると柊はぐずぐずと泣き始めた。
「わーちょっと泣かないでー!」
「ぐず……フエの浮気者……」
「もー!」
フエはその後の時間を柊説得へ費やした。
「全く偉い目にあったよ」
「分かる分かる、柊さん、嫌がるもんね」
「でも分かってほしい、私達の性だから」
「そうだよね」
「こう言う時は蓮の康陽さんが羨ましいよね」
「分かる」
二人の「フエ」は「世界の果て」で話あっていた。
「それはそうと、これが写真」
「うわーお、本当ロボットVS怪獣じゃん、特撮みたい!」
「残念だけど特撮じゃないんだよねぇ、この写真見たら普通の人なら発狂しちゃうし」
「デスヨネー」
フエは頷き「フエ」はため息をつく。
「宇宙規模だから、他の場所とかでも起きるかもねー」
「そっちは凄いね、こっちは小規模に見せかけて人間利用するからしゃれにならないわよ」
「大変だねーそっちも」
二人は頷きあう。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
「そうだね、帰ろう」
「どうか帰ってから異形性の発露来ませんように」
「こればっかりは私達もどうしようもないよね」
「うん、わかる」
「じゃあ、気をつけてねー」
二人の「フエ」は別れ、静寂だけが残された──
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる