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休息~不調故に~

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「……」

 ある朝、零は目覚めた。

「おはよう、零。体は?」
「痛くて動けない……」
「そうか」
「じゃあ、無理に動かず休んでいろ」
「だが、体がべとつくし、腹が減った」
「俺が介護してやる」
「この年で介護か……」
「文句はレラとフエに言え」
「そうする」

 慎次はベッドで寝込んでいる零を抱き上げ風呂場に連れて行ってやる。
 そしてシャワーを使い、体を洗ってから体を拭いて寝間着を着せる。
 そしてそのままベッドに戻して、寝かせてから料理を開始した。

 お粥を作ると、ベッドの近くにあるテーブルに持って行き、置く。
 零の体起き上がらせ、口に冷ましたお粥を運んだ。

「美味い」
「そうか」

 少しずつ食べさせていき、お粥の入った小さな土鍋は空になった。
 零はふぅと息を吐き出し、そんな零に慎次は麦茶を飲ませた。
 水分補給が終わると、慎次は零を再び寝かせた。

「見廻りはレオンとニルスに任せた、俺はお前が快復するまで面倒を見よう」
「すまないな」
「気にするな」

 零は少しの間、慎次を見ていたが、しばらくして目を閉じた。
 すぅすぅと息を立てて眠り始めた。

「よし、寝付いたな」
「零さん、だいじょうぶ?」

 マヨイが姿を現した。

「大丈夫だ、お前が治療する程じゃない」
「でも……」
「しばらく休めばいいだけだ、ワーカーホリックだからなこいつは」
「わーかーほりっく?」
「仕事中毒。異形退治に毎日あちこちいって大変そうにしてただろう」
「うん!」
「ちょうどいい休暇だと思えば良い」
「わかったの!」
「で、フエとレラは?」

 慎次が問いかけると、マヨイは困ったような顔をした。

「フエ姉さんはみんなに説教されててお仕置きされてて、レラはクラルお兄ちゃんにお尻叩かれてる」
「クラル……」
「真っ赤になっても叩いてるからやめたげてって言ったんだけど、加減を覚えないレラは一回痛い目見た方が良いって」
「……フエは?」
「蓮お姉ちゃんの蜘蛛さんたちに体中ガジガジされて痛がってる」
「まぁ、蓮の蜘蛛なら大丈夫だろう」
「体中真っ赤になってた」
「だろうな」
「柊さんが泣いてた」
「だろうな」
「あと浮気者って叫んでた」
「……だろうな」

 慎次はふぅと息を吐きお茶を入れ、マヨイにも提供する。

「あったかくて美味しい」
「そうか、それなら良かった」

 慎次は微笑んだ。

「さて、仕置きはいつ頃終わるやら……」
「痛い痛いはいやなの」
「そうだな」

「レラの仕置きなら終わったぞ」
「クラル」

 クラルが姿を現し、零に近づき、じっと見てから、慎次の方を見た。

「休ませておけば治るから、私の治療はいらんな」
「それならいい、マヨイも治療したがったが、あんまり早く直るとワーカーホリックで無理し始めるだろうしな」
「確かに」

 クラルは顎の部分に手を当てた。

「それにしても、零の無茶振りは酷いのか?」
「零自身が無茶するという意味でなら酷いな」
「そんなに……」
「彼奴花嫁であることを利用しようとまでするからそこまでしないようにさせるために大変なんだこっちも」
「そうか……」
「まぁ、しばらくは安静だからこっちも安心できる」
「確かに」
「なの」

 そう言って三名は眠る零に視線を向けた──






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