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不調の「花嫁」~異形性の発露の相手をした結果~

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「うーん……」
「大丈夫か、零」

 ベッドの上で布団にくるまり呻いている零に慎次は声をかけた。

「慎次か……」
「ああ、どうした?」

 零は布団から顔を出した。

「昨日レラとフエが異形性の発露でやってきてな……体に負担がかかりまくってしんどいのだ……」
「あの二人か……それは相当だな」

 慎次は椅子をベッドに近づけて座った。

「だが、大変なのを分かってて体使わせてやってくれたんだろう、感謝する」

 そう言って頭を下げた。

「慎次」
「何だ?」
「鳥雑炊とゼリーが食べたい」
「ゼリーはあるから、鳥雑炊な、分かった」

 慎次は立ち上がり、料理を開始し始めた。

 鳥肉の良い香りがし始める。
 鳥肉に火がとおり、卵にも火が通ったのを見て、ぱらっとネギを散らして、よそって零の所へと持って行く。

 零は少し辛そうだが、体を起こしていた。

 零の側のテーブルに雑炊の入ったお椀を置くと、レンゲを持たせ、零はふーふーっと冷ましながら鳥雑炊を食べ始めた。

「おかわり」
「おう」

 空になったお椀を受け取り、雑炊をよそい、テーブルに置く慎次。
 零は同じように冷ましながら食べた。

 三杯おかわりした零の側のテーブルに、慎次はスプーンと冷えたゼリーを置いた。

「有り難う」
「こんくらい気にすんな」

 零はゼリーのぷるぷるとした食感と、中の果物を堪能した。
 イチゴの甘酸っぱさがたまらなかった。

「ごちそう様、さて仕事──」
「今日は寝てろ」

 起き上がろうとする零を慎次は寝かしつけた。

「見廻りは、レオンとニルスに任せる」
「むぅ……」
「それにこの間のフエの行動もあるから異形連中もそうそう出てこねぇだろう、このあたりでは」
「それは分かっているが……」
「なら休め、無理するとしばらく体にくるぞ」
「……分かった」

 零は目をつぶった、しばらくしてから静かな寝息が聞こえてきた。

「さて、俺はちょっくら戻るか」

 慎次はそう言ってその場から姿を消した。




「レラ、フエ。異形性の発露が同時なのは運が悪かったが、もう少し零を労れ」
「できたらそうしてるってのー!」
「できなくてごめんなさーい!」

 住処の会議室では紅にフエとレラが説教されていた。

「よぉ」
「おお、慎次。零の容態は?」
「しばらく絶対安静」
「よし分かった、と言うわけでお前達二人は説教コース継続だ」
「げぇ!」
「なんでぇ!」
「加減を知らぬ馬鹿にはこれしかあるまい!」
「じゃ頼んだぜ」

 慎次はそう言ってその場を立ち去った。




 再び、零の部屋に戻ってきた慎次は、汗まみれの零の体を拭いてやる。
「元気になるまで面倒はしっかりみてやるよ」

 眠っている零に、慎次は静かに告げた──





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