クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

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二人のフエ~テロリスト殲滅話~

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 握ったら潰れてしまいそうな小さな星。
 本来の姿を表したら全ての人間が発狂してしまいそうなくらい、もろい生き物しかいない星。
 ああ、なんて愛おしい‼


「──ねぇ『私』本体で地球に現れたいとか思った事ない?」
「あーあるけどしてない」
「うふふ、私も」
「本当そっくりだよねー」

 世界の果てで二人の「フエ」は顔を合わせ合う。
 見えない壁を隔てて。

「柊さんにも見せてないもんねー」
「見せてるのはかりそめの姿だもんねー」
「じゃないと番いといえど発狂しちゃうし」
「下手すりゃ人外化しちゃうからね」
「「仕方ない仕方ない」」

 二人は頷きあう。

「で、そっちでは何が起きた? 私のはさっき話したけど」
「こっちはねー」

 フエの問いかけに「フエ」は語り始めた──




「テロリストをどうにかして欲しい? 私は探偵であって傭兵ではありませんよ?」
『そこをなんとか!』
「……別のあてがあるので頼んでみます、ただしテロリストの命は保証されないので」
『ああ、分かったとも!』

 探偵事務所に場違いとも言える電話が来たことに零はため息をついた。

「零さんどったのー?」
「テロリストをどうにかして欲しいって奴だ」
「それってコロニーα04のテロリスト集団の事」
「そうそう、人質の中にこの国の者がいるからとかなんとか……」
「ふーん、人間って薄情だよねぇ」
「そういうな」

 フエが不満そうに言うと、零は肩をすくめた。

「テロリストの命はどうでもいいから人質を無事に救出してくれないか、全員」
「OKOK零さんの頼みなら」

 フエはそう言って消えた。

「大丈夫かな……」

 零はどこか不安げに呟いたが誰も聞く者は居なかった。




「と言うわけでテロリスト☆皆殺し作戦開始ー! パチパチパチ‼」
「よっしゃあ!」
「……」
「何故この人選だ」

 紅が不満そうに意義を唱える。

「テロリストと言ったらエルのお肉じゃない今回はオマケだけど。まぁ今回は人質もいるから其処はジンとロナクが兼ね合いでなんとかして。私と紅姉さんは人質の救助メインで動くから」
「レオンや慎次には頼まないのか?」
「あの二人今地球の異形事案で忙しいからこの四人で、ジン分かってるけど肉はオマケと考えてね」
「分かって下ります」
「じゃあ、作戦開始!」
「さぁて、どうしてやろう」
「なるべく肉を確保せねば」
「……本当に大丈夫かぁ?」
 紅だけが不満を露わにしていた。




「──で、要望には応じているのか?」
「今連邦会議が──」
 テロリスト達が話して居るとその周囲が青い煙で包まれた。
「な、なんだこの青い煙は⁈」
「くそ、前が見えない‼」
 10分ほどすると煙が晴れた。
「おい、人質達はどうした⁈」
「ひ、一人残らず消えてしまってます‼」
「消えただと⁈ そんなことあるものか、よく探──」
「いいねぇ、いいねぇ、いい正義悪意だ」
「⁈」
 テロリスト達の首がスパッと切られ、頭部が落ちていく。
「肉肉……回収っと」
「肉はオマケなんて言っときながら結局回収させる前提じゃねぇかよ」
「爆破装置を起動させろ!」
「おっとまだいたか、ああ、でも爆破装置なら今頃太陽ん中にどぼんだぜ?」
「爆破装置全てが消失したと!」
「何ぃ⁈」
「んじゃ、お前達も」

「死ねよ」

 バラバラな死体になっていく。
 ジンはそれをせっせと袋に詰めていく。

『はいよーフエちゃんですよーこっちのテロリストは全滅させたそっちはどうかなー?』
「ちゃんづけきめぇよ、フエ。こっちもテロリストは皆殺しだ。人質は?」
『後で締めるからな。紅姉さんが全員地球に避難させた』
「締めるのはやめてくれよ! 紅がやったんなら大丈夫だろう」
『指定の場所に零さんと慎次にいて貰ったから、警察達が郵送するだけ』
「なら今回の件は終わりだな」
『まだよ』
「あん?」
『まだ証拠隠滅が終わってない』
「あー」
『アンタリーダー格連中異形化させて相打ちになるようにしたの隠滅してないでしょう』
「隠滅苦手なんだよなぁ」

 ロナクはかったるそうに言う。

『分かった、こっちで証拠隠滅やっとくから、アンタは大人しく帰ってろ』
「おー! 助かる」
『ただし、説教が待ってるのを覚悟しとけ』
「そりゃねーよ!」

 ロナクは悲鳴じみた声を上げた。




「って事があったねー」

 そう「フエ」が語り終えると、フエは少し不満そうだった。

「今回はロボの出番は無かったんだー、ちょっと残念」
「ごめんねー分かるよー」

 フエの言葉に「フエ」が謝罪する。

「でも面白かったよーロナクは後で説教された?」
「説教したよー」
「ロナク調子乗るとあかんからねー」
「だねー」

 二人はうんうんと頷きあう。

「じゃあ、今日はこの辺で」
「うん、またね」
「またね『私』」

 二人は世界の果てから離れる。
 次会う日を楽しみに待ちながら──





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