クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

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謹慎終了~因習村崩壊RTA~

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「漸く一週間が終わった……長かった……」
「本当な」

 零が盛大にため息をつくと、慎次もため息をついた。

「まぁ、ゲームとランニングマシーンで暇を潰せたからな」
「夜中に夢遊病になって外出するの阻止する俺の身にもなれ」
「そんなことがあったのか、すまん」

 どこかげんなりしている慎次に零は謝罪した。

「まぁまぁ、仕方ないじゃない。零さん仕事人間なんだから仕事してないと無意識に仕事しようってなっちゃうし」
「そういうもんか?」
「そういうもの」

 フエが現れ、零に抱きつき、零をかばう。

「だが、夢遊病で出歩かれたら困るぞ」
「それは確かに」
「すまん」

 苦笑するフエと呆れる慎次に、零は謝罪する。

「よし、では仕事の見廻り──」
「零さん、異形案件らしい電話が!」

 零は急いで下の階へ降り、受話器を取る。


「もしもし」
『この探偵事務所が化け物とかの退治などを受け持っているんですよね……』
「はい、その通りです」
『……滅ぼして』
「はい」
『宵刻村を滅ぼして……私を開放して……』
「⁇」

 通話はそこで途切れた。

「宵刻村……」
「マジ? そこマヨイの使い魔が行って戻って来てない場所よ? 調べに行こうとしてたけど……」
「依頼主はその村を滅ぼして欲しいと行っていた」                                 「滅ぼしてほしいー? ははーん」

 フエは何かを察したようだ。

「どうしたの?」
「いやぁ、因習村って奴? よーし因習村崩壊RTA始めるよー!」
「おい待て、始めるな」
「零、諦めろ。こうなったフエは止められない」

 諦めたように慎次が言うと、フエと慎次と零はその場から姿を消した。




「とうちゃーく!」
「この向こうが宵刻村か?」
「そだねー、じゃ行こうか」

 フエはスキップをして進んでいった。
 慎次と零は肩をすくめ、早足でフエの後を追う。

「マヨイー」
「うん!」

 フエに呼ばれたマヨイが姿を現す。

「……ってことなんだけど、できる?」
「できるー!」
「よっしゃ、このまま葬式してるお偉いさんの家に突撃──‼」
「きー!」

「……大丈夫なのか」
「大丈夫だろう」

 不安になっっている零に、慎次は宥めるように言う。




「お邪魔しますー!」
「だ、誰だこの小娘達は!」
「葬式中に余所者が!」
「内の使い魔達、返してもらいますよ」
「「‼」」

 葬式中だったが、フエの言葉に反応した。

「佳景! そいつを捕まえ──‼」
「誰を、捕まえろって?」

 フエはドロドロの肉塊になり、参列者達を捕食していく。

「誰か、誰かたすけてくれぇ!」
「死にたくないぃ!」
「たすけてぇええ!」

「わたしの、つかいま、かえして」

 うろたえる女性の前にマヨイが現れ、甲高い声を上げる。

 地面から傷がついたマヨイの使い魔達が姿を現す。

「あなたたちをこうそくしてしいたげたのはだぁれ?」

 使い魔達は先ほどの女と男達の方を向く。

「やっちゃえ」

 マヨイがそう言うと、使い魔達は女と男達を飲み込んだ。

 しばらく飲み込んで吐き出すと、女と男達は罪深さ故に自害した。

「香奈様、香奈様!」
「アンタが使い魔をとっ捕まえた所の頭領だって分かってる、だから罰をくれてやる」

 主人を亡くし、泣く男にフエは言う。

「お前は老衰でしか死ねない、後追いもできず、発狂も許されず、年老いるまで惨めに生き続けろ」

 フエの目が金色に輝き、そして消える。

「あ、あああああああ!」

「じゃあ、行こうかマヨイ」
「うん、行こうみんな」

 二人は手を取って歩き出す。




「二人ともーこの村終わりだよー!」
「ああ、だが依頼主を説得してくれ、私も死ぬと行って聞かないんだ」
「こんな村の血は残してはいけないの……」
「ふむ」

 依頼主らしい少女に、フエは語りかける。

「名前は?」
「加代……」
「加代ちゃん、ね。貴方はただの加代ちゃん」
「な、何を……」
「ここで起きたことは全て忘れて、ただの加代ちゃんとして生まれ変わるの」
「そ、ん、な……」

 少女はばたりと倒れた。

「フエ」
「大丈夫、記憶を全て抹消しただけ。覚えているのは加代という名前だけ」
「……」
「孤児院まで連れていくから」
「ならいい」
「村人はいなくなったし、これでこの村はおしまいRTA終了!」
「おい」
「やれやれ……」

 その後、フエは少女を自分達の経営している孤児院に入れ、少女は学校に通うことになった。

 フエが言うには、あの村は使い魔のだす体液を集めて治療行為に使っていたそうだ。

 何でも治る薬として。

 だが、そうする者はもう居ない。
 マヨイも、使い魔が戻ってきて安心しているそうだ。




 けれども、零は何かしっくりこなかった。

──使い魔とはいえそれを捕まえるとはどういう技術だ?──

 そんな疑問を抱えたが、真相は──





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