クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

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創造神の呪いと悩める異形の子

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「慎次、どうした。何を悩んで居る」
「いや、別に」
「嘘をつくな」

 零に指摘され、慎次ははぁと息を吐き出した。

「……フエの件なんだがな?」
「昨日の件か」
「ああ」

 慎次は頷いた。

「あの後愚痴を紅が聞いたんだが、紅は呪ってもいい発言して頭が痛くなってきたんだ」
「まぁ、慎次は思考が人間よりだしな」

 零は納得する。

「フエの呪いだぞ、其処に居る人間は発狂死すること間違いないぞ」
「確かに」

 零は頷く。
 フエは只の異形の子ではない。
 この世界を成り立たせる破壊と混沌の異形の子なのだ、創造の邪神なのだ。

 慎次曰く、そんな厄介なフエに呪われたら、その土地は誰も住めなくなるとぼやいた。

「失礼だなー」

 そんな会話をしていると、フエがやって来た。

「フエ」
「何が失礼なんだ」
「流石に其処まで大規模で呪わないよー!」

 フエがブーイングする。

「大規模で呪わないっていっても呪うのは間違いないだろうが!」
「そりゃあね、私を悪魔扱いして石投げた連中はがっつり呪ってるよ」
「ほらな!」
「もう死人出てるし」
「だから嫌なんだよ!」

 慎次はフエに噛みついた。

「フエ、呪ったのは本当にお前に石を投げたり悪魔扱いした奴だけか」
「そだよー」
「子どもは?」
「居なかったから呪ってない」
「なら良い」
「良くないだろう、親が呪われて死んだらどうするんだ⁈」
「それは親がしでかした事だ子どもは不幸だが、親の無知が原因だ」
「でしょう?」

 フエはニヤニヤと笑う。

「ところで、どんな呪いだ」
「精神的にじわじわ削っていって最期にドーンと落とす」
「なるほど」
「おい、それで分かるのか」
「大体な」

 慎次の問いかけに零はそう答えた。

「まぁ、私には無関係だしな」
「外国案件だとお前とことん冷たいよな」

 素っ気なく言う零に慎次が突っ込む。

「私の権限は一応世界規模だが、日本以外マイナーでな。おかげで悪魔の力で悪魔払いしてると言われているよ」
「そうか……」
「異形の子等を悪魔と同一視するのが許せん」
「零……」
「零さん……」
「実際の悪魔と遭遇した時、向こうが裸足で逃げ出す程の存在なんだぞ、一緒にするな!」
「おい」
「ちょっとぉ!」

 零の発言に慎次とフエが声を上げる。

「いや、事実だろう。以前の悪魔払いの時に悪魔が裸足で逃げ出して、フエが玩具にして遊んで殺したではないか」
「あれはー……うん」
「おい」

 慎次は思わずツッコミを入れた。

「俺が封印されてる間にそういうことしてたのかお前……」
「だって悪魔が調子のって偉そうにしてるのむかついたから……」
「だから悪魔を同一視するのはおかしい」

 零の言葉に、その日一番の盛大なため息を慎次はついた──





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