クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

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お前らだけは許さない

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「マヨイ、クラル、今すぐ来い!」
「う⁈」
「どうした?」

 探偵事務所の二階のベッドの上には傷だらけの零が居た。
 目を閉じ、浅い呼吸をしている。

「零さん!」
「零⁈」
「──ちょっと、慎次。何があったの……?」

 現れたフエは明らかに怒りの感情を抑え付けながら問いかけた。

「俺とレオンとニルスが外出中に、武装集団が入って来たんだと、零に暴行を加えて、警察が来ると逃げ出したそうだ」
「そう……」

 フエは静かに、けれど怒りに満ちた声で言った。

「っ……」
「零さん⁈」

 零はゆっくりと目を開けた。

「……瑞穂は?」
「シェルターにお前が匿ったおかげで無事だよ」
「そうか……それは、よかった」

 零は再び目を閉じた。

「零さん……」
「零……」
「治療を始めよう、マヨイ」
「うん」

 零の治療を始めようとする二人をその場においてフエがどこかに立ち去った。

「フエ」
「何?」
「止めるつもりは無い、盛大にやってやれ」

 慎次がそういうと、フエはにんまりと笑った。

「当たり前じゃない」

 そう言ってフエは居なくなった。




『もう少しで悪魔の子を殺せたのに!』
『忌々しい存在め!』
『殺せば俺達は英雄だ!』
 男達が騒いでいた。
 隠れ家のような家で。

『お前らか』

『⁈』
『おい、誰かいるのか⁈』
『誰も、いない──ぐげ⁈』

 不気味な触手が伸び、男の首をへし折った。

 ずる、どさ。

『お前らだけは許さない』

 少女の姿をした存在が現れ、不気味な化け物に変化する。

『神よ! 神よ!』
『去れ! 去れ!』

 叫びながら銃を撃つが、全て少女の前で止まり、落ちる。
 そして、少女の体から出た触手が男達を食い殺す。

 耳障りな悲鳴を、少女は黙った聞いていた。




「完全復活、だな」

 ベッドから起き上がり、運動をする零。

「完全復活だが、あまり無理するなよ」
「警察が見廻りに来てくれるし、時間をずらしてレオンとニルス、私と慎次の見廻りをすることになったから大丈夫だろう」
「瑞穂に心配かけるなよ、凄い謝ってたからな」
「瑞穂が謝る理由はないだろう、彼女は普通の人間だ」

 零はそう言って一階に下りる。

「零さん!」

 瑞穂が抱きついてきた。

「ぐす、無事で良かった」
「当たり前だ、殺しても死なないのだぞ私は」
「でも……」

 零はぽんと、瑞穂の頭を撫でた。

「瑞穂、君が無事で何よりだ」
「私が居れば!」
「俺が居れば!」

 伊賀と高嶺がキーっとハンカチを噛む。

「いや、流石に武装集団にはお前達は無理だろう?」
「私、テロリストを一人で鎮圧させましたわ!」
「俺もだ!」

 歯を輝かせて言う二人に零はぼそりと。

「なんか私雑魚すぎないか?」
「「「そんなことないです‼」」」

 悲観的にぼやくが即座に否定された。




「うーん……」
「どうしたんだ、ジン」

 悩んでいるジンにロナクが声をかけた。

「いえ、過度な正義という悪意の肉を貰ったのですが……捕食箇所が多くて……その使い道に悩んでるんです」
「適当に切り分けてカレーにすりゃ良いだろう?」
「! その手がありました!」

 ジンは納得したように手を叩く。

「ところで、その肉誰から?」
「フエ様からです」
「あー……」
「?」
「いや、何でも無い、んじゃな」
「はい」

 走り去るジンを見て、ロナクは呟く。

「さすがフエ、番いか『花嫁』関係だと沸点が低いぜ」

 ロナクはそう言ってその場から立ち去った──





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