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這い寄る死から逃げた日
しおりを挟む──私には何も無かった──
生まれてすぐ、私は捨てられた。
何の役にも立たぬと。
不要だと。
だが、私は既に意思を持って、奴らの言葉を聞く事ができた。
でも、それ以外できなかった。
死にたくない。
死にたくない。
死にたくない。
死への恐怖が頭を埋め尽くす。
すると声が聞こえた。
『変わった魔力辿ってきたら赤ん坊かぁ? まぁ、餌位に──』
──やめろ、私を食うな、死にたくない──
鳥のような姿をした悪魔がやってきた。
「へぇ、お嬢ちゃん死にたくないのか?」
──死にたくない、いきたい──
「じゃあこうしよう、俺と契約してお嬢ちゃんは俺に魔力を与える、俺はお嬢ちゃんを守る、どうだ?」
──構わない──
「よし、契約成立だ!!」
黒が、闇が私の体を飲み込む。
体が熱い。
あちこちが痛む。
闇が晴れた世界は少しだけ縮んでいた。
「本当にお嬢ちゃんだったとはな! それにしても急成長するとは……ずいぶん変わった存在なんだな!」
「お前、名前は?」
「マグノリアだ、お嬢ちゃんの名前は?」
「……ゼロ」
「ゼロか、まぁ無いよりはマシな名前だな」
「早速だけど、お前の力を見せて」
「あん?」
つい先ほどまで赤子だった少女──ゼロは、マグノリアに指示するように指さした。
下品な笑みを浮かべる男達を。
「おお、いいぜ」
鳥の姿の悪魔が少女の目の前に羽ばたく。
無数の爪による風圧が男達をたたきのめした。
裸の彼女は男の服を剥ぎ、破り、身につける。
「金がいるな」
「金?」
「ああ、お嬢ちゃんが生きていくには金がいる、どうやって集める?」
「それもそうだけど──」
ゼロは男達の向こうにいる、銀色の狼の姿をした悪魔を見据える。
「──こちらを試すみたい、もう一度力を貸して、セーブしなくていい」
「人使いの荒いお嬢ちゃんだぜ!」
風の刃が無数に起こり、悪魔へと向かうが、悪魔はそれを全て避け少女へと突貫してきた。
ゼロは手にナイフを持っていた。
先ほどの男達が持っていたものである。
悪魔の首を掴んで抱え、首にナイフを当てた。
「これでも不満?」
悪魔グルルっとうなってから体の力を抜いた。
ゼロは悪魔を解放すると、悪魔は少女の顔をべろりと舐めた。
「ひひ、合格だとよ」
「名前は」
「ねぇってよ」
「じゃあ、シリウスというのはどうだろう」
狼の姿の悪魔はぐるぐると喉を鳴らしてゼロにすり寄った。
「おい、その男連中の懐を漁ってみな」
「……これか?」
「そうそう、それが金だ」
ゼロは男達が持っていた金を全て奪うと、立ち去り、老夫婦がやっている店を見て入っていった。
「お金はあるから、服が欲しい」
「まぁまぁ、いいんだよ。お金は、今回はただにしてあげる。ねぇアンタ?」
「おう、そうだとも。ほれ、値段は安いが俺等の服は長持ちするぞ? 好きなのを選びな」
ゼロは服を一着選んだ。
黒い服だ。
「お嬢ちゃん、それは喪服だよ?」
「──だからこそ、私には必要」
少女は喪服に袖を通した。
──あの時、私は死を待っていた──
──でも、今、生きている──
──だから、この喪服は私を殺そうとする奴らへの喪服──
──私は何が何でも生きてやる──
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