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命を喰らう
しおりを挟むゼロはガツガツと肉と野菜を挟んだパンを頬張っていた。
「少し味がたりない」
「だからソースか何かつけた方がいいっていったろ」
「服が汚れる」
「予備を買ったじゃねぇか」
「あまり汚したくない、せっかく貰ったのだから」
「強情だな」
ゼロは全てを食い終わると、一人町を歩き始めた。
「で、どうするんだ? 捨てた奴らへの復讐とか?」
「興味ない、私は生きる事にしか興味がない」
「じゃあ、どうするんだ」
「命を喰らう」
「悪人なら掃いて捨てるほどこの世には居る」
「そいつらの命を、魔力を喰らって、喰らって、私は生きる」
「あーさっきの連中が死体になってたのはそういうことか。ひひっ! 面白そうじゃないか」
「私の命は弱い、だから喰らわねばならない」
ゼロは静かに悪魔にしか聞こえない言葉で言う。
「だから私は捨てられた、でも私は生き抜いてやる」
ゼロの言葉に、マグノリアは嗤った。
愉快そうに。
「いやはや、地上に出て暇してたらこんな愉快な宿主が見つかるとは思わなかったぜ」
マグノリアがそういうとシリウスがマグノリアの足に噛みつきのしかかった。
「いって! おい、ドラ犬! 俺は旨くね……あ? お嬢ちゃんを嗤うなって? いやはや騎士気取りもいいもんだなぁ!」
「……少し、黙ってろ」
二体のやりとりに、ゼロは心臓を抑えた。
また命の火が消えかかっているのが自分でもよく分かった。
ゼロは悪人の匂いのする場所へと向かった。
そこは盗賊達のアジトの一つだった。
「何だ、お嬢ちゃん」
「マグノリア、シリウス」
「皆殺しだ」
盗賊達を刃で切り裂き、無数の獣が喉元を食らいつく。
ゼロは盗賊が持っていたナイフを手に取り、それでとどめを刺して命を喰らった。
そしてアジトの主らしき存在には、自ら首に噛みつき心臓をえぐりだして心臓を喰らった。
「……」
ゼロはふぅと息を吐くとその場を後にした。
「で、心臓の味は?」
「不味かった」
ゼロはシャリと、果実に噛みついた。
店先で切って売って貰った果実の甘みと酸味が心地よかった。
「そこまでひょろっちいとは俺様驚きだぜ」
「安心しろ、当分持つ、だが次の獲物も考えないとな」
シリウスがそこへ紙を持ってきた。
文字が書かれている。
「新聞だな」
「……連続殺人事件」
その文字にゼロはにたりと笑った。
「次の獲物が決まったな」
「嬢ちゃんの次の『ごちそう』か」
「何人も殺している極悪人だ、いいだろう」
ゼロはシリウスの頭を撫でてやった。
深夜──女性が走って逃げている中で楽しげに後を追いかける男がいた。
女性が行き止まりに当たり、恐怖で顔を引きつらせるのを見て男は嗤う。
「た、助けて……お金はあげるから、い、命だけは……!!」
「その悲鳴が心地いい、どうか私に──」
「なるほど、被害者が増えてばかりなのは空間をずらして二人きりの空間に入り込んでいたからか」
ゼロは新聞を手に持ちながら男──殺人鬼に問いかける。
「今日は獲物が二人とは──」
「何を言っている?」
「獲物は」
「お前だ」
風の刃が男の両腕を切り落とす、無数の獣が足を切り裂く。
そしてゼロは男の首をかっきり、何度も心臓を刃で突き刺した。
「──死んだな」
「死んだみたいだぜ」
「じゃあ、いくか」
ゼロはそう言って姿を消した。
翌日の新聞で、連続殺人犯が謎の少女に殺されたと一面が飾られることになったが──ゼロにはどうでもいいことだった。
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