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悪夢
しおりを挟む「町を離れる?」
ゼロの提案に、マグノリアは首をかしげた。
「私の事を探り始める輩が出た、だから別の町に行く」
「それまでお嬢ちゃんは持つのか?」
「獣や樹木の命を貰って食いつなぐ」
「ひっひ、その生きる事に意地汚いのは嫌いじゃないぜ」
マグノリアの笑い声を無視して、ゼロは町を後にした。
「俺様を置いてくとか薄情だろ!」
「一人馬鹿笑いしているお前が悪い」
ゼロはそう言ってマグノリアを軽く睨むと、道を歩き始めた。
しばらく歩いていると馬車が後ろから近づいてきた。
普通の馬車だった。
「よかったら乗って行くかい?」
「……」
「徒歩で歩いてたら何日も時間がかかっちまう、乗せて貰え!」
「お願いします」
「いいよ! さぁ!」
ゼロは馬車に乗り込み、静かに目を閉じた。
夢を見た、捨てられた時の夢を。
『──だ、だからここで死んで貰わねば困る』
──五月蠅い、私は死にたくない──
「おい、ゼロ!」
マグノリアの声にゼロは目を覚ました。
「うなされてたぜ? 大丈夫か」
「……大丈夫だ」
何とかそう返すとゼロは起き上がった。
「もうそろそろ次の町に着くようだぜ」
「そうか」
「おーい、お嬢さん。次の町に着いたけど降りるかい?」
ゼロは町を見る。
町から漂う、「悪」の匂いに内心笑みを浮かべながら頷いた。
「はい、ここまでありがとうございます」
「はは、いいよ。じゃあ気をつけて!」
馬車を見送って、ゼロは町の中を歩き始めた。
「で、お嬢ちゃんこの町の何処に行くんだい?」
「あそこ」
ゼロが指さした先には屋敷があった。
人が避けて通るような。
「おいおい、マジかよ。貴族サマ狙うのかよ、最高じゃねぇか! ひっひっひ!」
「夜、入り込む、準備して」
シリウスはぐるぐると喉を鳴らして頷いた。
深夜──
窓から入り込み、人気のある場所へとゼロは移動した。
明かりが漏れている扉の前に来て、シリウスに偵察させる。
中では黒魔術が行われているようだった。
「他者の命を奪ってすることか、やれやれ」
「どうする?」
「生け贄以外皆殺しだ」
ゼロはケープのフードを被った。
ゼロは扉を開けると、ナイフを手に取りこちらを見ている連中の首を次々とはね、そして命を「奪って」いった。
「待て! こいつらは解放するから命だけは──」
「お前はそう言って繰り返す輩だろう?」
館の主らしき人物の首をはねた。
ゼロは「命」を奪った。
「魔術は」
「中断させといたぜ!」
「そうか、よくやった。では後はここの偉い奴にでも任せよう」
「目の上のたんこぶが死んで喜んでるだろうなぁ、町の連中の話を聞く限り」
「そうだといいがな」
ゼロはそう答えて宿屋に戻った。
窓から戻り、ベッドの上に横になる。
「今日は疲れた、寝る」
「それがいいぜ」
マグノリアはそう言って姿を消し、シリウスはベッドの下に姿を隠した。
ゼロは目を閉じた。
『この赤子は忌み子だ』
『捨てろ捨てろ、出なければ私が殺される』
『殺しては?』
『一族全員が死ぬのだぞ? 捨てて飢え死にでもさせろ』
五月蠅い、私は生きてやる。
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