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人に創られたエキドナに愛された男はエキドナの子を産む
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人に創られたエキドナに愛された男はエキドナの子を産む
凄腕の賞金稼ぎ男が居た。
黒いスーツに、黒い刀を腰に下げ、サングラスをかけ、金髪のオールバックのロングヘアーの男。
自身を「色男(ハンサム)」と言い切り、それに見合う容姿の男。
刀一つで狂暴な怪物(クリーチャー)達の屍の山を築き上げ、賞金首達を二度と戦えぬ状態だが五体満足で捕まえる凄腕の賞金稼ぎ。
その男の名前はアーサー。
情に厚く、虐げられている者には手を差し伸べ、悪名高い統治者の元に乗り込んでは統治者の座から引きずり落として別の良き者をその座に着かせ、賊や怪物に襲われている貧しい領地でも破格の値段で請け負い、救った。
名を知らぬ者がいない程の有名な賞金稼ぎだった。
何処の出自かは知る者はいなかった。
彼も語ることはなかった。
年も知らない。
謎が多い賞金稼ぎでもあった。
だが、彼は突如として姿を消した。
各地の悪名を轟かせている統治者達と対峙し、ある領地では統治者を改心させ、また別の領地では統治者をその座から引きずり下ろし、良き統治をする者に任せた。
そして領地の統治を彼が知る限りのう領地全てで改善させた彼はとある町で「未だ誰一人として帰ってきた物が居ない暴君のいる領地がある」と言うのを聞き、誰一人近づこうとしなかったその場所に行くと言ったのを最後に姿を消した。
待てどもアーサーが帰ってこなかった事を気になった知り合いの賞金稼ぎが何名か領地を訪れた、その領地は暴君などいないかのように平穏な領地だった。
皆が嬉しそうに笑いあい、仕事に励み、そして豊かな領地であった。
しかし、賞金稼ぎ達がアーサーの行方を尋ねると殆どの者が口を閉ざした。
だが、とある女が語った「統治者様の城へ行きました」と。
賞金稼ぎ達は統治者が居るという城へと向かったが、警備が堅く近寄ることができなかった。
それ故賞金稼ぎ達はこう結論付けた。
『アーサーは、統治者と相打ちになったか、命と引き換えに統治者の意識を変えたのだ』
と。
故に、賞金稼ぎアーサーは死亡したと判断されることとなった。
真実は違った。
アーサーは生きている。
だが、そのアーサーは他の人々が会った事のあるアーサーではもう無くなっていた。
アーサーは堕とされた。
人ならざる者が与える快楽に、悦楽に、肉欲に――人では耐える事の出来ない快楽堕とされ子を孕まされた。
文字通り、彼は孕まされたのだ。
人外(エキドナ)の子を、その身に宿したのだ。
エキドナ――大昔の戦争で生み出された怪物を産む生体兵器、怪物たちの母であり支配者。
それ故多くが殺され、唯一生き残ったとされる怪物女帝と呼ばれるエキドナが世界を破壊した。
怪物女帝は、今も生きているらしいがどのような姿をしているのか知る者はいない。
だが、生き残ったエキドナは怪物女帝だけではなかった。
エキドナはもう一人生きていたのだ、怪物女帝が彼女の存在を隠し、生き残っているのを自分だけだと知らしめることで、彼女を守った。
生き残ったエキドナは怪物女帝の妹だった。
妹は愛し合った人間の男と、その男との間に産まれた最愛の娘を人間に殺された。
愛する者を奪われ、妹の嘆く姿に、怪物女帝は人間を――創造者達を憎悪して世界を破壊した、怪物達を放った。
怪物女帝は嘆く妹と共にしばらく身を潜めていた。
そして、妹が穏やかに過ごせる場所を探して放浪し始めた。
ある領地を見つける。
四季があり、美しい城があり、そして豊かな土地――統治者と統治者からのお零れを預かる者共が救いようがない程愚かな所以外問題が無い土地だった。
だから、怪物女帝は統治者とその蜜を啜る者達を皆殺しにした。
そして妹を統治者にした。
妹ならば、良き統治をするだろう、愚者共と違って、そう思った。
だが、妹は領民にこう宣言した。
『ここには暴君がいる、民は皆怯えていると情報を流して、貴方達は演技をしてください。情報は分かる人が分かる程度にのみ流してください。お願いします。』
怪物女帝は妹は何をしようとしているのか最初は分からなかった。
だが、ある日分かった。
妹はもう一度「自分の子ども」をその手に抱き、そして今度こそ慈しみ最後まで育てたいのだと。
その相手を探しすために、嘘の情報を流しているのだと。
暴君を打ち倒すもしくは説得しようとする――独善ではない正義と、善意、情に満ちた優しい存在が来るのを、待ち続けていたのだ。
孕むことに恐れを感じた妹の代わりに、子を孕んでくれる存在を妹は待ち続けた。
そして、現れたのが一人の賞金稼ぎ――アーサーだった。
アーサーの対応は全て妹にとって合格点だった。
そしてアーサーと捕えた。
最初は気にしていなかった見目も確認すれば、凛々しく逞しい色男と名乗るにふさわしい容姿で、好ましかった。
金色の長い髪も、サファイアのように青い目も、妹は気に入った。
金色の髪は自分を守ってくれた姉の髪の色を思い出す。
青い目は、姉がお守りだと昔くれた青い宝石を思い出す。
妹は、アーサーの体に手を加え、子どもを孕めるようにした。
そして最後の仕上げをしてから、アーサーの体の中に「卵」を産みつけ、アーサーの精液を搾り取って体の中の「卵」に精液を与えて受精させた。
最初は恐怖を感じていたアーサーも一ヶ月もすると「卵」を成長させるために与えられる人外の快楽の虜となり、快楽に隷属し、腹の中にいる怪物(エキドナ)の子を――我が子を愛おしく思うようになり、妹を――イヴを愛するようになった。
イヴはアーサーの変化を喜び、彼を離すまいと誓った。
それから二ヶ月後、アーサーは、己とイヴの子を産み落とした。
二人は子どもの誕生を喜んだ。
イヴは――永い間願い続けた事がかなった事に歓喜した。
愛する人をもう一度得ることができ、そして我が子を抱くことができたのだ。
失った幸せをもう一度手にすることができたことに、イヴは喜んだ。
良き統治によって、人々が穏やかに暮らす領地。
その奥にある白亜の城は夜でも美しさを損なわず其処に合った。
月光を浴びて青白く美しい色に染まる城。
現在は、謁見の許可を得ている人物以外城には誰も入ることのできない城。
その城の一室――統治者(イヴ)の寝室で今日も、淫靡な交わりは行われていた。
「お゛あ゛ぁ゛――!!♡」
ぱっと見たところイヴと出会った時の頃と全く変わらぬ肉体と顔だが、金色の髪は依然よりも伸びて艶やかさを持ち、色男に相応しい凛々しい顔立ちは、快楽に蕩け、涙と唾液に濡れていた。
アーサーは口からだらしなく舌を出して、喘ぎ声をあげている。
鋼鉄の意思を宿していた青い目は、今は悦楽の色に染まっていた。
ベッドに仰向けになって脚を開いているアーサーの後孔に、イヴは態々生やした雄を挿れて、腰を動かし、柔らかくなったアーサーの胸を揉んだ。
鍛え上げた男の胸筋は、今はどこか柔らかくなり、乳首や乳輪は肥大していた。
イヴが優しく揉むと、乳首からぴゅっと白い液体が出た。
「アーサー様、そんなに孕みたいのですか?」
「あ゛っあ゛♡ はらみ、たい、けどいう゛のが、おぐ、まで、もらえない、のは、あ゛あ゛――!!♡」
びくびくと体を震わせて、アーサーは絶頂する。
「ふふ、正直でとても嬉しいです、私の事をそんなに求めてくださって。愛してますわ、アーサー様」
「あ゛っあ゛♡ いう゛ぅ、おれ、もぉ♡」
アーサーの言葉に、イヴは嬉しそうに笑ってから、アーサーの口に口づけをした。
舌を絡ませあいながら、腰を動かして快楽を与える。
「んぢゅっ♡ んぅ゛♡」
アーサーはイヴの口づけをねだる様に唇を幾度も重ね合わせてくる。
イヴは愛しい存在の可愛らしいおねだりだから、優しく応じる。
口づけが終わると、イヴはアーサーを激しく抱いた。
「あ゛♡ おぐぅ♡ そごぉ゛!!♡」
「ええ、アーサー様の結腸部、とても気持ち良いです……ちゅぷちゅぷと吸い付いてきて、咥えこんで離そうとしない……ふふ、アーサー様の中はもう女の膣と変わらないですね、雄の膣に、雄の子宮口、雄の子宮……ふふ」
「お゛あ゛?!♡ どしゅどしゅってぇ!!♡ あっあ゛♡ ごわれりゅぅ♡」
「ふふ、大丈夫、壊れませんわ。もしかしてお嫌でしたか?」
「うう゛ん♡ もっどぉ♡ あ゛っあ゛――!!♡」
のけ反り、びくびくと体を震わせて、アーサーは再び絶頂する。
イヴは快楽に蕩ける夫(アーサー)を愛おし気に見つめ、頬を撫でた。
ガチャリと、扉が開いた。
「あ、やっぱりお母様とお父様セックスしてるのね」
ここ最近の来訪者が来たことにイヴはため息をついて、ずるりと雄を抜いてからそれを無くすと、悦に溺れるアーサーを腕を撫でながらその存在を見た。
「……もう、スノウ分かってるならせめてノックして頂戴と言ってるでしょう?」
金色の長い髪に、青い目のイヴによく似た年ごろの乙女――スノウが部屋に入って来た。
イヴがアーサーに孕ませ、二人間に産まれた娘(エキドナ)だ。
「ねぇ、お母様、お父様と子作りの話をしてたんでしょう? 私も子どもが欲しいの、ねぇ、混ぜて?」
「駄目よ、貴方はまだ若いわ。それに、アーサー様はスノウ一人体に宿しただけで負担が大きかったのよ」
「だから、少しずつお父様を作り変えてるんでしょう、お母様。私、やっぱり自分の子どもはお父様に産んで欲しいの。領地を見て回ったけど、産んで欲しいと思える方はいなかったわ」
愛娘(スノウ)の言葉に、イヴは表情を変える。
「スノウ? 城の外は危ないと何度も言ったはずよ?」
「大丈夫よお母様、怖い人はだぁれも来ないわ。だってリリス伯母様が皆殺してしまわれたのですもの」
イヴの言葉に、スノウはにっこりと笑って答える。
スノウは身にまとっていたネグリジェを脱いで下着姿になる。
ショーツは履いていない。
「私もお父様を愛してるのです。だからいいでしょう?」
「もう……」
イヴとアーサーの娘であるスノウは、母であるイヴの目や監視の目をすり抜けて度々城下――領内を歩き回った。
もちろん服装は領民たちの物を何とか手に入れて、それで歩き回っている。
誰も統治者(イヴ)の娘だと気づきもしない。
けれども、その美しさに誰もが虜になった。
だが、近づく輩の下心がスノウには気分が悪かった。
スノウは、母(イヴ)を愛し、自分を愛し、そして快楽に溺れる父(アーサー)の姿を知っていた。
その父の淫らで美しい姿に、スノウは魅了された。
『私も、お父様の様な方が欲しい』
しかし、探せども探せども、ちっぽけな箱庭では見つからない。
旅人たちや移住者にもスノウの心を虜にする相手はいなかった。
次第に、スノウの父(アーサー)への思いは、性欲と、愛情が結びついた物に変わった。
スノウは母であるイヴにお願いをした、イヴの夫を、実父(アーサー)を抱かせて欲しいと。
イヴはスノウを叱り飛ばしたりすることなく、困ったように笑って言った。
『スノウ、本当に貴方は私に似てしまったわね』
『アーサー様がいいと言うなら、私は何も言わないわ』
と。
スノウは、てっきり人間的に「近親相姦」に当たるから不味いのではないかと母(イヴ)が言うかと思ったのでたずねた。
イヴは微笑んで首を振った。
『私達エキドナはね、当たり前の事だったの、娘(エキドナ)が実母である人間の女を孕ませたり、娘(エキドナ)が実父である人間の男の種を貰って孕んだり。だから別に何も思わないわ』
母の言葉に、スノウは、自分が人間というひ弱で脆弱な生き物と違う事を此処で改めて理解した。
『エキドナはエキドナ同士では決して子を生せない。生まれてくるのは怪物(クリーチャー)。生体兵器という自分達の下僕。子を生すには他の種族の種が必要なの。だからこの惑星(ほし)から人間は淘汰されないの』
母の言葉に、スノウはたずねた、人間は憎いですか、と。
母は悩んでいるようだった。
『……答えられないわ、私の最初に愛した人と、最初の子を殺したのは人間達。でも私を愛してくれたあの人も人間、アーサー様も、人間……』
母はそう言った。
人間のした行為は許せない、けれど、愛したのも人間。
母がその気になれば、ここの領民を一晩で皆殺しにして、領民がやっていた仕事を全てロボットに任せ、警備を生み出した怪物にやらせれることだってできる。
でも、母はそれをしない。
きっとそれが、答えなのだろうとスノウは自分なりに結論付けた。
そして、スノウは父であるアーサーを抱こうとした。
流石にアーサーは困惑の表情を浮かべたが言葉を口にしたが、母――自身の妻であるイヴがそれに混じり、囁くと、困惑は消え失せ、実の娘を、スノウを受け入れた。
スノウは母には勝てないなと少し寂しかったが、それでも愛しい父――愛しい男が自分を受け入れてくれたのだ、見てくれない訳じゃないと前向きに考えた。
ただ、番を見つけたところで、スノウはまだ若いので性的欲求が母であるイヴ程ではない。
それに、スノウは何故か孕みたいという欲求は薄く代わりに「孕ませたい」という欲求があった。
――お父様に私の子を産んで欲しい――
――どんな娘(エキドナ)が産まれるのかしら――
でも、母の許可を取らなくてはならない、だって、父の一番は母(イヴ)なのだから。
「――お母様、もう少し小さくしてくださいな、もしくは細く」
「これでも細くしてる方なのよ? そもそも、一つの穴に二つ突っ込むこと自体おかしいことだと思うのだけれども……」
「お゛あ゛……♡」
子を産み落とす為、快楽を得る為だけの器官になっているアーサーの後孔を広げてイヴとスノウは互いに生やした雄を挿れようとしていた。
一度子を産み落としたことのある其処は目いっぱい広がって、二人の雄をゆっくりと受け入れ始めた。
「あ゛……あ゛……♡」
イヴに抱きかかえられ、足を開かされて二本の雄に貫かれながら、アーサーは濁った声を上げて、舌を出した。
「……大丈夫みたい」
「お父様は一度私を産んだから大丈夫って言ったでしょうお母様。でも、私を産んだのに、緩くならないでいつまでたってもキツイ締め付けをして……名器? ってこういうのを言うの? お母様」
「さぁ、私はよく分からないわ。リリス姉さまなら分かると思うのだけれども……」
「でもリリス伯母様絶対教えてくれないと思うわこういう事柄は『嫌だが人間的に言おう、お前の教育に悪い!』ってばかりだもの」
「ふふ、そっくり」
「あ゛あ゛あ゛あ゛――!!」
二本の雄に、性器と化している腸内をごりごりと突き上げられ、アーサーはのけ反って、舌を出して声を上げる。
「お父様の締め付けが更にきつくなってる」
「アーサー様、大丈夫ですか?」
「ご、りごりってぇ……♡ おれのはらこわれるぅ……♡」
アーサーは色に蕩けた表情を浮かべながら、
「では、お止めいたしましょうか?」
「あ゛っあ゛♡ やめ゛ないでぇ♡ ぐちゃぐちゃにお゛お゛ぉ゛!?♡」
「もう、スノウったらそんなに興奮して」
「だって今のお父様とっても可愛らしかったんですもの」
ぐちゃぐちゃぬちゃぬちゃと粘質な音と、アーサーの濁った声が部屋に響く。
スノウの雄にごりごりと腹の奥を遠慮なく突かれ、ゆっくりとだが動くイヴの雄にも突き上げられ、アーサーはだらしなく舌を出して、快楽に濡れた表情を浮かべて喘ぐ。
前立腺もすられ、敏感な腸内を腸壁をごりごりとすり上げる感触に何度も絶頂する。
腹につくほどに勃起した雄からは透明な液体を何度も吐き出し、震えさせる。
射精欲は強まるのに、一向に射精させてもらえないのに、苦しいのに気持ちよくてたまらない。
「んひぃ!!♡」
ちゅっちゅと肥大した乳首を吸われる事で生まれる快感にアーサーは声を上げた。
「お父様のおっぱい美味しい」
「スノウは昔からアーサー様のおっぱいを吸うのが好きね」
「お父様のおっぱい甘くておいしいんだもの」
舌で舐られ、甘く噛まれる感触と、ごりごりと腸内を広げ、奥と前立腺を刺激する感触に、アーサーの雄から透明な液体が零れた。
「いぐぅ……♡ いっでる……♡ お゛あ゛……♡」
アーサーは舌をだらりと出して、荒い呼吸をする。
「お父様の顔スゴイ素敵、えーっと昔の言葉だとそう『アへ顔』っていうのかしら?」
「……言葉的に素敵な感じがしないのだけれども……」
スノウの言葉に、イヴはよく分からないような顔をする。
「……つくづく人間の作る言葉って良く分からないわ」
「私は面白くて好きよ、お母様」
イヴの子であるスノウは、同じ人外(エキドナ)だが、感性が違った。
スノウの方が昔の人間の言葉や文化に興味を持っている、どんなものであれ。
リリスは創られた事に悲観した。
イヴは創られた事に何も思わなかった、良く分からないまま人を殺し、怪物を生み出していた。
そんなイヴに、とある人間の男が愛などの感情を教え、イヴはその男を愛し、男もイヴを愛した。
すべてに悲観していたリリスは、無垢な妹の幸せな様子を見ることで、自身にへばりついている「生まれてきたという罪」が無くなり、幸せを感じることができた。
だが、それが壊された。
リリスはそれ故怒り、創造主達を――人間を殺した、怪物を使役して殺して、殺して、殺し続けた。
だが、愛する妹が愛したのも人間、それ故、絶滅させることだけは思いとどまった。
リリスは放浪を続けている、自分が壊して回った世界を見ているのだという。
人間たちが、どう考えて暮らしているのか、見て回るのだと。
たまにふらりとイヴのいるこの領地に滞在することはあるが、定住をする気はまだないとイヴの申し出を断っている。
イヴは統治者として仕事はしているが、アーサー以外の人間と極端に関わる行為はしない。
必要最低限しか関わらないようにしている、リリスはイヴがまだ人間にされた事に怯えているのを理解している為、リリスはそれを咎めない。
ただ、何も知らないスノウは人間の生活や言語、嘗ての文化などに興味を強く抱いていたので、イヴは口頭で教えられる物は教え、そうでないものはデータ化された物を何処からか持ってきてスノウに見せてやった。
スノウはそうやって過去の知識や言葉などを覚えていった。
「はら゛がぁ……♡」
二人に大量の精液を注がれて、腹を膨らませて、アーサーはベッドに横たわっていた。
「お父様のお腹妊娠してるみたい」
スノウは無邪気に笑いながら膨らんだアーサーの腹を軽く押した。
「お゛っお゛……♡」
ぴゅるとアーサーの腹から精液が零れ始めた。
「ねぇ、お母様。これならお父様にお母様と私の子、両方身ごもってもらえるんじゃないかしら?」
「スノウ、もう少し待ちなさい、まだ始まったばかりなんだから……ねぇ、アーサー様?」
「あ゛っあ゛っ……♡ ざぁめん、だしたい、だしたいぃ……♡」
潮や先走りなどは垂らしていたが、アーサーは一度も射精を許されていなかった。
たまりにたまった精液が、射精欲がアーサーを支配している。
「そうですわね……スノウ、試しにやってごらんなさい?」
「いいの? お母様」
「ええ」
スノウの尻の部分から触手のような尾が伸びてきて、アーサーの雄を包んだ。
「お父様が気持ちよく射精できるよう、頑張りますね」
「あ゛っあ゛っ……♡ で、れるぅ……♡」
アーサーは漸く来た長い射精の快楽に舌を出して喘いだ。
「あ゛っ…まだ……まだ……だしたいぃ……♡」
「うーん…全部射精させるよう頑張ったのに……」
どうやら、スノウはアーサーが溜まりに溜めた精液を全て射精させることができず、まだ、射精欲等が残った状態にしてしまったらしい。
「初めてだから、仕方ないわ。少しずつ覚えていきましょう?」
「はい、お母様」
スノウから生えている触手がまだとろとろと精液を零し、勃起しているアーサーの雄を開放すると、イヴは即座に触手を生やしてアーサーの男性器を触手で包み込んだ。
「お゛あ゛~~!?♡ お゛っお゛っ……♡」
残った精液をイヴは搾り取る。
「あ゛……♡」
イヴの触手がアーサーの男性器を開放すると、男性器はふにゃりとした状態になって、ぷるんと揺れていた。
「アーサー様。これから毎日スノウと一緒に貴方様の事を愛でさせていただきます、私達二人の子どもを宿しても問題ないように体を少しずつ慣らしていきましょう……?」
イヴの囁きに、アーサーは蕩けた表情を浮かべたまま頷いた。
それから、毎夜の如くイヴはスノウと共に、アーサーとまぐわった。
後孔に二人の雄を入れて広げ大量に液体を注ぎ込み、今まで以上に射精を抑制してまぐわいが終わってから、一滴残さずに精液を搾り取るという行為を繰り返し続けた。
アーサーに食事として与える液体も今までのものに違う要素を加えていった。
イヴとスノウ、二人分の「卵」を入れても体への負担が少なくなるように、体がそれで快楽をより得られるように、様々な要素を追加した。
ゆっくりと、時間をかけてイヴとスノウは自分達の子を宿してもらう為に、アーサーの体を変えていった。
「ねぇ、お母様」
「なぁに、スノウ?」
「どうしてお父様の体を一気に変える事をしないのですか?」
スノウの言葉に、イヴは微笑んで返した。
「アーサー様はいくら他の人間と違う存在になっているとは言え元は人間――急激な変化に対応などできない弱い生き物なのですよ、私達(エキドナ)と違って」
「どうしてそんな弱い生き物なのに戦争なんて事をしたんでしょうか?」
「……分からないわ、私も、それは分からないの……」
「リリス伯母様も教えてくださらないの、どうしてかしら?」
「……」
スノウの疑問に、イヴは答えられなかった。
「でもいいわ。馬鹿な人間が戦争なんて馬鹿な事をしてそして私達(エキドナ)を創ったから、お母様はお父様と巡り合って、私が産まれて、私はこうしてお母様と一緒にお父様を愛せるのだから」
スノウが別にどうでもいいことのように笑ったのを見てイヴは安堵した。
スノウに、自分と姉であるリリスが抱えているあの地獄の景色をあの時の感情を教えなくて良かったと安堵したのだ。
復讐はもう終わった、だから静かに暮らそう、ここで。
終焉が訪れるその時まで。
イヴはリリスとの約束を思い出しながら、目を閉じ首を振った。
過去を思い出すのを止めようとイヴは決めたのだ。
スノウが産まれたあの日から、過去を思い出すのは止めようと。
今イヴが愛しているのはアーサーであり、愛する我が子はスノウなのだ。
過去を引きずって、生き続けるのは今自分と共に過ごしてくれる夫(アーサー)と娘(スノウ)に失礼だと。
過去を忘れる事はできない、だが引きずるのは止めようと、イヴは決めたのだ。
スノウとイヴがアーサーが二人の「卵」を体内に宿し育てられるように、アーサーの体を変えながら、まぐわい初めて二ヶ月が経過した。
「あ゛っあ゛っいぐぅ……♡」
イヴに抱きかかえられながらアーサーは体をびくびくと震わせた。
「ねぇ、お母さま、そろそろいいと思うの」
「ええ、良さそうね、ではアーサー様、明日私とスノウの子を孕んでくださいますか?」
「あ゛っあ゛っ……♡ はらませでぇ……♡」
「有難うございます、アーサー様」
「お父様、ありがとう」
ずるりとアーサーの後孔から雄を二人は引き抜くとイヴはアーサーを抱きかかえて、空間の穴をあけた。
穴の向こうは広い浴場だった。
「お母様?」
「体を綺麗にしてお休みいただくの、そして眠っている間にあの部屋に連れて行くの、当分入浴はできなくなりますからね。触手達が衛生管理してくれますが、気持ち的に」
イヴはそう言ってアーサーを浴場に連れて行き、体を洗った。
射精を強請るアーサーにいつものように触手で雄を包んで射精させ、長い射精の快楽に浸っているアーサーの額に口づけをして眠らせてから体を拭いて、裸の彼をベッドに寝かせ、毛布をかけてその場を後にした。
肉壁と触手達の巣窟――母体が出産するまでの間、母体と「子」を死なせぬための「聖域」ともいえる部屋をイヴは触り最終の点検をする。
問題は何もなかった。
定期的に点検をしていたし、問題は見当たらなかった。
ただ、今回はアーサーが身ごもる命は「二つ」あるのだ。
念入りに点検をしてから、イヴはその場を後にした。
翌朝、アーサーが眠っているのを確認する。
「お母様、お早うございます」
部屋にスノウが入って来た。
普段着ているドレスではなく、イヴのように下半身だけ隠していない下着姿だった。
「お早う、スノウ。準備はできているかしら?」
「ええ! でも初めてだから不安なの……」
「私もよ、これから毎日気を付けないと駄目よ?」
「はい、お母さま」
イヴは一糸まとわぬまま眠っているアーサーを抱きかかえ、スノウと共に「聖域」へと向かう。
「……様……アーサー様」
「う゛……」
アーサーが目を覚ますと、見覚えのある肉壁の部屋に居た。
一糸まとわぬ姿で、イヴに抱きかかえられ、目の前にはスノウが居た。
「お早うございます、アーサー様。昨日の話覚えてらっしゃいますか、今日からアーサー様には此処で過ごしてもらいます、私とスノウの子を産み落とすまで」
「あ゛……♡」
イヴの言葉に、後孔が引くつき、腹の中が疼きだす。
勝手にパクパクと後孔が動いているのを感じた。
「はらませてくれぇ……♡」
「有難うございます、では、スノウ?」
「はい、お母様」
腹の中に触手が入り込み、温かな液体で腸内が満たされる。
「あ゛っ…♡」
甘い快感を感じながらアーサーは雄を勃起させる。
ぐちゅぐちゅとほぐされた後イヴとスノウの雄に突き上げられ、何度も射精のない絶頂と射精を封じられた絶頂を感じながらアーサーはのけ反り舌を出して喘ぐ。
「そろそろいいみたい……」
「本当? お母様」
「ええ」
ずるりと二本の雄が抜かれる。
――あ、あ、早く、早く孕ませてくれ……♡――
アーサーの胸が期待で高鳴る。
「ん゛ん゛っ……♡」
触手が二本入ってくる。
結腸部まで入って来たソレはゆっくりと、アーサーの腹の中にそれを産み付けた。
「あ゛……♡」
重い感触が二つ、苦しさはない、愛しさと快感だけがある。
「スノウ、少しの間塞ぐのをお願いね」
「はい、お母様」
ずるりと一本の触手が抜け、腹にくっつくほどに勃起した雄が男性器が触手に包まれる。
「では、アーサー様。たっぷりと射精してくださいませ、貴方の子種をたくさんくださいませ」
イヴの囁きに、射精をしていなかったアーサーの雄は一気に触手の中に精液を吐き出し始めた。
「お゛お゛~~……♡」
あの日から繰り返される、普通ならあり得ない射精、だが今のアーサーにとってはごく当たり前の射精行為だった。
長い快感が続き、搾り取られる快感に、頭が蕩ける。
人間の女性とのセックスよりも、強い快楽、悦楽、そして「孕む」快感にアーサーは浸りきっていた。
触手がアーサーの男性器を開放する、雄はふにゃりと萎えた状態になっていた。
「では、アーサー様」
「私とスノウの子を、孕んでくださいね?」
触手が入ってきて、奥までくると、もう一つの触手が後孔のあたりまで抜かれる。
液体が――アーサーが先ほど搾り取られた精液が吐き出される。
「あ゛~~!!♡ あづい゛、あづい゛ぃ゛♡」
アーサーは精液を注がれる感触に絶頂し、体を震えさせた。
とくん、とくん、と音が聞こえたような気がした。
ずるりと触手が抜かれると何か後孔付近で、膨らみ、ぷちゅんと音がした。
「お母様、処置の方終わりました」
「有難う、スノウ」
スノウが離れると、イヴはアーサーの抱き方を所謂お姫様抱っこに変えて肉壁でできた柔らかく、暖かい椅子のような場所に座らせる。
触手がアーサーの体を傷つかないように優しく覆う。
「あ゛……♡」
アーサーの口に触手が伸びてきた、アーサーは悦んで口を開くと触手は口内に入っていった。
ずるずると喉の奥まで入っていく心地に、悦がたまらなかった。
「ん゛……ん゛……♡」
舐めれば触手は甘い液体を滲ませる、舐めれば心地よくなって快感が増す。
胃袋に注がれている液体も、自分と今自分の中にある二つの「命」の栄養になってくれる。
「アーサー様、では少しの間お休みください、また来ますから」
「お父様、お休みになってくださいね?」
イヴとスノウの言葉にアーサーは小さく頷いた。
イヴが額にキスをしてきた。
眠気が訪れ、アーサーは心地よい快楽と眠気に浸りながら目を閉じた。
「……お母様……ちゃんとその……」
不安になっているスノウを撫でてから、イヴは眠るアーサーの膨らんだ腹を優しく撫でる。
「大丈夫、スノウ。二つとも、ちゃんと命が宿ったわ。後は成長を見守るだけ」
「本当? ああ、良かったぁ……」
「――でも、二つも宿すのは初めての事だから……ちゃんと見守らないと……」
イヴは優しくアーサーの頬を撫でた。
イヴは前スノウを宿した時とは違い、アーサーの傍から片時も離れなくなった。
統治者として、面会する必要がある時のみその場を離れその間はスノウにアーサーの様子を見守る様に言いつけた。
スノウの時は「できる」という事しか分からない、前例のない中で行った。
本能的なものと手探り、両方で必死にアーサーの体を壊さぬよう、そしてアーサーの中にいる子ども――スノウがちゃんと育ち生まれるまで、かなり不安だった。
今回はより、母体であるアーサーに負荷がかかりかねない。
何せ二つの「卵」を宿しているのだ。
エキドナで双子はあり得ない、エキドナは必ず一人で産まれる。
イヴとスノウの「娘」達が命を食い合うか、それとも栄養を欲しがって母体であるアーサーに負担を与えないか、本能でさえ分からない事。
初めての試み。
イヴはスノウに穏やかには言っていたものの、内心前回よりも不安で仕方なかった。
「……」
イヴは眠るアーサーの腹に、そっと頬を当てて、耳を澄ませる。
アーサーの体内に「卵」を入れてから二週間がたった、腹の膨らみは前回よりも少しばかり大きい。
「……」
イヴはあらゆる感覚を鋭くして、二つの胎児の様子と、アーサーの体の様子を観察し、確認する。
特殊な膜でできた卵型の物体が二つ。
一つの膜の中に胎児が一人ずつ。
胎児の栄養状態は問題ない。
母体(アーサー)の栄養状態は少し不安を感じる。
体への負荷は予想よりも少ない。
イヴは触手がアーサーに与える液体の成分を調整する。
「……アーサー様」
眠るアーサーの名前をイヴは呼ぶ。
頬を撫でる。
女を元にした自分達(エキドナ)とは異なる、人間の男の肌の感触。
柔らかくはない、けれど心地よい感触。
イヴはアーサーの肌の温もりが恋しくなっていた。
二週間前――子を宿す迄、毎日のように、まぐわいを繰り返していた。
肌を触れ合わせ、抱きしめ、口づけをしあって、愛し合う行為――
スノウが混じってきた少しばかり変わったが、本質は変わらない。
それができないのが、酷く切ないのだ、寂しいのだ。
愛し合う行為よりも義務的な行為なのだ、今アーサーと繋がる行為は。
腹の中にいる胎児達に栄養をやり、母体(アーサー)に快楽を与えてそれにより胎児の成長を促進させる。
愛し合う行為よりも、義務的な行為に感じられた。
前(スノウ)の時は其処迄感じなかったのに、どうしてなのか、イヴは分からなかった。
アーサーはゆっくりと目を覚ました。
ぼんやりとしている視界でもわかる程、イヴが不安そうな顔をして、自分を見つめている。
「ん゛あ゛……♡」
ずるりと触手が口から抜ける。
「……いう゛……?」
「……何でもありませんよ、アーサー様……」
イヴははっとした様に、いつものように微笑んだ。
「……」
アーサーは手を伸ばし、イヴの頬に触れる。
「……おれは……だいじょうぶだから……な?」
そっと撫でると、イヴは紫の目から涙をこぼした。
アーサーは指でイヴの目元を拭った。
「……ああ、これじゃ、きす、できないな……」
触手がアーサーの体の動きを制限していた。
「……アーサー様……」
イヴが顔を近づけてきた、少し首を伸ばせばキスをできる程の距離になる。
アーサーはイヴの頬と唇にそっとキスをする。
「……だいじょうぶだから……そんなかおをしないでくれ……」
イヴの頬を撫でながらアーサーは声をかけた。
イヴは嘗てのアーサーについて詳しく知らない。
ただ、今までイヴの所に来た人間達とは違った、優しかった、イヴの事を傷つける気が無かった、優しい善き人間の男、それだけで十分だった。
捕えて、無理やり体内に「卵」を産み付けて――一ヶ月程でイヴが現在普段愛しているアーサーになった。
普段は快楽とイヴを求めて甘い声を上げて、金色の髪を乱れさせ、逞しい体を淫らに開き、喘ぎ声をあげて、イヴに愛でられるだけの存在。
けれども、時折、このようにイヴやスノウを気遣う事がある。
イヴやスノウが不安になっている時、何かに恐怖を抱いてる時は、気遣い、声をかけてくる。
体に「子」がいなければ、きっと抱きしめてくれただろうとイヴは思った。
――ああ、私の愛しい方――
イヴはアーサーの体に身を寄せる。
――貴方様と私はずっと一緒に居たいのです、終焉が訪れるその日まで――
アーサーの温もりと鼓動を感じ、髪を撫でられる感触に不安等が消えていった。
スノウは父(アーサー)の傍で身を寄り添うように目を閉じている母(イヴ)の姿に少し驚いたが、安心した。
母(イヴ)はずっと不安を押し殺していたのだ、それに潰れそうなのを父(アーサー)は気づいて、声をかけたのだ、手を伸ばしたのだ。
――やっぱり、お母様の一番はお父様で、お父様の一番はお母様、うん、安心した――
――なら、私は一度、知るべき――
スノウは、子が産まれたら、その子が成長したら、子を母(イヴ)に任せて一度伯母(リリス)と一緒に世界を見て回ろうと決めた。
伯母(リリス)が破壊して、そして一部だけ残された領地を見て回りたいのだ。
別に伴侶が欲しい訳じゃない。
スノウは知りたかった、狭い世界から飛び出して、広い世界を見てみたかった。
醜いのか、美しいのか、どちらでも良かった。
――だから、お父様、私とお母様の子を、無事に産んでくださいね――
スノウは静かに肉壁で覆われた空間を後にした。
アーサーが体内に二つの「卵」を宿して二ヶ月、外は実り季節であり黄昏の季節でもある秋に染まっていた。
腹の大きさは、既にスノウが産まれる時の大きさになっていた。
イヴは気を付けながら、アーサーの体に快楽を与える。
「あ゛っ♡ あ゛ぁ゛♡ そごぉ゛♡」
前立腺の部分を生やした雄で刺激して、射精のない絶頂と、射精を封じられた絶頂の両方を与える。
「あ゛あ゛――!!♡」
びくびくとアーサーの体が震える。
アーサーの雄は限界まで勃起し、びくびくと震えていた。
睾丸もずっしりと重くなっている。
ずるりと後孔から雄を抜くと、触手を腰から生やしてアーサーの男性器を触手で包む。
「アーサー様、どうぞ射精してくださいませ」
「あ゛、あ゛♡ で、でるぅ……♡」
アーサーの蕩けた顔を見ながら、イヴは微笑みつつ、そっと腹を見る。
腹の大きさ的には産んだ方が良い時期、だが前回と比べると人間にあたる早産になり、生まれてくる子(エキドナ)は人間で言う未熟児という事になる可能性が高い。
前例がない為どうするべきか、イヴは悩んでいた。
男性器を包んでいた触手がアーサーの雄を開放する、ふにゃりとなり、睾丸の膨らみも通常時に戻っていた。
搾り取った精液を貯め込んだ触手を後孔に入れて奥まで挿れ、そして精液を吐き出した。
「あづいぃ~~!!♡ あ゛、あ゛……なくなっでるぅ……」
アーサーの体にいる「赤子」達が栄養を吸収する速度に関しては特に問題は感じられなかった。
ただ、イヴは何かを感じ取り、スノウを呼んだ。
「どうしたの、お母様?」
「ええ、ちょっとだけ気になって――」
やって来たスノウに、イヴは呼び出した内容を告げようとしたがそれを止めて、アーサーを見る。
「あ゛…あ゛あ゛あ゛……!!」
アーサーはのけ反り声を上げていた、膨らんだ腹が動いている。
後孔から透明な液体が垂れ始めていた。
「え、えっとお母様、もしかして……?!」
「――ええ、産まれるわ」
イヴはアーサーの手を握る。
「アーサー様、リラックスなさってください、産まれます」
そう言ってゆっくり腹を押していく。
「……」
中にいる二人の赤子(エキドナ)の動き等でイヴは理解した、どちらも産まれたがっているのに、居心地が良くて出ようとしていないという困った行動をしていることを。
その結果、ある意味喧嘩のような事をアーサーの腹の中でしているのだ。
『出てきなさい、貴方達は自分の産んでくれる者を殺す気ですか?』
イヴはアーサーに聞こえぬ声、エキドナ達にしか聞こえぬ声で腹の中の赤子を叱りつける。
「あ゛っあ゛……♡ お゛お゛……♡」
動きが変わる、ゆっくりと赤子達がアーサーの腹の中から出ようとしている。
「あ゛……あ゛……♡ うごいでる゛ぅ……♡ お゛あ゛あ゛――!!」
膜にまだ少し包まれた白金(プラチナブロンド)髪を僅かに生やした赤子がアーサーの後孔を目いっぱい広げて出てきた。
スノウの時よりも小さい赤子だ。
イヴは赤子に手を伸ばし、後孔から完全に引っ張り出す。
びちゃびちゃと液体が滴り、床に膜が落ちた。
おぎゃあおぎゃあ
――後、一人――
イヴは自分の娘を抱きかかえて安堵しながらも、スノウにその子を預ける。
「お母様?」
「貴方の子が少し出にくくなってるの、お願い」
スノウが赤子を抱きかかえるのを見ると、イヴは手を変形させて、開いている後孔に細い触手状にして挿れた。
出にくくなっている赤子と、それを包んでいる膜をゆっくりと引っ張っていく。
「お゛あ゛、あ゛、あ゛――!!♡」
ずりゅっと、膜に包まれたままの赤子をアーサーの後孔から出させる。
イヴは膜に包まれたままの赤子を抱えて、僅かに破れた箇所から膜を破く。
びちゃびちゃと、液体が滴り落ちる。
膜をイヴは床に捨てると、赤子の背中をとんとんと叩いた。
ふぎゃあふぎゃあ
赤子は声を上げた。
イヴはふぅと安堵の息を吐きだして、自分が抱きかかえていたスノウの子をスノウに抱かせ、スノウに預けていた自身の子を抱く。
そしてアーサーの頬を撫でて、声をかける。
「アーサー様、お疲れ様でした……有難うございます、無事二人とも産まれました」
「あ゛……♡ よかったぁ……♡」
アーサーは安堵と快楽混じりの声で答えた。
「……お母様、私とお父様の子なのに、この子私ともお母様とも、お父様のとも違う髪と目をしているわ? どうして?」
スノウは自分の子を不思議そうに見ている。
スノウの子は既に目をぱちくりと開けている。
うっすらと生えている頭の毛は菫色、目は金色だ。
「ああ、良く分からないのだけど、私達(エキドナ)が近親で子を成した場合は髪や目の色は親の物にはならないのよ、何故か。リリス姉様も『理由は分からん、同じ顔で同じ目と髪ばっかりだと見分けしにくいと思ってそうしたんじゃないか?』と……」
「人間って変な所に気を使うのね」
スノウは自分の子にそう言い聞かせる。
イヴは自分の子どもを抱き、頭を撫でる。
赤子達が一際大きな声で一斉に鳴きだした。
「え、えっとこれは……お腹がすいてるのかしら??」
「ええ、そうみたいね」
イヴはそう言うと、アーサーに声をかける。
「アーサー様、お疲れの所ごめんなさい。お腹がすいてるんです、この子達」
イヴは自分の子をアーサーに渡した。
アーサーは慈愛と快楽の色の笑みを浮かべて赤子を抱き寄せて、既に白い液体を垂らす乳首に赤子の口を近づけさせると、赤子は吸い付いてちぅちぅと吸い始めた。
「スノウの時とは違って大人しい子ですわね、スノウは強く吸い付いてたから……」
「お母様昔の話は止めてくださいな、私は赤ん坊じゃありません」
イヴの言葉にスノウは不貞腐れたように言いつつ、自分の赤子の口をアーサーのもう片方の乳首に近づけた。
「ひゃう?!♡ ま゛っああ゛!!♡ つよいぃ!!♡」
アーサーはびくりと体を震わせて声を上げた。
「……スノウ、その子は間違いなく貴方の子よ……髪と目の色が違うけれども」
「お母様!! そう言うところで再確認しないでくださいな!!」
イヴが苦笑してスノウを見ると、スノウは何処か罰悪そうな顔をしていた。
雪に閉ざされた命が芽吹きだす、春の季節がやって来た。
「ぱぱ、だっこして」
「おとうさま、あねもねもだっこしてくださいな」
菫色の髪に金色の目の娘(ビオラ)と、白金(プラチナブロンド)の髪に青い目の娘(アネモネ)がソファーに腰を掛けているアーサーに近寄って抱っこをせびっていた。
「わかっているよ、びおら、あねもね」
アーサーは微笑んで、我が子達を抱きかかえる。
ビオラは無邪気に笑い喜び、アネモネは微笑みを浮かべていた。
がちゃりと扉が開いた。
「……?」
アーサーが視線をちらりとやれば、見覚えのある女性が立っていた。
金色の髪に、赤い目の、黒いコートの女性。
「――ああ、りりすじゃないか、ひさしぶりだな」
女性――リリスにそう言うと、リリスは少し目を細めてから、口を開いた。
「……ああ、久しぶりだな、アーサー」
リリスはアーサーに近づいてきた。
「……娘か?」
「ああ。ほら、あいさつ、できるだろう?」
アーサーは娘達にリリスに挨拶するよう促す。
「びおらです! はじめまして!!」
「あ……あねもねです……はじめ、まして……」
「よしよし、よくあいさつできたな」
アーサーが褒めると、娘達は嬉しそうに笑った。
リリスはアーサーを何処か複雑そうな目で見つめた。
「りりす、どうかしたのか?」
「いや、何でもない。可愛い娘だな、と」
「……? ああ、そうだろう? いう゛とすのうのこなんだ」
「そうか」
――やはり、か――
何となく、見ただけで予想はついていた。
アネモネと名乗った少女(エキドナ)がイヴとの子で、ビオラと名乗った少女(エキドナ)がスノウとの子なのだろう。
ビオラは人間的に言えば近親相姦によって生まれた子ども。
だが自分達(エキドナ)にとっては――嘗て日常茶飯事だった。
エキドナを一から作り出すのは時間がかかるから、エキドナを孕ませるか、それかエキドナが人間の女を孕ませるか、その二択で増やしていた。
通常プロトタイプ――初期型は能力値等は劣るを思われていたが、リリスは繁殖能力以外はどのエキドナよりも高かった。
それをもう少し汎用的にするために、妹(イヴ)が創られ、そしてそのイヴを元に他のエキドナが創られた。
エキドナ達は、皆子を孕み、孕ませ、そして怪物を産み、従え、ただ創造主達の命じるままに、敵対する者達を殺して、殺して、殺し続けた。
初期型故に、人間への従属心を持たない――人間へ反抗する可能性を保持したリリス。
そのリリスを元にしたが故に、従属心は持たないが反抗心をあまり見せなかったイヴ。
他の同胞(エキドナ)と違うが故に、生き残った、二人の兵器(エキドナ)。
まるで、他のエキドナのように、近親での交わりを行ったスノウ。
子どもが欲しいだけなら、適当な男と交わればいい、だがスノウはそうしなかった。
母親(イヴ)とよく似ている、自分が愛する相手との子を求めるというところが。
外への恐怖を持たないスノウはおそらくイヴの統治するこの領地内を探し回ったのだろう、父親(アーサー)のように愛せる存在、もしくはそれ以上を。
だが、いなかった。
腹立たしいことだが、リリスも、アーサーより良い人間の男とは関わった覚えがあまりない。
嘗てのアーサーは自分で自分の事を色男(ハンサム)と言い、リリスを苛立たせる一面もあったが、良い人間の男だったのはどうしても否定できなかった。
今のアーサーは嘗てのアーサーとは異なる。
だが、何処かに嘗ての面影が残っていて、リリスはそれを見る度に複雑な気分になった。
今のように、子どもに優しくしているアーサーを見るとリリスは良く分からない気分になるのだ。
――私はこの男に恋をしていたのだろうか?――
――私はアーサーを、愛していたのだろうか?――
リリスはそれが分からなかった。
ただ、今だ憎悪する人間達の中で唯一――憎悪を向けることなく接することができた相手だったことだけは確かだった。
憎悪を隠していたリリスが、アーサーと関わっている時、アーサーに対しては憎悪が全くわかなくなっていったのを覚えている。
アーサーにふとある時、部屋の一室を借りて二人で酒を飲んでいた時リリスは尋ねてみた、どうせ此奴も同じだと思って。
『怪物女帝はどうして世界をこんな風にしたんだろうな?』
と。
アーサーの答えは、他と違った。
『……怪物女帝と呼ばれたエキドナは、おそらく大事なものを人間――創った連中に奪われたんじゃないか?』
『他のエキドナか、それとも違う何かを。心の支えになるような大切な物を奪われて、我慢ができなくなって、壊して壊して壊したんじゃないのか?』
『それで壊して殺してそれを繰り返してる中で――それをしても大事な物は戻ってこないから、止めた、自分から大事な物を奪った奴らと同じだから止めたんじゃないか?』
『怪物女帝が今どうしてるかは知らないが、彼女は……きっとどこかで泣いてるんだろうさ』
『ん? どうしたそんなぽかんとした顔は? 似たような質問された時同じように答えたら「お前ふざけてんのか?」って言われたからちょっと予想外の反応だな。だが、俺はそう思ってるよ』
正解ではないが、近い答え。
違うとすれば、悲しんでいるのは怪物女帝(リリス)ではなく、その妹であるイヴであるという事。
自分は憎悪とむなしさを抱えて生きている。
アーサーの「おかげ」でイヴは幸せになった。
けれども、リリスは嘗てのように幸せそうなイヴを見ても、純粋に喜べなくなっていた。
彼女の幸せを、自分の幸せのように思うことができなくなっていた。
けれども――
「ぱぱ、だいすき」
「おとうさま、だいすき」
「おれもだいすきだよ」
子ども達を慈しむ姿は愛する姿は、壊れていようとも嘗てのアーサーを思い出させた。
「――邪魔をしたな」
「りりす、つぎはいつくるんだ?」
「……さてな」
「なつにきて! おまつりがあるの!」
「おまつり……みたいけどおかあさまはおそとにだしてくれない……」
「――分かった、夏に来よう。私が見て回る、だから欲しい物とか考えて置け」
「うん!」
「ありがとう……」
リリスは子どもの声を聴きながら、部屋を出た。
扉を閉めると、イヴとスノウがやって来た。
「リリス姉様、もう帰るのですか?」
「……いや、子どもが親と遊んでいるのを邪魔するのは、何か、な」
「気になさらなくてもいいのよ、リリス伯母様」
イヴとスノウの言葉に、リリスは小さく首を振った。
「いいんだ」
「そうですか……では別室でお茶にしませんか? 私、リリス姉様とゆっくりお話しをしたいのです」
「ああ、構わない」
「嬉しい!! スノウ、お願いなのだけどもリリス姉様を客室に案内してくれる? 私はお茶の用意をするから」
「はい、お母様」
イヴがその場から離れると、スノウがリリスを客室に案内した。
客室の椅子に腰をかけると、スノウが隣に座り、小さな声で話しかけてきた。
「リリス伯母様、お願いがあるの。私の子が大きくなったら、私をリリス伯母様の旅に連れて行って下さいな」
スノウの言葉にリリスは眉をひそめた。
「本気か?」
「本気です、私世界を見たいのです。今この世界で生きている人間達がどのような存在なのか、私は知りたいのです」
「――この世界がどのような世界なのか知りたいのです、美しいのかそれとも醜いのか」
スノウの言葉に、リリスは目を閉じ、ため息がついた。
「……イヴを説得できたら、な。できなかったら諦めろ。イヴが情緒不安定なったらどれほど大変か知っているだろう」
「……リリス伯母様、意地悪ね、無理難題を言うのですもの」
「それ位、お前の母親は外を怖がってる――つまり危険という事だ。それにお前は身を守る術をまだ会得していない――人間なりの身を守る術をな」
「むぅ……」
リリスの言葉にスノウはむくれる。
スノウはエキドナとして身を守る方法などは、本能的に理解しておりできるのだ。
だが、人間のふりをして身を守る術などに関しては知らない。
「……今回は少しの間長く滞在して教えてやる、夏にもあの子達と来る約束をしたから、その時にも教えてやる」
「リリス伯母様有難う!!」
スノウの言葉に、リリスはため息をついた。
過去の事を知らぬ、復讐を引き継がなかったスノウは、外への恐怖も人間への憎悪も持っていない。
それ故、外に出すことで、スノウの心に傷がつくのではないか、イヴは不安で仕方なかった。
昔より大分マシな世界とは言え、悪意を持つ人間はいるのだ、根絶やしになど出来ない。
扉が開く音がした。
紅茶の香りと、甘い菓子の香りがした。
「お待たせしました、リリス姉様。じゃあ、三人でゆっくりお茶にしましょう? リリス姉様、お話し、たくさん聞かせてくださいな」
「リリス伯母様、お話しを聞かせて?」
二人の様子を見て、リリスは懐かしそうに目を細めた。
昔――まだ戦争が続いていた時のわずかな安らぎだった、イヴとイヴの最初の夫と最初の娘と他愛のない話をした時の事を思い出したのだ。
複雑だったリリスの心がほのかに温かくなる。
「――いいだろう、時間はたっぷりあるからな」
リリスは笑みを浮かべて話を始めた。
ベッドの上に横になりながらアーサーは自分の両脇にくっついている二人の娘(エキドナ)の頭を撫でる。
「えへへ、びおらはぱぱのことだいすき」
「あねもねも……おとうさまのことだいすき……」
「おれもふたりのことがだいすきだよ」
アーサーがそう答えると、アネモネとビオラが体を起こしてアーサーを見つめた。
「ねぇ、ぱぱ、びおらがおおきくなったら、びおらのこどもうんでくれる?」
「びおらずるい……あねもねも……おとうさまに、こどもうんでほしい……」
二人の娘の言葉に、アーサーは微笑みを浮かべて抱き寄せた。
「いいとも、うんであげよう」
「わぁい! ぱぱ、ありがとう!」
「おとうさま、ありがとう、だいすき……」
無邪気に笑うビオラと、はにかむように笑うアネモネを抱き寄せ、髪を撫でながらアーサーは慈愛の笑みを浮かべた。
今のアーサーには人間の倫理観などはもう意味は無かった。
人々に尊敬された賞金稼ぎの男はもういない。
ただ、愛する女性(エキドナ)達の子を宿すことに至福を感じ、そして産んだ娘(エキドナ)を愛する事に幸福を感じ、愛する女性(エキドナ)達に愛され、悦楽を快楽を与えられる事に虜になった男がいるだけだった。
とある領地の白亜の城には美しい女達がいるという。
まるで女神のような美しさを持つ女達は、ただ一人の男を皆愛しているという。
女達の素性も、男が誰なのかも、知るのは――
男に産み落とされた娘(エキドナ)達と、その男の妻である統治者(エキドナ)と、怪物女帝、そして愛されている男のみ。
男は毎夜の如く、妻に、娘達に愛され、嬌声をあげる。
妻は、娘を咎めません、だって男以外、人ではないのですから。
だから、皆で夫を愛し、慈しみ、抱き、まぐわいを繰り返します。
逞しく、凛々しく、優しい男を、皆で愛し合います。
いつまでも、いつまでも。
おぎゃあ、おぎゃあ
――ああ、また産まれました、私とアーサー様の可愛い娘が――
――ああ、なんて、幸せなんでしょう――
――アーサー様、終焉(おわり)が来るまで、ずっと、愛し合いましょう?――
――皆で、貴方様を愛します――
『おれも、みんなのことをあいしてる。ああ、しあわせだ』
――有難うございます、アーサー様――
――ああ、本当、幸せ……――
めでたしめでたし
凄腕の賞金稼ぎ男が居た。
黒いスーツに、黒い刀を腰に下げ、サングラスをかけ、金髪のオールバックのロングヘアーの男。
自身を「色男(ハンサム)」と言い切り、それに見合う容姿の男。
刀一つで狂暴な怪物(クリーチャー)達の屍の山を築き上げ、賞金首達を二度と戦えぬ状態だが五体満足で捕まえる凄腕の賞金稼ぎ。
その男の名前はアーサー。
情に厚く、虐げられている者には手を差し伸べ、悪名高い統治者の元に乗り込んでは統治者の座から引きずり落として別の良き者をその座に着かせ、賊や怪物に襲われている貧しい領地でも破格の値段で請け負い、救った。
名を知らぬ者がいない程の有名な賞金稼ぎだった。
何処の出自かは知る者はいなかった。
彼も語ることはなかった。
年も知らない。
謎が多い賞金稼ぎでもあった。
だが、彼は突如として姿を消した。
各地の悪名を轟かせている統治者達と対峙し、ある領地では統治者を改心させ、また別の領地では統治者をその座から引きずり下ろし、良き統治をする者に任せた。
そして領地の統治を彼が知る限りのう領地全てで改善させた彼はとある町で「未だ誰一人として帰ってきた物が居ない暴君のいる領地がある」と言うのを聞き、誰一人近づこうとしなかったその場所に行くと言ったのを最後に姿を消した。
待てどもアーサーが帰ってこなかった事を気になった知り合いの賞金稼ぎが何名か領地を訪れた、その領地は暴君などいないかのように平穏な領地だった。
皆が嬉しそうに笑いあい、仕事に励み、そして豊かな領地であった。
しかし、賞金稼ぎ達がアーサーの行方を尋ねると殆どの者が口を閉ざした。
だが、とある女が語った「統治者様の城へ行きました」と。
賞金稼ぎ達は統治者が居るという城へと向かったが、警備が堅く近寄ることができなかった。
それ故賞金稼ぎ達はこう結論付けた。
『アーサーは、統治者と相打ちになったか、命と引き換えに統治者の意識を変えたのだ』
と。
故に、賞金稼ぎアーサーは死亡したと判断されることとなった。
真実は違った。
アーサーは生きている。
だが、そのアーサーは他の人々が会った事のあるアーサーではもう無くなっていた。
アーサーは堕とされた。
人ならざる者が与える快楽に、悦楽に、肉欲に――人では耐える事の出来ない快楽堕とされ子を孕まされた。
文字通り、彼は孕まされたのだ。
人外(エキドナ)の子を、その身に宿したのだ。
エキドナ――大昔の戦争で生み出された怪物を産む生体兵器、怪物たちの母であり支配者。
それ故多くが殺され、唯一生き残ったとされる怪物女帝と呼ばれるエキドナが世界を破壊した。
怪物女帝は、今も生きているらしいがどのような姿をしているのか知る者はいない。
だが、生き残ったエキドナは怪物女帝だけではなかった。
エキドナはもう一人生きていたのだ、怪物女帝が彼女の存在を隠し、生き残っているのを自分だけだと知らしめることで、彼女を守った。
生き残ったエキドナは怪物女帝の妹だった。
妹は愛し合った人間の男と、その男との間に産まれた最愛の娘を人間に殺された。
愛する者を奪われ、妹の嘆く姿に、怪物女帝は人間を――創造者達を憎悪して世界を破壊した、怪物達を放った。
怪物女帝は嘆く妹と共にしばらく身を潜めていた。
そして、妹が穏やかに過ごせる場所を探して放浪し始めた。
ある領地を見つける。
四季があり、美しい城があり、そして豊かな土地――統治者と統治者からのお零れを預かる者共が救いようがない程愚かな所以外問題が無い土地だった。
だから、怪物女帝は統治者とその蜜を啜る者達を皆殺しにした。
そして妹を統治者にした。
妹ならば、良き統治をするだろう、愚者共と違って、そう思った。
だが、妹は領民にこう宣言した。
『ここには暴君がいる、民は皆怯えていると情報を流して、貴方達は演技をしてください。情報は分かる人が分かる程度にのみ流してください。お願いします。』
怪物女帝は妹は何をしようとしているのか最初は分からなかった。
だが、ある日分かった。
妹はもう一度「自分の子ども」をその手に抱き、そして今度こそ慈しみ最後まで育てたいのだと。
その相手を探しすために、嘘の情報を流しているのだと。
暴君を打ち倒すもしくは説得しようとする――独善ではない正義と、善意、情に満ちた優しい存在が来るのを、待ち続けていたのだ。
孕むことに恐れを感じた妹の代わりに、子を孕んでくれる存在を妹は待ち続けた。
そして、現れたのが一人の賞金稼ぎ――アーサーだった。
アーサーの対応は全て妹にとって合格点だった。
そしてアーサーと捕えた。
最初は気にしていなかった見目も確認すれば、凛々しく逞しい色男と名乗るにふさわしい容姿で、好ましかった。
金色の長い髪も、サファイアのように青い目も、妹は気に入った。
金色の髪は自分を守ってくれた姉の髪の色を思い出す。
青い目は、姉がお守りだと昔くれた青い宝石を思い出す。
妹は、アーサーの体に手を加え、子どもを孕めるようにした。
そして最後の仕上げをしてから、アーサーの体の中に「卵」を産みつけ、アーサーの精液を搾り取って体の中の「卵」に精液を与えて受精させた。
最初は恐怖を感じていたアーサーも一ヶ月もすると「卵」を成長させるために与えられる人外の快楽の虜となり、快楽に隷属し、腹の中にいる怪物(エキドナ)の子を――我が子を愛おしく思うようになり、妹を――イヴを愛するようになった。
イヴはアーサーの変化を喜び、彼を離すまいと誓った。
それから二ヶ月後、アーサーは、己とイヴの子を産み落とした。
二人は子どもの誕生を喜んだ。
イヴは――永い間願い続けた事がかなった事に歓喜した。
愛する人をもう一度得ることができ、そして我が子を抱くことができたのだ。
失った幸せをもう一度手にすることができたことに、イヴは喜んだ。
良き統治によって、人々が穏やかに暮らす領地。
その奥にある白亜の城は夜でも美しさを損なわず其処に合った。
月光を浴びて青白く美しい色に染まる城。
現在は、謁見の許可を得ている人物以外城には誰も入ることのできない城。
その城の一室――統治者(イヴ)の寝室で今日も、淫靡な交わりは行われていた。
「お゛あ゛ぁ゛――!!♡」
ぱっと見たところイヴと出会った時の頃と全く変わらぬ肉体と顔だが、金色の髪は依然よりも伸びて艶やかさを持ち、色男に相応しい凛々しい顔立ちは、快楽に蕩け、涙と唾液に濡れていた。
アーサーは口からだらしなく舌を出して、喘ぎ声をあげている。
鋼鉄の意思を宿していた青い目は、今は悦楽の色に染まっていた。
ベッドに仰向けになって脚を開いているアーサーの後孔に、イヴは態々生やした雄を挿れて、腰を動かし、柔らかくなったアーサーの胸を揉んだ。
鍛え上げた男の胸筋は、今はどこか柔らかくなり、乳首や乳輪は肥大していた。
イヴが優しく揉むと、乳首からぴゅっと白い液体が出た。
「アーサー様、そんなに孕みたいのですか?」
「あ゛っあ゛♡ はらみ、たい、けどいう゛のが、おぐ、まで、もらえない、のは、あ゛あ゛――!!♡」
びくびくと体を震わせて、アーサーは絶頂する。
「ふふ、正直でとても嬉しいです、私の事をそんなに求めてくださって。愛してますわ、アーサー様」
「あ゛っあ゛♡ いう゛ぅ、おれ、もぉ♡」
アーサーの言葉に、イヴは嬉しそうに笑ってから、アーサーの口に口づけをした。
舌を絡ませあいながら、腰を動かして快楽を与える。
「んぢゅっ♡ んぅ゛♡」
アーサーはイヴの口づけをねだる様に唇を幾度も重ね合わせてくる。
イヴは愛しい存在の可愛らしいおねだりだから、優しく応じる。
口づけが終わると、イヴはアーサーを激しく抱いた。
「あ゛♡ おぐぅ♡ そごぉ゛!!♡」
「ええ、アーサー様の結腸部、とても気持ち良いです……ちゅぷちゅぷと吸い付いてきて、咥えこんで離そうとしない……ふふ、アーサー様の中はもう女の膣と変わらないですね、雄の膣に、雄の子宮口、雄の子宮……ふふ」
「お゛あ゛?!♡ どしゅどしゅってぇ!!♡ あっあ゛♡ ごわれりゅぅ♡」
「ふふ、大丈夫、壊れませんわ。もしかしてお嫌でしたか?」
「うう゛ん♡ もっどぉ♡ あ゛っあ゛――!!♡」
のけ反り、びくびくと体を震わせて、アーサーは再び絶頂する。
イヴは快楽に蕩ける夫(アーサー)を愛おし気に見つめ、頬を撫でた。
ガチャリと、扉が開いた。
「あ、やっぱりお母様とお父様セックスしてるのね」
ここ最近の来訪者が来たことにイヴはため息をついて、ずるりと雄を抜いてからそれを無くすと、悦に溺れるアーサーを腕を撫でながらその存在を見た。
「……もう、スノウ分かってるならせめてノックして頂戴と言ってるでしょう?」
金色の長い髪に、青い目のイヴによく似た年ごろの乙女――スノウが部屋に入って来た。
イヴがアーサーに孕ませ、二人間に産まれた娘(エキドナ)だ。
「ねぇ、お母様、お父様と子作りの話をしてたんでしょう? 私も子どもが欲しいの、ねぇ、混ぜて?」
「駄目よ、貴方はまだ若いわ。それに、アーサー様はスノウ一人体に宿しただけで負担が大きかったのよ」
「だから、少しずつお父様を作り変えてるんでしょう、お母様。私、やっぱり自分の子どもはお父様に産んで欲しいの。領地を見て回ったけど、産んで欲しいと思える方はいなかったわ」
愛娘(スノウ)の言葉に、イヴは表情を変える。
「スノウ? 城の外は危ないと何度も言ったはずよ?」
「大丈夫よお母様、怖い人はだぁれも来ないわ。だってリリス伯母様が皆殺してしまわれたのですもの」
イヴの言葉に、スノウはにっこりと笑って答える。
スノウは身にまとっていたネグリジェを脱いで下着姿になる。
ショーツは履いていない。
「私もお父様を愛してるのです。だからいいでしょう?」
「もう……」
イヴとアーサーの娘であるスノウは、母であるイヴの目や監視の目をすり抜けて度々城下――領内を歩き回った。
もちろん服装は領民たちの物を何とか手に入れて、それで歩き回っている。
誰も統治者(イヴ)の娘だと気づきもしない。
けれども、その美しさに誰もが虜になった。
だが、近づく輩の下心がスノウには気分が悪かった。
スノウは、母(イヴ)を愛し、自分を愛し、そして快楽に溺れる父(アーサー)の姿を知っていた。
その父の淫らで美しい姿に、スノウは魅了された。
『私も、お父様の様な方が欲しい』
しかし、探せども探せども、ちっぽけな箱庭では見つからない。
旅人たちや移住者にもスノウの心を虜にする相手はいなかった。
次第に、スノウの父(アーサー)への思いは、性欲と、愛情が結びついた物に変わった。
スノウは母であるイヴにお願いをした、イヴの夫を、実父(アーサー)を抱かせて欲しいと。
イヴはスノウを叱り飛ばしたりすることなく、困ったように笑って言った。
『スノウ、本当に貴方は私に似てしまったわね』
『アーサー様がいいと言うなら、私は何も言わないわ』
と。
スノウは、てっきり人間的に「近親相姦」に当たるから不味いのではないかと母(イヴ)が言うかと思ったのでたずねた。
イヴは微笑んで首を振った。
『私達エキドナはね、当たり前の事だったの、娘(エキドナ)が実母である人間の女を孕ませたり、娘(エキドナ)が実父である人間の男の種を貰って孕んだり。だから別に何も思わないわ』
母の言葉に、スノウは、自分が人間というひ弱で脆弱な生き物と違う事を此処で改めて理解した。
『エキドナはエキドナ同士では決して子を生せない。生まれてくるのは怪物(クリーチャー)。生体兵器という自分達の下僕。子を生すには他の種族の種が必要なの。だからこの惑星(ほし)から人間は淘汰されないの』
母の言葉に、スノウはたずねた、人間は憎いですか、と。
母は悩んでいるようだった。
『……答えられないわ、私の最初に愛した人と、最初の子を殺したのは人間達。でも私を愛してくれたあの人も人間、アーサー様も、人間……』
母はそう言った。
人間のした行為は許せない、けれど、愛したのも人間。
母がその気になれば、ここの領民を一晩で皆殺しにして、領民がやっていた仕事を全てロボットに任せ、警備を生み出した怪物にやらせれることだってできる。
でも、母はそれをしない。
きっとそれが、答えなのだろうとスノウは自分なりに結論付けた。
そして、スノウは父であるアーサーを抱こうとした。
流石にアーサーは困惑の表情を浮かべたが言葉を口にしたが、母――自身の妻であるイヴがそれに混じり、囁くと、困惑は消え失せ、実の娘を、スノウを受け入れた。
スノウは母には勝てないなと少し寂しかったが、それでも愛しい父――愛しい男が自分を受け入れてくれたのだ、見てくれない訳じゃないと前向きに考えた。
ただ、番を見つけたところで、スノウはまだ若いので性的欲求が母であるイヴ程ではない。
それに、スノウは何故か孕みたいという欲求は薄く代わりに「孕ませたい」という欲求があった。
――お父様に私の子を産んで欲しい――
――どんな娘(エキドナ)が産まれるのかしら――
でも、母の許可を取らなくてはならない、だって、父の一番は母(イヴ)なのだから。
「――お母様、もう少し小さくしてくださいな、もしくは細く」
「これでも細くしてる方なのよ? そもそも、一つの穴に二つ突っ込むこと自体おかしいことだと思うのだけれども……」
「お゛あ゛……♡」
子を産み落とす為、快楽を得る為だけの器官になっているアーサーの後孔を広げてイヴとスノウは互いに生やした雄を挿れようとしていた。
一度子を産み落としたことのある其処は目いっぱい広がって、二人の雄をゆっくりと受け入れ始めた。
「あ゛……あ゛……♡」
イヴに抱きかかえられ、足を開かされて二本の雄に貫かれながら、アーサーは濁った声を上げて、舌を出した。
「……大丈夫みたい」
「お父様は一度私を産んだから大丈夫って言ったでしょうお母様。でも、私を産んだのに、緩くならないでいつまでたってもキツイ締め付けをして……名器? ってこういうのを言うの? お母様」
「さぁ、私はよく分からないわ。リリス姉さまなら分かると思うのだけれども……」
「でもリリス伯母様絶対教えてくれないと思うわこういう事柄は『嫌だが人間的に言おう、お前の教育に悪い!』ってばかりだもの」
「ふふ、そっくり」
「あ゛あ゛あ゛あ゛――!!」
二本の雄に、性器と化している腸内をごりごりと突き上げられ、アーサーはのけ反って、舌を出して声を上げる。
「お父様の締め付けが更にきつくなってる」
「アーサー様、大丈夫ですか?」
「ご、りごりってぇ……♡ おれのはらこわれるぅ……♡」
アーサーは色に蕩けた表情を浮かべながら、
「では、お止めいたしましょうか?」
「あ゛っあ゛♡ やめ゛ないでぇ♡ ぐちゃぐちゃにお゛お゛ぉ゛!?♡」
「もう、スノウったらそんなに興奮して」
「だって今のお父様とっても可愛らしかったんですもの」
ぐちゃぐちゃぬちゃぬちゃと粘質な音と、アーサーの濁った声が部屋に響く。
スノウの雄にごりごりと腹の奥を遠慮なく突かれ、ゆっくりとだが動くイヴの雄にも突き上げられ、アーサーはだらしなく舌を出して、快楽に濡れた表情を浮かべて喘ぐ。
前立腺もすられ、敏感な腸内を腸壁をごりごりとすり上げる感触に何度も絶頂する。
腹につくほどに勃起した雄からは透明な液体を何度も吐き出し、震えさせる。
射精欲は強まるのに、一向に射精させてもらえないのに、苦しいのに気持ちよくてたまらない。
「んひぃ!!♡」
ちゅっちゅと肥大した乳首を吸われる事で生まれる快感にアーサーは声を上げた。
「お父様のおっぱい美味しい」
「スノウは昔からアーサー様のおっぱいを吸うのが好きね」
「お父様のおっぱい甘くておいしいんだもの」
舌で舐られ、甘く噛まれる感触と、ごりごりと腸内を広げ、奥と前立腺を刺激する感触に、アーサーの雄から透明な液体が零れた。
「いぐぅ……♡ いっでる……♡ お゛あ゛……♡」
アーサーは舌をだらりと出して、荒い呼吸をする。
「お父様の顔スゴイ素敵、えーっと昔の言葉だとそう『アへ顔』っていうのかしら?」
「……言葉的に素敵な感じがしないのだけれども……」
スノウの言葉に、イヴはよく分からないような顔をする。
「……つくづく人間の作る言葉って良く分からないわ」
「私は面白くて好きよ、お母様」
イヴの子であるスノウは、同じ人外(エキドナ)だが、感性が違った。
スノウの方が昔の人間の言葉や文化に興味を持っている、どんなものであれ。
リリスは創られた事に悲観した。
イヴは創られた事に何も思わなかった、良く分からないまま人を殺し、怪物を生み出していた。
そんなイヴに、とある人間の男が愛などの感情を教え、イヴはその男を愛し、男もイヴを愛した。
すべてに悲観していたリリスは、無垢な妹の幸せな様子を見ることで、自身にへばりついている「生まれてきたという罪」が無くなり、幸せを感じることができた。
だが、それが壊された。
リリスはそれ故怒り、創造主達を――人間を殺した、怪物を使役して殺して、殺して、殺し続けた。
だが、愛する妹が愛したのも人間、それ故、絶滅させることだけは思いとどまった。
リリスは放浪を続けている、自分が壊して回った世界を見ているのだという。
人間たちが、どう考えて暮らしているのか、見て回るのだと。
たまにふらりとイヴのいるこの領地に滞在することはあるが、定住をする気はまだないとイヴの申し出を断っている。
イヴは統治者として仕事はしているが、アーサー以外の人間と極端に関わる行為はしない。
必要最低限しか関わらないようにしている、リリスはイヴがまだ人間にされた事に怯えているのを理解している為、リリスはそれを咎めない。
ただ、何も知らないスノウは人間の生活や言語、嘗ての文化などに興味を強く抱いていたので、イヴは口頭で教えられる物は教え、そうでないものはデータ化された物を何処からか持ってきてスノウに見せてやった。
スノウはそうやって過去の知識や言葉などを覚えていった。
「はら゛がぁ……♡」
二人に大量の精液を注がれて、腹を膨らませて、アーサーはベッドに横たわっていた。
「お父様のお腹妊娠してるみたい」
スノウは無邪気に笑いながら膨らんだアーサーの腹を軽く押した。
「お゛っお゛……♡」
ぴゅるとアーサーの腹から精液が零れ始めた。
「ねぇ、お母様。これならお父様にお母様と私の子、両方身ごもってもらえるんじゃないかしら?」
「スノウ、もう少し待ちなさい、まだ始まったばかりなんだから……ねぇ、アーサー様?」
「あ゛っあ゛っ……♡ ざぁめん、だしたい、だしたいぃ……♡」
潮や先走りなどは垂らしていたが、アーサーは一度も射精を許されていなかった。
たまりにたまった精液が、射精欲がアーサーを支配している。
「そうですわね……スノウ、試しにやってごらんなさい?」
「いいの? お母様」
「ええ」
スノウの尻の部分から触手のような尾が伸びてきて、アーサーの雄を包んだ。
「お父様が気持ちよく射精できるよう、頑張りますね」
「あ゛っあ゛っ……♡ で、れるぅ……♡」
アーサーは漸く来た長い射精の快楽に舌を出して喘いだ。
「あ゛っ…まだ……まだ……だしたいぃ……♡」
「うーん…全部射精させるよう頑張ったのに……」
どうやら、スノウはアーサーが溜まりに溜めた精液を全て射精させることができず、まだ、射精欲等が残った状態にしてしまったらしい。
「初めてだから、仕方ないわ。少しずつ覚えていきましょう?」
「はい、お母様」
スノウから生えている触手がまだとろとろと精液を零し、勃起しているアーサーの雄を開放すると、イヴは即座に触手を生やしてアーサーの男性器を触手で包み込んだ。
「お゛あ゛~~!?♡ お゛っお゛っ……♡」
残った精液をイヴは搾り取る。
「あ゛……♡」
イヴの触手がアーサーの男性器を開放すると、男性器はふにゃりとした状態になって、ぷるんと揺れていた。
「アーサー様。これから毎日スノウと一緒に貴方様の事を愛でさせていただきます、私達二人の子どもを宿しても問題ないように体を少しずつ慣らしていきましょう……?」
イヴの囁きに、アーサーは蕩けた表情を浮かべたまま頷いた。
それから、毎夜の如くイヴはスノウと共に、アーサーとまぐわった。
後孔に二人の雄を入れて広げ大量に液体を注ぎ込み、今まで以上に射精を抑制してまぐわいが終わってから、一滴残さずに精液を搾り取るという行為を繰り返し続けた。
アーサーに食事として与える液体も今までのものに違う要素を加えていった。
イヴとスノウ、二人分の「卵」を入れても体への負担が少なくなるように、体がそれで快楽をより得られるように、様々な要素を追加した。
ゆっくりと、時間をかけてイヴとスノウは自分達の子を宿してもらう為に、アーサーの体を変えていった。
「ねぇ、お母様」
「なぁに、スノウ?」
「どうしてお父様の体を一気に変える事をしないのですか?」
スノウの言葉に、イヴは微笑んで返した。
「アーサー様はいくら他の人間と違う存在になっているとは言え元は人間――急激な変化に対応などできない弱い生き物なのですよ、私達(エキドナ)と違って」
「どうしてそんな弱い生き物なのに戦争なんて事をしたんでしょうか?」
「……分からないわ、私も、それは分からないの……」
「リリス伯母様も教えてくださらないの、どうしてかしら?」
「……」
スノウの疑問に、イヴは答えられなかった。
「でもいいわ。馬鹿な人間が戦争なんて馬鹿な事をしてそして私達(エキドナ)を創ったから、お母様はお父様と巡り合って、私が産まれて、私はこうしてお母様と一緒にお父様を愛せるのだから」
スノウが別にどうでもいいことのように笑ったのを見てイヴは安堵した。
スノウに、自分と姉であるリリスが抱えているあの地獄の景色をあの時の感情を教えなくて良かったと安堵したのだ。
復讐はもう終わった、だから静かに暮らそう、ここで。
終焉が訪れるその時まで。
イヴはリリスとの約束を思い出しながら、目を閉じ首を振った。
過去を思い出すのを止めようとイヴは決めたのだ。
スノウが産まれたあの日から、過去を思い出すのは止めようと。
今イヴが愛しているのはアーサーであり、愛する我が子はスノウなのだ。
過去を引きずって、生き続けるのは今自分と共に過ごしてくれる夫(アーサー)と娘(スノウ)に失礼だと。
過去を忘れる事はできない、だが引きずるのは止めようと、イヴは決めたのだ。
スノウとイヴがアーサーが二人の「卵」を体内に宿し育てられるように、アーサーの体を変えながら、まぐわい初めて二ヶ月が経過した。
「あ゛っあ゛っいぐぅ……♡」
イヴに抱きかかえられながらアーサーは体をびくびくと震わせた。
「ねぇ、お母さま、そろそろいいと思うの」
「ええ、良さそうね、ではアーサー様、明日私とスノウの子を孕んでくださいますか?」
「あ゛っあ゛っ……♡ はらませでぇ……♡」
「有難うございます、アーサー様」
「お父様、ありがとう」
ずるりとアーサーの後孔から雄を二人は引き抜くとイヴはアーサーを抱きかかえて、空間の穴をあけた。
穴の向こうは広い浴場だった。
「お母様?」
「体を綺麗にしてお休みいただくの、そして眠っている間にあの部屋に連れて行くの、当分入浴はできなくなりますからね。触手達が衛生管理してくれますが、気持ち的に」
イヴはそう言ってアーサーを浴場に連れて行き、体を洗った。
射精を強請るアーサーにいつものように触手で雄を包んで射精させ、長い射精の快楽に浸っているアーサーの額に口づけをして眠らせてから体を拭いて、裸の彼をベッドに寝かせ、毛布をかけてその場を後にした。
肉壁と触手達の巣窟――母体が出産するまでの間、母体と「子」を死なせぬための「聖域」ともいえる部屋をイヴは触り最終の点検をする。
問題は何もなかった。
定期的に点検をしていたし、問題は見当たらなかった。
ただ、今回はアーサーが身ごもる命は「二つ」あるのだ。
念入りに点検をしてから、イヴはその場を後にした。
翌朝、アーサーが眠っているのを確認する。
「お母様、お早うございます」
部屋にスノウが入って来た。
普段着ているドレスではなく、イヴのように下半身だけ隠していない下着姿だった。
「お早う、スノウ。準備はできているかしら?」
「ええ! でも初めてだから不安なの……」
「私もよ、これから毎日気を付けないと駄目よ?」
「はい、お母さま」
イヴは一糸まとわぬまま眠っているアーサーを抱きかかえ、スノウと共に「聖域」へと向かう。
「……様……アーサー様」
「う゛……」
アーサーが目を覚ますと、見覚えのある肉壁の部屋に居た。
一糸まとわぬ姿で、イヴに抱きかかえられ、目の前にはスノウが居た。
「お早うございます、アーサー様。昨日の話覚えてらっしゃいますか、今日からアーサー様には此処で過ごしてもらいます、私とスノウの子を産み落とすまで」
「あ゛……♡」
イヴの言葉に、後孔が引くつき、腹の中が疼きだす。
勝手にパクパクと後孔が動いているのを感じた。
「はらませてくれぇ……♡」
「有難うございます、では、スノウ?」
「はい、お母様」
腹の中に触手が入り込み、温かな液体で腸内が満たされる。
「あ゛っ…♡」
甘い快感を感じながらアーサーは雄を勃起させる。
ぐちゅぐちゅとほぐされた後イヴとスノウの雄に突き上げられ、何度も射精のない絶頂と射精を封じられた絶頂を感じながらアーサーはのけ反り舌を出して喘ぐ。
「そろそろいいみたい……」
「本当? お母様」
「ええ」
ずるりと二本の雄が抜かれる。
――あ、あ、早く、早く孕ませてくれ……♡――
アーサーの胸が期待で高鳴る。
「ん゛ん゛っ……♡」
触手が二本入ってくる。
結腸部まで入って来たソレはゆっくりと、アーサーの腹の中にそれを産み付けた。
「あ゛……♡」
重い感触が二つ、苦しさはない、愛しさと快感だけがある。
「スノウ、少しの間塞ぐのをお願いね」
「はい、お母様」
ずるりと一本の触手が抜け、腹にくっつくほどに勃起した雄が男性器が触手に包まれる。
「では、アーサー様。たっぷりと射精してくださいませ、貴方の子種をたくさんくださいませ」
イヴの囁きに、射精をしていなかったアーサーの雄は一気に触手の中に精液を吐き出し始めた。
「お゛お゛~~……♡」
あの日から繰り返される、普通ならあり得ない射精、だが今のアーサーにとってはごく当たり前の射精行為だった。
長い快感が続き、搾り取られる快感に、頭が蕩ける。
人間の女性とのセックスよりも、強い快楽、悦楽、そして「孕む」快感にアーサーは浸りきっていた。
触手がアーサーの男性器を開放する、雄はふにゃりと萎えた状態になっていた。
「では、アーサー様」
「私とスノウの子を、孕んでくださいね?」
触手が入ってきて、奥までくると、もう一つの触手が後孔のあたりまで抜かれる。
液体が――アーサーが先ほど搾り取られた精液が吐き出される。
「あ゛~~!!♡ あづい゛、あづい゛ぃ゛♡」
アーサーは精液を注がれる感触に絶頂し、体を震えさせた。
とくん、とくん、と音が聞こえたような気がした。
ずるりと触手が抜かれると何か後孔付近で、膨らみ、ぷちゅんと音がした。
「お母様、処置の方終わりました」
「有難う、スノウ」
スノウが離れると、イヴはアーサーの抱き方を所謂お姫様抱っこに変えて肉壁でできた柔らかく、暖かい椅子のような場所に座らせる。
触手がアーサーの体を傷つかないように優しく覆う。
「あ゛……♡」
アーサーの口に触手が伸びてきた、アーサーは悦んで口を開くと触手は口内に入っていった。
ずるずると喉の奥まで入っていく心地に、悦がたまらなかった。
「ん゛……ん゛……♡」
舐めれば触手は甘い液体を滲ませる、舐めれば心地よくなって快感が増す。
胃袋に注がれている液体も、自分と今自分の中にある二つの「命」の栄養になってくれる。
「アーサー様、では少しの間お休みください、また来ますから」
「お父様、お休みになってくださいね?」
イヴとスノウの言葉にアーサーは小さく頷いた。
イヴが額にキスをしてきた。
眠気が訪れ、アーサーは心地よい快楽と眠気に浸りながら目を閉じた。
「……お母様……ちゃんとその……」
不安になっているスノウを撫でてから、イヴは眠るアーサーの膨らんだ腹を優しく撫でる。
「大丈夫、スノウ。二つとも、ちゃんと命が宿ったわ。後は成長を見守るだけ」
「本当? ああ、良かったぁ……」
「――でも、二つも宿すのは初めての事だから……ちゃんと見守らないと……」
イヴは優しくアーサーの頬を撫でた。
イヴは前スノウを宿した時とは違い、アーサーの傍から片時も離れなくなった。
統治者として、面会する必要がある時のみその場を離れその間はスノウにアーサーの様子を見守る様に言いつけた。
スノウの時は「できる」という事しか分からない、前例のない中で行った。
本能的なものと手探り、両方で必死にアーサーの体を壊さぬよう、そしてアーサーの中にいる子ども――スノウがちゃんと育ち生まれるまで、かなり不安だった。
今回はより、母体であるアーサーに負荷がかかりかねない。
何せ二つの「卵」を宿しているのだ。
エキドナで双子はあり得ない、エキドナは必ず一人で産まれる。
イヴとスノウの「娘」達が命を食い合うか、それとも栄養を欲しがって母体であるアーサーに負担を与えないか、本能でさえ分からない事。
初めての試み。
イヴはスノウに穏やかには言っていたものの、内心前回よりも不安で仕方なかった。
「……」
イヴは眠るアーサーの腹に、そっと頬を当てて、耳を澄ませる。
アーサーの体内に「卵」を入れてから二週間がたった、腹の膨らみは前回よりも少しばかり大きい。
「……」
イヴはあらゆる感覚を鋭くして、二つの胎児の様子と、アーサーの体の様子を観察し、確認する。
特殊な膜でできた卵型の物体が二つ。
一つの膜の中に胎児が一人ずつ。
胎児の栄養状態は問題ない。
母体(アーサー)の栄養状態は少し不安を感じる。
体への負荷は予想よりも少ない。
イヴは触手がアーサーに与える液体の成分を調整する。
「……アーサー様」
眠るアーサーの名前をイヴは呼ぶ。
頬を撫でる。
女を元にした自分達(エキドナ)とは異なる、人間の男の肌の感触。
柔らかくはない、けれど心地よい感触。
イヴはアーサーの肌の温もりが恋しくなっていた。
二週間前――子を宿す迄、毎日のように、まぐわいを繰り返していた。
肌を触れ合わせ、抱きしめ、口づけをしあって、愛し合う行為――
スノウが混じってきた少しばかり変わったが、本質は変わらない。
それができないのが、酷く切ないのだ、寂しいのだ。
愛し合う行為よりも義務的な行為なのだ、今アーサーと繋がる行為は。
腹の中にいる胎児達に栄養をやり、母体(アーサー)に快楽を与えてそれにより胎児の成長を促進させる。
愛し合う行為よりも、義務的な行為に感じられた。
前(スノウ)の時は其処迄感じなかったのに、どうしてなのか、イヴは分からなかった。
アーサーはゆっくりと目を覚ました。
ぼんやりとしている視界でもわかる程、イヴが不安そうな顔をして、自分を見つめている。
「ん゛あ゛……♡」
ずるりと触手が口から抜ける。
「……いう゛……?」
「……何でもありませんよ、アーサー様……」
イヴははっとした様に、いつものように微笑んだ。
「……」
アーサーは手を伸ばし、イヴの頬に触れる。
「……おれは……だいじょうぶだから……な?」
そっと撫でると、イヴは紫の目から涙をこぼした。
アーサーは指でイヴの目元を拭った。
「……ああ、これじゃ、きす、できないな……」
触手がアーサーの体の動きを制限していた。
「……アーサー様……」
イヴが顔を近づけてきた、少し首を伸ばせばキスをできる程の距離になる。
アーサーはイヴの頬と唇にそっとキスをする。
「……だいじょうぶだから……そんなかおをしないでくれ……」
イヴの頬を撫でながらアーサーは声をかけた。
イヴは嘗てのアーサーについて詳しく知らない。
ただ、今までイヴの所に来た人間達とは違った、優しかった、イヴの事を傷つける気が無かった、優しい善き人間の男、それだけで十分だった。
捕えて、無理やり体内に「卵」を産み付けて――一ヶ月程でイヴが現在普段愛しているアーサーになった。
普段は快楽とイヴを求めて甘い声を上げて、金色の髪を乱れさせ、逞しい体を淫らに開き、喘ぎ声をあげて、イヴに愛でられるだけの存在。
けれども、時折、このようにイヴやスノウを気遣う事がある。
イヴやスノウが不安になっている時、何かに恐怖を抱いてる時は、気遣い、声をかけてくる。
体に「子」がいなければ、きっと抱きしめてくれただろうとイヴは思った。
――ああ、私の愛しい方――
イヴはアーサーの体に身を寄せる。
――貴方様と私はずっと一緒に居たいのです、終焉が訪れるその日まで――
アーサーの温もりと鼓動を感じ、髪を撫でられる感触に不安等が消えていった。
スノウは父(アーサー)の傍で身を寄り添うように目を閉じている母(イヴ)の姿に少し驚いたが、安心した。
母(イヴ)はずっと不安を押し殺していたのだ、それに潰れそうなのを父(アーサー)は気づいて、声をかけたのだ、手を伸ばしたのだ。
――やっぱり、お母様の一番はお父様で、お父様の一番はお母様、うん、安心した――
――なら、私は一度、知るべき――
スノウは、子が産まれたら、その子が成長したら、子を母(イヴ)に任せて一度伯母(リリス)と一緒に世界を見て回ろうと決めた。
伯母(リリス)が破壊して、そして一部だけ残された領地を見て回りたいのだ。
別に伴侶が欲しい訳じゃない。
スノウは知りたかった、狭い世界から飛び出して、広い世界を見てみたかった。
醜いのか、美しいのか、どちらでも良かった。
――だから、お父様、私とお母様の子を、無事に産んでくださいね――
スノウは静かに肉壁で覆われた空間を後にした。
アーサーが体内に二つの「卵」を宿して二ヶ月、外は実り季節であり黄昏の季節でもある秋に染まっていた。
腹の大きさは、既にスノウが産まれる時の大きさになっていた。
イヴは気を付けながら、アーサーの体に快楽を与える。
「あ゛っ♡ あ゛ぁ゛♡ そごぉ゛♡」
前立腺の部分を生やした雄で刺激して、射精のない絶頂と、射精を封じられた絶頂の両方を与える。
「あ゛あ゛――!!♡」
びくびくとアーサーの体が震える。
アーサーの雄は限界まで勃起し、びくびくと震えていた。
睾丸もずっしりと重くなっている。
ずるりと後孔から雄を抜くと、触手を腰から生やしてアーサーの男性器を触手で包む。
「アーサー様、どうぞ射精してくださいませ」
「あ゛、あ゛♡ で、でるぅ……♡」
アーサーの蕩けた顔を見ながら、イヴは微笑みつつ、そっと腹を見る。
腹の大きさ的には産んだ方が良い時期、だが前回と比べると人間にあたる早産になり、生まれてくる子(エキドナ)は人間で言う未熟児という事になる可能性が高い。
前例がない為どうするべきか、イヴは悩んでいた。
男性器を包んでいた触手がアーサーの雄を開放する、ふにゃりとなり、睾丸の膨らみも通常時に戻っていた。
搾り取った精液を貯め込んだ触手を後孔に入れて奥まで挿れ、そして精液を吐き出した。
「あづいぃ~~!!♡ あ゛、あ゛……なくなっでるぅ……」
アーサーの体にいる「赤子」達が栄養を吸収する速度に関しては特に問題は感じられなかった。
ただ、イヴは何かを感じ取り、スノウを呼んだ。
「どうしたの、お母様?」
「ええ、ちょっとだけ気になって――」
やって来たスノウに、イヴは呼び出した内容を告げようとしたがそれを止めて、アーサーを見る。
「あ゛…あ゛あ゛あ゛……!!」
アーサーはのけ反り声を上げていた、膨らんだ腹が動いている。
後孔から透明な液体が垂れ始めていた。
「え、えっとお母様、もしかして……?!」
「――ええ、産まれるわ」
イヴはアーサーの手を握る。
「アーサー様、リラックスなさってください、産まれます」
そう言ってゆっくり腹を押していく。
「……」
中にいる二人の赤子(エキドナ)の動き等でイヴは理解した、どちらも産まれたがっているのに、居心地が良くて出ようとしていないという困った行動をしていることを。
その結果、ある意味喧嘩のような事をアーサーの腹の中でしているのだ。
『出てきなさい、貴方達は自分の産んでくれる者を殺す気ですか?』
イヴはアーサーに聞こえぬ声、エキドナ達にしか聞こえぬ声で腹の中の赤子を叱りつける。
「あ゛っあ゛……♡ お゛お゛……♡」
動きが変わる、ゆっくりと赤子達がアーサーの腹の中から出ようとしている。
「あ゛……あ゛……♡ うごいでる゛ぅ……♡ お゛あ゛あ゛――!!」
膜にまだ少し包まれた白金(プラチナブロンド)髪を僅かに生やした赤子がアーサーの後孔を目いっぱい広げて出てきた。
スノウの時よりも小さい赤子だ。
イヴは赤子に手を伸ばし、後孔から完全に引っ張り出す。
びちゃびちゃと液体が滴り、床に膜が落ちた。
おぎゃあおぎゃあ
――後、一人――
イヴは自分の娘を抱きかかえて安堵しながらも、スノウにその子を預ける。
「お母様?」
「貴方の子が少し出にくくなってるの、お願い」
スノウが赤子を抱きかかえるのを見ると、イヴは手を変形させて、開いている後孔に細い触手状にして挿れた。
出にくくなっている赤子と、それを包んでいる膜をゆっくりと引っ張っていく。
「お゛あ゛、あ゛、あ゛――!!♡」
ずりゅっと、膜に包まれたままの赤子をアーサーの後孔から出させる。
イヴは膜に包まれたままの赤子を抱えて、僅かに破れた箇所から膜を破く。
びちゃびちゃと、液体が滴り落ちる。
膜をイヴは床に捨てると、赤子の背中をとんとんと叩いた。
ふぎゃあふぎゃあ
赤子は声を上げた。
イヴはふぅと安堵の息を吐きだして、自分が抱きかかえていたスノウの子をスノウに抱かせ、スノウに預けていた自身の子を抱く。
そしてアーサーの頬を撫でて、声をかける。
「アーサー様、お疲れ様でした……有難うございます、無事二人とも産まれました」
「あ゛……♡ よかったぁ……♡」
アーサーは安堵と快楽混じりの声で答えた。
「……お母様、私とお父様の子なのに、この子私ともお母様とも、お父様のとも違う髪と目をしているわ? どうして?」
スノウは自分の子を不思議そうに見ている。
スノウの子は既に目をぱちくりと開けている。
うっすらと生えている頭の毛は菫色、目は金色だ。
「ああ、良く分からないのだけど、私達(エキドナ)が近親で子を成した場合は髪や目の色は親の物にはならないのよ、何故か。リリス姉様も『理由は分からん、同じ顔で同じ目と髪ばっかりだと見分けしにくいと思ってそうしたんじゃないか?』と……」
「人間って変な所に気を使うのね」
スノウは自分の子にそう言い聞かせる。
イヴは自分の子どもを抱き、頭を撫でる。
赤子達が一際大きな声で一斉に鳴きだした。
「え、えっとこれは……お腹がすいてるのかしら??」
「ええ、そうみたいね」
イヴはそう言うと、アーサーに声をかける。
「アーサー様、お疲れの所ごめんなさい。お腹がすいてるんです、この子達」
イヴは自分の子をアーサーに渡した。
アーサーは慈愛と快楽の色の笑みを浮かべて赤子を抱き寄せて、既に白い液体を垂らす乳首に赤子の口を近づけさせると、赤子は吸い付いてちぅちぅと吸い始めた。
「スノウの時とは違って大人しい子ですわね、スノウは強く吸い付いてたから……」
「お母様昔の話は止めてくださいな、私は赤ん坊じゃありません」
イヴの言葉にスノウは不貞腐れたように言いつつ、自分の赤子の口をアーサーのもう片方の乳首に近づけた。
「ひゃう?!♡ ま゛っああ゛!!♡ つよいぃ!!♡」
アーサーはびくりと体を震わせて声を上げた。
「……スノウ、その子は間違いなく貴方の子よ……髪と目の色が違うけれども」
「お母様!! そう言うところで再確認しないでくださいな!!」
イヴが苦笑してスノウを見ると、スノウは何処か罰悪そうな顔をしていた。
雪に閉ざされた命が芽吹きだす、春の季節がやって来た。
「ぱぱ、だっこして」
「おとうさま、あねもねもだっこしてくださいな」
菫色の髪に金色の目の娘(ビオラ)と、白金(プラチナブロンド)の髪に青い目の娘(アネモネ)がソファーに腰を掛けているアーサーに近寄って抱っこをせびっていた。
「わかっているよ、びおら、あねもね」
アーサーは微笑んで、我が子達を抱きかかえる。
ビオラは無邪気に笑い喜び、アネモネは微笑みを浮かべていた。
がちゃりと扉が開いた。
「……?」
アーサーが視線をちらりとやれば、見覚えのある女性が立っていた。
金色の髪に、赤い目の、黒いコートの女性。
「――ああ、りりすじゃないか、ひさしぶりだな」
女性――リリスにそう言うと、リリスは少し目を細めてから、口を開いた。
「……ああ、久しぶりだな、アーサー」
リリスはアーサーに近づいてきた。
「……娘か?」
「ああ。ほら、あいさつ、できるだろう?」
アーサーは娘達にリリスに挨拶するよう促す。
「びおらです! はじめまして!!」
「あ……あねもねです……はじめ、まして……」
「よしよし、よくあいさつできたな」
アーサーが褒めると、娘達は嬉しそうに笑った。
リリスはアーサーを何処か複雑そうな目で見つめた。
「りりす、どうかしたのか?」
「いや、何でもない。可愛い娘だな、と」
「……? ああ、そうだろう? いう゛とすのうのこなんだ」
「そうか」
――やはり、か――
何となく、見ただけで予想はついていた。
アネモネと名乗った少女(エキドナ)がイヴとの子で、ビオラと名乗った少女(エキドナ)がスノウとの子なのだろう。
ビオラは人間的に言えば近親相姦によって生まれた子ども。
だが自分達(エキドナ)にとっては――嘗て日常茶飯事だった。
エキドナを一から作り出すのは時間がかかるから、エキドナを孕ませるか、それかエキドナが人間の女を孕ませるか、その二択で増やしていた。
通常プロトタイプ――初期型は能力値等は劣るを思われていたが、リリスは繁殖能力以外はどのエキドナよりも高かった。
それをもう少し汎用的にするために、妹(イヴ)が創られ、そしてそのイヴを元に他のエキドナが創られた。
エキドナ達は、皆子を孕み、孕ませ、そして怪物を産み、従え、ただ創造主達の命じるままに、敵対する者達を殺して、殺して、殺し続けた。
初期型故に、人間への従属心を持たない――人間へ反抗する可能性を保持したリリス。
そのリリスを元にしたが故に、従属心は持たないが反抗心をあまり見せなかったイヴ。
他の同胞(エキドナ)と違うが故に、生き残った、二人の兵器(エキドナ)。
まるで、他のエキドナのように、近親での交わりを行ったスノウ。
子どもが欲しいだけなら、適当な男と交わればいい、だがスノウはそうしなかった。
母親(イヴ)とよく似ている、自分が愛する相手との子を求めるというところが。
外への恐怖を持たないスノウはおそらくイヴの統治するこの領地内を探し回ったのだろう、父親(アーサー)のように愛せる存在、もしくはそれ以上を。
だが、いなかった。
腹立たしいことだが、リリスも、アーサーより良い人間の男とは関わった覚えがあまりない。
嘗てのアーサーは自分で自分の事を色男(ハンサム)と言い、リリスを苛立たせる一面もあったが、良い人間の男だったのはどうしても否定できなかった。
今のアーサーは嘗てのアーサーとは異なる。
だが、何処かに嘗ての面影が残っていて、リリスはそれを見る度に複雑な気分になった。
今のように、子どもに優しくしているアーサーを見るとリリスは良く分からない気分になるのだ。
――私はこの男に恋をしていたのだろうか?――
――私はアーサーを、愛していたのだろうか?――
リリスはそれが分からなかった。
ただ、今だ憎悪する人間達の中で唯一――憎悪を向けることなく接することができた相手だったことだけは確かだった。
憎悪を隠していたリリスが、アーサーと関わっている時、アーサーに対しては憎悪が全くわかなくなっていったのを覚えている。
アーサーにふとある時、部屋の一室を借りて二人で酒を飲んでいた時リリスは尋ねてみた、どうせ此奴も同じだと思って。
『怪物女帝はどうして世界をこんな風にしたんだろうな?』
と。
アーサーの答えは、他と違った。
『……怪物女帝と呼ばれたエキドナは、おそらく大事なものを人間――創った連中に奪われたんじゃないか?』
『他のエキドナか、それとも違う何かを。心の支えになるような大切な物を奪われて、我慢ができなくなって、壊して壊して壊したんじゃないのか?』
『それで壊して殺してそれを繰り返してる中で――それをしても大事な物は戻ってこないから、止めた、自分から大事な物を奪った奴らと同じだから止めたんじゃないか?』
『怪物女帝が今どうしてるかは知らないが、彼女は……きっとどこかで泣いてるんだろうさ』
『ん? どうしたそんなぽかんとした顔は? 似たような質問された時同じように答えたら「お前ふざけてんのか?」って言われたからちょっと予想外の反応だな。だが、俺はそう思ってるよ』
正解ではないが、近い答え。
違うとすれば、悲しんでいるのは怪物女帝(リリス)ではなく、その妹であるイヴであるという事。
自分は憎悪とむなしさを抱えて生きている。
アーサーの「おかげ」でイヴは幸せになった。
けれども、リリスは嘗てのように幸せそうなイヴを見ても、純粋に喜べなくなっていた。
彼女の幸せを、自分の幸せのように思うことができなくなっていた。
けれども――
「ぱぱ、だいすき」
「おとうさま、だいすき」
「おれもだいすきだよ」
子ども達を慈しむ姿は愛する姿は、壊れていようとも嘗てのアーサーを思い出させた。
「――邪魔をしたな」
「りりす、つぎはいつくるんだ?」
「……さてな」
「なつにきて! おまつりがあるの!」
「おまつり……みたいけどおかあさまはおそとにだしてくれない……」
「――分かった、夏に来よう。私が見て回る、だから欲しい物とか考えて置け」
「うん!」
「ありがとう……」
リリスは子どもの声を聴きながら、部屋を出た。
扉を閉めると、イヴとスノウがやって来た。
「リリス姉様、もう帰るのですか?」
「……いや、子どもが親と遊んでいるのを邪魔するのは、何か、な」
「気になさらなくてもいいのよ、リリス伯母様」
イヴとスノウの言葉に、リリスは小さく首を振った。
「いいんだ」
「そうですか……では別室でお茶にしませんか? 私、リリス姉様とゆっくりお話しをしたいのです」
「ああ、構わない」
「嬉しい!! スノウ、お願いなのだけどもリリス姉様を客室に案内してくれる? 私はお茶の用意をするから」
「はい、お母様」
イヴがその場から離れると、スノウがリリスを客室に案内した。
客室の椅子に腰をかけると、スノウが隣に座り、小さな声で話しかけてきた。
「リリス伯母様、お願いがあるの。私の子が大きくなったら、私をリリス伯母様の旅に連れて行って下さいな」
スノウの言葉にリリスは眉をひそめた。
「本気か?」
「本気です、私世界を見たいのです。今この世界で生きている人間達がどのような存在なのか、私は知りたいのです」
「――この世界がどのような世界なのか知りたいのです、美しいのかそれとも醜いのか」
スノウの言葉に、リリスは目を閉じ、ため息がついた。
「……イヴを説得できたら、な。できなかったら諦めろ。イヴが情緒不安定なったらどれほど大変か知っているだろう」
「……リリス伯母様、意地悪ね、無理難題を言うのですもの」
「それ位、お前の母親は外を怖がってる――つまり危険という事だ。それにお前は身を守る術をまだ会得していない――人間なりの身を守る術をな」
「むぅ……」
リリスの言葉にスノウはむくれる。
スノウはエキドナとして身を守る方法などは、本能的に理解しておりできるのだ。
だが、人間のふりをして身を守る術などに関しては知らない。
「……今回は少しの間長く滞在して教えてやる、夏にもあの子達と来る約束をしたから、その時にも教えてやる」
「リリス伯母様有難う!!」
スノウの言葉に、リリスはため息をついた。
過去の事を知らぬ、復讐を引き継がなかったスノウは、外への恐怖も人間への憎悪も持っていない。
それ故、外に出すことで、スノウの心に傷がつくのではないか、イヴは不安で仕方なかった。
昔より大分マシな世界とは言え、悪意を持つ人間はいるのだ、根絶やしになど出来ない。
扉が開く音がした。
紅茶の香りと、甘い菓子の香りがした。
「お待たせしました、リリス姉様。じゃあ、三人でゆっくりお茶にしましょう? リリス姉様、お話し、たくさん聞かせてくださいな」
「リリス伯母様、お話しを聞かせて?」
二人の様子を見て、リリスは懐かしそうに目を細めた。
昔――まだ戦争が続いていた時のわずかな安らぎだった、イヴとイヴの最初の夫と最初の娘と他愛のない話をした時の事を思い出したのだ。
複雑だったリリスの心がほのかに温かくなる。
「――いいだろう、時間はたっぷりあるからな」
リリスは笑みを浮かべて話を始めた。
ベッドの上に横になりながらアーサーは自分の両脇にくっついている二人の娘(エキドナ)の頭を撫でる。
「えへへ、びおらはぱぱのことだいすき」
「あねもねも……おとうさまのことだいすき……」
「おれもふたりのことがだいすきだよ」
アーサーがそう答えると、アネモネとビオラが体を起こしてアーサーを見つめた。
「ねぇ、ぱぱ、びおらがおおきくなったら、びおらのこどもうんでくれる?」
「びおらずるい……あねもねも……おとうさまに、こどもうんでほしい……」
二人の娘の言葉に、アーサーは微笑みを浮かべて抱き寄せた。
「いいとも、うんであげよう」
「わぁい! ぱぱ、ありがとう!」
「おとうさま、ありがとう、だいすき……」
無邪気に笑うビオラと、はにかむように笑うアネモネを抱き寄せ、髪を撫でながらアーサーは慈愛の笑みを浮かべた。
今のアーサーには人間の倫理観などはもう意味は無かった。
人々に尊敬された賞金稼ぎの男はもういない。
ただ、愛する女性(エキドナ)達の子を宿すことに至福を感じ、そして産んだ娘(エキドナ)を愛する事に幸福を感じ、愛する女性(エキドナ)達に愛され、悦楽を快楽を与えられる事に虜になった男がいるだけだった。
とある領地の白亜の城には美しい女達がいるという。
まるで女神のような美しさを持つ女達は、ただ一人の男を皆愛しているという。
女達の素性も、男が誰なのかも、知るのは――
男に産み落とされた娘(エキドナ)達と、その男の妻である統治者(エキドナ)と、怪物女帝、そして愛されている男のみ。
男は毎夜の如く、妻に、娘達に愛され、嬌声をあげる。
妻は、娘を咎めません、だって男以外、人ではないのですから。
だから、皆で夫を愛し、慈しみ、抱き、まぐわいを繰り返します。
逞しく、凛々しく、優しい男を、皆で愛し合います。
いつまでも、いつまでも。
おぎゃあ、おぎゃあ
――ああ、また産まれました、私とアーサー様の可愛い娘が――
――ああ、なんて、幸せなんでしょう――
――アーサー様、終焉(おわり)が来るまで、ずっと、愛し合いましょう?――
――皆で、貴方様を愛します――
『おれも、みんなのことをあいしてる。ああ、しあわせだ』
――有難うございます、アーサー様――
――ああ、本当、幸せ……――
めでたしめでたし
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