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親として
留学と突然の事~早すぎない?!~
しおりを挟む「ちょっと待ってくれ、待ってくれ。子ども達が留学中少しゆっくりしようかと話あっていた最中なんだぞ?!」
「分かっておりますが説得が」
「私に任せろ」
「エドガルド……」
エドガルドが拳をバキバキと音を立てながら父上がいるであろう場所へと向かっていった。
数十分後──
「留学中ゆっくりできる時間がとれたぞ、代わりに三年目には子作りになったが」
「は、はあ」
「エドガルド、貴方何をしたんです」
「口で言っても分からないなら……な」
黒い笑みを浮かべるエドガルドを見て皆それ以上問いかけられなかった。
その後、謁見の間を覗いてみると、「工事中」の文字と共に床にヒビが入ってるのを見た私は色々理解したので何も言わないことにした。
「久しぶりですね……こう六人だけなのは」
「ええ、今までは子ども達がいましたから」
「そうですね……」
クレメンテの言葉に納得。
今までは親として子どもの育児と向き合う日々だった。
だが、今は子どもは親の手を離れ留学している。
──どんな日常を送っているのか、良き日常をおくれていればよいのだけれども──
「全員ガラッシア学院に入学……さてさて、どんな出会いが待ってるのやら」
「伴侶となる相手も見極めなければならないぞ」
──そうだ、留学は伴侶捜しも兼ねてるのが多いというか常識なんだ、忘れてた──
「全員が良い出会いをするように祈りましょう」
「ああ、そうしよう」
皆で子等への祈りを捧げる。
どうか良い出会いをしますようにと。
「それはそれとしてだ」
エドガルドが扉の鍵を閉めた。
フィレンツォは居ない。
「せっかく18年ぶりに『伴侶』達が六人そろったのだ」
「愛してくれても良いだろう?」
エドガルドの言葉が合図のように、皆がそろって私を求めてきました。
おかげで二日ほど寝込みました。
久々なので搾り取られるのに心構えができていないのが原因でした。
「皆様、御子息、御息女が留学された矢先にちょっとそれはどうなんですか」
「ふぃ、フィレンツォ……あまりしからないであげてください……予想も心構えもしてない私が悪いんですから……」
「ダンテ殿下、そう甘いのはダメですよ!」
フィレンツォに久々に叱られてベッドの上で苦笑してしまう。
「どうなさいました?」
「いやぁ、フィレンツォにそういう意味で叱られるのは久々だなぁと」
「全く、我が主人は」
フィレンツォは呆れた様に笑った。
すると魔道通信機が鳴り響き、フィレンツォが出る。
「ファビオですか、何があったのです?」
皆に緊張が走る。
「ブルーナ様が一目惚れ?! しかも相手にアプローチしまくってる?!」
「ダンテとは大違いだな」
「言わないでくださいな」
エドガルドの言葉に私は額を抑えた。
「ディアナ様がアプローチされまくってるけど全部無視? それはそれでいいです」
「アルフィオ様も同様? ならいいです。え、デミトリオ様が迫られて困っている?! 今すぐそちらに対処なさい!」
通話が終わりフィレンツォは息を吐く。
「デミトリオ……あの子はエリアに似てますからね……貞操の危機にならぬように」
私はデミトリオの学院生活が不安になった。
「王族にそんなことしたら命を持って償わせますので」
「フィレンツォ、怖いこと言わないでくれ」
あり得そうで怖いのでフィレンツォに言う。
「ブルーナ様も、アルフィオ様も、ディアナ様も、デミトリオ様も皆大切なダンテ様の子どもです。心配しないわけがありません」
「私は産んでないのだがね……それにしても、ブルーナが一目惚れというともしかして……」
私はエドガルドをちらりと見る。
「エドガルドのような生真面目な青年、なのかな?」
「私はそこまで生真面目ではないぞダンテ」
「ふふ、すみません」
ブルーナに猛烈なアタックをかけられている名も知らぬ青年に少し同情しつつ、その子が良き人であるように私は祈った。
私が回復後子作りじゃない、性的行為を毎日のように行った。
皆が18年間ずっと我慢していた事を今やっているのだ。
獣の用に、愛し合った。
日中は公務にいそしみ、夜は誰かと愛し合う。
それを繰り返す毎日が始まった。
どろどろに蕩ける砂糖のような蜂蜜のような甘い愛。
愛を囁きあい、体を求め合う。
それを繰り返す日々、18年ぶりの日々が始まった。
そんな日々を繰り返して半年後、フィレンツォが重い表情で日中やってきた。
「どうしたんだ、フィレンツォ」
「ダンテ様。ブルーナ様が猛烈にお一人にアプローチされているのはお話しましたね……」
「ああ……まさか」
「はい、ブルーナ様はプリマヴェーラ王国ノーチェ辺境伯の御子息ステファノ・ノーチェ様とのご婚約の許しを得たいと」
ガチャン
クレメンテがカップを落として割ってしまった。
「す、すまない。ダンテ、カップが……」
「カップよりも貴方が大切です。ですが、こうなると……」
「行くしかありませんね、メーゼへ」
かくして私達はメーゼへ向かう事になった。
その日のうちに到着するが、クレメンテが心構えがまだできないと、ホテル──宿で休んでから、屋敷へと向かった。
屋敷のリビングにはエドガルドにどこか似た青年と、ブルーナが座っていた。
「ブルーナ、婚約の許しを得たいようだな」
「お母様!」
クレメンテは青年をじっと見つめる。
「お前は彼の何処に惚れたのだ?」
「他の方と違いましたの、他の方は王族だからと言い寄ってくる中、ステファノ先輩だけは『見苦しい、やめんか』と追い払ってくださり『ガラッシア学院がこのような輩だけだとどうか思わないでいただきたい、ブルーナ殿下。よい日々を』と言ってくださったの!」
「それからアプローチし続けたのかお前は……」
「はい!」
クレメンテは額を抑えている。
一途すぎるなとちょっと不安になった。
私は青年を見る。
いや、青年を観る。
ステファノ・ノーチェ
プリマヴェーラ王国ノーチェ辺境伯の長男
婚約者はおらず学院中もその堅物さ故に、人を近寄せなかった。
真面目で不器用。
ブルーナのアプローチが初めてのアプローチであり、戸惑いながらも最初は断ったが、だんだんほだされてついに折れた。
ブルーナ以外の同性異性に興味は特にない。
「ダンテ、どう思う?」
「ステファノ君、私は君とブルーナの婚約には特には反対しない」
「お父様本当?!」
「だが、君は辺境伯の跡取りだ、もっと他者と交流するのがいいブルーナ、それの手伝いくらいできるだろう」
「勿論ですわ」
「ダンテ……」
不安がるクレメンテの手を包み、ウインクをする。
「婚約は様子見だ。ブルーナとステファノ君が様々な人と良き交流ができたとき、私は婚約を正式に認めよう」
「……はい、ダンテ殿下」
「わかりました、お父様」
悪い縁ではないのだが、縁が少ないのは良くない。
良縁を結び、見抜き、交流することができれば二人の未来は明るいはずだ。
『よくやったな、ダンテ。正解だ』
──やったー!──
──神様なんかちょうだい──
『今度な』
──わーい!──
どうやら正解の言葉を喋れたらしい私は神様の前ではしゃぐのだった。
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