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親として
子等への婚約の許し
しおりを挟む特に騒動も無く、まったりしつつも公務の手伝いで少しだけ忙しい日々がまた始まった。
ただし、これは日中の話である。
夜は……うん、まぁ搾り取られる時もあれば、裸で抱き合って眠るだけの時もありなんとも言えない。
子作りでの行為は行っていないので子どもはできない。
アルバートがマンネリ打破の為に道具をどこからか調達した際はエリアが卒倒したので、道具等は使えないし。
まぁ、そんなこんなしつつ二年が経過した。
するとフィレンツォの息子のファビオから連絡が届いた。
ディアナとアルフィオが同性の婚約者を選んだ。
と。
ちなみにその婚約者は双子だと。
また、リアーナさんとデミトリオが婚約したいといいだしたらしい。
ブルーナは相変わらずとのこと。
そういうことなので、エドガルドも一緒にエリア達とメーゼへレッツゴーしました。
「私のような者がデミトリオ殿下の婚約者にしていただき、申し訳なく思ってますが……」
「リアーナさん、どうかそのように自分を卑下しないで」
「そうです、リアーナ。貴方は誰よりも誇らしい」
「しかし、以前殿下にお怪我を……」
どうやら彼女はまだあの時の事を引きずっているようだ。
デミトリオが怪我をした件を。
「いいのです、リアーナさん。僕は貴方を信頼します、きっと我が子と幸せになってくれるでしょうと」
「エリア様……」
「母上……」
「デミトリオ」
私はデミトリオを見据える。
「お前はリアーナ・グリーチネ嬢を婚約者にするというが、彼女を生涯愛する事を誓えるか」
「ええ、誓います。主神アンノに誓って」
「──ならば私が言うことは無い、おめでとうデミトリオ、リアーナ」
そう言うと二人は嬉しそうに手を握りしめ合った。
「さて、ディアナとアルフィオだが……」
「はい、私とアルフィオが婚約したい相手の方々は双子なのです」
「アルバーノ、アメリア、どうぞお入りになって」
緑の髪の美しい男女が入ってきた。
「お初にお目にかかります、ダンテ殿下。私はアルバーノ・ベットゥラ。メーゼの出身です」
「お初にお目にかかります。私はアメリア・ベットゥラ。アルバーノの妹です」
うやうやしく挨拶をしてからディアナの隣にアメリアさん、アルフィオの隣にアルバーノ君が座った。
「ところでお二人はディアナとアルフィオと普段どのように──」
とたずねた途端顔を真っ赤にして二人は顔を覆った。
ちらりと見ればキラキラと輝かんばかりにすっきりした表情の我が子二名。
──婚前交渉しとるな?──
私の勘がそう告げた。
が、下手につついてもあれなので、つつかないことにした。
「お前達がどのような交流関係なのかは深く分からないが仲が良すぎる事だけは分かった」
と我が子に告げる。
「ディアナ、アルフィオ。お前達が婚約者を生涯愛すると誓えるか?」
「ええ、お父様誓います。主神アンノに誓って」
「はい、父様誓います。主神アンノに誓って」
「──ならば、私が言うことは無い。おめでとうアルフィオ、アルバーノ。ディアナ、アメリア」
そう言うと、四人は抱きしめ合った。
「さて、ブルーナだが」
「はいお父様!」
「言いつけはちゃんとこなしたかい?」
「はい! まずディアナとアルフィオのグループの中に入れて貰い、それから自分で交流相手を見いだしてステファノと共にディアナとアルフィオ、デミトリオ達でパーティとかしたりしているの」
「ほほお、それは楽しそうだな」
「ね、ステファノ」
「あ、ああ……」
ブルーナは嘘は言っていない、つまりステファノは純粋に私に対して緊張しているという事だ。
「ステファノ君。君は私をどう思う?」
「偉大な功績を作ったインヴェルノ王家の次期国王、私達の英雄……だから私などが貴方様の御息女と結婚していいのか不安なのです」
「なんだそんなことか」
私は笑った。
「確かに色々やったけど、アレは全部伴侶達と幸せになるためにやったことだ。英雄なんかじゃないよ私は。私はダンテ・インヴェルノ。インヴェルノ王家の次期国王ではあるのは正しいけどね」
「そ、そうなのですか?」
「だから気楽に、ね」
「それはできません、婚約者になったのなら殿下は将来私の義父となる御方ですから」
「真面目だねぇ」
「でしょう、ステファノは真面目なのとっても!」
ブルーナが目を輝かせて言う。
「そうか、ではブルーナ」
「はい、お父様」
「お前は婚約者を生涯愛すると誓えるか?」
「誓います、主神アンノに誓って」
「そうか、ならば言うことはない」
「やったわステファノ!やったわ!」
「こ、こら。ブルーナ、落ち着きなさい!」
感極まってステファノに抱きつくブルーナを見て目を細める。
そして婚約者達と嬉々とした表情で喋り合っている我が子達。
大きくなったなと。
皆自分で未来を歩んでいくのだろう、そう思いながら眺めていた。
「感慨深いな」
「ええ」
「やべ、俺泣きそう」
「アルバート、泣きそうじゃ無くて泣いてるぞ」
泣き出しているアルバートとクレメンテ、エリアに、私はハンカチを渡していく。
「子どもの成長とは、早いものですね」
「ああ」
後日、婚約が決まった宴を行い、各国王陛下がやってきて、若い子供らはてんてこ舞いだったが、それも成長だなと穏やかに眺めていた。
その後、王国に帰還し、仕事の山と向き合っているとエドガルドがぽつりと言った。
「ダンテ」
「ん? なんです?」
「そろそろ子作りの時期だぞ。父上との約束だ」
「あ゛」
私は硬直した。
そうだ、まだ私の家の跡継ぎが、証持ちが生まれていない。
やべぇ、どうしよう。
神様なるようになるみたくいったけど、どうなるか。
「──それにしてもこうして子どもを育てられて公務もこなせて、伴侶達に愛想つかされないとか奇跡みたいなものですねぇ」
「……ダンテ」
「……どうしたのです?」
「……奇跡を信じてみたい」
「え?」
「いや、何でも無い、忘れてくれ」
『さて、エドガルドが言った奇跡、何だと思う?』
──私とエドガルドの間に子が生まれる?──
『察しがいいな』
──でも無理なんでしょう──
『そんな時に薬と魔術があるのではないか』
──……つまり作れと?──
『その通り、設計図はお前の頭にインプットしておくから魔術薬をつくってこーい! ちなみに一回しか使えない薬だ。奇跡の薬だと思っておけ。後紙には書くなよ』
「エドガルド、新しい薬を思いつきました」
「ほう、どんなだ」
「貴方と私の間に子どもができるようなすっごいの」
「それはすごい……え」
「ではちょっと行ってきますー!!」
私は魔術調剤室に来て魔術薬を作り上げる。
猛スピードで。
「できたー! 後は試すだけ……」
「だ、ダンテ早まるな!」
「エドガルド、子を欲しいと言ったのは貴方でしょう?」
「それは、そうだが……」
「私も貴方との子が欲しい」
「ダンテ……」
瓶の中の液体を口移しで飲ませる。
「今抱きます、貴方が孕むように」
そう言うとエドガルドはうっとりとした表情を浮かべた。
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