64 / 69
救われた家族とその代償
しおりを挟む
メイソンは、これが太陽の神子の力なのだと思い知らされた。
人間には出来ない力を得ているからこそ、全人類の羨望の的になるのだと。
どの国も、喉から手が出る程に欲する力を目の前にして、メイソンはアルトに片膝を着いてその手を取った。
「我が主君、アルト・フィルナート様に、永遠の忠誠を誓います」
アルトはそんなメイソンに小さく微笑むと
「ありがとう、メイソン」
とだけ答えた。
長い苦しみから解き放たれた母親と妹が、穏やかな寝息を立てて眠っている姿にメイソンは涙が溢れ出した。
「僕は、先に宿に戻っているね」
そっとメイソンの肩に触れ、アルトが立ち上がった。
その時、メイソンの目の前でアルトの身体がグラリと倒れ込んだ。
慌てて抱き留めると
「メイソン……」
そう呟いて、アルトはメイソンの胸にしがみついた。
「久しぶりに、きみの腕の中に居るんだね」
ふわりと微笑んだアルトに
「アルト様……すみませんでした。あなたを、あなたを疑わないと誓ったのに……。俺は……」
後悔で涙を流すメイソンに、アルトは小さく微笑むと
「メイソン……、最後にキスをして……」
そう呟いた。
「アルト様?」
アルトの言葉にそう呟くと
「メイソン、もう僕にキスをするのも嫌?」
消えそうな声で言われ、メイソンはアルトの身体を抱き締めてキスをした。
「メイソン……、僕はきみを愛しているよ……」
唇が離れると、アルトはそう言って小さく微笑んで意識を失った。
「アルト様?……アルト様!」
身体を揺すっても、脱力した身体に力は入らない。
するとドアがゆっくりと開き
「アルトを迎えに来た」
フランシスがそう一言告げると
「力を大量に使ったのだ。疲れて眠っているだけだ」
と続けると
「アルトはこの私の婚約者だ。いつまで、その腕に抱いている?」
そう言われてしまった。
メイソンが、今だけは譲ろうとアルトをフランシスの腕に託すと
「メイソン、お前の領地も全て浄化しておいた。明日には調べている事の結果も出るだろう。今日は実家に泊まり、家族水入らずで過ごせ」
フランシスはそう言い残すと、アルトを大切そうに抱き抱えて去って行った。
その時、メイソンの胸中を嫌な予感が渦巻いた。
フランシスに、この広大な土地を浄化する力があったのだろうか?と。
もしかしたら、アルトはフランシスと契約をしたのでは無いか?と……。
だとしたら……、もうアルトを取り戻す事は出来ないとメイソンは気付いた。
しかし、太陽神は自分以外にはアルトを触れさせないと約束した筈……と思い直した時に、自分が忘れていた重大な契約を忘れていた事を思い出した。
『1日も欠かさず、我を抱け』
一時の感情で、メイソンは大切な人を失った事に、この時初めて気付いたのだった。
人間には出来ない力を得ているからこそ、全人類の羨望の的になるのだと。
どの国も、喉から手が出る程に欲する力を目の前にして、メイソンはアルトに片膝を着いてその手を取った。
「我が主君、アルト・フィルナート様に、永遠の忠誠を誓います」
アルトはそんなメイソンに小さく微笑むと
「ありがとう、メイソン」
とだけ答えた。
長い苦しみから解き放たれた母親と妹が、穏やかな寝息を立てて眠っている姿にメイソンは涙が溢れ出した。
「僕は、先に宿に戻っているね」
そっとメイソンの肩に触れ、アルトが立ち上がった。
その時、メイソンの目の前でアルトの身体がグラリと倒れ込んだ。
慌てて抱き留めると
「メイソン……」
そう呟いて、アルトはメイソンの胸にしがみついた。
「久しぶりに、きみの腕の中に居るんだね」
ふわりと微笑んだアルトに
「アルト様……すみませんでした。あなたを、あなたを疑わないと誓ったのに……。俺は……」
後悔で涙を流すメイソンに、アルトは小さく微笑むと
「メイソン……、最後にキスをして……」
そう呟いた。
「アルト様?」
アルトの言葉にそう呟くと
「メイソン、もう僕にキスをするのも嫌?」
消えそうな声で言われ、メイソンはアルトの身体を抱き締めてキスをした。
「メイソン……、僕はきみを愛しているよ……」
唇が離れると、アルトはそう言って小さく微笑んで意識を失った。
「アルト様?……アルト様!」
身体を揺すっても、脱力した身体に力は入らない。
するとドアがゆっくりと開き
「アルトを迎えに来た」
フランシスがそう一言告げると
「力を大量に使ったのだ。疲れて眠っているだけだ」
と続けると
「アルトはこの私の婚約者だ。いつまで、その腕に抱いている?」
そう言われてしまった。
メイソンが、今だけは譲ろうとアルトをフランシスの腕に託すと
「メイソン、お前の領地も全て浄化しておいた。明日には調べている事の結果も出るだろう。今日は実家に泊まり、家族水入らずで過ごせ」
フランシスはそう言い残すと、アルトを大切そうに抱き抱えて去って行った。
その時、メイソンの胸中を嫌な予感が渦巻いた。
フランシスに、この広大な土地を浄化する力があったのだろうか?と。
もしかしたら、アルトはフランシスと契約をしたのでは無いか?と……。
だとしたら……、もうアルトを取り戻す事は出来ないとメイソンは気付いた。
しかし、太陽神は自分以外にはアルトを触れさせないと約束した筈……と思い直した時に、自分が忘れていた重大な契約を忘れていた事を思い出した。
『1日も欠かさず、我を抱け』
一時の感情で、メイソンは大切な人を失った事に、この時初めて気付いたのだった。
11
あなたにおすすめの小説
α主人公の友人モブαのはずが、なぜか俺が迫られている。
宵のうさぎ
BL
異世界に転生したと思ったら、オメガバースの世界でした。
しかも、どうやらここは前世の姉ちゃんが読んでいたBL漫画の世界らしい。
漫画の主人公であるハイスぺアルファ・レオンの友人モブアルファ・カイルとして過ごしていたはずなのに、なぜか俺が迫られている。
「カイル、君の為なら僕は全てを捨てられる」
え、後天的Ω?ビッチング!?
「カイル、僕を君のオメガにしてくれ」
この小説は主人公攻め、受けのビッチング(後天的Ω)の要素が含まれていますのでご注意を!
騎士団長子息モブアルファ×原作主人公アルファ(後天的Ωになる)
いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます
日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる