野花のような君へ

古紫汐桜

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知られた秘密

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するとはじめは、頬を左右に引っ張る僕の手にはじめの手を重ねて
「行きませんよ。俺が惚れてるのは、創さんだけなんですから」
なんて言い出したのだ。
その瞬間、僕は「ボン」って音が鳴ったんじゃないか?って位に顔が熱くなった。
(え?今、惚れてるって言った?)
口をパクパクさせながら
「ば……馬鹿じゃないのか!誰もそんな事、聞いて無い!」
って叫んだ僕の唇に、はじめがそっとキスをして来たのだ。
驚いて一瞬固まったものの、初めて好きな人とキスをしたのに気付き
「お……お前……!」
って、ワナワナと怒ったフリして恥ずかしさを誤魔化していると
「あなたが鈍感で、すぐに勘違いする人だって分かりました。だから、これから時間を掛けて、俺がどれだけ高杉創を愛しているのかを骨の髄まで解らせます!」
なんて言い出した。
「お前、聞いてたのか?僕はお前を抱けないんだぞ」
真剣に話す僕に、はじめは優しく微笑んで
「創さん。SEXだけが、愛情を測るバロメーターじゃないんですよ!」
そう言うと、背後から僕を強く抱き締めた。
その時、『ゴリっ』と硬いモノが僕の腰に当たっている。
僕が目を据わらせて
「だったら、さっきから僕の腰に当たるモノを鎮ろよ!お前の発言、嘘臭いんだよ!」
って叫ぶと
「これは……ほら、好きな人が俺を好きって分かったら……普通こうなりますよね?」
なんて、真っ赤な顔をしながら照れ笑いを浮かべている。
僕がはじめ言葉に一瞬ポカンっとした後、ジワジワとはじめの言葉の意味を理解して
「はぁ?僕がいつ、お前を好きだなんて言ったんだよ!」
と、恥ずかしくて逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。
抱き締めるはじめから逃げようと暴れると
「創さん……」
って、初めて聞く甘い声で名前を呼ばれた。
はじめの僕を見つめる眼差しに熱がこもり、ゆっくりと顔が近付く。
触れている部分から、はじめの身体が僕を求めて熱くなっているのが分かる。
おずおずと視線をはじめに向け、ゆっくりと目を閉じた。
するとはじめは僕の顎に手を添えて、優しく宝物に触れるように僕の唇に触れた。
(ん?ちょっと待て!!これ、逆じゃないか?)
そう思ったけど、僕を見るはじめの幸せそうな顔を見たら「まぁ……良いか」なんて思ってしまう僕は、自分が思っている以上にはじめに惚れてるらしい。
逞しい鍛え上げられたはじめの胸に凭れ、お日様の匂いがするはじめの香りに包まれながら、欲望では無く大切にされるという幸せを噛み締めた。
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