勿忘草~尚也side~

古紫汐桜

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病気の名前は……

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みちるとそのまま帰宅して、俺は母親に今日あった出来事。
今までの些細な物忘れの事を相談した。
翌日、学校を休んで大学病院へ診察に向かった。様々な検査を行い、結果、父親も呼ぶように医者に言われた。
医師の表情から察して、悪い結果なのは容易く想像出来た。
俺は医師と母親に
「どんな結果でも受け止めたいから、隠さずに明かして欲しい」と訴えた。
職場から父親も駆け付け、明かされた病名
「若年性アルツハイマー」
それは、俺の心に大きな絶望を生んだ。
母親は泣き崩れ、父親が絶望の溜め息を吐いた。
親父は帰宅しながら、他の病院を探すと言っていたが、俺は結果が同じだから必要無いと伝えて部屋に戻った。
部屋に戻って、ベッドのスプリングを殴りながら泣いた。
何で俺なんだ!とか、どうして今なんだ!とか、様々な感情が俺を襲った。
いっその事、死んでしまおうかとも考えた。
でも、そんな俺の気持ちを起こしてくれるのは、いつだってみちるだった。
みちるの部屋に電気が点き、俺のスマホが鳴った。
『ただいま~』
の文字に窓を開けると
「尚也、病院どうだった?」
心配そうに聞いてくる。
「うん、大丈夫。ちょっと勉強し過ぎたみたいだよ」
必死に作り笑顔で答えると、みちるは笑顔を浮かべて
「良かった!尚也がどうにかなったら、私、生きていられないんだからね!」
軽口だって分かってるけど、そんなみちるの笑顔に救われた。
するとみちるの背後から
『みちる~、ご飯にしてちょうだい』
って、みちるを呼ぶ声が聞こえた。
「みちる、ご飯だって」
俺がそういうと、みちるは
「は~い、今降りる!」
と答えた後
「また明日ね」
って俺に手を振った。
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