花火

古紫汐桜

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色褪せた景色

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   アイツが居ない職場は、何処か色褪せているように感じた。
「鮫島さん、今週は遅くても18時にはサーバー室落としますよ」
「えぇ!」
「たまには鮫島さんも早く帰って、旦那さん孝行した方が良いですよ」
「大きなお世話!」
情シスの子と会話をしながら、彼が私のせいで残業していたのが身に染みる。
鬼の形相で仕事を終わらせ、ノートパソコンを閉めて溜息を吐いた。
いつもなら
「鮫島サン、まだっすか?」
と、無愛想な顔が聞きに来る。
「後10分!」
画面を睨む私に、彼は呆れた顔で溜息を吐く。
それがいつの間にか、当たり前の光景になっていた。
(今頃、新婚旅行かぁ~)
ふと考えた。

あれ?朝帰りした日って、新婚旅行の前の日じゃ無かったの?

そう気付いて真っ青になる。
私も自分の結婚式の日まで、旦那が忙しくて夫婦喧嘩ばかりしていたのを思い出す。
「悪い事……しちゃったな」
誰もいないオフィスで1人、ぽつりと呟いた。
きっと彼にそう伝えたら、あの無表情で
「別に……鮫島サンには関係無いですから」
って言うんだろうな~。
そう考えて、さっきから彼のことばかりを考えている自分に苦笑いする。
職場を出て、駅への道を歩き出す。
彼のいない日々は、なんだか魂が半分欠けたような気持ちになっていた。
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