花火

古紫汐桜

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アイツとの初めての夜

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  初めてアイツと訪れたラブホテルと呼ばれる場所で、私達は部屋に入るなり貪るように唇を重ねた。
まるで獣のように、互いを求め合う。
アイツの手が、私のスーツの上着のボタンを外し、床へと落す。
アイツの腕が私の腰を抱き寄せ、空いた手が私の身体に忙しなく触れる。
衣類を脱ぎ捨てるのも、もどかしい程に誰かを求めたのは初めてだった。

アイツの大きな手が……綺麗な唇が……、私に触れる度に身体に火を灯す。
「あっ……」
唇から漏れた自分の声が恥ずかしくて、思わず口元を手で覆う。
するとアイツの手が私の手を掴んで指先にキスを落とすと
「声……聞かせて……」
切なそうに、喘ぐように囁かれて赤面してしまう。
綺麗な顔をしていて、普段はまだあどけなさも残るアイツの男の顔にゾクリとした。
「恥ずかしいから……」
枕に顔を隠して呟く私に、アイツは深い溜め息を吐くと、私の肩に顔を埋めて
「これでも必死に我慢してるんだから、あまり煽らないでくれますか?」
って、呟いた。
「煽るって……」
驚いて見上げた私の唇を、アイツの唇がゆっくりと塞ぐ。
「もう……良いですか?」
感極まった声に頷くと、アイツがサイドボードに置かれたモノに手を伸ばした。
私はその手に触れて首を横に振る。
「もう、子供が出来ない身体だから……」
まだ生理は来ているが、一般的に40代半ばを過ぎて妊娠しづらい上に、私は元々、妊娠するのが難しい身体だった。
結婚が決まった時に受けたブライダルチェックで、産婦人科の医師から「卵子が奇形になりやすく妊娠しづらい身体なので、早めに子作りをした方が良い」と言われていた。
その時、女性として落ちこぼれの烙印を押されたような気持ちになったのを覚えている。
それを主人に話たら、彼は
「今、いない未来の子供が生まれるのかを憂うより、きみとの未来を選びたい」
と言われて結婚した。
そんな彼を裏切る行為である事を思い出し、胸がチクリと痛んだ。
それでも、もう走り出した自分の感情を止めることは出来なかった。
ゆっくりと身体にアイツの熱が入り込む。
眉間に皺を寄せ、私の身体を気遣うようにゆっくりと身体の中へとアイツの熱が入って来る。
久し振りの感触に仰け反ると
「キッツ……」
ぽつりと呟かれた言葉に
「ご……ごめん!久し振り過ぎて……」
と呟くと
「え?」
そう言って、驚いた顔をされた。
「7年していないので……」
そう呟いた私に、アイツは驚いた顔をしてからへにゃりと笑い
「なんか、すっげえ嬉しい」
と呟かれて、益々顔が熱くなる。
「ねぇ、もっと俺を感じて……」
そう囁かれて、許容量オーバー。
後はもう……醜態を晒さないように必死だった。
今まで付き合っていた人で、私はイッた事が無くて……。
自分は不感症なんだとそう思っていた。
だからこういう関係は苦手だったのに、アイツとの初めての夜は、涙が出る程に幸せな気持ちでいっぱいになった。
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