腐れ縁から始まる恋

古紫汐桜

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バレンタインの奇跡

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2月14日
アイツは手渡されるチョコレートを全部断っていた。
私も振られる覚悟を決めて、放課後、アイツを屋上に呼び出した。
「どうした?」
って呟くアイツに、私は受け取ってもらえないチョコレートを差し出した。
「ごめん。言わないつもりだったし、春原に彼女が居るのも分かってる。でも、諦めきれなくて…気持ちだけ伝えたかったの」
そう言った瞬間だった。
私の身体を抱き締めて
「諦めないでくれて、良かった……」
って呟いた。
「え?」
「俺もずっと、奥寺が好きだった」
そう言われて
「え?だって、彼女……」
と言い掛けた言葉を、アイツの唇が塞ぐ。
 後から聞いた話では、私には他に好きな人が居るのだと聞かされていたらしい。
彼女と言われていた人も、実はアイツの幼馴染みで、私の事を諦められないアイツに協力したんだとか。

「未沙」
大学生になった私の隣には、彼氏になったアイツが並んでいる。
バレンタインが起こした奇跡を、私は忘れない。
あの日、勇気を出して良かったと…。~完~
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