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第四章
友頼の笛の音
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頼政は忌々しそうに晶を見ると
「座敷牢には入れない。天女様をお前に預けるのは、俺が屋敷を開ける時だけだ!」
と叫ぶと
「分かったら、さっさと出て行け!」
飲んでいた酒の盃を、晶の顔スレスレに通り過ぎるように投げつけ、音を立てて壁に当たった。
晶は深々と頭を下げると、ゆっくりと襖へと歩き、綺麗な所作で襖を開けた。
そして部屋を出ていく間際
「分かっているとは思いますが、妊婦が興奮するようなことも厳禁ですよ。例えば……強引に身体を開かせようなど、ゆめゆめ考えなさらぬように」
と吐き捨てた。
すると頼政は、酒の入っているひょうたんを掴んで晶に投げつけた。
中身の酒が水飛沫となってひょうたんが宙を舞い
、晶の顔の横の襖に当たって床に音を立てて落ちた。
床に落ちたひょうたんは、中に入っていたお酒が床にこぼれて行く。
そして荒々しく立ち上がると、嫌がる翡翠を座敷牢から引っ張り出して抱き寄せた。
「天女様。そなたの居場所は、俺の腕の中だ」
そう言うと、頼政はわざと晶に見せつけるように翡翠の後頭部を押さえて唇を重ねた。
翡翠が必死にもがき、逃れようと暴れている。
そして晶を見つめる瞳は、『助けて──!』と悲鳴を上げていた。
晶は翡翠から視線を逸らし、部屋から逃げ出した。
「いや! 誰か……助けて!」
襖の向こうから、翡翠の悲鳴が聞こえた。
晶は耳を塞ぎ、その場に崩れ落ちた。
頼政を愛しているのは自分なのに、何故、頼政は他の男を想う彼女を求めるのだろう。
何故、自分は……こんなにも自分を蔑ろにして愛してくれない男を思ってしまうのだろう……。
嫌いになれれば……
憎むことができれば……
───こんなに苦しまなくて良いのだろうか?
どす黒い感情が、晶の心の中で渦巻いた時だった。
晶の耳に、悲しくも美しい笛の音が耳に届いた。
その音色は、晶の中のどす黒い感情が消えて行くのを感じた。
晶は涙を拭い、笛の音色が聞こえる方へと歩き出した。
そこは、瀕死状態で運ばれた友頼が寝ている部屋だった
晶が友頼の見事な笛の音に聞き入っていると、ふいに笛の音が止まる。
襖を開けて中を覗き見しすると、笛を落として倒れそうになっていた。
「危ない!」
思わず飛び出して友頼の身体を抱き留めると
「すみません。助けて下さり、ありがとうございます」
頼政と似た顔をしたその人物は、晶にふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
そして痛むのであろう身体で、笛を拾って再び笛を奏始めた。
何度も笛を落としながら、必死に笛を奏でる友頼を不思議に思ったが、奏でる姿と音色に
『翡翠、私は大丈夫だ』
と、笛の音で知らせているのではないだろうか?と晶は悟った。
「座敷牢には入れない。天女様をお前に預けるのは、俺が屋敷を開ける時だけだ!」
と叫ぶと
「分かったら、さっさと出て行け!」
飲んでいた酒の盃を、晶の顔スレスレに通り過ぎるように投げつけ、音を立てて壁に当たった。
晶は深々と頭を下げると、ゆっくりと襖へと歩き、綺麗な所作で襖を開けた。
そして部屋を出ていく間際
「分かっているとは思いますが、妊婦が興奮するようなことも厳禁ですよ。例えば……強引に身体を開かせようなど、ゆめゆめ考えなさらぬように」
と吐き捨てた。
すると頼政は、酒の入っているひょうたんを掴んで晶に投げつけた。
中身の酒が水飛沫となってひょうたんが宙を舞い
、晶の顔の横の襖に当たって床に音を立てて落ちた。
床に落ちたひょうたんは、中に入っていたお酒が床にこぼれて行く。
そして荒々しく立ち上がると、嫌がる翡翠を座敷牢から引っ張り出して抱き寄せた。
「天女様。そなたの居場所は、俺の腕の中だ」
そう言うと、頼政はわざと晶に見せつけるように翡翠の後頭部を押さえて唇を重ねた。
翡翠が必死にもがき、逃れようと暴れている。
そして晶を見つめる瞳は、『助けて──!』と悲鳴を上げていた。
晶は翡翠から視線を逸らし、部屋から逃げ出した。
「いや! 誰か……助けて!」
襖の向こうから、翡翠の悲鳴が聞こえた。
晶は耳を塞ぎ、その場に崩れ落ちた。
頼政を愛しているのは自分なのに、何故、頼政は他の男を想う彼女を求めるのだろう。
何故、自分は……こんなにも自分を蔑ろにして愛してくれない男を思ってしまうのだろう……。
嫌いになれれば……
憎むことができれば……
───こんなに苦しまなくて良いのだろうか?
どす黒い感情が、晶の心の中で渦巻いた時だった。
晶の耳に、悲しくも美しい笛の音が耳に届いた。
その音色は、晶の中のどす黒い感情が消えて行くのを感じた。
晶は涙を拭い、笛の音色が聞こえる方へと歩き出した。
そこは、瀕死状態で運ばれた友頼が寝ている部屋だった
晶が友頼の見事な笛の音に聞き入っていると、ふいに笛の音が止まる。
襖を開けて中を覗き見しすると、笛を落として倒れそうになっていた。
「危ない!」
思わず飛び出して友頼の身体を抱き留めると
「すみません。助けて下さり、ありがとうございます」
頼政と似た顔をしたその人物は、晶にふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
そして痛むのであろう身体で、笛を拾って再び笛を奏始めた。
何度も笛を落としながら、必死に笛を奏でる友頼を不思議に思ったが、奏でる姿と音色に
『翡翠、私は大丈夫だ』
と、笛の音で知らせているのではないだろうか?と晶は悟った。
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