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第四章
罠
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この日から、奥方と乳母として、晶と翡翠は共に居る事が増えた。
晶は身体が癒されても、母乳はほとんど出る事はなかった。
しかし、わずかばかりでも自分の母乳を必死に飲む頼久を見て、晶は我が子のように愛しく思うようになった。
頼政も何かと頼久を抱きに現れ
「父上は本当に愚かだったな。子供とは、こんなに可愛いものなのに……」
そう言って、ぷにぷにの頬をつついては頬を緩ませていた。
この頃には友頼も怪我が完治し、元気になっていた。
晶は頼政の目を盗んでは、友頼に頼久を抱かせに訪れた。
そして晶は、三郎太を頼久のお付として翡翠と友頼の橋渡しをさせた。
ずっと……こんな穏やかな日が続くと思っていた。
頼久はスクスクと育ち、一歳になった。
晶は翡翠を親友のように慕い、ようやくひっそりと友頼と翡翠を引き合せることに成功した。
「翡翠!」
「若様!」
ようやく直接会えた二人は、熱い抱擁を交わしていた。
「この茶室は、私しか使わない。
しばし、二人にお貸ししよう」
晶はそう言い残し、屋敷の奥地にある茶室に二人を残して頼久の元へと戻った。
その間、三郎太が頼久の面倒をみてくれていた。
晶は床をハイハイして近付き、ゆっくりとつかまり立ちしながら晶に両手を伸ばした。
「あ~う~、は~は~」
その言葉に、晶は涙を浮かべて頼久を抱き締めた。
「頼久、今、母と呼んでくれたの?
私を母と……」
「う~……と~と~」
頼久の声に顔を上げると、頼政が涙を浮かべて立っていた。
「と~……と~……」
キャッキャと笑い、頼久が頼政に笑顔を浮かべた。
「晶、聞いたか? 頼久が、俺をトトと呼んだぞ」
頼政は晶ごと頼久を抱き上げた。
「殿! あぶのうございます!」
「馬鹿言え! 私が愛する家族を落とすと思うか?」
頼久が生まれる前までの、冷えきった関係が嘘のように優しく穏やかな毎日。
だから晶は忘れていたのだ。
頼政が、いかに残虐な人間だということを。
頼久と家族三人、幸せな時間を過ごしていると、屋敷に翡翠が戻って来た。
愛する人との逢瀬の時間は、一年以上も引き離されていた二人には短い時間だったのかもしれない。
しかし、翡翠の顔には生気が戻っていた。
「晶様、ありがとうございました」
ひっそりと告げられたお礼に、晶は笑顔を返した。
戻った翡翠の頬は薔薇色に染まり、二人の時間の濃厚さを余韻が伝えていた。
愛される女性は……えもいえぬ色香をはらんでいた。
晶と頼政は、家族としての情で繋がっている。
毎晩、頼久を挟み床寝を共にしているが、頼政が自分に触れる事は無い。
それでも、本来、家族並んで寝るなどありえないしきたりを破ってこうして過ごしてくれることが嬉しかった。
しかしその日の夜、頼久が生まれてから初めて、頼政が寝室に来なかった───。
晶は身体が癒されても、母乳はほとんど出る事はなかった。
しかし、わずかばかりでも自分の母乳を必死に飲む頼久を見て、晶は我が子のように愛しく思うようになった。
頼政も何かと頼久を抱きに現れ
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そう言って、ぷにぷにの頬をつついては頬を緩ませていた。
この頃には友頼も怪我が完治し、元気になっていた。
晶は頼政の目を盗んでは、友頼に頼久を抱かせに訪れた。
そして晶は、三郎太を頼久のお付として翡翠と友頼の橋渡しをさせた。
ずっと……こんな穏やかな日が続くと思っていた。
頼久はスクスクと育ち、一歳になった。
晶は翡翠を親友のように慕い、ようやくひっそりと友頼と翡翠を引き合せることに成功した。
「翡翠!」
「若様!」
ようやく直接会えた二人は、熱い抱擁を交わしていた。
「この茶室は、私しか使わない。
しばし、二人にお貸ししよう」
晶はそう言い残し、屋敷の奥地にある茶室に二人を残して頼久の元へと戻った。
その間、三郎太が頼久の面倒をみてくれていた。
晶は床をハイハイして近付き、ゆっくりとつかまり立ちしながら晶に両手を伸ばした。
「あ~う~、は~は~」
その言葉に、晶は涙を浮かべて頼久を抱き締めた。
「頼久、今、母と呼んでくれたの?
私を母と……」
「う~……と~と~」
頼久の声に顔を上げると、頼政が涙を浮かべて立っていた。
「と~……と~……」
キャッキャと笑い、頼久が頼政に笑顔を浮かべた。
「晶、聞いたか? 頼久が、俺をトトと呼んだぞ」
頼政は晶ごと頼久を抱き上げた。
「殿! あぶのうございます!」
「馬鹿言え! 私が愛する家族を落とすと思うか?」
頼久が生まれる前までの、冷えきった関係が嘘のように優しく穏やかな毎日。
だから晶は忘れていたのだ。
頼政が、いかに残虐な人間だということを。
頼久と家族三人、幸せな時間を過ごしていると、屋敷に翡翠が戻って来た。
愛する人との逢瀬の時間は、一年以上も引き離されていた二人には短い時間だったのかもしれない。
しかし、翡翠の顔には生気が戻っていた。
「晶様、ありがとうございました」
ひっそりと告げられたお礼に、晶は笑顔を返した。
戻った翡翠の頬は薔薇色に染まり、二人の時間の濃厚さを余韻が伝えていた。
愛される女性は……えもいえぬ色香をはらんでいた。
晶と頼政は、家族としての情で繋がっている。
毎晩、頼久を挟み床寝を共にしているが、頼政が自分に触れる事は無い。
それでも、本来、家族並んで寝るなどありえないしきたりを破ってこうして過ごしてくれることが嬉しかった。
しかしその日の夜、頼久が生まれてから初めて、頼政が寝室に来なかった───。
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