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第四章
目覚め……地獄の始まり
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翡翠の言葉に、きよが顔を上げて
「なんなりと……」
と答えた。
翡翠はゆっくりときよの顔を見つめ
「若様と……我が子との三人の時間を下さい」
そう伝えた。
きよは何度も頷き
「もちろんでございます」
と答えると、きよは人払いをして友頼を連れて現れた。
友頼とは、引き離されてから久しぶりに会った。
やつれてはいたが、元気そうでホッとすると、優しく翡翠の手を握り
「翡翠、頑張ったな……」
友頼はそう呟くと、翡翠の額に友頼の額を当てた。
「若様……抱いて上げて下さい」
翡翠の言葉に、友頼はそっと我が子を抱き上げた。
「小さいな……」
「えぇ……」
ゆっくりと身体を起こそうとすると、三郎太が翡翠の身体を支えてくれた。
「翡翠様、おめでとうございます」
涙を浮かべる三郎太に、翡翠はそっと三郎太の手に自分の手を重ねると
「三郎太……この子を、頼久を頼みます」
そう言って頭を下げた。
「翡翠……」
「若様……せっかく名付けて下さったのに、頼久は晶様のお子として育てて頂こうかと思います」
翡翠の言葉に、友頼は小さく頷き
「うん。私も、同じ事を言おうと思っていた」
と呟いた。
「この子に、私のように生命を狙われる思いをさせたくないからね」
友頼の言葉に、翡翠は涙を流した。
友頼の腕の中で眠る愛しい我が子の頬に、翡翠はそっとキスを落とした。
「父も母も、あなたの幸せを願っております」
最初で最後の、親子三人の時間だった。
晶が意識不明の間、我が子が乳を必死飲む姿が愛しかった。
本当は自分と友頼の子供なのに、この子は頼政と晶様の子供になってしまった。
可哀想な死産だった頼政と晶様の子供は、きよの計らいでこっそり晶様の故郷のお寺で供養されたらしい。
黒い渦が、翡翠をどんどん飲み込んでいく。
何の因果か、頼政も二人の子供に『頼久』と命名していた。
憎い頼政が、可愛い我が子を愛しそうに抱き上げる姿を見るのが辛かった。
頼久を抱き、幸せそうに庭園を歩く二人を何度、憎いと思った事だろう。
その度、翡翠は自分を律した。
頼久が生命の危機を感じずに、スクスクと育つ為なら……と、翡翠は諦めた。
何度諦めたら良いのだろう
もう……幸せな日々は来ないのだろうか……
深い深い海の底へと沈んで行く───
「……い。ひ……すい」
自分を呼ぶ声が聞こえる。
「翡翠」
その声は、愛しい友頼の声だった。
差し出された手を掴み、翡翠は友頼の腕に抱かれた。
「若様……」
抱き締める友頼の顔を見ようと見上げると、その顔が頼政の顔だった。
「────っ!」
声にならない悲鳴を上げて、翡翠は目を覚ました。
酷く喉が渇いている。
「み……ず……」
呟いた声が、聞き覚えのない声だった。
枕元にある水をコップに入れ、一気に飲み干した。
その時、コップを持つ手に違和感を感じた。
慌てて部屋を飛び出し、庭の池に自分の姿を映して悲鳴を上げた。
「あぁ────っ!」
翡翠の悲鳴を聞き、部屋から友頼と豪鬼が飛び出して来た。
「いや……だ! 何で……何で……?」
狂ったように泣き出す翡翠を、友頼が必死に抱き締め
「すまぬ! 恨むなら、私を恨んでくれ」
そう叫んだ。
「殺し……て……。友頼と共に、生きられないなら……生きていても仕方ない……」
泣き叫び暴れる翡翠を、必死に友頼は押さえた。
「夫婦ではなくても、翡翠を失いたくなったのだ! 翡翠、許してくれ」
「あぁぁぁぁ…………!」
翡翠は人目も気にせず、その場に泣き崩れた。
この時、翡翠は狂ってしまったのかもしれない。
『チリン…… チリン…… チリン……』
翡翠は遠くで鳴り響く風鈴の音色を、泣きながら聞いていた。
「なんなりと……」
と答えた。
翡翠はゆっくりときよの顔を見つめ
「若様と……我が子との三人の時間を下さい」
そう伝えた。
きよは何度も頷き
「もちろんでございます」
と答えると、きよは人払いをして友頼を連れて現れた。
友頼とは、引き離されてから久しぶりに会った。
やつれてはいたが、元気そうでホッとすると、優しく翡翠の手を握り
「翡翠、頑張ったな……」
友頼はそう呟くと、翡翠の額に友頼の額を当てた。
「若様……抱いて上げて下さい」
翡翠の言葉に、友頼はそっと我が子を抱き上げた。
「小さいな……」
「えぇ……」
ゆっくりと身体を起こそうとすると、三郎太が翡翠の身体を支えてくれた。
「翡翠様、おめでとうございます」
涙を浮かべる三郎太に、翡翠はそっと三郎太の手に自分の手を重ねると
「三郎太……この子を、頼久を頼みます」
そう言って頭を下げた。
「翡翠……」
「若様……せっかく名付けて下さったのに、頼久は晶様のお子として育てて頂こうかと思います」
翡翠の言葉に、友頼は小さく頷き
「うん。私も、同じ事を言おうと思っていた」
と呟いた。
「この子に、私のように生命を狙われる思いをさせたくないからね」
友頼の言葉に、翡翠は涙を流した。
友頼の腕の中で眠る愛しい我が子の頬に、翡翠はそっとキスを落とした。
「父も母も、あなたの幸せを願っております」
最初で最後の、親子三人の時間だった。
晶が意識不明の間、我が子が乳を必死飲む姿が愛しかった。
本当は自分と友頼の子供なのに、この子は頼政と晶様の子供になってしまった。
可哀想な死産だった頼政と晶様の子供は、きよの計らいでこっそり晶様の故郷のお寺で供養されたらしい。
黒い渦が、翡翠をどんどん飲み込んでいく。
何の因果か、頼政も二人の子供に『頼久』と命名していた。
憎い頼政が、可愛い我が子を愛しそうに抱き上げる姿を見るのが辛かった。
頼久を抱き、幸せそうに庭園を歩く二人を何度、憎いと思った事だろう。
その度、翡翠は自分を律した。
頼久が生命の危機を感じずに、スクスクと育つ為なら……と、翡翠は諦めた。
何度諦めたら良いのだろう
もう……幸せな日々は来ないのだろうか……
深い深い海の底へと沈んで行く───
「……い。ひ……すい」
自分を呼ぶ声が聞こえる。
「翡翠」
その声は、愛しい友頼の声だった。
差し出された手を掴み、翡翠は友頼の腕に抱かれた。
「若様……」
抱き締める友頼の顔を見ようと見上げると、その顔が頼政の顔だった。
「────っ!」
声にならない悲鳴を上げて、翡翠は目を覚ました。
酷く喉が渇いている。
「み……ず……」
呟いた声が、聞き覚えのない声だった。
枕元にある水をコップに入れ、一気に飲み干した。
その時、コップを持つ手に違和感を感じた。
慌てて部屋を飛び出し、庭の池に自分の姿を映して悲鳴を上げた。
「あぁ────っ!」
翡翠の悲鳴を聞き、部屋から友頼と豪鬼が飛び出して来た。
「いや……だ! 何で……何で……?」
狂ったように泣き出す翡翠を、友頼が必死に抱き締め
「すまぬ! 恨むなら、私を恨んでくれ」
そう叫んだ。
「殺し……て……。友頼と共に、生きられないなら……生きていても仕方ない……」
泣き叫び暴れる翡翠を、必死に友頼は押さえた。
「夫婦ではなくても、翡翠を失いたくなったのだ! 翡翠、許してくれ」
「あぁぁぁぁ…………!」
翡翠は人目も気にせず、その場に泣き崩れた。
この時、翡翠は狂ってしまったのかもしれない。
『チリン…… チリン…… チリン……』
翡翠は遠くで鳴り響く風鈴の音色を、泣きながら聞いていた。
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