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第五章
輝く未来への道
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あれから二年の月日が流れた。
あの村は翠の呪縛から解放され、翠によって老人にされていた八百万の神々も光となって空へ帰っていった。
村長は時の神だったらしい。
「日下部冬夜、薄井幸太、坂巻遥。そなたらの願いを叶えよう」
そう告げられたが、三人は丁重に断った。
翡翠を失った心の穴は、願い一つで埋まるものではなかったからだ。
時の神の導きで三人は無事に現代へ戻ったが、しばらく冬夜の心は深く沈んでいた。
遥と幸太はずっと気に掛けていたが、ある日──冬夜の両親が現れた。
長年冬夜を探していたことが分かり、冬夜は今、両親の願いで家族三人で暮らしている。
「今さら実家暮らしなんて、実感わかねぇけどな」
と苦笑していたが、それでもどこか穏やかだった。
きっと、家族という存在が冬夜の心を支えたのだと二人は思っていた。
そんなある日のことだった。
「冬夜~! 悪い、あんたに仕事の依頼!」
「は? 今さら?」
「いや、人物撮影でさ~」
「遥……俺は人物撮らないって言ってるだろ?」
冬夜はあの日以来、頑なに人物を撮らなくなっていた。
「仕方ないだろ? 売れっ子童話作家様が“日下部冬夜の写真じゃなきゃ取材を受けない”って言ってるんだから」
遥の言葉に、冬夜は深くため息を吐いた。
「……受けないとダメなんだろ?」
そう言って、カメラバッグを肩に担ぐ。
「冬夜、行ってくれるの?」
「俺がお前のお願いを断ったこと、あるか?」
そう笑い、冬夜は編集部を後にした。
冬夜はメモを頼りにホテルのスイートルームの前に立った。
「さすが売れっ子童話作家……」
そう呟き、扉をノックする。
「カメラマンの日下部冬夜です」
『は、はい! 今開けます!』
扉が開いた瞬間──冬夜は息を飲んだ。
「はじめまして。長沢春菜と申します」
そこに立っていた女性は、翡翠のような儚さはなかった。
けれど……見間違えるはずがない。
魂のどこかが“知っている”と告げていた。
冬夜は静かに微笑んだ。
「はじめまして。日下部冬夜です」
「無理言ってごめんなさい。私、あなたの写真の大ファンなんです」
明るく笑う春菜の笑顔に、冬夜も穏やかに笑い返した。
──その頃、遥と幸太は窓辺で空を眺めていた。
「冬夜さん、気付けると思います?」
「分かるだろう? なんせ、冬夜の“運命の相手”だ」
遥は幸太の淹れたコーヒーを一口飲んで微笑む。
「でも……記憶が無いなんて」
「馬鹿。だから良いんだよ。これから“新しい未来”を作るんだから」
幸太はそう言って優しく笑った。
その手がふと遥の手を包む。
遥の薬指には、輝くダイヤの指輪。
千年越しの呪いが終わり、ようやく開かれた新しい運命。
これからの未来は──四人で紡ぐ新しい物語。
【完】
あの村は翠の呪縛から解放され、翠によって老人にされていた八百万の神々も光となって空へ帰っていった。
村長は時の神だったらしい。
「日下部冬夜、薄井幸太、坂巻遥。そなたらの願いを叶えよう」
そう告げられたが、三人は丁重に断った。
翡翠を失った心の穴は、願い一つで埋まるものではなかったからだ。
時の神の導きで三人は無事に現代へ戻ったが、しばらく冬夜の心は深く沈んでいた。
遥と幸太はずっと気に掛けていたが、ある日──冬夜の両親が現れた。
長年冬夜を探していたことが分かり、冬夜は今、両親の願いで家族三人で暮らしている。
「今さら実家暮らしなんて、実感わかねぇけどな」
と苦笑していたが、それでもどこか穏やかだった。
きっと、家族という存在が冬夜の心を支えたのだと二人は思っていた。
そんなある日のことだった。
「冬夜~! 悪い、あんたに仕事の依頼!」
「は? 今さら?」
「いや、人物撮影でさ~」
「遥……俺は人物撮らないって言ってるだろ?」
冬夜はあの日以来、頑なに人物を撮らなくなっていた。
「仕方ないだろ? 売れっ子童話作家様が“日下部冬夜の写真じゃなきゃ取材を受けない”って言ってるんだから」
遥の言葉に、冬夜は深くため息を吐いた。
「……受けないとダメなんだろ?」
そう言って、カメラバッグを肩に担ぐ。
「冬夜、行ってくれるの?」
「俺がお前のお願いを断ったこと、あるか?」
そう笑い、冬夜は編集部を後にした。
冬夜はメモを頼りにホテルのスイートルームの前に立った。
「さすが売れっ子童話作家……」
そう呟き、扉をノックする。
「カメラマンの日下部冬夜です」
『は、はい! 今開けます!』
扉が開いた瞬間──冬夜は息を飲んだ。
「はじめまして。長沢春菜と申します」
そこに立っていた女性は、翡翠のような儚さはなかった。
けれど……見間違えるはずがない。
魂のどこかが“知っている”と告げていた。
冬夜は静かに微笑んだ。
「はじめまして。日下部冬夜です」
「無理言ってごめんなさい。私、あなたの写真の大ファンなんです」
明るく笑う春菜の笑顔に、冬夜も穏やかに笑い返した。
──その頃、遥と幸太は窓辺で空を眺めていた。
「冬夜さん、気付けると思います?」
「分かるだろう? なんせ、冬夜の“運命の相手”だ」
遥は幸太の淹れたコーヒーを一口飲んで微笑む。
「でも……記憶が無いなんて」
「馬鹿。だから良いんだよ。これから“新しい未来”を作るんだから」
幸太はそう言って優しく笑った。
その手がふと遥の手を包む。
遥の薬指には、輝くダイヤの指輪。
千年越しの呪いが終わり、ようやく開かれた新しい運命。
これからの未来は──四人で紡ぐ新しい物語。
【完】
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