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5巻
5-3
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――勝負あり。
だがよく見ると決着がつく直前のココの言葉通り、ボウスの服の脇腹の辺りが少しだけ切れていた。
「確かに、その剣は届いた」
かろうじて意識の残るココは、ボウスのその言葉を聞いてから降参を宣言した。
「参り……ました……」
崩れ落ちたココにマアロが駆け寄り、回復魔法をかけて治療を施す。
そんな中、ボウスは広間にいる神官に声をかけて人払いした。
「少しだけこいつらと話がしたい」
神官がいなくなった後もカロスは良一達の近くに残っていたが、ボウスの視線を感じて護衛の騎士とともに出ていった。
カロスにも聞かせられないとは、よほど重要な話なのだろうと良一はあたりをつける。
「さて、この場には他に耳はない」
ボウスはそう前置きしてから、顎に手をやり溜めをつくってから口を開いた。
「……邪神は強かったか?」
邪神の件については、一般人に与える影響があまりに大きいため、箝口令が敷かれているはずだった。
それなのに、ボウスは明らかに先日の帝都での戦いを知っている様子だ。
「どうして我が輩が知っているのか不思議か?」
「……そうですね。帝国政府は詳細を明らかにしていないはずですし」
「簡単だ。帝都から国が簡単に滅びそうなほど強い力を感じたからな。そんな力を持つのは神だけだ。そして、それほどの力をむやみに揮うふざけた神は、邪神くらいしかいない」
少し剣を交えただけでココの実力を把握してしまうその眼力と洞察力、それに頭の回転の速さは伊達ではない。
良一はボウスの慧眼に舌を巻いた。
「確かに、邪神が本気を出せば帝都は滅んでいたでしょうね」
「そうだろうな。……だが、お前達にも、邪神が遊ぶくらいの実力はあるんだろう」
その言葉は様々な意味に受け取れる。
良一達の実力は邪神を本気にさせられない程度だった。あるいは、遊び甲斐がある程度には認められた。
どちらにせよ、邪神と渡り合うには良一達が実力不足であることに変わりはないが……
ボウスは邪神の話を聞くまで帰すつもりはなさそうだったので、良一は彼に事のあらましを伝えた。
邪神との戦闘の場に居合わせた二人――キャリーと治療を終えたココも会話に加わり、適宜補足していく。
ボウスはいくつかの質問を挟みながら、三人の話に耳を傾けた。
「なるほどな……。この場にいる者は皆、邪神の脅威に立ち向かったわけだ」
ボウスも、まさかメアやモア、キリカまでもが邪神教団との戦いに巻き込まれたとは思っていなかったらしく、少女達に気遣わしげな目を向ける。
セラとシーアも、モアがそんな怖い思いをしたと初めて知り、慰めるように抱きついた。
良一達は今日まで邪神のことをじっくりとは振り返らなかったので、改めて自分達がいかに幸運だったのかを実感した。
少しばかり重くなった場の雰囲気が落ち着いた頃を見計らい、良一が再び口を開く。
「ボウス様なら、邪神を退けられましたか?」
剣聖の力を借りられれば、邪神にも対抗できたのではないかとの思いから出た言葉だった。
しかし、当のボウスは何を馬鹿な、とでも言わんばかりに肩を竦める。
「そりゃあ無理だろう。我が輩と他の剣聖全員が協力しても、邪神を退けられる可能性はほとんどない」
「剣聖であるボウス様でも、ですか」
「相手は神様だ。我が輩達剣聖も一部の者からは現人神と言われるが、本物には敵わない」
ボウスは息を大きく吐く。
「だが、今お前達から聞いた話で、助言できることがある」
「助言、ですか?」
ボウスはニヤリと笑い言葉を継いだ。
「邪神を倒したいなら、上級神の加護を得るんだ。そして彼らの神器を使いこなし、その身に上級神の神意を宿せ。さすれば邪神相手でも勝ち目はある」
「神意を宿す……?」
その言葉の意図するところがわからず、良一は首をかしげる。
「要は、邪神教団がやっていたようなことをやればいい」
確かに帝都で見た邪神は教団の男の体に取り憑いているみたいだった。良一達にもそれをやれと言うのだろうか。
良一が周囲の反応を窺うと、キャリーはボウスが示した可能性を否定するように首を横に振っている。
「お言葉ですけど、上級神の加護や神器は簡単にもらえるものじゃないわ。それに、神意を宿すなんて……」
「まあ、難しいだろうな。だが、そこのエルフの神官なら〝神降ろし〟を知っているんじゃないか」
ボウスがマアロに問いかけた。
「〝神降ろし〟は本で読んだことしかない」
「邪神と再び事を構えるなら、それくらいしないといけないってこった」
ボウスも冗談だという感じで笑いながら手を振る。
しかし、良一やココやキャリーには、彼の目が〝それぐらいやってみせろ〟と言っているように見えた。
「我が輩も〝神降ろし〟のやり方なんて微塵も知らない。が、邪神話の駄賃として直々に稽古をつけてやる。明日にでも、またこの神殿に来るがいい」
そう言って、ボウスは奥の部屋に去っていった。
剣聖ボウスとの対話を終えた後、マアロが本で読んだ〝神降ろし〟の内容を語った。
その本には、ある神官が修行を重ね自分の体に神を降ろし、その神意をもって神羅万象の力を揮ったという内容だった。
これが後に〝神降ろし〟と呼ばれるようになったらしい。
しかしこれは神話の一つで、真偽のほどは定かではない。
良一は再び邪神に出くわしたらどうすれば良いのか頭を悩ませながら、神殿を後にした。
◆◆◆
「石川男爵、少々お耳に入れたい話が」
侯爵邸に戻ってモア達と遊んでいると、顔に翳を落としたカロスが部屋を訪ねてきた。
その様子から良い知らせではないと直感しつつ、良一はモア達に断りを入れてから廊下に出る。
「カロスさん、どうかしましたか?」
彼はこちらへと言って、良一達が宿泊している一階のゲストルームを出て二階へと上がった。
「父上、石川男爵をお呼びしました」
「入ってくれ」
良一が連れられて来たのは、デル侯爵の執務室であった。
木製の重厚な扉を開けると、魔道具の明かりで手紙を読むデル侯爵がいた。
彼とは昨夜の晩餐会で会ったきりで、今朝の食事でも顔を合わせていない。
「石川男爵、突然呼び出して申し訳ない」
「いえ、どうなさいました」
「帝都からの連絡と、我がデル侯爵家騎士団の諜報部からの報告で、問題が発覚した」
デル侯爵の重々しい口調に、良一は思わず背筋を正して聞き返す。
「問題、ですか?」
「帝都に潜伏していた反宥和派の工作員が十人ほど姿を消したそうだ」
「反宥和派が……」
帝都での邪神騒動は、真相を隠すために、カレスライア王国に対する反宥和派がテロを実行したという話になっているはずだ。
したがって、帝国内では反宥和派への警戒が強まり、締め付けが強くなっている。
「そうだ。当局が動向を掴んでいたうちの数人が帝都を出て、我がデルトランテに潜伏した可能性があると報告があった」
王国と帝国の関係を悪化させようという反宥和派にとって、良一達は格好のターゲットだ。デル侯爵はそれを心配しているのだろう。
だが、良一は反宥和派と聞いても、邪神そのものに比べたらそれほど脅威ではないと思ってしまった。
「既に我が騎士団が潜伏先の目星をつけ、強制捜査を行なっています」
「随分と手際が良いですね」
「帝都から通達があって警戒を強めていたのだ。時代も読めぬ不埒者は、害にしかならないからな。よもや今晩の襲撃はないだろうが、念のため夜間外出は控えてほしい。それから、明日の外出も一時取りやめていただきたい」
立場的にも反対はできないしそうする理由もないので、良一は素直に了承した。
カロスも良一達を不安がらせないように、自信を見せる。
「石川男爵、我がデル侯爵家騎士団は精鋭と自負しております。どうか安心してお休みください」
「ありがとうございます。今日の護衛を見れば、疑いようがありませんよ」
侯爵の執務室を辞してゲストルームに戻った良一は、皆に事情を説明して早めに寝ることにした。
皆明日は外に出られず、侯爵邸で時間を潰さなければならないと知り若干の気落ちが見て取れたが、不満をもらす者はいない。
危険が迫っているというのだから当然だ。
デル侯爵やカロスを信じてはいるが、良一とココとキャリーの三人は、万が一のために武器をすぐ手に取れる位置に置いてベッドに入ることにした。
「良一兄ちゃん、お休み!」
「良一兄さん、お休みなさい」
「また明日、良一」
「ああ、お休み」
モア、メア、キリカの順に挨拶を交わし、部屋の灯りを消す。
帝都で邪神の一件があってから、モアは寝る前に良一の顔を見ないと不安がるようになった。だから良一は、毎晩こうして寝る前に寝室を訪ねるようにしていた。
「じゃあココ、あとはよろしく。みっちゃんも、今夜はここに残ってくれ」
普段、アンドロイドのみっちゃんは良一の部屋にいることが多いが、有事の際に子供達を守れるように、今夜はモア達のそばで夜を明かしてもらう。
睡眠が一切必要ない彼女は、夜間警戒に最適なのだ。
「お任せください」
「何かあったらすぐに知らせます。良一さん、キャリーさん、お休みなさい」
みっちゃんとココに挨拶して、キャリーと一緒に自分達の部屋に行こうと廊下に出ると、二人の少女が行く手を遮った。
セラとシーアだ。
「どうした、二人とも」
「モアに不安を与えたくないから」
「そうなのです」
セラとシーアはモアに対しては積極的に話しかけるが、他の者とは一歩距離を置いていたため、こうしてモアがいない場で目の前に現れたことに、良一は驚いた。
キャリーも意外だったようで、良一と二人して顔を見合わせる。
なんの用かと訝しんでいると、突然、セラが警告めいた言葉を口にした。
「この町に〝聖霊喰らい〟がいるわよ」
「セイレイ喰らい? それってつまり……セラとかシーアみたいな精霊を、食べてしまうのか?」
馴染みのない言葉に首を傾げる良一に、シーアが補足する。
「認識としてはそれで合ってるです。でも〝聖霊喰らい〟は私達のような精霊だけでなく、ゴッドギフトや聖獣も取り込んでしまうのです」
良一はいまいち想像ができず、キャリーに尋ねた。
「キャリーさんは知っていますか?」
「ええ。でも、あくまでそういう奴が存在するという噂を耳にしただけだけど」
しかしキャリーの険しい表情から察するに、結構危ない存在らしい。
「私もA級冒険者として長く活動してきたけど、はっきり言って〝聖霊喰らい〟は酒場の与太話程度にしか聞かない。今までに見たこともないから、対策の立てようもないわね」
「精霊や聖獣を取り込むってなると、かなりやばそうですよね」
良一は身を引き締めてセラとシーアに向き直る。
「二人ともどうして〝聖霊喰らい〟がいるってわかるんだ?」
「ついさっき、外で〝聖霊喰らい〟が戦っている気配を感じたの。近くにはいないみたいだけど」
「でも、ほんのわずかに力を解放しただけなのです。詳しい場所までは……」
既に戦闘が始まっている可能性があると知り、二人の緊張感も高まる。
「キャリーさん、この情報はカロスさんに伝達した方がいいですよね」
「そうね。本当に〝聖霊喰らい〟がいるなら、町に深刻な影響が出かねないわ。そうなる前に……」
キャリーが言いかけたところで、何やら騒々しい声が聞こえてきた。
副長のナタリアと騎士が数名、バタバタと廊下を駆けていく。
そこへ、騒ぎを聞きつけて出てきたらしいカロスがやってきた。
険しい顔つきで騎士とやり取りしている。
「状況を報告しろ!」
「第一小隊が全滅し、応援に向かわせた第二第三小隊が半壊に追い込まれています! 伝令の話では、敵は一人のようなのですが……」
「なんだと……!? 至急剣聖ボウス様の神殿と、貨幣の神ビエス様の神殿に向かい、神殿騎士の応援を要請しろ! それから、戦えない者は付近の住民の避難誘導に当たらせろ!」
このような状況でも、カロスは複数の騎士に的確な指示を出し、騎士達も己の役目を果たそうと迅速に動いている。
「「「かしこまりました!」」」
騎士達が慌ただしく動き出す中、カロスの視線が良一達を捉えた。
「石川男爵、現在デルトランテは危険な状況にあります。お部屋にて待機ください」
「その件で、カロスさんにお伝えしたい情報が……」
良一が聞いたばかりの〝聖霊喰らい〟について話すと、カロスはにわかに信じがたい様子だったが、情報源がセラとシーアの二人だと知って表情を引き締めた。
「重要な情報をありがとうございます。父とも相談して対処します」
「俺達も助力させてもらいます」
「ありがたい申し出なのですが、我が騎士団にも神器使いがいますので、ご心配は無用です。今はデル侯爵家の力を信じてください。しかし状況が状況です、ご自身の身の安全の確保を最優先でお願いします」
「わかりました。何か協力できることがあったら、遠慮なく言ってください」
強い決意のこもったカロスの言葉に、これ以上彼の時間を奪えないと感じた良一達は、言われた通り自分達の安全を第一に行動することにした。
「良一君、万が一〝聖霊喰らい〟が反宥和派に与しているなら、きっと目的は特別交渉官という肩書きを持つあなたよ」
キャリーが心配そうに良一を見た。
「帝都で厳重に警備されているスマル王女達よりは、狙いやすいですしね……。でも、もし俺が目的だとしたら、下手に侯爵邸に閉じこもると余計に被害が大きくなるかもしれません。いっそ俺が出ていった方が……」
だがカロスの言葉を受けて任せると言った手前、独断行動をしては彼の顔を潰してしまう。必然的に、今の良一にできることは限られている。
「私はモアの身だけは何があっても守るわ」
「大精霊の実力を思い知らせてやるです」
セラとシーアはやる気満々のようだ。
女性陣の部屋に戻って扉をノックすると、すぐにみっちゃんが顔を出した。
「マスター、お呼びでしょうか」
「みっちゃん、すまないけど、メア達を起こさないように、静かにココとマアロを呼んできてくれないか」
ほどなくして、ココとマアロが出てきた。
「良一さん、どうかしたんですか? 少し外が騒がしいみたいですけど」
「早く寝たい」
緊張をにじませるココと、不満そうに寝ぼけ眼をこすってあくびするマアロ。
「ああ、ちょっとまずい状況だ」
良一は簡潔に現状を告げる。
「〝聖霊喰らい〟なんて、物語の中の存在だと思っていました。それがデルトランテに来るなんて……」
「神殿でも噂しか聞いたことがない」
ココもマアロも信じられないとばかりに目を見開く。
「それでも、実際に邪神とやり合った経験を踏まえると信じないわけにはいかないわね」
キャリーが苦笑する。
その時――ドンッという大きな音が、あたりに響き渡った。
「敵性存在がこちらに近づいてきます。南方向から、距離およそ七百メートル」
「〝聖霊喰らい〟なのです」
みっちゃんの警告にシーアが反応した。
「……くそ! うかうかしていると屋敷に乗り込まれるぞ。明らかに敵が迫っているのに、待っていることしかできないなんて……」
身動きが取れないもどかしさから、良一は歯噛みする。
「良一さん、キャリーさん、狭い屋敷でメアちゃん達を守りながら戦うより、外に出て万全の態勢で迎え撃った方が良いのではないでしょうか」
「そうね。結果的に、それが自分の身を守ることに繋がるわ」
ココの提案に、キャリーがウィンクして応えた。
「……そうか。それもそうだな! よし、みっちゃん、ここを頼む!」
一瞬視線を交わして互いの意思を確認してから、一行は急いでエントランスに向かう。
エントランスの扉は開け放たれており、武装した騎士達が外へ走っていくのが見えた。
一方、外からは負傷者が次々と運び込まれ、エントランスホールはさながら野戦病院の様相を呈している。
いずれの騎士達の表情にも鬼気迫るものがあり、状況が切迫していることが窺える。
すかさずマアロが怪我をしている騎士に回復魔法をかけはじめた。
良一はキャリーとココを連れて外に出て、走って戦闘区域を目指す。
「凄まじいわね」
キャリーの言葉が全てを物語っていた。
侯爵邸前の広場から町の南門へと続くメインストリートを、何者かがこちらに向かって歩いてきている。
「あれが〝聖霊喰らい〟か……!?」
良一の視線の先にあるのは、取り囲む騎士をたった一人で圧倒する男の姿だった。
〝聖霊喰らい〟の進行を止めようと騎士達が斬りかかるが、武器が対象を捉えたと思った瞬間、どういうわけか騎士の方が弾き飛ばされる。
すかさずカロスが大声で指示を出し、それに従って騎士達が魔法などを次々と浴びせた。
それでも〝聖霊喰らい〟にダメージを与えられない。
「剣も魔法もダメなんて、どうなっているんでしょうか……」
半ば呆れ気味のココに、良一も頷いて応える。
「本当だ。防御している様子もまるでないのに……。キャリーさん、あれってどういう理屈ですか!?」
「さっぱりわからないわ。けど〝聖霊喰らい〟なんだから、なんらかの特殊能力を持っていてもおかしくない」
〝聖霊喰らい〟は灰色の髪をオールバックに撫でつけた、狡猾そうな目つきの三十代の男だ。頬はこけていてやせ型。シンプルなデザインの半袖の服から出ている腕や顔は普通の人間のもので、獣人種ではなさそうだ。
武器や鎧は一切身につけておらず、背中にも何も背負っていない。強いて言うなら、重そうなブーツを履いていて、ズボンのポケットが妙に膨れ上がっているくらいである。
一般人として街中を歩いていてもおかしくない――そんな印象の男だ。
三人が駆け寄ると、今まで無表情で歩いていた襲撃者が騎士の囲い越しにまっすぐ良一を見据えた。
「お前、石川良一だな」
〝聖霊喰らい〟の口から出た名前に驚いて、カロスが振り返る。彼は良一の姿を認めると、複雑な表情を浮かべた。
だがそれも一瞬で、指揮官として目の前の脅威を排除するのが先だと判断したらしく、騎士団への指示出しに専念する。
「お前に恨みはないが依頼なんだ。石川良一、お前の命をもらいうける」
「はいわかりました、とは言えないな」
この短い会話の間にも無数の剣や魔法が〝聖霊喰らい〟に命中しているのだが、彼はそれを意にも介していない。
「許可など必要ない」
「なら、一つだけ質問をいいか? あんたは〝聖霊喰らい〟でいいんだよな?」
良一が尋ねると、襲撃者の男は目を細めた。
だがよく見ると決着がつく直前のココの言葉通り、ボウスの服の脇腹の辺りが少しだけ切れていた。
「確かに、その剣は届いた」
かろうじて意識の残るココは、ボウスのその言葉を聞いてから降参を宣言した。
「参り……ました……」
崩れ落ちたココにマアロが駆け寄り、回復魔法をかけて治療を施す。
そんな中、ボウスは広間にいる神官に声をかけて人払いした。
「少しだけこいつらと話がしたい」
神官がいなくなった後もカロスは良一達の近くに残っていたが、ボウスの視線を感じて護衛の騎士とともに出ていった。
カロスにも聞かせられないとは、よほど重要な話なのだろうと良一はあたりをつける。
「さて、この場には他に耳はない」
ボウスはそう前置きしてから、顎に手をやり溜めをつくってから口を開いた。
「……邪神は強かったか?」
邪神の件については、一般人に与える影響があまりに大きいため、箝口令が敷かれているはずだった。
それなのに、ボウスは明らかに先日の帝都での戦いを知っている様子だ。
「どうして我が輩が知っているのか不思議か?」
「……そうですね。帝国政府は詳細を明らかにしていないはずですし」
「簡単だ。帝都から国が簡単に滅びそうなほど強い力を感じたからな。そんな力を持つのは神だけだ。そして、それほどの力をむやみに揮うふざけた神は、邪神くらいしかいない」
少し剣を交えただけでココの実力を把握してしまうその眼力と洞察力、それに頭の回転の速さは伊達ではない。
良一はボウスの慧眼に舌を巻いた。
「確かに、邪神が本気を出せば帝都は滅んでいたでしょうね」
「そうだろうな。……だが、お前達にも、邪神が遊ぶくらいの実力はあるんだろう」
その言葉は様々な意味に受け取れる。
良一達の実力は邪神を本気にさせられない程度だった。あるいは、遊び甲斐がある程度には認められた。
どちらにせよ、邪神と渡り合うには良一達が実力不足であることに変わりはないが……
ボウスは邪神の話を聞くまで帰すつもりはなさそうだったので、良一は彼に事のあらましを伝えた。
邪神との戦闘の場に居合わせた二人――キャリーと治療を終えたココも会話に加わり、適宜補足していく。
ボウスはいくつかの質問を挟みながら、三人の話に耳を傾けた。
「なるほどな……。この場にいる者は皆、邪神の脅威に立ち向かったわけだ」
ボウスも、まさかメアやモア、キリカまでもが邪神教団との戦いに巻き込まれたとは思っていなかったらしく、少女達に気遣わしげな目を向ける。
セラとシーアも、モアがそんな怖い思いをしたと初めて知り、慰めるように抱きついた。
良一達は今日まで邪神のことをじっくりとは振り返らなかったので、改めて自分達がいかに幸運だったのかを実感した。
少しばかり重くなった場の雰囲気が落ち着いた頃を見計らい、良一が再び口を開く。
「ボウス様なら、邪神を退けられましたか?」
剣聖の力を借りられれば、邪神にも対抗できたのではないかとの思いから出た言葉だった。
しかし、当のボウスは何を馬鹿な、とでも言わんばかりに肩を竦める。
「そりゃあ無理だろう。我が輩と他の剣聖全員が協力しても、邪神を退けられる可能性はほとんどない」
「剣聖であるボウス様でも、ですか」
「相手は神様だ。我が輩達剣聖も一部の者からは現人神と言われるが、本物には敵わない」
ボウスは息を大きく吐く。
「だが、今お前達から聞いた話で、助言できることがある」
「助言、ですか?」
ボウスはニヤリと笑い言葉を継いだ。
「邪神を倒したいなら、上級神の加護を得るんだ。そして彼らの神器を使いこなし、その身に上級神の神意を宿せ。さすれば邪神相手でも勝ち目はある」
「神意を宿す……?」
その言葉の意図するところがわからず、良一は首をかしげる。
「要は、邪神教団がやっていたようなことをやればいい」
確かに帝都で見た邪神は教団の男の体に取り憑いているみたいだった。良一達にもそれをやれと言うのだろうか。
良一が周囲の反応を窺うと、キャリーはボウスが示した可能性を否定するように首を横に振っている。
「お言葉ですけど、上級神の加護や神器は簡単にもらえるものじゃないわ。それに、神意を宿すなんて……」
「まあ、難しいだろうな。だが、そこのエルフの神官なら〝神降ろし〟を知っているんじゃないか」
ボウスがマアロに問いかけた。
「〝神降ろし〟は本で読んだことしかない」
「邪神と再び事を構えるなら、それくらいしないといけないってこった」
ボウスも冗談だという感じで笑いながら手を振る。
しかし、良一やココやキャリーには、彼の目が〝それぐらいやってみせろ〟と言っているように見えた。
「我が輩も〝神降ろし〟のやり方なんて微塵も知らない。が、邪神話の駄賃として直々に稽古をつけてやる。明日にでも、またこの神殿に来るがいい」
そう言って、ボウスは奥の部屋に去っていった。
剣聖ボウスとの対話を終えた後、マアロが本で読んだ〝神降ろし〟の内容を語った。
その本には、ある神官が修行を重ね自分の体に神を降ろし、その神意をもって神羅万象の力を揮ったという内容だった。
これが後に〝神降ろし〟と呼ばれるようになったらしい。
しかしこれは神話の一つで、真偽のほどは定かではない。
良一は再び邪神に出くわしたらどうすれば良いのか頭を悩ませながら、神殿を後にした。
◆◆◆
「石川男爵、少々お耳に入れたい話が」
侯爵邸に戻ってモア達と遊んでいると、顔に翳を落としたカロスが部屋を訪ねてきた。
その様子から良い知らせではないと直感しつつ、良一はモア達に断りを入れてから廊下に出る。
「カロスさん、どうかしましたか?」
彼はこちらへと言って、良一達が宿泊している一階のゲストルームを出て二階へと上がった。
「父上、石川男爵をお呼びしました」
「入ってくれ」
良一が連れられて来たのは、デル侯爵の執務室であった。
木製の重厚な扉を開けると、魔道具の明かりで手紙を読むデル侯爵がいた。
彼とは昨夜の晩餐会で会ったきりで、今朝の食事でも顔を合わせていない。
「石川男爵、突然呼び出して申し訳ない」
「いえ、どうなさいました」
「帝都からの連絡と、我がデル侯爵家騎士団の諜報部からの報告で、問題が発覚した」
デル侯爵の重々しい口調に、良一は思わず背筋を正して聞き返す。
「問題、ですか?」
「帝都に潜伏していた反宥和派の工作員が十人ほど姿を消したそうだ」
「反宥和派が……」
帝都での邪神騒動は、真相を隠すために、カレスライア王国に対する反宥和派がテロを実行したという話になっているはずだ。
したがって、帝国内では反宥和派への警戒が強まり、締め付けが強くなっている。
「そうだ。当局が動向を掴んでいたうちの数人が帝都を出て、我がデルトランテに潜伏した可能性があると報告があった」
王国と帝国の関係を悪化させようという反宥和派にとって、良一達は格好のターゲットだ。デル侯爵はそれを心配しているのだろう。
だが、良一は反宥和派と聞いても、邪神そのものに比べたらそれほど脅威ではないと思ってしまった。
「既に我が騎士団が潜伏先の目星をつけ、強制捜査を行なっています」
「随分と手際が良いですね」
「帝都から通達があって警戒を強めていたのだ。時代も読めぬ不埒者は、害にしかならないからな。よもや今晩の襲撃はないだろうが、念のため夜間外出は控えてほしい。それから、明日の外出も一時取りやめていただきたい」
立場的にも反対はできないしそうする理由もないので、良一は素直に了承した。
カロスも良一達を不安がらせないように、自信を見せる。
「石川男爵、我がデル侯爵家騎士団は精鋭と自負しております。どうか安心してお休みください」
「ありがとうございます。今日の護衛を見れば、疑いようがありませんよ」
侯爵の執務室を辞してゲストルームに戻った良一は、皆に事情を説明して早めに寝ることにした。
皆明日は外に出られず、侯爵邸で時間を潰さなければならないと知り若干の気落ちが見て取れたが、不満をもらす者はいない。
危険が迫っているというのだから当然だ。
デル侯爵やカロスを信じてはいるが、良一とココとキャリーの三人は、万が一のために武器をすぐ手に取れる位置に置いてベッドに入ることにした。
「良一兄ちゃん、お休み!」
「良一兄さん、お休みなさい」
「また明日、良一」
「ああ、お休み」
モア、メア、キリカの順に挨拶を交わし、部屋の灯りを消す。
帝都で邪神の一件があってから、モアは寝る前に良一の顔を見ないと不安がるようになった。だから良一は、毎晩こうして寝る前に寝室を訪ねるようにしていた。
「じゃあココ、あとはよろしく。みっちゃんも、今夜はここに残ってくれ」
普段、アンドロイドのみっちゃんは良一の部屋にいることが多いが、有事の際に子供達を守れるように、今夜はモア達のそばで夜を明かしてもらう。
睡眠が一切必要ない彼女は、夜間警戒に最適なのだ。
「お任せください」
「何かあったらすぐに知らせます。良一さん、キャリーさん、お休みなさい」
みっちゃんとココに挨拶して、キャリーと一緒に自分達の部屋に行こうと廊下に出ると、二人の少女が行く手を遮った。
セラとシーアだ。
「どうした、二人とも」
「モアに不安を与えたくないから」
「そうなのです」
セラとシーアはモアに対しては積極的に話しかけるが、他の者とは一歩距離を置いていたため、こうしてモアがいない場で目の前に現れたことに、良一は驚いた。
キャリーも意外だったようで、良一と二人して顔を見合わせる。
なんの用かと訝しんでいると、突然、セラが警告めいた言葉を口にした。
「この町に〝聖霊喰らい〟がいるわよ」
「セイレイ喰らい? それってつまり……セラとかシーアみたいな精霊を、食べてしまうのか?」
馴染みのない言葉に首を傾げる良一に、シーアが補足する。
「認識としてはそれで合ってるです。でも〝聖霊喰らい〟は私達のような精霊だけでなく、ゴッドギフトや聖獣も取り込んでしまうのです」
良一はいまいち想像ができず、キャリーに尋ねた。
「キャリーさんは知っていますか?」
「ええ。でも、あくまでそういう奴が存在するという噂を耳にしただけだけど」
しかしキャリーの険しい表情から察するに、結構危ない存在らしい。
「私もA級冒険者として長く活動してきたけど、はっきり言って〝聖霊喰らい〟は酒場の与太話程度にしか聞かない。今までに見たこともないから、対策の立てようもないわね」
「精霊や聖獣を取り込むってなると、かなりやばそうですよね」
良一は身を引き締めてセラとシーアに向き直る。
「二人ともどうして〝聖霊喰らい〟がいるってわかるんだ?」
「ついさっき、外で〝聖霊喰らい〟が戦っている気配を感じたの。近くにはいないみたいだけど」
「でも、ほんのわずかに力を解放しただけなのです。詳しい場所までは……」
既に戦闘が始まっている可能性があると知り、二人の緊張感も高まる。
「キャリーさん、この情報はカロスさんに伝達した方がいいですよね」
「そうね。本当に〝聖霊喰らい〟がいるなら、町に深刻な影響が出かねないわ。そうなる前に……」
キャリーが言いかけたところで、何やら騒々しい声が聞こえてきた。
副長のナタリアと騎士が数名、バタバタと廊下を駆けていく。
そこへ、騒ぎを聞きつけて出てきたらしいカロスがやってきた。
険しい顔つきで騎士とやり取りしている。
「状況を報告しろ!」
「第一小隊が全滅し、応援に向かわせた第二第三小隊が半壊に追い込まれています! 伝令の話では、敵は一人のようなのですが……」
「なんだと……!? 至急剣聖ボウス様の神殿と、貨幣の神ビエス様の神殿に向かい、神殿騎士の応援を要請しろ! それから、戦えない者は付近の住民の避難誘導に当たらせろ!」
このような状況でも、カロスは複数の騎士に的確な指示を出し、騎士達も己の役目を果たそうと迅速に動いている。
「「「かしこまりました!」」」
騎士達が慌ただしく動き出す中、カロスの視線が良一達を捉えた。
「石川男爵、現在デルトランテは危険な状況にあります。お部屋にて待機ください」
「その件で、カロスさんにお伝えしたい情報が……」
良一が聞いたばかりの〝聖霊喰らい〟について話すと、カロスはにわかに信じがたい様子だったが、情報源がセラとシーアの二人だと知って表情を引き締めた。
「重要な情報をありがとうございます。父とも相談して対処します」
「俺達も助力させてもらいます」
「ありがたい申し出なのですが、我が騎士団にも神器使いがいますので、ご心配は無用です。今はデル侯爵家の力を信じてください。しかし状況が状況です、ご自身の身の安全の確保を最優先でお願いします」
「わかりました。何か協力できることがあったら、遠慮なく言ってください」
強い決意のこもったカロスの言葉に、これ以上彼の時間を奪えないと感じた良一達は、言われた通り自分達の安全を第一に行動することにした。
「良一君、万が一〝聖霊喰らい〟が反宥和派に与しているなら、きっと目的は特別交渉官という肩書きを持つあなたよ」
キャリーが心配そうに良一を見た。
「帝都で厳重に警備されているスマル王女達よりは、狙いやすいですしね……。でも、もし俺が目的だとしたら、下手に侯爵邸に閉じこもると余計に被害が大きくなるかもしれません。いっそ俺が出ていった方が……」
だがカロスの言葉を受けて任せると言った手前、独断行動をしては彼の顔を潰してしまう。必然的に、今の良一にできることは限られている。
「私はモアの身だけは何があっても守るわ」
「大精霊の実力を思い知らせてやるです」
セラとシーアはやる気満々のようだ。
女性陣の部屋に戻って扉をノックすると、すぐにみっちゃんが顔を出した。
「マスター、お呼びでしょうか」
「みっちゃん、すまないけど、メア達を起こさないように、静かにココとマアロを呼んできてくれないか」
ほどなくして、ココとマアロが出てきた。
「良一さん、どうかしたんですか? 少し外が騒がしいみたいですけど」
「早く寝たい」
緊張をにじませるココと、不満そうに寝ぼけ眼をこすってあくびするマアロ。
「ああ、ちょっとまずい状況だ」
良一は簡潔に現状を告げる。
「〝聖霊喰らい〟なんて、物語の中の存在だと思っていました。それがデルトランテに来るなんて……」
「神殿でも噂しか聞いたことがない」
ココもマアロも信じられないとばかりに目を見開く。
「それでも、実際に邪神とやり合った経験を踏まえると信じないわけにはいかないわね」
キャリーが苦笑する。
その時――ドンッという大きな音が、あたりに響き渡った。
「敵性存在がこちらに近づいてきます。南方向から、距離およそ七百メートル」
「〝聖霊喰らい〟なのです」
みっちゃんの警告にシーアが反応した。
「……くそ! うかうかしていると屋敷に乗り込まれるぞ。明らかに敵が迫っているのに、待っていることしかできないなんて……」
身動きが取れないもどかしさから、良一は歯噛みする。
「良一さん、キャリーさん、狭い屋敷でメアちゃん達を守りながら戦うより、外に出て万全の態勢で迎え撃った方が良いのではないでしょうか」
「そうね。結果的に、それが自分の身を守ることに繋がるわ」
ココの提案に、キャリーがウィンクして応えた。
「……そうか。それもそうだな! よし、みっちゃん、ここを頼む!」
一瞬視線を交わして互いの意思を確認してから、一行は急いでエントランスに向かう。
エントランスの扉は開け放たれており、武装した騎士達が外へ走っていくのが見えた。
一方、外からは負傷者が次々と運び込まれ、エントランスホールはさながら野戦病院の様相を呈している。
いずれの騎士達の表情にも鬼気迫るものがあり、状況が切迫していることが窺える。
すかさずマアロが怪我をしている騎士に回復魔法をかけはじめた。
良一はキャリーとココを連れて外に出て、走って戦闘区域を目指す。
「凄まじいわね」
キャリーの言葉が全てを物語っていた。
侯爵邸前の広場から町の南門へと続くメインストリートを、何者かがこちらに向かって歩いてきている。
「あれが〝聖霊喰らい〟か……!?」
良一の視線の先にあるのは、取り囲む騎士をたった一人で圧倒する男の姿だった。
〝聖霊喰らい〟の進行を止めようと騎士達が斬りかかるが、武器が対象を捉えたと思った瞬間、どういうわけか騎士の方が弾き飛ばされる。
すかさずカロスが大声で指示を出し、それに従って騎士達が魔法などを次々と浴びせた。
それでも〝聖霊喰らい〟にダメージを与えられない。
「剣も魔法もダメなんて、どうなっているんでしょうか……」
半ば呆れ気味のココに、良一も頷いて応える。
「本当だ。防御している様子もまるでないのに……。キャリーさん、あれってどういう理屈ですか!?」
「さっぱりわからないわ。けど〝聖霊喰らい〟なんだから、なんらかの特殊能力を持っていてもおかしくない」
〝聖霊喰らい〟は灰色の髪をオールバックに撫でつけた、狡猾そうな目つきの三十代の男だ。頬はこけていてやせ型。シンプルなデザインの半袖の服から出ている腕や顔は普通の人間のもので、獣人種ではなさそうだ。
武器や鎧は一切身につけておらず、背中にも何も背負っていない。強いて言うなら、重そうなブーツを履いていて、ズボンのポケットが妙に膨れ上がっているくらいである。
一般人として街中を歩いていてもおかしくない――そんな印象の男だ。
三人が駆け寄ると、今まで無表情で歩いていた襲撃者が騎士の囲い越しにまっすぐ良一を見据えた。
「お前、石川良一だな」
〝聖霊喰らい〟の口から出た名前に驚いて、カロスが振り返る。彼は良一の姿を認めると、複雑な表情を浮かべた。
だがそれも一瞬で、指揮官として目の前の脅威を排除するのが先だと判断したらしく、騎士団への指示出しに専念する。
「お前に恨みはないが依頼なんだ。石川良一、お前の命をもらいうける」
「はいわかりました、とは言えないな」
この短い会話の間にも無数の剣や魔法が〝聖霊喰らい〟に命中しているのだが、彼はそれを意にも介していない。
「許可など必要ない」
「なら、一つだけ質問をいいか? あんたは〝聖霊喰らい〟でいいんだよな?」
良一が尋ねると、襲撃者の男は目を細めた。
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