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第1話
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大学生の河井優人は、平日の午前中にゲームショップの前に出来た4人の行列の中にいた。
「まだかな、開店まであと5分。その5分が長すぎる」
今日は、第1作目からすでに20年以上が経つゲームシリーズの最新作の発売日である。
大学生という自由のきく身分で、大学の講義をサボり開店3時間前から並んでいる優人のゲームへの期待は極限にまで高まっていた。
「やっぱり、最初に声優のMANAが声をあてている幼馴染のヒロインをメインに楽しみたいな」
公式サイトやゲーム情報誌、様々なメディアから集めた情報で、メインヒロインが8人いる中で、正男が大好きな声優であるMANAが声をあてている幼馴染のヒロインは見た目も、正男の好きなポニーテールでまさに
「ありがとうございます」
つい、独り言の声が大きくなり、一緒に並んでいる見ず知らずの他の3人が視線で抗議してくる。
「あっ、あの、すいましぇん」
大学でもボッチでコミュニケーション能力が低い、内気な青年には、他人の視線はとても鋭い刃物である。
「お待たせしました」
店員が、ショップの入り口の鍵を開け、声をかけてきた。
「ふふふふふ。遂に手に入れたぞー」
優人は、ニヤつきながらショップから住んでいるアパートに帰り、3階の自分の部屋へと若干危ない顔をしながら階段を上り、2階部分で人とすれ違いになった時に真っ白な光に包まれた。
「なっ、なんじゃこりゃ~」
「うわ、なんだこれ」
そして、優人ともう1人の足下に幾何学模様の魔法陣のようなものが現れると、優人の視界はブラックアウトした。
「やあやあ、[勇者]神宮司翔くん。君は異世界[ダクトリム]のとある王国の勇者召喚で今まさに召喚されそうになっている」
優人の視界が、だんだん見えるようになり飛び込んできた光景は、白い正方形の部屋の中のようだ。そこに全身がうっすらと光輝いている金髪碧眼のイケメン細マッチョと、先ほど階段ですれ違った、爽やかイケメンが若干困惑しながらも金髪イケメンの話を聞いていた。
「僕は、これからその[ダクトリム]で魔王を倒し、魔王に苦しめられている人々を救えば良いのですね」
「そう、その通りだよ。理解が早くてとても良い」
「じゃあ、早速だけど[ダクトリム]に行ってらっしゃい」
そして、爽やかイケメンの足下に魔法陣が現れて、姿が消えた。
「なんなんだよ。この状況は」
「さあて、勇者を送り出したしゲームの続きをしよっと、ってあれ?」
「どうして、今このタイミングで異世界転移になっちゃうのさー」
優人は地面にうずくまり、嗚咽をあげた。
「ええと、君は一体どうしてここにいるのかな?セイフィールの召喚術式では、召喚される勇者は1人だけだったはずなんだけど」
「いや、ネット小説とかを見て俺も異世界に行きたいって思うけど、タイミングが悪すぎるだろうよ~」
「君、そろそろ自分の世界からこちらの世界に戻って来なよ。ってまあいっか」
そう言って、金髪イケメンは優人の背中に手を当ててきた。
「やっぱりか、君もまた凄い運だね」
金髪イケメンは、1人で納得して何度も頷いている。
「すいませんでした。お見苦しい所を見せて」
優人は、先ほどまでの自分を振り返り急速に頭が冷静になり、金髪イケメンに謝罪した。
「いやいや、大丈夫だよ。召喚される人達の内、3割ほどは君と似たような反応を示すから、立ち直った時間はその人達の中でも早いほうだよ」
金髪イケメンは、白い歯が覗く爽やかな笑顔でそう言ってくれた。
「あの、僕はやっぱり異世界に転移するんですか?いや転生のほうですか?」
「そうだね、そこら辺も含めて話をしないといけないね」
「君の場合は、話が長くなりそうだから、座ってから説明しようか」
そう言って金髪イケメンはパチンと指を鳴らした。すると今まで金髪イケメンと優人しかいない空間だったのに、そこにテーブルとイスが現れた。
「さあ、話を始めようか」
「まだかな、開店まであと5分。その5分が長すぎる」
今日は、第1作目からすでに20年以上が経つゲームシリーズの最新作の発売日である。
大学生という自由のきく身分で、大学の講義をサボり開店3時間前から並んでいる優人のゲームへの期待は極限にまで高まっていた。
「やっぱり、最初に声優のMANAが声をあてている幼馴染のヒロインをメインに楽しみたいな」
公式サイトやゲーム情報誌、様々なメディアから集めた情報で、メインヒロインが8人いる中で、正男が大好きな声優であるMANAが声をあてている幼馴染のヒロインは見た目も、正男の好きなポニーテールでまさに
「ありがとうございます」
つい、独り言の声が大きくなり、一緒に並んでいる見ず知らずの他の3人が視線で抗議してくる。
「あっ、あの、すいましぇん」
大学でもボッチでコミュニケーション能力が低い、内気な青年には、他人の視線はとても鋭い刃物である。
「お待たせしました」
店員が、ショップの入り口の鍵を開け、声をかけてきた。
「ふふふふふ。遂に手に入れたぞー」
優人は、ニヤつきながらショップから住んでいるアパートに帰り、3階の自分の部屋へと若干危ない顔をしながら階段を上り、2階部分で人とすれ違いになった時に真っ白な光に包まれた。
「なっ、なんじゃこりゃ~」
「うわ、なんだこれ」
そして、優人ともう1人の足下に幾何学模様の魔法陣のようなものが現れると、優人の視界はブラックアウトした。
「やあやあ、[勇者]神宮司翔くん。君は異世界[ダクトリム]のとある王国の勇者召喚で今まさに召喚されそうになっている」
優人の視界が、だんだん見えるようになり飛び込んできた光景は、白い正方形の部屋の中のようだ。そこに全身がうっすらと光輝いている金髪碧眼のイケメン細マッチョと、先ほど階段ですれ違った、爽やかイケメンが若干困惑しながらも金髪イケメンの話を聞いていた。
「僕は、これからその[ダクトリム]で魔王を倒し、魔王に苦しめられている人々を救えば良いのですね」
「そう、その通りだよ。理解が早くてとても良い」
「じゃあ、早速だけど[ダクトリム]に行ってらっしゃい」
そして、爽やかイケメンの足下に魔法陣が現れて、姿が消えた。
「なんなんだよ。この状況は」
「さあて、勇者を送り出したしゲームの続きをしよっと、ってあれ?」
「どうして、今このタイミングで異世界転移になっちゃうのさー」
優人は地面にうずくまり、嗚咽をあげた。
「ええと、君は一体どうしてここにいるのかな?セイフィールの召喚術式では、召喚される勇者は1人だけだったはずなんだけど」
「いや、ネット小説とかを見て俺も異世界に行きたいって思うけど、タイミングが悪すぎるだろうよ~」
「君、そろそろ自分の世界からこちらの世界に戻って来なよ。ってまあいっか」
そう言って、金髪イケメンは優人の背中に手を当ててきた。
「やっぱりか、君もまた凄い運だね」
金髪イケメンは、1人で納得して何度も頷いている。
「すいませんでした。お見苦しい所を見せて」
優人は、先ほどまでの自分を振り返り急速に頭が冷静になり、金髪イケメンに謝罪した。
「いやいや、大丈夫だよ。召喚される人達の内、3割ほどは君と似たような反応を示すから、立ち直った時間はその人達の中でも早いほうだよ」
金髪イケメンは、白い歯が覗く爽やかな笑顔でそう言ってくれた。
「あの、僕はやっぱり異世界に転移するんですか?いや転生のほうですか?」
「そうだね、そこら辺も含めて話をしないといけないね」
「君の場合は、話が長くなりそうだから、座ってから説明しようか」
そう言って金髪イケメンはパチンと指を鳴らした。すると今まで金髪イケメンと優人しかいない空間だったのに、そこにテーブルとイスが現れた。
「さあ、話を始めようか」
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