異世界に行ったけど、早く地球に戻るんだ

電電世界

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第119話

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 「ここが、騎士団の駐屯所のあった場所なんだけど」

 王都の下層、夕方と言うにはもう遅い時間帯になった頃、優人達5人は目的地に着いたようだが、建ち並ぶ店舗の店先には灯りがなく、誰もいない沈黙した店舗群そこにはあった。

 「ここは、いつの時間も浮浪者や客を待つ奴らがいたんだが誰もいない、不気味すぎる」

 デロックさんがそう説明してくれて、確かにある種の熱気に毎晩包まれていたのであろうことは予想ができるが、現実は不気味なほど静かな地区であった。

 「あそこの酒場にはよく同僚と行っていたんだ」

 デロックさんが指さしたのは店舗がボロボロに壊された一件の建物だった。

 「酷いことをするな」


 そうして辺りを探っていると

 「優人、こっちだ」

 どこからかサロパスタの声が聞こえてくる。

 「今の聞こえた」

 「うん、サロパスタの声だった」

 スノウが答えてくれた。

 声が聞こえた方に足を進めると、黒騎士が何体も倒れている中にサロパスタが剣をぶら下げながら立っていた。

 「早かったな、ようこそ王都へって感じじゃないんだけどな。タイミング的には助かったよ」

 サロパスタが武器をしまいながら、此方に近づいてくる。

 「デロックとナセルがいるから、ここの元駐屯所の近くにいれば合流できると思ってな、考えが当たったわけだ」


 それから、サロパスタに案内されて王都の中層にある一軒の屋敷に向かった。

 「ここは、誰の家なんだ?」

 「ここか、ゴーレンのじーさんの実家だよ。けど今じゃあ家族はじーさんだけだから、暫く空き家だったらしいけどな」

 明かりが灯っていない大きな屋敷だが、サロパスタは辺りを警戒しながら塀の裏口を開けて中に入った。

 ここから、今、拠点にしている場所に行けるんだ。とサロパスタに言われたのは屋敷の隅に建っている物置のような小さな小屋だった。

 「足下が暗いから気をつけろ」

 サロパスタはそう言ってから、扉を開けて地下へと続く階段を降りていった。

 「凄いな」

 「うん、これぞ貴族のお屋敷って感じだね」

 そうして地下に降りる階段をおりきると

 「お久しぶりですね」

 ゴーレンさんが微笑みながら迎え入れてくれた。

 「お久しぶりです。でも悠長に話していられる状況じゃ、ありませんね」

 「ええ、そのことも含めてお話することがあります」


 地下は結構広く、アスカさんやホワイト、リーンもいたが見知らぬ人間もいた。

 「スノウ元気だった」

 近づいてきたスノウにホワイトが話しかけながらペチペチとスノウの体を触っていた。

 「うん、元気、ホワイトも?」

 「もちろん、王都は辛気臭いけど私は元気よ」

そうして仲良く話し合っているところ、獣人の騎士鎧を纏っている人物がこちらにやって来た。

 「この男性が、ゴーレン殿やアスカ元師団長の言っていた本当の勇者か?」

 「ええ、彼が堕勇者のジングウジと同じく、あの召喚陣で呼び寄せてしまった人物です」

 獣人の男性は、それを聞くと優人の目の前に来て跪いた。

 「お初にお目にかかる。王国騎士団第3師団の師団長を務めていたレスニールと申す」

 目の前の人物が、話には聞いていた第3師団の師団長さんらしい、ライオンのようなタテガミと立派なヒゲが貫禄たっぷりである。

 「河井優人です。はじめまして」

 挨拶もそこそこに情報の交換を始めた。 
 
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