36 / 44
7章 青と桜はもゆるが如く
3dbs‐静かな攻防
しおりを挟む
小見川との初対決を終えた貝塚だったが、そう簡単にダンジョンのボスは倒れてくれなかった。
小見川は自分が捕まった理由を聞いてきた。加留部山に捨てられていた焦げ跡のあるボウルに残っていた硫黄の成分と、小見川が硫黄末の購入を申し出たという証言を得られた果樹園で使っている硫黄末の成分が、一致したと答えた。
小見川は嘲笑した。そして、警察が逮捕に至った根拠に対して理路整然と反論した。
まず硫黄末を果樹園で購入したことは認めた。
しかし、それは犯行のためではなく、家庭菜園を始めようとしたためであると主張した。なぜ農業部と嘘をついたのか問われると、部活に励む生徒の熱心さに心惹かれて譲ってもらいやすくするためだと証言した。
実際に小見川家を調べると、自宅の玄関の側に整えられた土の入ったプランターがあり、そこから同じ硫黄の成分が検出された。家庭菜園を始めた理由は家庭菜園の番組を見て真似してみようと思ったからだと答えた。番組名を聞いたが覚えていなかった。
そもそも購入した硫黄末は簡単に入手でき、自分が犯人とは断定できないと主張した。
小見川の言う通り、今回犯行に使われたと思われる硫黄末は広く出回っており、簡単に犯人とは断定できない。
そして、あのボウルがいつ捨てられた物か断定できないこと。あの廃墟から煙が上がっていたからボウルを使っていた、という話にはならない。つまり、小見川はあの場所でボウルを使ってないと断言したのだ。
一方、冴島の方は以前貝塚と増古がファミリーレストランで聞いた話と、クーラーボックスの件について、質問を集中させた。
冴島の父親によれば、父親は釣りが趣味だったと言い、クーラーボックスを持っていたと言う。
ただ以前持っていたクーラーボックスが新しくなっており、加留部山に捨てられていたクーラーボックスは以前持っていたクーラーボックスによく似ていると、苦い顔で証言した。
冴島にそのことを問いただすと、「加留部山に捨てられていたクーラーボックスについては知りません。家にあるクーラーボックスは、自分の部屋に小さな冷蔵庫が欲しくて、代わりに父親が使っていたクーラーボックスを探したけど、見つからなかったので自分の小遣いで買いました。夏が終わって部屋に置いてたら邪魔になってきたので倉庫にしまっていました」と証言した。
湯藤愛美は石滝公園での話を中心に聞いたが、冴島と同じ証言をしていた。
石滝公園へ向かう途中、歩道で座り込んでいたことを問いかけたら、少しお腹が痛くなっただけと説明した。
こうなってくると、もう親子鑑定に頼るしかないわけで、湯藤と冴島にそれを提案したら、あっさり承諾した。その結果が出るまでは、地道に証言や疑惑の裏取りに励むしかない。
5日後、冴島、湯藤と、乳児遺体との間に親子関係があるかどうかの結果が出た。
2人とも、乳児遺体との親子関係は否定された。
小見川は自分が捕まった理由を聞いてきた。加留部山に捨てられていた焦げ跡のあるボウルに残っていた硫黄の成分と、小見川が硫黄末の購入を申し出たという証言を得られた果樹園で使っている硫黄末の成分が、一致したと答えた。
小見川は嘲笑した。そして、警察が逮捕に至った根拠に対して理路整然と反論した。
まず硫黄末を果樹園で購入したことは認めた。
しかし、それは犯行のためではなく、家庭菜園を始めようとしたためであると主張した。なぜ農業部と嘘をついたのか問われると、部活に励む生徒の熱心さに心惹かれて譲ってもらいやすくするためだと証言した。
実際に小見川家を調べると、自宅の玄関の側に整えられた土の入ったプランターがあり、そこから同じ硫黄の成分が検出された。家庭菜園を始めた理由は家庭菜園の番組を見て真似してみようと思ったからだと答えた。番組名を聞いたが覚えていなかった。
そもそも購入した硫黄末は簡単に入手でき、自分が犯人とは断定できないと主張した。
小見川の言う通り、今回犯行に使われたと思われる硫黄末は広く出回っており、簡単に犯人とは断定できない。
そして、あのボウルがいつ捨てられた物か断定できないこと。あの廃墟から煙が上がっていたからボウルを使っていた、という話にはならない。つまり、小見川はあの場所でボウルを使ってないと断言したのだ。
一方、冴島の方は以前貝塚と増古がファミリーレストランで聞いた話と、クーラーボックスの件について、質問を集中させた。
冴島の父親によれば、父親は釣りが趣味だったと言い、クーラーボックスを持っていたと言う。
ただ以前持っていたクーラーボックスが新しくなっており、加留部山に捨てられていたクーラーボックスは以前持っていたクーラーボックスによく似ていると、苦い顔で証言した。
冴島にそのことを問いただすと、「加留部山に捨てられていたクーラーボックスについては知りません。家にあるクーラーボックスは、自分の部屋に小さな冷蔵庫が欲しくて、代わりに父親が使っていたクーラーボックスを探したけど、見つからなかったので自分の小遣いで買いました。夏が終わって部屋に置いてたら邪魔になってきたので倉庫にしまっていました」と証言した。
湯藤愛美は石滝公園での話を中心に聞いたが、冴島と同じ証言をしていた。
石滝公園へ向かう途中、歩道で座り込んでいたことを問いかけたら、少しお腹が痛くなっただけと説明した。
こうなってくると、もう親子鑑定に頼るしかないわけで、湯藤と冴島にそれを提案したら、あっさり承諾した。その結果が出るまでは、地道に証言や疑惑の裏取りに励むしかない。
5日後、冴島、湯藤と、乳児遺体との間に親子関係があるかどうかの結果が出た。
2人とも、乳児遺体との親子関係は否定された。
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる