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後方から鳴った大きな音に一瞥したハクは、鷹が落ちていくのを視界に捉えました。いくら鷹と言えど、スピードの出た状態でぶつかれば、狩りは続行できないはずです。
これで一羽は振り切れるでしょう。あともう一羽、だったのですが、そこでようやく気づきました。後方から追ってくる気配がなかったのです。
速度を落とし、後ろに視線を向けると、鷹の姿は見る影もありませんでした。いつの間にか、もう一羽も振り切っていたのでしょうか。
頭をめぐる考えに意識が向いていたハクは、速度を落としました。すると、ハクの体がゾクリと震えました。突然、視界がかすかに暗くなった気がしたのです。前へ視線を戻したハクは、体が震えた正体を目にしました。
鷹は覆いかぶさろうとするかのように、ハクの目の前で大きく羽を広げていました。ハクは息を呑みました。もう避けられる距離ではありません。鷹の鋭い爪がハクの頭を掴もうとした時でした。
「ハクー!!」
もうダメだと思った瞬間、イザラメの声が聞こえました。鷹が顔を横に向けた時、右目に焼けるような痛みが襲いました。
突っ込むように飛びかかったイザラメの足の爪は、鷹の右目に入ったのです。感じたことのない痛みに動転し、冷静さを失った鷹は脱兎のごとく逃げていきました。
いろんなことが数秒の間に起こり、ハクは呆然としていました。
「ハク。大丈夫か?」
イザラメはまだ冷めやらぬ息を荒くしながら問いかけました。
「イザラメ、なんで?」
イザラメは微笑しました。
「お前のお陰で他の雀に連絡できた。というか、お前が追われてるのを見かけた他の雀が知らせてくれたらしい。それがわかったんで、俺はお前のところへ来たってわけさ」
「じゃあ、ケンゴロウは!?」
イザラメは興奮するハクを制止する。
「おい、落ち着けよ。ここじゃマズい。ひとまず戻ろうぜ」
ハクとイザラメは二羽並んで飛んでいきました。二羽は祭りの後のように話しながら帰っていきます。未だにささやかな雨が降っていました。しかし、空は茜の光を浴びて綺麗な景色が広がっていたのです。その光景を目にしながら、二羽は互いの健闘を称え合い、帰路へ向かうのでした。
ハクとイザラメはみんなと合流し、棲家に戻ってきました。ケンゴロウは、しばらく療養すればまた飛べるようになるそうです。ハクとイザラメは大人雀たちに祝福を受けると同時に、無茶な真似をしたことを怒られました。
ともあれ、みんな無事に帰ってこられました。夜に浮かぶ明かり。ぼんやりと照らされる街の片隅で、雀たちは鳴いていました。葉が奏で、羽音がささやき、管楽器の音のごとく声が響き合うのです。音頭に合わせ、雀たちは楽しげに踊っていました。
失うことのない、今日という日があったこと。それは、雀たちにとって奇跡のような日でした。だからこそ、祝うのです。生きているから羽ばたける。生きているから、悲しくなって、苦しくなる。それでも、喜びも楽しみも、この身が知っています。全身で浴びてきたすべてが、生きている証であると、命の輝くところに踊って、喜び合うのです。
喜び合うみんなの声と踊りを眺めていたハクは、嬉しそうに笑っていました。
「ハク!」
イザラメはハクの背中を叩きました。
「いったーーーー!! イザラメ、痛いよ~! まだ治ってないんだから」
「あはははははっ! ほげぇーってしてるからいけないんだよ」
これからも、ハクは生きていけるでしょう。願った居場所が、目の前にあるのですから。
これで一羽は振り切れるでしょう。あともう一羽、だったのですが、そこでようやく気づきました。後方から追ってくる気配がなかったのです。
速度を落とし、後ろに視線を向けると、鷹の姿は見る影もありませんでした。いつの間にか、もう一羽も振り切っていたのでしょうか。
頭をめぐる考えに意識が向いていたハクは、速度を落としました。すると、ハクの体がゾクリと震えました。突然、視界がかすかに暗くなった気がしたのです。前へ視線を戻したハクは、体が震えた正体を目にしました。
鷹は覆いかぶさろうとするかのように、ハクの目の前で大きく羽を広げていました。ハクは息を呑みました。もう避けられる距離ではありません。鷹の鋭い爪がハクの頭を掴もうとした時でした。
「ハクー!!」
もうダメだと思った瞬間、イザラメの声が聞こえました。鷹が顔を横に向けた時、右目に焼けるような痛みが襲いました。
突っ込むように飛びかかったイザラメの足の爪は、鷹の右目に入ったのです。感じたことのない痛みに動転し、冷静さを失った鷹は脱兎のごとく逃げていきました。
いろんなことが数秒の間に起こり、ハクは呆然としていました。
「ハク。大丈夫か?」
イザラメはまだ冷めやらぬ息を荒くしながら問いかけました。
「イザラメ、なんで?」
イザラメは微笑しました。
「お前のお陰で他の雀に連絡できた。というか、お前が追われてるのを見かけた他の雀が知らせてくれたらしい。それがわかったんで、俺はお前のところへ来たってわけさ」
「じゃあ、ケンゴロウは!?」
イザラメは興奮するハクを制止する。
「おい、落ち着けよ。ここじゃマズい。ひとまず戻ろうぜ」
ハクとイザラメは二羽並んで飛んでいきました。二羽は祭りの後のように話しながら帰っていきます。未だにささやかな雨が降っていました。しかし、空は茜の光を浴びて綺麗な景色が広がっていたのです。その光景を目にしながら、二羽は互いの健闘を称え合い、帰路へ向かうのでした。
ハクとイザラメはみんなと合流し、棲家に戻ってきました。ケンゴロウは、しばらく療養すればまた飛べるようになるそうです。ハクとイザラメは大人雀たちに祝福を受けると同時に、無茶な真似をしたことを怒られました。
ともあれ、みんな無事に帰ってこられました。夜に浮かぶ明かり。ぼんやりと照らされる街の片隅で、雀たちは鳴いていました。葉が奏で、羽音がささやき、管楽器の音のごとく声が響き合うのです。音頭に合わせ、雀たちは楽しげに踊っていました。
失うことのない、今日という日があったこと。それは、雀たちにとって奇跡のような日でした。だからこそ、祝うのです。生きているから羽ばたける。生きているから、悲しくなって、苦しくなる。それでも、喜びも楽しみも、この身が知っています。全身で浴びてきたすべてが、生きている証であると、命の輝くところに踊って、喜び合うのです。
喜び合うみんなの声と踊りを眺めていたハクは、嬉しそうに笑っていました。
「ハク!」
イザラメはハクの背中を叩きました。
「いったーーーー!! イザラメ、痛いよ~! まだ治ってないんだから」
「あはははははっ! ほげぇーってしてるからいけないんだよ」
これからも、ハクは生きていけるでしょう。願った居場所が、目の前にあるのですから。
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