魔性の鬼

蓮ノ葉 睡蓮

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魔性の鬼

最終話 卒業

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似合わない制服

ローファー

スクールバッグ

そしてハーフアップにして軽く巻いた髪

学校に向かうと私の席に人だかりが出来ていた

「遅いよー!写真!撮ろ!」

女子が…たくさん…

「う、うん…」

私は女子と一緒に写真を撮った

撮った後にあることを聞かれた

「魔性の鬼って…」

そう聞かれた時私は笑って

「もう消えちゃったんじゃない?」

そう応えると彼女達は

「そっか…」

と寂しそうにした

「どうしたの?」

そう聞くと彼女達は魔性の鬼がどういうことをしていたのか、ほんとにいたのかが気になっていたらしい

私は素直に応えた

家に居たくなかったから誰かの家に泊めさせてもらおうとしてただけだよ。魔性の鬼はね、親と自分が嫌いだったから……。でもね、居場所を作ってくれた人がいたの…。だから消えちゃった!

そう笑うと彼女達は驚いていた

「嘘!?じゃあほんとに魔性の鬼っていたんだ…!」
「なんで鬼なのー?」

と質問攻めにあったので全部答えるとそうだったんだーと納得した

私は写真を撮った彼女達に招待状を渡した

小さな会場でやる結婚式の…

そう伝えるとまた彼女達は驚いていた

結婚するの!?

と言いたげな目線で…

「結婚するから魔性の鬼はいなくなっちゃったんです!(笑)」

と笑うと彼女達は

「そうだったんだ!」
「じゃあもう魔性の鬼はいなくなっちゃったんだね!もうデマだ!広めよう!」

そう言って何処かへ走っていってしまった






卒業式が終わると許嫁…が迎えにきた
婚姻届を持って

婚姻届を書くと写真を撮った彼女達が来て私に最後にやりたいことがある!と私の手を引き階段を登り始めた

着いたのは屋上

彼女達は先生にお願いして屋上を開けてもらったらしい

最後にやりたいこと…

それは…お昼ご飯だった

私は今まで誰ともお昼ご飯を食べなかった
だから彼女達なりに考えてくれたらしい

私がいたクラスのほとんどが来ていてみんなでご飯を食べた

もっと早くにこの居場所を見つければ良かったのかな
なんて…

もう卒業したんだ

歩きだそう

私は彼女達にありがとうと言うと彼女達もこっちこそいきなりなのにありがとうと言ってくれた

魔性の鬼は今日で消えた

だからきっとこの先を、今を、過去を、

ずっとずっと忘れない

きっと振り向いてしまうこともある

彼のことを…
私はチャットアプリを開き彼にありがとうとだけ送って今までのチャットを削除した

ブロックはしなかった

きっといつか連絡がくるから
彼が幸せになった時

きっと

私も…彼も…彼女達も…みんなそれぞれ歩き出すんだ

魔性の鬼…
いや、もう1人の私…

さようなら、

楽しかったよ

またいつか…私が落ちこんだ時は支えてよ

だから今は大丈夫

さようなら
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