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しずんでいく、湖の底
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「オンバサラオンバサラ
ウルスラウンケンソワカ
誇り高き龍神よ。
我らの娘を差し出します。
どうか、我らに恵みの雨を降らせたまえーーーー」
厳重に張り巡らされた縄が体にくいこんだ。
私の体には、何重もの縄をまかれ、浮かんでこないように石をつけられる。
手を動かそうと思っても、動かすことはできない。
わたしは、うすく
その手を動かし、暗くなった森の湖をみる。
いつも見ていた美しい湖なのに、
なんでこんなに暗く見えるのだろう。
(…ああ。しぬのか、わたしは)
目を閉じて、思い浮かぶのは、あの雲一つない空だけ。
寒さで体が震えているのか、恐怖で体が震えているのか、私にはわからなかった。
そして、目に布をまかれ、暗闇が押し寄せる。
きこえるのは、人々の呟きよりも、風の音がやけに耳にざわめく。
そして、背に何かがふれたかと思いきや
私の体は宙に浮き、冷たさに包まれた。
水に当たった反動で、目隠しをしてくれた布が外れる。
(‥‥これが…死ぬ、というものなのね)
死にたいと、ねがっていたけれど。
まとわりつく肌着の重さ
静寂。心臓の音しか、もうわからない。
もがいても動かない死の恐怖。
こわい、、こわい、こわい…こわい‥‥。
暗闇にひきずりこまれていく。
最後まで、やっぱり私は一人だった。誰も助けてくれない。
だれも、あいしてくれない。
空に手を伸ばそうとしても
手も足も腕も、なにもかも
全ての感覚が失われていく。
視界が薄れていく中で、私はきらめく湖の底をみた。
湖の底は、こんなにも深くて広い。
常闇であるはずなのに、眩い輝きに満ち溢れて。
外は夜だったはずなのに、何故だろうか。
死ぬ間際の、せめてもの、神様からの贈り物なのだろうか。
――――彼女の目の前が、白色でいっぱいになった。
金色こんじきのような、塊に包まれる。
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