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18話 カラオケボックスにて
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助手席に麻沙美が乗り、後部座席にさくらちゃんが乗った。
さくらちゃんに気付かれないように、俺は麻沙美の手を握った。凄く柔らかくて温かい。麻沙美は微笑みながらこちらを見た。俺もそれに応えるように笑顔になった。
「あ、お母さんと晃さん、手繋いでるー」
「バレちゃしゃーない。そりゃ、手ぐらい繋ぐよ」
麻沙美は子どもの前だからか、苦笑いを浮かべている。
「開き直った」
さくらちゃんは俺の言い草に驚いているようだ。運転しながらだったので俺は手を引っ込めた。これが運転中じゃなく、しかも2人きりだったら体を繋げていたと思う。
10分程走り目的地に到着した。カラオケボックスの会員証は俺は持っていないから、麻沙美に出してもらおうと思っている。入店して、俺は麻沙美に、
「会員証持ってるだろ? 出してくれ」
「えっ、あたし持ってないよ?」
俺は予想外の展開にフリーズした。
「じゃ……じゃあ、さくらちゃんは?」
頭を左右に振った。
「あら、皆もってないのか。仕方ない、訊いてみるか」
俺がカウンターに向かうと二人は、おー! と言っていた。店員に訊いたところ、この店のスマートフォンのアプリがあるらしい。初めて聞いた。
「2人のところに戻ってきて話すと、」
「私がインストールするよ」
と、さくらちゃんは言ってバッグからスマートフォンを取り出した。早速、この店の名前を入力してアプリをダウンロードしたようだ。さすが若者、と思った。スマートフォンを店員に見せて、スキャンしてもらい、灰皿と伝票を持って8号室に入った。入室すると席は俺が真ん中で右が麻沙美、左にさくらちゃんが座った。両手に花とはこのことだ。俺は思わずニヤついた。「若い順から歌うぞ!」の掛け声でさくらちゃんはマイク片手に機械を操作して曲を探しているようだ。
2時間を3人で歌って俺は疲れてしまった。緊張というやつか。初めて入ったところで久ぶりのカラオケだった。少しでも上手く歌おうと思ったけれどそう簡単にはいかなかった。
「二人とも楽しかったか?」
「うん! 楽しかった!」
速攻で返事をするさくらちゃん。
「まあ、楽しかったわよ」
と、落ち着いた様子で麻沙美は言った。疲れているのは俺だけか、と思いつつ会計を済まし店を出た。
カラオケボックスで俺とさくらちゃんは、エビピラフを食べた。麻沙美はカレーライスを食べた。俺が食べたそれは、味は微妙で量も少ない。残りの二人に訊いてみたら、美味しくなかったと言っていた。残念。今度は食べてから行こうかと話していた。
それと、今度、日中麻沙美と会った時抱こう。彼女が嫌がらなければ。
その日の夜は口直しも含めて、麻沙美が改めて作ったシチューを俺の家で食べた。具材は自宅に帰って来る途中に買った。
「麻沙美、悪いな。わざわざ作ってもらっちゃって」
「あのカラオケボックスの料理じゃ、物足りないでしょ。あたしも食べるから気にしないで。ライスは晃のをもらうけどさ」
そう言って、麻沙美はハハッと笑っていた。
相変わらず能天気だなと思った。でも、そこが彼女のいいところでもあるのだろうけれど。さすが、毎日調理しているだけあって手際がいい。さくらちゃんは俺の家に来て、コピーした小説を夢中になって読んでいる。確かに、ストーリーはテーマが純愛だけれど、現役女子高生をここまで集中させる作品なのだろうか。実際、読んでくれているということはそういうことか。
家庭をもって暮らす、ということはこういう感じなのだろう。きっと。
俺は未来のことを想像してみた。奥さんが麻沙美で、子どもはさくらちゃん。俺と麻沙美の子を作りたいけれど、彼女の年齢が重くのしかかる。なんせ41だから。産めないことはないと思うけど、危険を伴う。そんな危険を冒してまでもし、母体に何かあったら悲しむのは俺だけじゃない。愛娘のさくらちゃんがいる。だから、難しい。
この話しはあまり間を置かないで麻沙美に話してみようと思っている。
とりあえず、ご飯だ。
さくらちゃんに気付かれないように、俺は麻沙美の手を握った。凄く柔らかくて温かい。麻沙美は微笑みながらこちらを見た。俺もそれに応えるように笑顔になった。
「あ、お母さんと晃さん、手繋いでるー」
「バレちゃしゃーない。そりゃ、手ぐらい繋ぐよ」
麻沙美は子どもの前だからか、苦笑いを浮かべている。
「開き直った」
さくらちゃんは俺の言い草に驚いているようだ。運転しながらだったので俺は手を引っ込めた。これが運転中じゃなく、しかも2人きりだったら体を繋げていたと思う。
10分程走り目的地に到着した。カラオケボックスの会員証は俺は持っていないから、麻沙美に出してもらおうと思っている。入店して、俺は麻沙美に、
「会員証持ってるだろ? 出してくれ」
「えっ、あたし持ってないよ?」
俺は予想外の展開にフリーズした。
「じゃ……じゃあ、さくらちゃんは?」
頭を左右に振った。
「あら、皆もってないのか。仕方ない、訊いてみるか」
俺がカウンターに向かうと二人は、おー! と言っていた。店員に訊いたところ、この店のスマートフォンのアプリがあるらしい。初めて聞いた。
「2人のところに戻ってきて話すと、」
「私がインストールするよ」
と、さくらちゃんは言ってバッグからスマートフォンを取り出した。早速、この店の名前を入力してアプリをダウンロードしたようだ。さすが若者、と思った。スマートフォンを店員に見せて、スキャンしてもらい、灰皿と伝票を持って8号室に入った。入室すると席は俺が真ん中で右が麻沙美、左にさくらちゃんが座った。両手に花とはこのことだ。俺は思わずニヤついた。「若い順から歌うぞ!」の掛け声でさくらちゃんはマイク片手に機械を操作して曲を探しているようだ。
2時間を3人で歌って俺は疲れてしまった。緊張というやつか。初めて入ったところで久ぶりのカラオケだった。少しでも上手く歌おうと思ったけれどそう簡単にはいかなかった。
「二人とも楽しかったか?」
「うん! 楽しかった!」
速攻で返事をするさくらちゃん。
「まあ、楽しかったわよ」
と、落ち着いた様子で麻沙美は言った。疲れているのは俺だけか、と思いつつ会計を済まし店を出た。
カラオケボックスで俺とさくらちゃんは、エビピラフを食べた。麻沙美はカレーライスを食べた。俺が食べたそれは、味は微妙で量も少ない。残りの二人に訊いてみたら、美味しくなかったと言っていた。残念。今度は食べてから行こうかと話していた。
それと、今度、日中麻沙美と会った時抱こう。彼女が嫌がらなければ。
その日の夜は口直しも含めて、麻沙美が改めて作ったシチューを俺の家で食べた。具材は自宅に帰って来る途中に買った。
「麻沙美、悪いな。わざわざ作ってもらっちゃって」
「あのカラオケボックスの料理じゃ、物足りないでしょ。あたしも食べるから気にしないで。ライスは晃のをもらうけどさ」
そう言って、麻沙美はハハッと笑っていた。
相変わらず能天気だなと思った。でも、そこが彼女のいいところでもあるのだろうけれど。さすが、毎日調理しているだけあって手際がいい。さくらちゃんは俺の家に来て、コピーした小説を夢中になって読んでいる。確かに、ストーリーはテーマが純愛だけれど、現役女子高生をここまで集中させる作品なのだろうか。実際、読んでくれているということはそういうことか。
家庭をもって暮らす、ということはこういう感じなのだろう。きっと。
俺は未来のことを想像してみた。奥さんが麻沙美で、子どもはさくらちゃん。俺と麻沙美の子を作りたいけれど、彼女の年齢が重くのしかかる。なんせ41だから。産めないことはないと思うけど、危険を伴う。そんな危険を冒してまでもし、母体に何かあったら悲しむのは俺だけじゃない。愛娘のさくらちゃんがいる。だから、難しい。
この話しはあまり間を置かないで麻沙美に話してみようと思っている。
とりあえず、ご飯だ。
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