様々な性

遠藤良二

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4章 2人の朝食

3話 私の好きな上司

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 おれは風間瑠璃、21歳。トランスジェンダーだ。トランスジェンダーとは、性別は女性だが、男性の心を持つという性。 小学校六年生のときに自分は女子なのに男子の心を持っていることに気付く。

 性別は女なので、職場などでは自分のことを「私」とよぶ。ちなみにスーパーマーケットの店員をしている。親しい仲間の前では「おれ」と言う。だから、好きになる相手は女だ。

 今まで、三人の女性と付き合ってきた。みんなレズビアンばかりだ。

 今日は出勤日。嫌だな、働きたくないな。いつもそう思っている。結婚して専業主婦になりたい。でも、おれは……。結婚はできない。だって、おれは女が好きだから。おれの性別は女だし。

 レジを担当している私はこの前大失敗をしてしまった。お釣りを三千円多く渡してしまった。でも、上司の幅田主任は次から気をつければいい、と言ってくれた。ちなみに、幅田主任は女性。その優しさが胸に響いた。この感情はもしかして……。幅田主任は四十二歳。私より二十一歳も年上。でも、年齢など関係ない。好きなものは好き。

 彼女は既婚者で子どももいる。私のことなど相手にしないはずだ。

 この前飲み会がスーパーを閉めたあとにあった。私は幅田主任のとなりの席だった。正直、うれしかった。大好きな幅田主任。飲み会では、私はチューハイを四杯飲み、おかずも刺身、焼き鳥、焼き魚など最後にバニラアイスを食べた。あの時は楽しかった。普段、言えないことも無礼講で上司のことや同僚のことなどをたくさん喋った。憂さを晴らすとはこのことなのだろうと思った。

 今度、幅田主任と二人きりの時にカミングアウトしてみようかな。もちろん、ダメもとで。伝えることが大切だから。

 今はおれは自宅の自室にいて、テレビゲームをやっている。おれは二階建ての実家に住んでいる。一階は両親がいて、父は役人。母は花屋を経営している。おれには妹がいて今は高校三年生。妹はトランスジェンダーではなく、ノーマル。どうやら彼氏がいるようだ。ネット上で知り合った彼のようで、大学生らしい。妹には親には言えない秘密がある。それは、去年妊娠したのだ。親には言える訳がなくおれに話を泣きながら打ち明けた。おれは出産に反対した。子どもが子どもを産むようなものだ。妹には言った。中絶する費用は彼氏に出してもらいなさいと。

 妹はおれの言う通りにした。ちなみに家族はおれがトランスジェンダーだということは知っている。

 初めて打ち明けた時、家族は驚いていた。父に至っては、「なんだそれ。普通に男を好きになればいいじゃないか。女なんだから」と理解を得られなかった。今でこそ以前より理解してくれていると思うけれど。
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