世界の再構築者は3匹のぬこ系少女に殺される!?

むもむも

文字の大きさ
1 / 18
第1章 始まり

1-1

しおりを挟む
「お兄ちゃん! 起きて!」

 どうやら妹のスズが起こしに来てくれたようだ。
 しかし、タカシは頭から布団をかぶり直し、心の中で言い訳をつぶやく。

(悪いがもう少し寝かせてもらおう。俺は朝にめっぽう弱い体質で、これは仕方ないことなのだ。)

「もうちょっと寝かせて。」
「なに布団かぶってんのよ! どうせまた夜遅くまでネトゲやってたんでしょ! この廃人! 死ね!」

(なんてことを言うんだ。決して昨晩0時までと決めてネトゲをやり始めて、気づけば朝の4時になっていたから眠いんじゃない。体質的な問題なんだ。そこは重要なところなんだ。認識を改めないと。)

「スズ、違うんだよ、ぐほ!」

 タカシが布団を退けて言うより早く、スズは枕を引っこ抜いて容赦無く露わになった顔面にその枕を叩きつけてくる。

「何が違うの! 毎日、毎日、妹に起こされて恥ずかしくないの!? さっさと朝ごはん作ってよね!」
「そうだね、あと10分したら起きるよ、どあ!」

 再び顔面に枕が勢いよく振り下ろされた。

「そう、わかったわ、特別に今日は私が作ってあげ……」
「よし! 起きた、今すぐ兄ちゃんが作ってやるから着替えてまってろよ!」

 自分が作るとスズが言いかけたので、タカシは即座にそれを遮った。
 あたり前である。朝から腹を壊すのはごめんだ。
 自慢ではないがスズは料理ができないのだ。できないならまだしも人体に有害な物質を作り出すので、タカシとしてはスズの将来が少し心配である。

「なんかそれはそれでムカつくわね。まぁいいわ、早く作ってよね!」

 これがタカシの日常である。

 タカシこと近藤高志(コンドウタカシ)は妹の鈴(スズ)と2人暮しである。
 ごく普通の家庭。ではなく、かなり変わった境遇となっている。

 タカシが小学4年の時に両親は他界し、その後は父方の祖父母に育てられた。
 両親の死因については不明だ。教えてもらおうと親戚にき聞いたりもしてみたが誰も教えてはくれなかった。当時子供であった兄妹を気遣って詳細を伏せてくれていると今は納得することにしている。
 そんな環境で両親がいないことで寂しさはあったものの、こんな境遇になってしまったからか祖父母は異常なぐらいにタカシとスズに優しかった。
 両親は幸いにも多額の生命保険をかけていたようで、死後にかなりの保険金がタカシとスズに相続され、経済的な不自由はなかった。

 また、極め付けには両親は住宅ローンで家を購入していて、共済保険に入っていたこともあり、両親の死後借金はチャラで、家も相続された。
 ちなみに当初は不動産屋に家を手放して現金化することを勧められたが、経済的には特に困っていなかったことと、両親が残してくれた家を手放すことが寂しかったため断った。
 そう言うことならと、不動産の知識があった祖父が定期借家として高校入学までの間は家を貸すことで話を進めてくれた。

 家は人が住まないと朽ちてしまうとはよく言ったもので、借家にしたことで経年劣化程度でタカシの手元に戻ってきた。
 そして、高校入学と同時に祖父母の元を離れて、両親が残してくれた家に住むことになった。

 ここまではタカシの想定通りではあったが、想定外なことが一つ。

「お兄ちゃんご飯できた?」

 最愛の妹としばしの別れとなると覚悟していたが、「お兄ちゃんが一人で生活できるわけないじゃない」とスズも中学校を転校してまでタカシについてきてくれたのだ。
 嬉しい誤算ではあるが、スズは友達と離れて寂しい思いをしているに違いない。

(俺がしっかりしないと。)

「今日のネトゲは0時でちゃんと終わりにしよう。」
「あ! やっぱり昨日も遅くまでネトゲしてたんじゃない! このクズ兄!」

 タカシは朝食を作りながら、そんな他愛もないやりとりに幸せを感じる。
 だが、引っ越して1ヶ月経つが、先ほどの事がやはりタカシの頭からはなれない。

(スズは本当に俺についてきてよかったのだろうか。)

 余計なお世話なのだろうが、心配になり聞かずにはいられなかった。

「なあ鈴、おまえ本当に転校してまでこっちに来てよかったのか? 友達と会えなくなって寂しいだろうに。」
「……」

 スズは黙って目だけをタカシに向けている。
 その目は鋭くタカシを睨みつけている。どうやら怒ってしまったようだ。

「おい、鈴、どうしたんだ? やっぱり……」
「うるさい!!!!」
「うわ! ごめんなさい!」
「バカ……」

 タカシは反射的に謝ってしまった。
 どうして怒ってしまったのかはわからないが、今後このことには触れないでおこうとタカシは小さく頷く。
 その後、スズは朝食を食べ、怒ったままタカシに一言も話さず学校へ出かけていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...