18 / 18
第1章 始まり
1-18
しおりを挟む
「は!?」
タカシは目を覚まし反射的に上体を起こすと、自分の家のソファーに寝ていたことに気づいた。
ひどい頭痛と吐き気に見舞われる。
気絶してからかなりの時間が経っていることを月の光に教えられ、はっきりしない頭が先程の出来事を夢であったかのように錯覚させる。
「いったい何があったんだ? 本当に夢だったのか?」
全て夢であればそれでいい。夢から覚めれば全てが元通りになる。
「そんなわけないでしょぅ?」
そんなタカシの希望も虚しく、先程の気を失う前に聞いた声がその希望を打ち砕く。
目の前の暗がりから、ゆっくりと窓から差し込む月明かりの前に長い髪をなびかせて、その女は現れた。
声からも想像できた通りその女は妖艶な大人の魅力を漂わせている。
見た目もタカシより幾分か年上に見えるが、その艶っぽい唇が容赦なくタカシの鼓動を高鳴らせる。
だが、服装が奇妙である。タカシの少ない知識の中から似ている服装を上げるならば巫女服が近しいが、それとは色が全く異なり、深紫よりも黒く深い紫を基調とした色合いとなっていた。
更に目を引くのは月明かりに照らされ白く輝いている美しい両肩から胸元に至るまで露わになった白い肌だ。
さらに、その胸元には深い谷間が刻まれており、豊満な胸をよりはっきりと主張させる。男なら目線が固定されてしまうことは避けられない。
タカシはその姿をただただ呆けて眺めることしかできなかった。
「あらぁ? そんなにマジマジと女性を見るものでなくてよぉ?」
「ご、ごめんなさい……」
思わず謝てしまっう。
そもそも自分の家に知らない人間がいるということ自体が異常であるのに、さも当たり前のように彼女はそこに佇んでいる。
なんだかそれが当たり前かのように思えてしまい、ただ彼女の言葉に反射的な返答しかできない。
「うふふっ、あまりにも目を覚まさないものだから、殺してしまったかと思ったわぁ?」
(殺してしまう?)
タカシは女の言葉を疑う。
あたかも女がタカシを気絶させたかのような口ぶりである。
だが、先程から女の姿を見ていると麻痺したように体も口も動かず、それを問いただすこともままならない。
しかし、女はタカシの目を見つめると、目尻と口元を緩ませて、あたかもタカシの心をみすかしているかのように話しかけてくる。
「あらぁ? 気絶させたのはお前かって聞きたくてしょうがなさそうな顔をしているわねぇ。いいわぁ。その恐怖と不安が入り乱れた顔。たまんないわぁ。」
そう言う女の顔は、まさに悪女という言葉がそのまま具現化されたようであったが、その悪は美しさにより上書きされて美だけを相手に突きつけてくる。
女は、そんな暴力的な美で武装した顔を、タカシの耳元までずいっと近づけると。
「あっ、たっ、りっ。私があなたを気絶させてここまで運んできたのっ。」
タカシの耳元をかする吐息の感触と、その言葉を理解したことによる恐怖の二通りの意味で体が震えた。
それと同時に、タカシの体の麻痺は解け、とっさに耳元を抑えて顔を伏せる。
女を見たらまた身体が硬直してしまうかもしれない。
「あら、あら、驚かせてしまったかしらぁ?」
女はタカシの反応を楽しんでいるかのようにクスクスと笑っている。
タカシがうずくまっていると、ドアの開く音とともに新たな声が聞こえた。
「お母様! どういうことですの!?」
その声は女の声とは対照的に、幼さが残るが気品ある声で、声色はちょうど妹ぐらいの歳の子を想像させる。
(お母様?)
なんだか、話がややこしくなってきそうだ。
「話が違う。なぜそいつを連れて行く?」
また違う少女の声である。今度は冷たく冷静な声で淡々と母親を糾弾している。
(そいつ?)
そいつとは、タカシのことなのだろうか。
「わ……私たち……頑張って……準備……してたのに……」
更にもう1人いるようだ。
その声は途切れ途切れで自信が感じられずおどおどとした印象を与える。
(準備??)
つまり、新たに現れた少女3人はタカシを対象として何か準備をしていたが、どうやら、この母親が勝手にタカシを気絶させてここまで連れてきた。ということなのだろうか。
「もうバレちゃったのぉ? あぁもぅ、興が削がれちゃったじゃなぁい。せっかくこのままいいところまで行こうと思ったのにぃ」
いいところとは一体どこなのか、教えて欲しかった気もするが、先程の空気はどこへやら、急にポップな感じになってしまい、気づけば体も自由に動く。
「お前ら誰なんだ! 人ん家でいったい何やってんだー!」
やっとの思い出疑問を吐き出すことができた。
タカシは目を覚まし反射的に上体を起こすと、自分の家のソファーに寝ていたことに気づいた。
ひどい頭痛と吐き気に見舞われる。
気絶してからかなりの時間が経っていることを月の光に教えられ、はっきりしない頭が先程の出来事を夢であったかのように錯覚させる。
「いったい何があったんだ? 本当に夢だったのか?」
全て夢であればそれでいい。夢から覚めれば全てが元通りになる。
「そんなわけないでしょぅ?」
そんなタカシの希望も虚しく、先程の気を失う前に聞いた声がその希望を打ち砕く。
目の前の暗がりから、ゆっくりと窓から差し込む月明かりの前に長い髪をなびかせて、その女は現れた。
声からも想像できた通りその女は妖艶な大人の魅力を漂わせている。
見た目もタカシより幾分か年上に見えるが、その艶っぽい唇が容赦なくタカシの鼓動を高鳴らせる。
だが、服装が奇妙である。タカシの少ない知識の中から似ている服装を上げるならば巫女服が近しいが、それとは色が全く異なり、深紫よりも黒く深い紫を基調とした色合いとなっていた。
更に目を引くのは月明かりに照らされ白く輝いている美しい両肩から胸元に至るまで露わになった白い肌だ。
さらに、その胸元には深い谷間が刻まれており、豊満な胸をよりはっきりと主張させる。男なら目線が固定されてしまうことは避けられない。
タカシはその姿をただただ呆けて眺めることしかできなかった。
「あらぁ? そんなにマジマジと女性を見るものでなくてよぉ?」
「ご、ごめんなさい……」
思わず謝てしまっう。
そもそも自分の家に知らない人間がいるということ自体が異常であるのに、さも当たり前のように彼女はそこに佇んでいる。
なんだかそれが当たり前かのように思えてしまい、ただ彼女の言葉に反射的な返答しかできない。
「うふふっ、あまりにも目を覚まさないものだから、殺してしまったかと思ったわぁ?」
(殺してしまう?)
タカシは女の言葉を疑う。
あたかも女がタカシを気絶させたかのような口ぶりである。
だが、先程から女の姿を見ていると麻痺したように体も口も動かず、それを問いただすこともままならない。
しかし、女はタカシの目を見つめると、目尻と口元を緩ませて、あたかもタカシの心をみすかしているかのように話しかけてくる。
「あらぁ? 気絶させたのはお前かって聞きたくてしょうがなさそうな顔をしているわねぇ。いいわぁ。その恐怖と不安が入り乱れた顔。たまんないわぁ。」
そう言う女の顔は、まさに悪女という言葉がそのまま具現化されたようであったが、その悪は美しさにより上書きされて美だけを相手に突きつけてくる。
女は、そんな暴力的な美で武装した顔を、タカシの耳元までずいっと近づけると。
「あっ、たっ、りっ。私があなたを気絶させてここまで運んできたのっ。」
タカシの耳元をかする吐息の感触と、その言葉を理解したことによる恐怖の二通りの意味で体が震えた。
それと同時に、タカシの体の麻痺は解け、とっさに耳元を抑えて顔を伏せる。
女を見たらまた身体が硬直してしまうかもしれない。
「あら、あら、驚かせてしまったかしらぁ?」
女はタカシの反応を楽しんでいるかのようにクスクスと笑っている。
タカシがうずくまっていると、ドアの開く音とともに新たな声が聞こえた。
「お母様! どういうことですの!?」
その声は女の声とは対照的に、幼さが残るが気品ある声で、声色はちょうど妹ぐらいの歳の子を想像させる。
(お母様?)
なんだか、話がややこしくなってきそうだ。
「話が違う。なぜそいつを連れて行く?」
また違う少女の声である。今度は冷たく冷静な声で淡々と母親を糾弾している。
(そいつ?)
そいつとは、タカシのことなのだろうか。
「わ……私たち……頑張って……準備……してたのに……」
更にもう1人いるようだ。
その声は途切れ途切れで自信が感じられずおどおどとした印象を与える。
(準備??)
つまり、新たに現れた少女3人はタカシを対象として何か準備をしていたが、どうやら、この母親が勝手にタカシを気絶させてここまで連れてきた。ということなのだろうか。
「もうバレちゃったのぉ? あぁもぅ、興が削がれちゃったじゃなぁい。せっかくこのままいいところまで行こうと思ったのにぃ」
いいところとは一体どこなのか、教えて欲しかった気もするが、先程の空気はどこへやら、急にポップな感じになってしまい、気づけば体も自由に動く。
「お前ら誰なんだ! 人ん家でいったい何やってんだー!」
やっとの思い出疑問を吐き出すことができた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする
エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》
16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。
告白されて付き合うのは2か月後。
それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。
3人のサブヒロインもまた曲者揃い。
猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。
この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?
もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!
5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生!
※カクヨム、小説家になろうでも連載中!
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる