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邂逅
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『極悪奴隷商の悪役息子に転生したので、奴隷は売らずに大切に育てます』
『転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件』
を新作連載しました。
こちらも爽快で、主人公最強の冒険ファンタジーとなっておりまして、テンポよく1話1500字で毎日更新していきます。
是非読んで見てください。
新連載小説!
『何者にもなれない僕は異世界で冒険者を始める』
異世界と地球を行き来する新感覚ファンタジー小説。
爽快に異世界と地球を駆け抜けるストレスフリー小説。
是非1話でも読んで見てください!
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ハラスの家へと到着する。
今は俺のせいで子供の姿に戻ってしまった、ハラスであるがそれ以前は穏健派のサブリーダーを務めるくらいの人物であったので、かなり綺麗な大きな家へと案内された。
そして、家の中にはハラスの妻らしき女性が中にはいた。
子供の姿になってしまったハラスに戸惑いを見せたものの、妻としては小さくなってくれて嬉しいとのことだった。
そんな風に妻に子供になってよかったと言われる旦那、ハラスがなんだか可哀想に思えてしまったが、その同情は何もならない。
『(なんかハラスが惨めだな……)』
『誰がこのような事態を起こしたと思っているんですか?』
ハラスを憐んでいると、チユキがジト目を向けてくる。
ハラスに案内されるまま、書斎へと進み込み、ソファに座るよう促される。
「早速だけど、エルフの里で勃発している穏健派と過激派について説明しようか———」
ハラスが座席につき、エルフの里の内部対立のことについて説明し始めた。
ハラスが教えてくれたことは以前、ソフィアが教えてくれたこととほぼ同じで、
エルフの里が穏健派と過激派に内部分裂を起こしていること。
そして、過激派には若いエルフの連中が名を連ねているということ。
そして、過激派のリーダーはどうしてかハイエルフに進化を果たしてミハエルという青年であるということ。
過激派の目的としては、対外進出をし、エルフの権威を他の種族へと示すのを目的としている。
それに加えて、内部対立が始まってからか世界樹に異変が生じていること。
さらには最近、過激派の行動がさらにヒートアップしており、内部抗争が激しくなっているとのこと。
「なるほど……、話は大体わかったよ。それで気になる事が一つあるんだけどいいかな?」
ハラスの話を聞いてだいたいのあらすじがわかった俺は疑問点をハラスに尋ねる。
「そのミハエルって青年がハイエルフに進化してから、内部対立が起こり始めたってことで間違いないのかな?」
「時期的には一緒で間違いない」
ハラスが首肯する。
ミハエルの進化が内部対立を起こしたと言っても過言はないだろう。
というか、それが元凶であろう。
そして、ミハエルがハイエルフに進化したことにより、ミハエルが傲慢化。
そして、周りの若者までもがそれに感化されて、エルフ至上主義的な対外侵攻への道へと行ってしまったのだろう。
『(ミハエルの進化は人為的なものだって言っていたよな?)』
ソフィアがハイエルフになったのは自然発生的なものだったのに対し、過激派の青年ミハエルとハラスのハイエルフ化は人為的なものである。
となると、
『(ミハエルの進化を促した者がいると考えた方が筋が通るよな……)』
俺が状況を整理して、頭で推理を浮かびあげる。
『そうですね、マスター。今回の件はそのミハエルという青年をハイエルフにした者が鍵となってくるでしょう』
俺はミハエルという青年の裏に少々厄介な相手を予想し、憂鬱な気分になる。
『(ちょっと面倒かもしれないね……)』
俺たちがやることとしては
・内部対立の元を根絶すること
・世界樹の異変をどうにかすること
どっちの原因も同じだろうけど……
とりあえず明日は世界樹の所に行ってみるか。
ハラスの話が一段落すると、ハラスが今夜は泊まっていけと言うので、言葉に甘えて俺とアオバとソフィアはハラスの家にお邪魔することにした。
そのあとはハラスの家族と一緒にご飯を食べ、団欒し、いっときの平和な時間を堪能するのであった。
⭐︎⭐︎⭐︎
暗闇に支配された場所。
「ダラク様、報告があります。今回のハラスの暗殺に失敗したとの報告がありました」
顔は見えないが存在感を解き放つ者に対し、膝を着き、傅く形となっている青年。
耳は長く、色白の美青年である。
「そうか、ミハエルよ。まぁハラスの暗殺は余興に過ぎぬ。放っておけ」
威厳を感じるその声で、青年の体に緊張が走る。
その声にミハエルは同意を示しながら、
「加えて報告なのですが、今日、人族らしき者がここを訪れたという報告がありました。そしてその男とともにエルフの神子も里へと戻ってきたとのことです」
青年に報告された、異様な威圧感を放つ存在は
「そうか、そうか。とうとう神子が戻ってきたか」
異様な存在の笑い声が不気味に周りに響き渡る。
「人族など恐るるに足りぬ。放っておけ。だが、もし我らの計画の邪魔になるようであったら…………殺せ」
研ぎ済まされた殺意が、ミハエルへも波及し、ミハエルは緊張の汗を垂れ流す。
「は! 全てはダラク様の意向のままに」
⭐︎⭐︎⭐︎
ハラスの家での歓待を受けた俺たちは翌日早速、世界樹の元へと行くことにする。
世界樹へと行くメンバーは、俺とアオバとソフィアの3人だ。
世界樹の中はダンジョン化しているようで、100層からなるダンジョンだとのこと。
ハラスは俺が世界樹のダンジョンに行くというと、必死にエルフの精鋭を呼ぼうとしたが、俺はそれを制した。
慢心ではないが、どんな相手がきたとしてもどうとでもなるからである。
そして、何よりダンジョンに潜入するというのが初めてであるので、自分の力でダンジョンを楽しみたいという感情があったのだ。
ハラスの家を出て行く際、
「ケントさん、くれぐれも気をつけてな」
とちびっこハラスが心配してくれた。
そんな優しさに後押しされながら、俺たちは世界樹へと向かっていく。
「じゃあ、ソフィア、アオバ行こうか!」
俺が号令をかけると同時に、
「ご主人様、悪い奴なんかやっつけちゃおー」
「……ごしゅじん、頑張る……」
と意気揚々と返事を返してくれる。
エルフの里の住民は、俺がハラスを生き返らせたおかげで、俺たちの存在を神聖しているようで、暖かい送り出しをしてくれていしてくれている。
歓声の中俺たちは世界樹へと向かう。
『マスター、これは何としてでも頑張らないといけないですね』
チユキがそういうと俺も手に気合いが入る。
『(まぁ、やり過ぎない程度に頑張るとするか)』
各々、意気揚々として世界樹へと向かう。
ソフィアに案内されるがまま世界樹の麓へと到着する。
世界樹が目の前に迫ると、その存在から溢れる威圧感が否応にも伝わってくる。
「じゃあ、皆入ろうか———」
俺が号令をあげると共に、世界樹ダンジョンへの扉を開ける。
すると開けて否や、
ピュシッ!
ピュシッ!
ピュシッ!
矢の嵐が俺たちを襲う。
その矢を俺は分解をイメージして粉々にする。
その矢を放ってきたのは、ダンジョン由来のモンスターなんかではなく、
「なに!? 奇襲失敗か……お前ら何者だ! 神子様がいるってことは穏健派の連中だな?」
「神子様がわざわざ俺らのテリトリーに来てくれたんか?」
「こりゃあ滅多にない機会だ! 捉えてミハエル様の元へと連れて行こう」
過激派と思しき青年たちが声を荒げる。
そして、抗争の火蓋が切られる。
「まずは神子様だ!やるぞ!」
その合図にソフィアが前に出る。
そして、フワフワした七色の粒子がソフィアの周りを漂う。
おそらくエルフ特有の精霊だろう。
そして、ソフィアは優しくその者たちに声を掛ける。
「みんな、お願い。あの子達を動けなくして———」
ソフィアがそういった途端。
襲い掛かろうとした青年たちの動きが急に止まり———
ソフィアは一仕事を終わったような感じで、手をパンパンと鳴らし、俺に褒めてと言わんばかりにピースサインを向ける。
その状況に俺とアオバは目を丸くする。
「ソフィアが強いのは知ってたけど、ここまで強いとはね……」
『マスター、もしかすると必要なかったかもしれないですね……それに呆気なさすぎて青年たちが可哀想です……』
その光景に俺とチユキは青年たちが居た堪れなく見えてしまった。
ソフィアは精霊を使役して、過激派の青年たちに捕縛を掛けたのだ。
捕縛によって身動きが取れなくなった青年衆に対して、傷をつける気もない俺たちはこのダンジョンで放置するのも忍びないので、
「よしソフィア、こいつらの処理は任せて」
俺が後始末を受け持つことにする。
「……ごしゅじん、殺したらダメ……」
ソフィアが心配そうな目で訴えてくるが、別に殺そうとは思っていない。
「うん、ソフィア安心して! 殺したりはしない」
そういうとソフィアは安堵の笑みを浮かべて、
「……あとはごしゅじんに任せた」
そして、俺は青年衆に向かって、
「よーーし、転移!」
ぽーーい!
俺は過激派の青年衆を、昨日作成した牢屋へと放り込んだ。
その後も、ダンジョン内でしつこく襲い掛かろうとする過激派の連中を動けなくてしては、牢屋へぶち込む事を繰り返していた。
俺は何も考えずに牢屋にぶち込んだことにより、牢屋では悲惨な事が起こっているとは知らずに———
世界樹のダンジョン内は過激派に占拠されていたせいか、モンスターはある程度刈り取られていて、モンスターとの遭遇が非常に少なかった。
モンスターと遭遇しても、対して強くはないようで、アオバが軽く倒しては、強化のために吸収するという繰り返しだった。
アオバもまだ美味しいスキルを手に入れていないようで、
『ご主人様ぁ、ここつまんないーー』
なんてモンスターらしく、呑気な事を言っていた。
そして、9層までピクニック気分で、すんなりと探索を進めた俺たちだったが、10層へと足を踏み入れた途端。
奴が現れた。
そう、青年過激派の親玉であるハイエルフの青年、ミハエルだった。
ミハエルが発する音は耳にベッタリこびりつくような声色で、その声は甘くねっとりと耳に絡みついた。
嗜虐的な表情を浮かべ、ソフィアの体を目で舐め回すように見る。
「やぁ、ソフィア。君から会いに来てくれるなんてすっごーく嬉しいよ」
ソフィアはその姿を見るや否や、いつになく不機嫌そうな顔をしている。
「……ごしゅじん、こいつがミハエル……」
ソフィアは汚物を見るように、指をさしてこいつが例の男だと教えてくれる。
この男はどこか癪に触るところがある。
顔は確かに整っているのが、原因なのか、それに酔っているところが癪に障るのか。
とりあえず気に触る奴なのに間違いはない。
俺はとりあえずミハエルがどんな奴かを知るために、神眼でミハエルの情報を読み込む。
————————————————
名前:ミハエル・フォア・ローゼス
年齢:130歳
種族:ハイエルフ(亜神族)
lv.300/1000
【HP】150000/150000
【MP】180000/180000
【筋力】20000
【物攻】20000
【物防】20000
【魔攻】100000
【魔防】100000
【敏捷】50000
【知力】60000————————————————
恩恵:【精霊の誘惑】
加護:邪神の加護lv.10
————————————————
【エクストラユニークスキル】
精霊支配
亜神化
【スキル】
精霊召喚lv.8
精霊魔法lv.8————————————————
称号:邪神の眷属————————————————
俺はステータスを見るや、予想が的中してしまった事に頭を抱える。
「普通にソフィアより強いじゃんかよ……それに、やっぱりか……」
『マスター、やっぱり面倒な相手が裏にいましたね!!』
『(なんかチユキ楽しそうにしてないか?)』
『いえいえ、そんな事ないですよー、マスター♪』
チユキがどことなく楽しそうなのは気のせいではないだろう。
こうして俺たちはミハエルとの邂逅を果たした。
新連載小説!
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