22 / 36
21話
しおりを挟むそれから俺と颯はブラブラお店に回って服を買った。白と黒を基調とした、それはもうかっこいい服だった。そして一緒にゲームセンターに行ってユーホーキャッチャーをした。結局なんも取れなかったけど…
「はああぁ!!めっッッちゃ楽しかった!!さすが颯!服も全部オシャレなの決めてくれたし!!俺着こなせるかなぁ」
これはまじな話で本当に心配。それぐらいかっこいい服を選んでくれたのだ。
「確かに…悠にはカッコ良すぎる服選んじゃったかも…」
「…いやそこは、悠なら何着ても似合うぜっ…でしょ!」
「ユウナラナニキテモニアウゼ」
「……もういいもん!!」
明らかな棒読みに俺は腹を立て、頬膨らませぷいっと顔を背けた。見直したのに……やっぱり意地悪な奴だ。
「…もんって可愛好きるだろッッッ!!」
「…ん?なんか言った??」
なんか最近ぼそぼそと颯がよく独り言を言うようになった。…なんか怖い。そんな颯から目線を外し俺は辺りを見回す。
すると目の前に俺と颯を見つめる蓮と、花がいた。蓮と花は、はたから見れば完璧恋人同士と思うほどお似合いで今まで颯と遊んで穏やかだった胸がまたチクリと痛み始める。花は蓮の目線の先を見てやっと俺に気がついた。
「…あれ?もしかして悠ちゃん??」
「は、花…」
胸の痛みはだんだん強くなる。
「もしかして悠ちゃんの隣にいるのが颯君??」
「うん…そうだよ。」
蓮の俺を見る冷たい表情が辛くてそれだけ答え、下を向く。
「颯君はじめまして!!私は悠ちゃんの双子の花で隣にいるのが蓮です!!」
花はいつもの笑顔でそう言いながら、颯に手を差し出す。
「…近藤颯です。…あの近藤って呼んで欲しいんすけど…」
いつもは誰に対しても愛想のいい颯が素っ気なく答え、花が差し出した手も握ることはなくポケットに突っ込んだままだ。
「あっ!ごめんねっ!悠ちゃんから名前しか聞いてなかったから…なれなれしかったね。」
花は申し訳なく手を引っ込める。花にそんなことないと言ってあげたがったが、俺は収まることもなく、増していく胸の痛みのせいでそんな余裕はなかった。すると、ずっと黙っていた蓮がやっと口を開いた。
「…おい、お前聞いてりゃ失礼な奴だな。…やっぱりこいつと仲良くしてるだけあるな。…類は友も呼ぶってやつか。」
胸が、痛い。
「…は?」
颯人はその言葉を聞いて眉を潜める。
ごめん颯。お前はいい奴なのに俺のせいでそんなこと言われて…でも俺は今いつもみたいに蓮に言い合う気力はいんだ。
「まぁ別にそんなことはどうでもいい。…花。早く行こうぜ!」
「…ちょっ!待ってよ蓮!」
蓮は花の手を引っ張り俺らの前から過ぎ去った。
そして、苛立ちが隠せずにいる颯に俺はこう言った。
「颯、俺相談したいことがある。」
今まで花にも、誰にも言えなかったこと。
俺の秘密を…今から話す。
0
あなたにおすすめの小説
《完結》僕が天使になるまで
MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。
それは翔太の未来を守るため――。
料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。
遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。
涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。
冬は寒いから
青埜澄
BL
誰かの一番になれなくても、そばにいたいと思ってしまう。
片想いのまま時間だけが過ぎていく冬。
そんな僕の前に現れたのは、誰よりも強引で、優しい人だった。
「二番目でもいいから、好きになって」
忘れたふりをしていた気持ちが、少しずつ溶けていく。
冬のラブストーリー。
『主な登場人物』
橋平司
九条冬馬
浜本浩二
※すみません、最初アップしていたものをもう一度加筆修正しアップしなおしました。大まかなストーリー、登場人物は変更ありません。
【完結】言えない言葉
未希かずは(Miki)
BL
双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。
同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。
ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。
兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。
すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。
第1回青春BLカップ参加作品です。
1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。
2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる