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ー第3話ー 何?、まるでロミオとジュリエットみたいだと?。何だそれはぁっっっ!!!!!!!!!!
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「あら、同級生に仙導士がいるの?。ならさくっと殺しましょ。」
「殺しません。」
何気ない朝食の時間。
俺、泰童秀は、軽い気持ちで現在世話になっている鬼頭彩華さんに同級生の鳴海蛍子さんの話をしたのだが・・・・・。
早々に後悔する羽目に・・・そう言えばこの人はだった。忘れてたというか、まだ馴染めていないというか。
「でもでも、それが鬼導士の仕事だよ。」
「俺は鬼導士ではありません。それに殺人は犯罪ですよ。」
「そこはぁ~大丈夫。秀君が鬼神化すれば正体はバレないよ。はい解決だね。」
「DMAとかは?。そこであっさりバレますよ。」
「・・・・・・・・・。」
このまま言い争いが続くのかと思ったが・・・・あれ?、止まった?。
と言うか、これで反論出来ないって、考えが浅いなぁこの人。
「ぐすぅ・・・・秀君の意地悪~~。やってくれたらお金入るんだよ?、生活が楽になるんだよ?。」
「だからて殺人はしません。」
出た、彩華さん必殺の泣き落とし(色々と勝手に命名)。
気付けば最初の頃からやっているんだよな、結構な頻度でやってくれるので、免疫が付いたというか慣れたというか。
しかも途中から嘘泣きだと気付いてからは呆れてばかりな状況だ。(正直疲れる。)
とは言えやはり人殺しは駄目だ。それに・・・俺が鳴海さんに一目惚れしている事は話していないが。
話さない方が良いよな・・・・間違いなくこれは・・・・・・。
「うううぅぅぅ・・・・・分かったわ。今のところは秀君の言い分を聞いてあげる。
けどね、同学校で、同級生だからって恋愛感情を持っちゃダメだよ。
ロミオとジュリエットみたいになったら目も当てられないからね。」
彩華さんのその言葉に思わずギクッてなりかける・・・待て待て、動揺するな、動揺するな。
なんか心臓に悪いな、この状況。やっぱり知られる訳にはいかないな、俺の本心を。
彩華さんには悪いが、彩華さんの望む結果は俺が望まない結果だ。世話になってて悪いけど・・・。
「何を小難しく考えておる。とっととあの小娘を喰ろうてしまえば、そうぐじぐじ考える必要もあるまい。」
突然頭の中に響く声。そう言えば皇臥(こいつ)の存在をすっかり忘れてた。忘れたいけど・・・。
「だからやらないって言ってるだろう。」
はぁ・・・彩華さん一件もそうだか、こいつもしつこいな。
「ふんっ、女(おなご)を喰ろうた事がないからそう言うのであろう?。一度喰ろうてみよ!。その考え、改まろうぞ。」
「だが断る。」
とりあえずいつもの対応。てか気付けばだがここのところ毎日こうじゃないか?。
なんか疲れる日常になったなぁ、勘弁してほしい。
*
鳴海蛍子視点
時刻は放課後、いつもの様に仙導士として訓練をしている。
ややサボりぎみの相棒は・・・いない、ほっとこう。
もう注意は何度もしている。そろそろ自己責任という事にしたい。
さて最近の事だけど、男子達の訓練に教官が付きっきりの状態になっている。
本来ならありえないと言える状況。
何故なら最近の風潮から自主性が重んじられるようになってきているから。
だから堂々とサボる奴も出て来てるけど・・・死にたいのか水木華(あいつ)は。
さて、なんで男子達の状況がこうなっているのか?。
其なりに自業自得な訳だけど、少し前まで実に変な訓練をしていたから。
確か・・・・無詠唱・・・・だっけ?。そんな訳の分からない事の訓練をしていた。
私達は呪(しゅ)という魔法みたいなものを扱う。
何で魔法みたいなかと言うと。ゲームで登場する魔法と同じく詠唱を必要とするから。
けどこの詠唱が独特と言えるもので、悪く言ってしまえば独特の癖がある。
さながら詩(うた)を詠うようなもので、詩を覚えるのはもちろん。リズム感も必要だ。
そのせいで向き不向きがはっきりと別れるようで。
能力的には仙導士に向いていても、才能的には向いていないというのも珍しくないみたい。
で、男子達は何を考えたのか、呪の最も重要な詠唱を無しで扱えないかと思ったようで。
正直その事を聞いた時は「は?。」だったよ。
重ねてきた訓練の中で聞かされた事を思い出せば、それがどれだけ馬鹿気ているかなんてすぐ分かるはずだし。
何故詠唱をするのか?。それは霊力だけでは力には、意味にはなり得ないから。
霊力を詠唱に乗せ、意味を持たせ、力として構成する。
それを無視すればどうなるか?。簡単に想像出来たはずだ。
けど何故か男子達はその愚行を実行に移し、継続した。
後は予想通り・・・でいいかな?。
男子達は揃って実力を落として、それが大人達に知れた。
一応、説教もされらしい。今まで何を学んで来たのかと。当然だね。
で、何で男子達がこんな考えをしだしたか?。
きっかけはライトノベルとかいう物だったらしい。
そこにあった無詠唱というのを鵜呑みにして・・・・前文に至るとの事。
私も興味本意で読んでみたけど感想は正直「は?。」だったよ。
そもそもライトノベルにある魔法と仙導士の呪とは魔法としの根幹、有り方に違いがある。
違う部分、違う有り様があるのなら通用しない、適用されないものがあると何で考えられなかったのか。
どちらにしても初歩的なミスをして、そして今に至る。
とりあえず今教官達の付き添いの下でその遅れを取り戻そうとしているとの事。
一応熱心にやっているみたいだし、あのサボり魔に比べたら大丈夫だと思える。
*
再び泰童秀視点
放課後となった現在、ようやくここにこれた。
できれば早目に来たかったんだが、放課後になってさあ行こうというタイミングで彩華さんから電話。
それで内容は「取り敢えず早く帰ってほしい。」で帰ってみると俺が鬼神に支配されていないかの確認。
これが変わりもせずに続けば流石にイライラと来る訳で・・・・ちょっと口論・・・にしかならなかった。
目的の邪魔される理由が毎回同じで・・・さりゃぁ怒りたくもなるだが、
それで彩華さんは自分が不利なのだと判断すると早々に泣き落としに移行。
いい加減頭が痛いと言いたいところだが、本題としては止めてくれな訳けで・・・・。
うんざりした気分のままになんとか話し合い・・・そしてようやく止まって今に至る。
全く・・・ここまでに約一週間。思い返せば本当に時間を無駄にしたと思えるものだ。
はぁ・・・・まあ取り敢えず気を取り直して。現在俺は体育館を目の前にしている。
ここに俺の目的、剣道部がある。
と言っても幾つかの部活と合同でこの体育館を使っていると担任の芳川先生が説明してくれていた。
そうなるとだ、静かには入った方が良いな「たのもっーー!。」とかは無しで。したかったけど。
考えても仕方ないとさっさと入る。
入って見ると流石体育館。見通しが良い。しかし思った程状況はごちゃごちゃしていない。
練習内容を見ているとどうやらバレーボール部と、剣道部だけのようだ。
その剣道部も今のところ二人しかいないみたいだ。取り敢えず近寄ってみるとしよう。
「おや、入部希望者かな?。」
二人の内の一人が俺に気付いて声を掛けて来る。
「はい、そうです。」
取り敢えず俺もそう答えて背負っていた鞄と一緒にしていた剣道具一式を揺らす。
「道具持参で来るとは気合いが入ってるね。」
元々そういう人なのか、さっきからずっと笑顔で、穏やかな感じで対応してくれている。
「当然です。経験者ですから。」
何が当然かは意味不明かもだが、そう答えておく。
「おっと。それは失礼したね、では早速だけど君の腕の程を見せてくれるかな?。」
「勿論です。」
あら?。以外と会話が進んだ?。まっ良っか。という訳で着替える。
「と、お互いの自己紹介がまだだったね。僕は望月隼人。一応ここの部長をしているよ。」
「泰童秀です。宜しくお願いします。」
「秀君だね、こちらこそ宜しく。後、君の相手は彼だよ。」
と望月さんはもう一人の方に目に向ける。で、向けられた方は何とも驚いていた。
「え?、俺が、ですか?。」
「腕試しなら君の方が適任だろ新島。」
何を納得すれば良いのやらの雰囲気になったが、結局その試合カードとなった。
で、着替えると・・・・・。
向かい合う俺と新島という人。で、なんでか望月さんも着替えてるで、この人が審判。
「では、始めっ!!。」
望月さん掛け声で緊張感が高まるのを感じる。だがこの感じ、悪くない・・・・・。
向かい合うだけでも相手の力量が見えてくるって、なんか剣先が安定してないなぁ。
剣道で使う竹刀は確かに軽い。しかし長いさも相まってぶれもなく持ち続けるのは実は難しい。
一応剣先をわざと揺らす流派があるのは知っている。しかし、この揺れはそれとは違うか。
そして体幹。なんかこれも安定してないなあ。僅かな揺らぎが見て分かるし・・・・。
呼吸を合わせればになるが、これもれっきとした隙になる。
なんだかこれだけでも相手が格下だと分かってしまう。
実際勝敗は呆気なく付いた。剣先を使ったフェイントにあっさり相手が便乗する。
「マジか・・・。」と思いながら相手の剣劇を最小の動きで流してそのまま体を直進させる。
「籠手ぇっっ!!。」
まさにそのままの展開。あまりにも呆気ない展開に新島という人も呆然としていた・・・と思う。
「籠手!。」
望月さんのその掛け声で緊張感が解かれた気がする。
「見事だよ、泰童君。じゃっ次は僕だ。」
望月さんの言葉に一瞬えっ?てなるけど気が付くと嬉しそうにもう面を付けている・・・・。
そして新島さんの方を見るともう面を外していて、その表情が「諦めろ。」と言ってるような・・・・。
マジか・・・・そしてそれが自分も着替えてた目的ってそういう事か・・・・。
尤も、新島さんを相手にさせて実力を見極めた上でと、だろうと思うけど。なんか扱いが可哀想だな。
で、結局は・・・・だよなぁ~~~。
「では、始めっ!!。」
今度は新島さんが審判。けど問題はそこじゃない。
向かい合えば実力が伝わってくる。それは望月さんも例外じゃない。
だからはっきりと分かる。さっきより明らかに緊張感が高まっていると。
「この人・・・強い。」
あっ・・・・無意識に口にしていたか。でも・・・多分その見立ては間違ってない。
新島さんとは違い綺麗だと見て分かる立ち姿。剣先も、その構え方も見事に尽きる。
竹刀の構え方から体勢が一本と化している。
誰かと、しかも強いかもと思える相手と試合をするのは少し久し振り。
その相手は勿論俺の師匠のじいちゃん。
本気での試合は結局一度も勝てなかった。そして今もそれに似た緊張感を覚えている。
そしてまたしても試合は一瞬だった。
望月さんの剣先が大きく揺れるのを隙だと見て仕掛ける。
しかしそれが望月さんの仕掛ける罠だと気付いた時には遅かった。
そして「しまった!。」と頭の中で叫んだ時には勝負は決していた。
「めえぇぇんっっっ!!!。」
そう響く声が聞こえた時、そこでようやく俺が負けたと理解していた。
そして少しして、全員制服に着替えていた。
「見事だったよ泰童君。歓迎するよ。」
「いえ、望月先輩こそ。」
そう言って握手を交わす俺と望月先輩。
当然かもだが、相手が一学年上と知って先輩と呼んでいる。
「他に部員はいるんですか?。」
「ああ・・・あまり多くはないけどね。」
その会話をしていた時には握手は解いていた。そして話し終わったタイミングで誰か体育館に入って来る。
「あっ!、バスケットボール部来ましたよ。」
と言ったのは新島さん。見てみると確かに、だった。
「すまないね泰童君。今日は部の日じゃないんだ。という訳でお暇するよ。」
望月先輩のその言葉に思わずへ?ってなるが、
後に剣道部はよくこうして来るのが遅れる他部の隙を付いて乱入めいた事をしているとの事。思ったよりヤバい部かも。
そして思ったり早く終わってしまったという事でこれも日常行動にしていた事。
まずは人目の無い所で鬼神化。
この力でこれまで見えなかった存在(もの)が見えるようになった。
そしてその中に穢れという世を乱す存在があると彩華さんや皇臥(あいつが)教えてくれた。
だから俺はここのところ毎日鬼神の力を使って穢れを刈っている。
「いや待て待て待て待て童(わっぱ)。我らがすべき事はその逆ぞ!。もう何度も言っていようぞ。」
「ああそうだな。しかし知らんし、だが断る。」
「ぐううぅぅぅぅっっっっっぁ!!!おのれ小僧ぉっっっっ!!!!。」
ああもう鬱陶しい。これもいつものになったからか?。
さて、この鬼神化。確かに身体能力が大きく上昇するので”チート能力”と言えいるかもしれないが、
どうにも加減というのが難しく厄介だ。実際少し前に壊しちゃいけないのを壊しかけてひやひやした。
最近人気ライトノベルにはこういうチート能力がよくあるが。
あれって力の加減とかどうやってるんだ?。能力の上昇と共にその加減が難しくなるはずだが。
・・・・と考えていても仕方ないか。いまは慣れる事で覚えられる力加減を得るしかないだろう。
とまあな感じで始めたが、最後に思ってもみなかったエンカウントがあった。
何度見てもと言ったところか、穢れとはなんとも不気味な。
どこか子供の頃に聞かされた妖怪等の特長に似ているも言えをるが、あれよりも形が定まっていない感じで気持ち悪い。
だが、それもだいたい片付いたか・・・・・・
ん?・・・・少し迂闊だったか、人がいるのに気付かなかった。
更に周りを見れば、それがおかしくないごく普通の広場に何時の間にか出ていた。
・・・・・・流石に迂闊過ぎか・・・・さてどうしたものか?。
とまあ考える内に気付く。視界に入っている人に、いや正確ちには服装に見覚えがあるだな。しかも二人だし。
そう言っても見覚えがある事にそう不自然さはない。その二人は巫女服を着ていたからだ。
流石に場所がらで言えば其なりに不自然な服装なのだが・・・・。
まあ、場違いな所にいるのは俺も同じだろう。取り敢えず何か言い訳をと近付いて行くと突然構えた感じに・・・。
「気を付けて、相手は鬼神よ。死にたくなかったら油断しないで、」
「うううぅぅぅ・・・・・・・、解ってるよぉ。」
二人とも服装から女の子だと思っていたが聞こえて来た声でそうだと確信。
そして聞こえた声で今の俺の状況を思い出す。
一瞬鬼神って誰?だったが。それって俺だよな・・・となってくる。
やべっ・・・・軽くパニクッて忘れてた・・・・・・。
で、当然今互いに向かい合っている訳でって、そこでまた一つ気付いた事。
相手の一人は鳴海蛍子さんで、後一人は・・・・・・知らんな。
取り敢えず向こうは俺を敵だと思ってる。当然か・・・・・。
が、俺としては戦いたくない訳で・・・・。
どうしたものと考えていると向こうから攻撃・・・・・でもあんまり効いてないな。
「当然よ、儂を誰だと思うておる。」
と言う奴の言葉は取り敢えず無視。
「こらっっ!!、無視するでない小僧っ!。」
うん、やっぱり無視。と思っている内にもう一度攻撃を受けわる。でもやっぱり効かない。
とは言え、このままずるずると時間を掛けて鳴海さんに仲間を呼ばれてもあまり良くないな。
あまり気が進まないが、ここは文字通り煙に巻くとしよう。
そう決めた俺は右手を握り締め、拳を地面に向けて構える。
作りは古い感じのコンクリート。恐らく狙い通りになるだろう。
そのまま地面を真っ正面として真っ直ぐに拳を打つ。
すると打ち砕かれたコンクリートが粉塵と成り、舞い上がる。
「ぐっ・・・・何?、何も見えない。」
と鳴海さんらしい声が聞こえる。うん、どうやら成功か。じいちゃんか武術を習って良かった。
さて、後はさっさと逃げよう。
正直公共の物を壊すのは気が引けるが、流石に仕方ないか。
取り敢えず心の中で謝っておこう。御免なさい。
「おい小僧。何故逃げるのだ。あのまま小娘二人喰ろうてやれば良いではないか。」
・・・・・・なんだろ皇臥(こいつ)。忘れた頃に喧しくなるな・・・・。
*
最後に鬼頭彩華視点。
鬼頭家日記 記録者 鬼頭彩華
本日も順調・・・・てなれば良かったのだけど。
どうも秀君が困った事をしてるみたい。
皇臥様の言う事も聞いてないみたいだし、困ったなぁ。
そろそろお母さんめっ!ってしなきゃダメかな?。
勿論上の人にはこんな事上には報告出来ないよ。怒られるかもだし。それは嫌だしね。
それと仙導士は鬼神への対抗手段は持っていない。
けど奴らも馬鹿じゃない。鬼神様の力を削る結界のようなものを作っているらしい。
尤もそれも長い時間その中にいなければ問題ないみたい。
でも、どうもそれが秀君の通う学校に張られてるみたい。
それでその事の苦情が皇臥様から来るんだけど。お願いだから秀君に言って欲しい。
そしてその影響は秀君にもあるはずと思ってたけど。うん、あるみたいだね。
その為、彼は学校から帰ると、だいたいいつも死にかけています。
「殺しません。」
何気ない朝食の時間。
俺、泰童秀は、軽い気持ちで現在世話になっている鬼頭彩華さんに同級生の鳴海蛍子さんの話をしたのだが・・・・・。
早々に後悔する羽目に・・・そう言えばこの人はだった。忘れてたというか、まだ馴染めていないというか。
「でもでも、それが鬼導士の仕事だよ。」
「俺は鬼導士ではありません。それに殺人は犯罪ですよ。」
「そこはぁ~大丈夫。秀君が鬼神化すれば正体はバレないよ。はい解決だね。」
「DMAとかは?。そこであっさりバレますよ。」
「・・・・・・・・・。」
このまま言い争いが続くのかと思ったが・・・・あれ?、止まった?。
と言うか、これで反論出来ないって、考えが浅いなぁこの人。
「ぐすぅ・・・・秀君の意地悪~~。やってくれたらお金入るんだよ?、生活が楽になるんだよ?。」
「だからて殺人はしません。」
出た、彩華さん必殺の泣き落とし(色々と勝手に命名)。
気付けば最初の頃からやっているんだよな、結構な頻度でやってくれるので、免疫が付いたというか慣れたというか。
しかも途中から嘘泣きだと気付いてからは呆れてばかりな状況だ。(正直疲れる。)
とは言えやはり人殺しは駄目だ。それに・・・俺が鳴海さんに一目惚れしている事は話していないが。
話さない方が良いよな・・・・間違いなくこれは・・・・・・。
「うううぅぅぅ・・・・・分かったわ。今のところは秀君の言い分を聞いてあげる。
けどね、同学校で、同級生だからって恋愛感情を持っちゃダメだよ。
ロミオとジュリエットみたいになったら目も当てられないからね。」
彩華さんのその言葉に思わずギクッてなりかける・・・待て待て、動揺するな、動揺するな。
なんか心臓に悪いな、この状況。やっぱり知られる訳にはいかないな、俺の本心を。
彩華さんには悪いが、彩華さんの望む結果は俺が望まない結果だ。世話になってて悪いけど・・・。
「何を小難しく考えておる。とっととあの小娘を喰ろうてしまえば、そうぐじぐじ考える必要もあるまい。」
突然頭の中に響く声。そう言えば皇臥(こいつ)の存在をすっかり忘れてた。忘れたいけど・・・。
「だからやらないって言ってるだろう。」
はぁ・・・彩華さん一件もそうだか、こいつもしつこいな。
「ふんっ、女(おなご)を喰ろうた事がないからそう言うのであろう?。一度喰ろうてみよ!。その考え、改まろうぞ。」
「だが断る。」
とりあえずいつもの対応。てか気付けばだがここのところ毎日こうじゃないか?。
なんか疲れる日常になったなぁ、勘弁してほしい。
*
鳴海蛍子視点
時刻は放課後、いつもの様に仙導士として訓練をしている。
ややサボりぎみの相棒は・・・いない、ほっとこう。
もう注意は何度もしている。そろそろ自己責任という事にしたい。
さて最近の事だけど、男子達の訓練に教官が付きっきりの状態になっている。
本来ならありえないと言える状況。
何故なら最近の風潮から自主性が重んじられるようになってきているから。
だから堂々とサボる奴も出て来てるけど・・・死にたいのか水木華(あいつ)は。
さて、なんで男子達の状況がこうなっているのか?。
其なりに自業自得な訳だけど、少し前まで実に変な訓練をしていたから。
確か・・・・無詠唱・・・・だっけ?。そんな訳の分からない事の訓練をしていた。
私達は呪(しゅ)という魔法みたいなものを扱う。
何で魔法みたいなかと言うと。ゲームで登場する魔法と同じく詠唱を必要とするから。
けどこの詠唱が独特と言えるもので、悪く言ってしまえば独特の癖がある。
さながら詩(うた)を詠うようなもので、詩を覚えるのはもちろん。リズム感も必要だ。
そのせいで向き不向きがはっきりと別れるようで。
能力的には仙導士に向いていても、才能的には向いていないというのも珍しくないみたい。
で、男子達は何を考えたのか、呪の最も重要な詠唱を無しで扱えないかと思ったようで。
正直その事を聞いた時は「は?。」だったよ。
重ねてきた訓練の中で聞かされた事を思い出せば、それがどれだけ馬鹿気ているかなんてすぐ分かるはずだし。
何故詠唱をするのか?。それは霊力だけでは力には、意味にはなり得ないから。
霊力を詠唱に乗せ、意味を持たせ、力として構成する。
それを無視すればどうなるか?。簡単に想像出来たはずだ。
けど何故か男子達はその愚行を実行に移し、継続した。
後は予想通り・・・でいいかな?。
男子達は揃って実力を落として、それが大人達に知れた。
一応、説教もされらしい。今まで何を学んで来たのかと。当然だね。
で、何で男子達がこんな考えをしだしたか?。
きっかけはライトノベルとかいう物だったらしい。
そこにあった無詠唱というのを鵜呑みにして・・・・前文に至るとの事。
私も興味本意で読んでみたけど感想は正直「は?。」だったよ。
そもそもライトノベルにある魔法と仙導士の呪とは魔法としの根幹、有り方に違いがある。
違う部分、違う有り様があるのなら通用しない、適用されないものがあると何で考えられなかったのか。
どちらにしても初歩的なミスをして、そして今に至る。
とりあえず今教官達の付き添いの下でその遅れを取り戻そうとしているとの事。
一応熱心にやっているみたいだし、あのサボり魔に比べたら大丈夫だと思える。
*
再び泰童秀視点
放課後となった現在、ようやくここにこれた。
できれば早目に来たかったんだが、放課後になってさあ行こうというタイミングで彩華さんから電話。
それで内容は「取り敢えず早く帰ってほしい。」で帰ってみると俺が鬼神に支配されていないかの確認。
これが変わりもせずに続けば流石にイライラと来る訳で・・・・ちょっと口論・・・にしかならなかった。
目的の邪魔される理由が毎回同じで・・・さりゃぁ怒りたくもなるだが、
それで彩華さんは自分が不利なのだと判断すると早々に泣き落としに移行。
いい加減頭が痛いと言いたいところだが、本題としては止めてくれな訳けで・・・・。
うんざりした気分のままになんとか話し合い・・・そしてようやく止まって今に至る。
全く・・・ここまでに約一週間。思い返せば本当に時間を無駄にしたと思えるものだ。
はぁ・・・・まあ取り敢えず気を取り直して。現在俺は体育館を目の前にしている。
ここに俺の目的、剣道部がある。
と言っても幾つかの部活と合同でこの体育館を使っていると担任の芳川先生が説明してくれていた。
そうなるとだ、静かには入った方が良いな「たのもっーー!。」とかは無しで。したかったけど。
考えても仕方ないとさっさと入る。
入って見ると流石体育館。見通しが良い。しかし思った程状況はごちゃごちゃしていない。
練習内容を見ているとどうやらバレーボール部と、剣道部だけのようだ。
その剣道部も今のところ二人しかいないみたいだ。取り敢えず近寄ってみるとしよう。
「おや、入部希望者かな?。」
二人の内の一人が俺に気付いて声を掛けて来る。
「はい、そうです。」
取り敢えず俺もそう答えて背負っていた鞄と一緒にしていた剣道具一式を揺らす。
「道具持参で来るとは気合いが入ってるね。」
元々そういう人なのか、さっきからずっと笑顔で、穏やかな感じで対応してくれている。
「当然です。経験者ですから。」
何が当然かは意味不明かもだが、そう答えておく。
「おっと。それは失礼したね、では早速だけど君の腕の程を見せてくれるかな?。」
「勿論です。」
あら?。以外と会話が進んだ?。まっ良っか。という訳で着替える。
「と、お互いの自己紹介がまだだったね。僕は望月隼人。一応ここの部長をしているよ。」
「泰童秀です。宜しくお願いします。」
「秀君だね、こちらこそ宜しく。後、君の相手は彼だよ。」
と望月さんはもう一人の方に目に向ける。で、向けられた方は何とも驚いていた。
「え?、俺が、ですか?。」
「腕試しなら君の方が適任だろ新島。」
何を納得すれば良いのやらの雰囲気になったが、結局その試合カードとなった。
で、着替えると・・・・・。
向かい合う俺と新島という人。で、なんでか望月さんも着替えてるで、この人が審判。
「では、始めっ!!。」
望月さん掛け声で緊張感が高まるのを感じる。だがこの感じ、悪くない・・・・・。
向かい合うだけでも相手の力量が見えてくるって、なんか剣先が安定してないなぁ。
剣道で使う竹刀は確かに軽い。しかし長いさも相まってぶれもなく持ち続けるのは実は難しい。
一応剣先をわざと揺らす流派があるのは知っている。しかし、この揺れはそれとは違うか。
そして体幹。なんかこれも安定してないなあ。僅かな揺らぎが見て分かるし・・・・。
呼吸を合わせればになるが、これもれっきとした隙になる。
なんだかこれだけでも相手が格下だと分かってしまう。
実際勝敗は呆気なく付いた。剣先を使ったフェイントにあっさり相手が便乗する。
「マジか・・・。」と思いながら相手の剣劇を最小の動きで流してそのまま体を直進させる。
「籠手ぇっっ!!。」
まさにそのままの展開。あまりにも呆気ない展開に新島という人も呆然としていた・・・と思う。
「籠手!。」
望月さんのその掛け声で緊張感が解かれた気がする。
「見事だよ、泰童君。じゃっ次は僕だ。」
望月さんの言葉に一瞬えっ?てなるけど気が付くと嬉しそうにもう面を付けている・・・・。
そして新島さんの方を見るともう面を外していて、その表情が「諦めろ。」と言ってるような・・・・。
マジか・・・・そしてそれが自分も着替えてた目的ってそういう事か・・・・。
尤も、新島さんを相手にさせて実力を見極めた上でと、だろうと思うけど。なんか扱いが可哀想だな。
で、結局は・・・・だよなぁ~~~。
「では、始めっ!!。」
今度は新島さんが審判。けど問題はそこじゃない。
向かい合えば実力が伝わってくる。それは望月さんも例外じゃない。
だからはっきりと分かる。さっきより明らかに緊張感が高まっていると。
「この人・・・強い。」
あっ・・・・無意識に口にしていたか。でも・・・多分その見立ては間違ってない。
新島さんとは違い綺麗だと見て分かる立ち姿。剣先も、その構え方も見事に尽きる。
竹刀の構え方から体勢が一本と化している。
誰かと、しかも強いかもと思える相手と試合をするのは少し久し振り。
その相手は勿論俺の師匠のじいちゃん。
本気での試合は結局一度も勝てなかった。そして今もそれに似た緊張感を覚えている。
そしてまたしても試合は一瞬だった。
望月さんの剣先が大きく揺れるのを隙だと見て仕掛ける。
しかしそれが望月さんの仕掛ける罠だと気付いた時には遅かった。
そして「しまった!。」と頭の中で叫んだ時には勝負は決していた。
「めえぇぇんっっっ!!!。」
そう響く声が聞こえた時、そこでようやく俺が負けたと理解していた。
そして少しして、全員制服に着替えていた。
「見事だったよ泰童君。歓迎するよ。」
「いえ、望月先輩こそ。」
そう言って握手を交わす俺と望月先輩。
当然かもだが、相手が一学年上と知って先輩と呼んでいる。
「他に部員はいるんですか?。」
「ああ・・・あまり多くはないけどね。」
その会話をしていた時には握手は解いていた。そして話し終わったタイミングで誰か体育館に入って来る。
「あっ!、バスケットボール部来ましたよ。」
と言ったのは新島さん。見てみると確かに、だった。
「すまないね泰童君。今日は部の日じゃないんだ。という訳でお暇するよ。」
望月先輩のその言葉に思わずへ?ってなるが、
後に剣道部はよくこうして来るのが遅れる他部の隙を付いて乱入めいた事をしているとの事。思ったよりヤバい部かも。
そして思ったり早く終わってしまったという事でこれも日常行動にしていた事。
まずは人目の無い所で鬼神化。
この力でこれまで見えなかった存在(もの)が見えるようになった。
そしてその中に穢れという世を乱す存在があると彩華さんや皇臥(あいつが)教えてくれた。
だから俺はここのところ毎日鬼神の力を使って穢れを刈っている。
「いや待て待て待て待て童(わっぱ)。我らがすべき事はその逆ぞ!。もう何度も言っていようぞ。」
「ああそうだな。しかし知らんし、だが断る。」
「ぐううぅぅぅぅっっっっっぁ!!!おのれ小僧ぉっっっっ!!!!。」
ああもう鬱陶しい。これもいつものになったからか?。
さて、この鬼神化。確かに身体能力が大きく上昇するので”チート能力”と言えいるかもしれないが、
どうにも加減というのが難しく厄介だ。実際少し前に壊しちゃいけないのを壊しかけてひやひやした。
最近人気ライトノベルにはこういうチート能力がよくあるが。
あれって力の加減とかどうやってるんだ?。能力の上昇と共にその加減が難しくなるはずだが。
・・・・と考えていても仕方ないか。いまは慣れる事で覚えられる力加減を得るしかないだろう。
とまあな感じで始めたが、最後に思ってもみなかったエンカウントがあった。
何度見てもと言ったところか、穢れとはなんとも不気味な。
どこか子供の頃に聞かされた妖怪等の特長に似ているも言えをるが、あれよりも形が定まっていない感じで気持ち悪い。
だが、それもだいたい片付いたか・・・・・・
ん?・・・・少し迂闊だったか、人がいるのに気付かなかった。
更に周りを見れば、それがおかしくないごく普通の広場に何時の間にか出ていた。
・・・・・・流石に迂闊過ぎか・・・・さてどうしたものか?。
とまあ考える内に気付く。視界に入っている人に、いや正確ちには服装に見覚えがあるだな。しかも二人だし。
そう言っても見覚えがある事にそう不自然さはない。その二人は巫女服を着ていたからだ。
流石に場所がらで言えば其なりに不自然な服装なのだが・・・・。
まあ、場違いな所にいるのは俺も同じだろう。取り敢えず何か言い訳をと近付いて行くと突然構えた感じに・・・。
「気を付けて、相手は鬼神よ。死にたくなかったら油断しないで、」
「うううぅぅぅ・・・・・・・、解ってるよぉ。」
二人とも服装から女の子だと思っていたが聞こえて来た声でそうだと確信。
そして聞こえた声で今の俺の状況を思い出す。
一瞬鬼神って誰?だったが。それって俺だよな・・・となってくる。
やべっ・・・・軽くパニクッて忘れてた・・・・・・。
で、当然今互いに向かい合っている訳でって、そこでまた一つ気付いた事。
相手の一人は鳴海蛍子さんで、後一人は・・・・・・知らんな。
取り敢えず向こうは俺を敵だと思ってる。当然か・・・・・。
が、俺としては戦いたくない訳で・・・・。
どうしたものと考えていると向こうから攻撃・・・・・でもあんまり効いてないな。
「当然よ、儂を誰だと思うておる。」
と言う奴の言葉は取り敢えず無視。
「こらっっ!!、無視するでない小僧っ!。」
うん、やっぱり無視。と思っている内にもう一度攻撃を受けわる。でもやっぱり効かない。
とは言え、このままずるずると時間を掛けて鳴海さんに仲間を呼ばれてもあまり良くないな。
あまり気が進まないが、ここは文字通り煙に巻くとしよう。
そう決めた俺は右手を握り締め、拳を地面に向けて構える。
作りは古い感じのコンクリート。恐らく狙い通りになるだろう。
そのまま地面を真っ正面として真っ直ぐに拳を打つ。
すると打ち砕かれたコンクリートが粉塵と成り、舞い上がる。
「ぐっ・・・・何?、何も見えない。」
と鳴海さんらしい声が聞こえる。うん、どうやら成功か。じいちゃんか武術を習って良かった。
さて、後はさっさと逃げよう。
正直公共の物を壊すのは気が引けるが、流石に仕方ないか。
取り敢えず心の中で謝っておこう。御免なさい。
「おい小僧。何故逃げるのだ。あのまま小娘二人喰ろうてやれば良いではないか。」
・・・・・・なんだろ皇臥(こいつ)。忘れた頃に喧しくなるな・・・・。
*
最後に鬼頭彩華視点。
鬼頭家日記 記録者 鬼頭彩華
本日も順調・・・・てなれば良かったのだけど。
どうも秀君が困った事をしてるみたい。
皇臥様の言う事も聞いてないみたいだし、困ったなぁ。
そろそろお母さんめっ!ってしなきゃダメかな?。
勿論上の人にはこんな事上には報告出来ないよ。怒られるかもだし。それは嫌だしね。
それと仙導士は鬼神への対抗手段は持っていない。
けど奴らも馬鹿じゃない。鬼神様の力を削る結界のようなものを作っているらしい。
尤もそれも長い時間その中にいなければ問題ないみたい。
でも、どうもそれが秀君の通う学校に張られてるみたい。
それでその事の苦情が皇臥様から来るんだけど。お願いだから秀君に言って欲しい。
そしてその影響は秀君にもあるはずと思ってたけど。うん、あるみたいだね。
その為、彼は学校から帰ると、だいたいいつも死にかけています。
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