我が家の鬼神様は何故かいつも気怠け

高宮 摩如(たかみや まこと)

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ー第4話ー ちょっと待て!それはじいちゃんのだあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!

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いつもの朝。俺は皇臥(こいつ)の力の使い方にも其れなりに慣れた事で穢れの駆除を可能な限りやっている。
「待て待て待て待て小僧。ぬしのすべき事はその逆であろう!。」
しかし油断は出来ない。強い力というのは例外なく扱いが難しいものだ。
「その考えこそ邪魔であろう。思いのままに力を振るえば良かろう。」
実際加減を間違えて物を壊してしまう事があるし、それで誰かを傷付ける事になれば目も当てられないだろう。
「それこそ無用な気遣いではないか。己の赴くままに力を振るい、欲望を果たせば良いのよ。」
「いちいち喧しいなこのクソ鬼!。」
「なっ!・・・この儂をクソ鬼と?・・・おのれ生意気な小僧めがっ!。」
こっちも慣れたと言いたいところだが・・・・無理だな。
止めようのない頭に響く皇臥(こいつ)の声。
無視出来れば多分五月蝿いとは感じないかもしれない・・・・・・いや無理か。
こうも常時喧しくされて、それを無視出来るってどんな神経?。だよな。
それよりも皇臥(こいつ)を黙らせた方が現実的だ。
尤も、その方法が有りそうで見つかっていないのが現実な訳だが。
「小僧!。もっと己を解放し欲望のままになるのじゃっ!。
 その快楽を知れば儂が何故こうも口喧しく言い続けるか理解出来ようぞ。」
・・・・・・・やっぱり黙らせたいな皇臥(こいつ)。
しかしこの穢れか。今のところ排除出来てはいるが・・・・・。時折苦戦する事がある。
対峙している時の感覚だとそこまで強いとは思えないんだが、どうも手応えが良くないと感じる。
「当然よ。本来干渉出来ぬ存在(もの)に無理矢理干渉して殴り付ける。
 それが今お主がやっている事だからな。仙導士達もそうだが干渉出来る力を増幅する器を用いる。
 儂ら鬼神とてその器無しとなると己の力を十分に発揮は出来ぬものよ。
 それに今お主が対峙しているのは下級の穢れ。より上の等級となるといくら儂の力があっても勝てぬぞ。」
なん・・・だと。何故それを早く言わないんだよ。
「言ってどうなる無鉄砲小僧。それなら気合いでどうにかするとかだろう主は?。
 それなら多少は実状というものを見せ、感じさせた方が物事を理解出来ようとな。
 それに以前(まえ)に言うたが、儂の力は強大よ。
 主に主導権を握られているとは言え、儂の力に勝てる穢れが出て来るのは希であろうからな。」
それに俺にあまり穢れを祓われたくない・・・だろう?。
「うむ、そうだの・・・しかしこのまま行けば主の無鉄砲に儂も巻き込まれかねんからの。」
?・・・どう言う事だ。
「穢れの生み出す力(もの)は我ら鬼神の力ともなるものだが。
 問題は基本的に穢れに理性というものが無いという事。
 そのせいか力が弱る等の事があると儂ら鬼神とて喰らう事がある厄介な一面があるのだ。」
ああ・・・成る程。今まま穢れに立ち向かう事を続けて、それで勝てない相手とやり合ったら、
俺も皇臥(あいつ)も喰われてしまう。それを危惧している訳か・・・・・・。
「で、その器というのは何処にある?。」
「知らぬよ。主を通して理解したが、世と言うものが変わり過ぎておる。
 儂が知るのはその変わる前の事故にな。
 それに言い忘れていたが器は消耗品でしかない。
 だから探すより改めて作り出すというのがよかろう。」
「で、どうやって作るんだ?。」
「主には無理だ。器を作り出す事を生業とする者がいるであろう。その者を探すのだ。」
じゃあそいつは?・・・・って知らないわな。自力で探すしかないか。そうして家に帰る事にした。
それから数日後。
「秀君。手紙よ。」
聞こえ来た彩華さんの声の方に顔を向けると目の前に当人。そして言葉通り手紙を渡してくれる。
皇臥(あいつ)の言っていた器をここ数日探していたが現在手掛かり無し。
どうしようかと思っていた中で突然の手紙。
しかし手紙か、誰からだ?。残念ながらかもだが心当たりは無い。
身内はじいちゃんだけみたいなものだったし、どうしてか友人関係も無い。
で中身を見て見ると・・・・・。
前略じいちゃん(面倒臭いのでこれで)の土地を長男夫婦(じいちゃんの息子夫婦)に譲渡する事が決定しました。
つきましては泰童秀様にも立ち会って頂きたくX月X日に****にお越し頂きたいと存じます。
?・・・何だこれ。じいちゃんに息子が居たのは知ってたけど。
確か何か仲が悪くて何年会ってなかったとか言ってたけ?。
それが何でじいちゃんの物を?。
訳が解らないが行ってみるしかないか。場所はじいちゃんの家。よく知っている所だからな。
それで当日。
行ってみると見知らぬ男が三人。
「君が泰童秀君?。」
そう言ってきたのは三人の中でただ一人スーツ姿の人。
「初めまして弁護士の****と言います。」
そのスーツ姿の人が続けて言ってくる。
「説明は全て僕がさせて頂きます。宜しいですね?。」
「ええ・・・・。」
どうにも要領を得ないが、聞いてみるか。
それでその弁護士と言う人の話しによると、この土地を実の息子である依頼人に譲渡するように手続きをしたいのだが。
実はじいちゃんが遺言を残しており、その為には俺の承認が必要になっているとの事。
話しの内容は確かに成る程だったが、そこで俺は違和感を覚える。
確かそれらは俺に残すとじいちゃんが言っていたと記憶している。
試しにその事を話してみる・・・・すると。
「ふんっやっぱりな!。だからこんなガキを引き取るのは反対だったんだ。」
突然にそう言ってきたのはこれも特長が分かり易いでっぷりとした体型に妙に汚ならしい雰囲気の男。
その男を弁護士という男が「まあまあ長男さん。」と宥めていた。
「ふんっ強欲なガキだ。そんな出鱈目を。」
「なっ!!。」
確かに証拠みたいなものはないが。だとしても酷い言い様だな。
「まあまあ。その為に彼を連れて来たのでしょう?。」
「ふんっそうだな。」
何だ?。また弁護士が宥めに入ってるみたいだが、どうも話しが見えないな。
「おいガキッ!。お前も親父から剣道を習ってんだろう?。だったら勝負しようじゃねぇか。」
・・・・・・・ほんとに話しが見えないな。何なんだこの状況?。
それからすぐに弁護士と言う人から説明が入った。
それで要約するとこのじいちゃんの土地等をどちらが継ぐのかを剣道での勝負で決めようという事らしい。
何か何もかもが突然だし、唐突だな。ついでに意味が解らん。
しかしだ、この勝負。受けない理由は無い。
何かこの目の前の人達に任せてしまうと、じいちゃんの残したものを滅茶苦茶にしてしまう。そう思える・・・だからっ!。
「その勝負・・・受けますっ!。」
迷う事なくその言葉が出た。
で・・・・俺のその言葉に反応するように一人これも特長的な着物姿の男が前に出て来る。
そして弁護士と言う人が「では、その方と勝負して頂きます。」と言った。当人(あんた)が相手じゃないのかよ!。
だから三人だったのかと納得出来もするが。色々と訳が解らんでもあるな。
と言う訳で防具等の道具は道場に残ってるか?・・・・・・あっ!あった。
そうして数分後。
「それでは始めます。」
「少し待ってくれるかな。」
弁護士の人の声で試合開始というタイミングで聞いた事のある声に止められる。
「試合の前に質問を良いかな?。」
正体不明の声にその場の全員がポカン。って俺は知っているけど何で望月先輩がここに?。
「誰かは知りませんが、何でしょう。」
あっ弁護士の人、律儀に応えた。
「貴方は剣道の経験、もしくは知識はありますか?。」
「いいえ、ありません。しかし何か問題でも?。」
「それは問題しかないですよ。それを更正な試合と言えますか?。」
あっ・・・それは確かに。けど・・・・。
「何で先輩がここにいるんです。」
取り敢えず聞きたいと思った事を望月先輩に質問する。
「ああ、泰童君を見付けて、それをつけ・・・・・いやっ、たまたま見掛けてね。
 それで様子見て見るとなかなかおもしろ・・・・いやっ、由々しき事態になっていると思ってね。
 だから僕でも何か力になれたらと思ってね。」
・・・・・・何だろうな。気のせいじゃなければ何かヤバい事を言いかけていたように思えるんだが。
「貴方の知り合いですか?。」
と考えいる時に弁護士の人から俺に質問が来ていた。
「ええ、今俺がいる剣道部の部長です。」
「そうですか。」
俺の答えに何か考えている弁護士の人。
「おいっ!、まさかそいつに審判をさせようって訳じゃないだろうな!。」
と、突然怒鳴る様に言う長男。
「しかし、私は経験者ではないので。」
「馬鹿か!。そいつはガキ側の奴だろ!。」
弁護士の言い訳にもっともな反論をする長男。まあそうなるよな。
「そこはご心配なく。僕も剣道の行く端くれ。公正な審判を約束しますよ。」
しかし望月先輩も負けていないか。
「ふんっ!。信用出来るかっ!。」
「では一度審判を任せてみて様子を見るというのも良いのでは?。」
「その必要があるのかっ!。お前がやれば良いだけだろうっ!。」
「しかし・・・・・。」
なんか長男(この男)、強引にでも自分の思い通りに事を進めようとしているみたいだ。なんか態度も悪いしな。
しかし弁護士の方は乗り気ではなく。結局望月先輩が一応審判をするという形になった。
「両者構えぇっ!。」
望月先輩の鋭い声が響く。相手は着物の上に防具。しかし俺は私服の・・・・気にしても仕方ないか。
取り敢えず試合に集中だ。しかし相手の構え方・・・かなり変わってるな。
足を大きく開き、やや前のめりの体勢で竹刀を構える。なんか不恰好にも見える。
尤も、俺もそこまで剣道の流派に詳しい訳でもないので相手を馬鹿にするのは早計だろう。
「始めっ!。」
望月先輩のその掛け声と共に緊張感が高まる。もう慣れたものだ。
見た事も無い構えというのもあって、相手の先手を見てからと思っていたが。
その相手はいきなり竹刀を上に振るい上げるとそのまま降り下ろしてくる。
????何だその雑な動作は?。いちいち体を開いたままの動きだから他に表現のしようがない。
当然隙だらけ。なんと言うか、この人、本当に経験者か?。
「どおぅぅっ!。」
真っ直ぐ足を進めてそのまま打ち付ける。嘘だろ・・・あっさり決まる場面じゃないぞ普通なら。
「そこまでっ!。」
しかし望月先輩のその声で現実を実感する・・・実は遊ばれてた?。ほんと訳解らん。
「おいっ!。なにやっている。」
試合結果に長男が声を荒げる。弁護士の方は・・・一応長男を止めているか。
「一つ良いですか?。」
と、また状況に割り込む望月先輩。
「何だ?。」
で、長男の方は実に機嫌悪そうに応える。気持ちは分かるが・・・・。
「このまま試合を続けますか?。一応ですが、貴方では泰童君に勝てませんよ。」
そう望月先輩は着物姿の男に向き直して言っていた。
「貴方が剣道経験者ではないのは解っています。それでもですか?。」
「なっ!・・・それは本当かっ!。」
望月先輩の指摘に怒鳴る様に言う長男。それに対し着物姿の男は「なっ、何を証拠に?。」とやや怪しい反論をする。
「剣の構え筋を見れば明白ですよ。生憎僕はそこまで経験は浅くありませんので。」
自信たっぷりな望月先輩に狼狽えてばかりの着物姿の男。・・・マジかよ。
その後は・・・・・・騙す騙したの言い合いから始まった男達の醜い言い争い。
そして「覚えてろっ!。」とえ?、何に?。と言った感じの定番の捨てゼリフと共に男達は去った。
「どうにも慌ただしかったね。」
去っていく男達を呆然と見ている俺ににこにこと話し掛けて来る望月先輩。この人神経太いなぁ。
「そうぉ・・・ですね。しかし助かりました。」
「礼には及ばないよ。それにまだ終わっていないだろうからね。」
「えっ?。」
「ここは泰童君のおじいさんの家で、君はここを守りたい。違うかな?。」
「ええ、そうです。」
望月先輩の質問の意味は解るけど意図がどうにも解らないだった。
「なら早い段階で手を打つべきだよ。ああ言う金やらに目が眩んだ輩と言うのかな。
 そういう類いのはなかなか諦めないからね。守りたいなら対策は必要だよ。」
一応望月先輩の言いたい事は解ったけど・・・・にこにこしながらそういう大事な事を言わないでほしい。
「でもどうすれば?。」
「僕も言い出した以上は協力するよ。父の専属の弁護士がいるんだけど。力を貸してもらえないか掛け合ってみるよ。
 それで無理なら他にも知り合いの弁護士がいるから、そっちに話してみるよ。」
え?、えぇ?。何か話し大きくなってない?。
しかもそんな知り合いとか親がいるって望月先輩(この人)何者?。
その後望月先輩は約束を守ってくれた。そして事態は思ったより簡単に進んだ。
理由は長男側が雇った弁護士が偽物だった。というのが大きかったとの事。
そして望月先輩の見立て通り着物姿の男は剣道は素人だった。
弁護士に関しては費用を落としてじいちゃんの遺産を手に入れたかったからだと。
そしてその際に俺を施設送りにしたと。あの訳の解らない出来事はそう言う事かよ。
そうして一度は取り上げられたじいちゃんから貰った銀行の通帳が戻って来たり。
このじいちゃんの家に住んで良い事になったり、望月先輩には感謝しかない。
尤も本人は「礼には及ばないよ。おもし・・・僕がしたいと思ったからした事だしね。」と謙遜してたが。
それでこの事を彩華さんに話したんだが・・・・それが新たな問題の発覚になるとは(呆)・・・・・。
「えっ!。それってこれから贅沢な生活が出来るの?。もしかして高級バックとか買い放題とか?。すごいすごい~~~。」
・・・・・俺の話しを聞いたとたんに興奮して危ない恍惚な表情で騒ぐ彩華さん。
現在貧しい生活状況だった訳だけど。・・・・原因これじゃないのか?。
そう疑問に思っているとあまり俺の前に姿を見せない彩華さんの娘の沙菜ちゃんが出て来ていた。
そして沙菜ちゃんも俺の話しを聞いていたようで、彩華さんの金銭でのやらかしをこっそり話してくれた。
その内容はだいたい俺の予想通りで、ついでに沙菜ちゃんなりに苦労をしているというおまけの話しも付いて来た。
これらの話しを聞いて俺は血の気が引くのを感じる。ヤベェ、これはマジでヤベェな。
幸いじいちゃんから金銭感覚等にもきっちりと教えられていた。
そういう事も考えるとじいちゃんの財産を彩華さんに任せない方がいいな。間違いなく(呆)。

鬼頭彩華視点
本日の記録。
ぶうぅぅぅ~~~~~。秀君が意地悪です。
経緯は不明ですが、おじいさんからの遺産と家を取り戻したと。
それでその家を見せてもらったけど、まあ大きい家。
外装は古く見えるんだけど、しっかりと改装をしているとの事で、内装や家電は結構現代的で良かったわ。
なによりあのボロアパートを引き払う事が出来るの本当に嬉しい。
でも喜べたのはそこまで。秀君がおじいさんの資産の管理をすると言い出したの。
ええぇぇっ~~~~!。私に任せてくれないのぉ~~~?。
理由は話してくれないけど私には任せられないと。私、そんなり頼りないかなぁ~。
それからも秀君と話し合ったけど、これらの決定は変わらなかった。
一応だけど私が好きにしても良いお金はあるよねと聞いたんだけど。
どうしてか秀君に睨まれたぁ~~。ええぇぇぇ~~~~んっ!。
秀君意地悪だよ。私だって高級バックを買ったり、高い食事をしたいのよ。それの何がいけないの?。
で、まあ秀君は学校に行っていない時もあるし、その隙にと思ったんだけど。
「お金はどこなのぉ~~~!。」
予想は出来たと思う。秀君のガードが硬い(泣)。やっぱり意地悪ぅ~~~~。
そんな秀君だけど。相変わらず家に帰って来た彼は死にかけています。
皇臥様のなんとなく聞こえて来る話しによると。
憎き仙導士を未だに放置して、奴らの張った結界に当てられてこうなっているのだとか。
もう秀君ったら。私からも言うようにしてるけど、そういう奴らはさっさと殺さいとダメよ。
でないと私が怒られるんだからね。
それにこれじゃあ”我が家の鬼神様は何故かいつも気怠け”みたいで格好悪いわよ。しっかりしてね。 
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