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ー第2話ー 策士回る、廻る、輪る!

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美咲唯は策士だ。
これがただ計算高いというだけならまだ良いものだけど。(いや、十分良くないね。)
質が悪く、何気に僕への迷惑を考えていないとしか思えない行動が多く。
唯への苦手意識の原因の一つとなっている。
但し、それでも唯が優秀な策士なのは間違いない。迷惑な意味で・・・・・・。
実際今僕はクラスで孤立している。
唯と付き合っていると思われて男子全員から敵視され、
女子とは、僕に関わろうという度胸が無いだけ・・・・・・・・。
え?、唯の事もあるし、女子には慣れてるのではって?。
いやいやいやいや。逆に唯のせいで女子が苦手になってるのっ!。
しかし、これも今思えば唯の策かと思えるものがある。(被害妄想とは紙一重。)
そして最近になってあれっ?、と思い、もしかして思う事がある。
妹の里菜だ。あいつもしかして唯とグルなんじゃと最近疑っている。
勿論証拠なんて無い。あくまで僕の勝手な推測だ。
ただ、そう思える出来事が日常の中で、何度も目の前で起きているんだよね。
一応表面上は里菜と唯の仲は良くない。但しわりと最近になっての事。
きっかけは里菜が僕にべたべたと甘え始めたから・・・これまでの唯の行動を考えればこの辺り妥当だよね?。
けど元々二人は仲が良かった。で、今は僕の取り合いで仲が悪い。そう見える。
でも時折この二人本当に仲が悪いの?。疑う事がある。
言ってしまえば本気では喧嘩していないのでは?と思える事があるという事。
元々汚い言葉なんて使う二人じゃないけど。
二人の喧嘩はいつも牽制のし掛け合いだけ、しかもわりと短い時間のみ。
最初は突然仲が悪くなった二人に戸惑ってばかりだったけど。
二人の喧嘩を身近で見ているとだんだんと違和感を覚えた。
睨み合いに、口喧嘩、でたまに小さな取っ組み合い。
その取っ組み合いの時にどうしてか二人共僕に体をぶつける形でやる。
最初こそ戸惑いとパニックの中で見ていていたけど、その喧嘩を見ている内に違和感を覚えた。
なんかわざと?、と思える感じの動きが二人から見え、だんだんと二人の仲が悪いという事に疑問を覚えていた。
実際二人の喧嘩という行動の中で”実はこの二人仲が良いのでは”と思える仕草みたいなものが見えていた。
そうなると疑問になるのが、実は仲が悪いように見せている?。となる、けど何で?。
はっきり言って二人の意図は不明。そもそも何のメリットがあって?だし。
尤も、その意図が理解出来た頃には僕が状況的に嵌められたと頭を抱えているだろうね。
気付くのが遅すぎたたと後悔して、いつもこのパターンだし。
分かっていても避けられない。そんな厄介な災厄にして策士たる腐れ幼馴染み美咲唯。
それも現在進行形の野望の為。それもかなり直球的なやつ。
最近全く遠慮のない誘いをしてくる。しかも性的という感じのやつを。
僕だって学校の授業とかで知識はあるから唯の誘いの意味も分かる。
けど正直唯のやり方には嫌悪感しか覚えないし、好きにはなれない。
一応クラスメイトの男子の中には女子を性的に見ていてそれを口にする奴もいる。
どうも唯は僕もそっち方面の価値観の持ち主だと思っているようだ。勘弁してほしい。
で、ここに来てのもう一つの気付き、妹の里菜が唯と共犯の可能性。
これに関しては完全に意味不明だ。元々仲の良かったのが、今は仲が悪いふりをしている。
何で?、何のメリットがある?。
何か妹としての思惑がある。そこまでは解るけど、そもそも何の目的で?になる。
里菜に直接聞いてみたいとも思うけど、聞いたら聞いたで後悔しそう。
て、そう思っている時点でかなり美咲唯菌に毒されてるな僕は。(勝手に命名+決め付け。)
じゃっ、どうするかで盛大に困る。どう手を打つかが解らないからだ。
そもそも何をしようとしているのか、それが解らずじまいというのが厄介だ。
せめてもの救いは最終的な目的は分かっている事。
しかしその為に何をしようとしているのか、しかもその為に巻き込む意味のない共犯者までいる。
いっその事ギブアップしたいよほんと。(絶対嫌だけど。)
そしてこの共犯者こと我が妹里菜の存在も厄介だと言える。
兄妹仲は・・・まあ悪くないかな。僕個人はそんな感じだった。
けどその”異変”にもっと早く気付き、もっと警戒すべきだったと今にして思う。
里菜が高校生に上がってから僕へのスキンシップが激しくなっていた。
最初は気が付かなかった・・・いやっ、気が付かないようにしていただけかも。
当初は体をくっつけてくる頻度が高くなったかな?と思う位だったからというのもあったけど。
だんだんとそこに性的なアプローチ加わり始めてきた・・・・・。
例えば下着姿で僕を起こそうとしたり。あっ!、そう言えば一緒にお風呂に入ろうって誘ってきた事もあったっけ。
どっちも親に見つかって怒られて大事にはならなかったけど。
最初、そんな里菜を僕は無自覚で無防備な妹と思っていた。
しかし、その裏にあの策士美咲唯がいるとすれば?。
その事に気付いた最近は里菜の行動にも警戒するようになっなけど・・・やっぱり気付くのが遅かった、だね。
一応唯とは違い、血の繋がった妹だという事で両親が歯止め役にはなってるけど。
里菜もバカじゃない。それに策士唯の存在も忘れてはいけない。
今後多分里菜の行動、やる事にずるさが出てくると予想出来る。だって唯という実例がある訳だし。
そして、だとしても事態を予測出来ず、阻止出来ない未来が予想される。
だってこれまでもずっとそうだったし、それで何度後悔したか・・・・・。
そう思っていてもやっぱりいつもの日常は始まってしまう。
朝は里菜に起こされて、その表情もやけに甘えた感じで。
で、わりとすぐに今度は母さんが僕の部屋に入って来る。
「何をしているのっ!、二人共早く着替えなさい。」
離れた所から大声を上げてだったのが、最近僕の部屋に入って来るようになった母さん。
どうも親達なりに里菜の行動を不信に思い、警戒しているようだ。
ってちょっと!、と思ってると母さんが「こら里菜っ!!、自分の部屋で着替えなさいっ!。」
と里菜の行動に気付き注意をしてくれる。ああ・・良かった、気付いてくれて。
当の里菜はパジャマに手を掛けかけたところで止まり、不機嫌そうな表情をしていた。
そしてしぶしぶと自分の部屋に戻っていく。やれやれ・・・だね。
で、当然まだ”いつも”は続く訳で・・・・・・。
学校への通学の中、当然唯も合流して、そしていつもの小競り合い。
その小競り合いの中でもういい加減わざとだと理解している争いながらも僕に体をぶつけてくる二人。
見目麗しい二人のスキンシップ。ごく普通の男子なら泣いて喜ぶ光景だろうけど。
その二人に策意があると分かり、それが実に迷惑なものであり。
しかもこれがほぼ毎日続いて、そのせいで周りの男子達からやっかみを受けるようになれば、
流石に迷惑極まりないって言いたくならないかな?。(少なくとも僕は言いたい。)
だからだけど、学校の中でもあまり気が休まないというところ。ほんと迷惑。
で、結局はしてやられるという訳で・・・・・。
何があったかと言うと、始まりは朝のホームルームでの事。
「ではこれから学級委員を決める。」
その担任の言葉にクラス全体がざわつく。ってまだ決めてなかったけ?。
一年の学校生活の始まりの定番イベント学級委員の決定。
但し、学級委員とう役職への人気は最悪というのを忘れてはいけない。
理由はうちがそこそこの進学校で、部活動も熱心だから。
つまり、勉強に専念したいor部活動に専念したい。これが大半を占めているから。
そしてもう一つ理由がある。どっちかと言うとこっち方が理由としては強いんじゃないかな?。
学級委員の主な仕事は生徒会の補佐。
具体的に言えば生徒会だけでは手に負えない業務をこなす事。
実はこの学校、普通なら生徒間で片付ける事が生徒会に回って来る。
原因は前記したように一つ事に専念したい生徒があまりにも多いから・・・・。
ようするに生徒の我が儘の為に生徒会が忙しくなっている訳で、
当然学級委員もその割を喰う事になるという訳だ・・・・。
そして僕達は去年一年間ではたからその悪夢を見ていた訳で、
恐らくここにいる全員学級委員になんてなりたくないんじゃないかな。
でも、それでも決めなければいけないとういう訳で。
「で、男子からは推薦があった。三井修。」
「えっ?。」
へっ?、何?、どういう事?。推薦?、聞いてないけど?。
「誰か異論はあるか?。」
全くもって勝手に話が進む。だよね、先生も学級委員の人気が無いのは知ってる訳だし。
で、その後予想通りそのまま強制決定。とほほほだよ・・・・・。
しかし、推薦?。誰から?。ほんと訳が分からない。
思い付くのは唯の策?、だけど目的は?、で全く分からない。
そもそも唯の策なのか?、という状態。ほんとなんなの?。
で、次に女子・・・こっちは揉めるかな?、と思ったけど、一人挙手して・・・。
「新田久美(にったくみ)か、他には?。」
と聞くけど、その先生の声に誰も応えない、当然かもだけど。
で、そのまま決定。
そういう訳で何故かすんなり学級委員が決定。去年の事を思い返せばなんか不気味だ・・・。
何かしら意図を感じるけど、その正体すら不明という状態。
なんとも僕の高校二年のスタートは不穏な感じ満載なものになった。(最悪だ。)
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