6 / 21
☆ Familiar6☆ グレイスのお父様
しおりを挟む
「ああ、さっぱりした~」
お風呂から出てきてグレイスに髪を綺麗に整えてもらった私は、上機嫌でソファにダイブした。
「はあ――これぞ、至福の時いいいぃぃ」
クッションを抱きしめ、ゴロゴロと転がっていると、グレイスが苦笑した。
「そのまま寝るなよ? 体を痛めるぞ」
「うーん……」
グレイスの優しい声に返事かどうかも分からない声を出しながら夢の世界へと旅立とうとした瞬間、キーンという甲高い音が聞こえた。聞き覚えのあるその音に気怠いまぶたをなんとか開けると、リビングにあった一般回線用の魔境が発光し、湖に石を投げ入れたかのように鏡面が波打っているのが見えた。
「――通信? 誰からだろう……」
「ああ、ナタリア。眠いなら寝てて良いぞ。後でベッドまで運んでやるから」
グレイスの温かい声に再び目が閉じそうになるが、波紋の広がりの中心に見慣れた回線番号と名前が浮かび上がっているのを見つけ、一気に意識が覚醒する。
「クラウス様から!? グレイス、ど、どどどうしよう!!! 髪、服、えと、えっと、あ、顔とか!! 私、大丈夫かな!?」
ソファから飛び降りた私は急いで身支度を整え、素早く魔境の前に立っていたグレイスの隣に控える。
「親父に気なんて遣わなくて良いぞ」
「グレイスのお父様に対してそんなわけにはいかないわ! クラウス様には、どんな時でも優秀な私を見せておきたいの!」
グッと拳を握りしめる私に、グレイスが軽く「そうか」と言い、少しだけ不機嫌そうな表情のまま魔境に魔力を流して通信を繋げた。
途端、鏡の中に黒く短い髪を丁寧に撫でつけてオールバックにし、グレイスによく似た紫色の瞳を厳しく細めている長身の男が映った。細身の黒いスーツに白い手袋のスタイルは、見目麗しい彼によく似合っている。
「久しぶりだな、ナタリア嬢。それから、グレイス。元気そうで何よりだ」
「お久しぶりです、クラウス様。クラウス様もお元気そうで良かったです」
優雅に淑女のお辞儀をした私に対し、クラウス様が満足げに頷く。クラウス様の表情は乏しいが、時々グレイスと同じように優しい瞳を向けてくれるのが嬉しい。
「親父、用件は?」
「ちょっと、グレイス」
久しぶりの連絡にも塩対応のグレイスに、思わず咎めるように名を呼んでしまう。
「用もなければ息子に連絡も取れないのか? まったく……相変わらず、お前は私に似て人付き合いが苦手で心配になる。まあ、用はあるがな」
「あるならさっさと言え。ナタリアの昼寝の時間が削られるだろ」
「グレイスゥゥゥ!?」
(なんてこと言ってくれちゃってるのおおおおぉぉぉ!!!)
恥ずかしさとバツの悪さで赤面してしまう。
「まったく、お前は変わらんな。だが、それなら手短に済まそう」
「クラウス様! 私のことは気にせず、思う存分お話下さい!!!」
「ナタリア嬢は気にするな。それよりも、タイミングが悪かったようですまないな」
「まったくだ」
「グレイスウウウウゥゥゥゥ」
毎回、こんなやり取りにハラハラしてしまうが、クラウス様が気分を害した様子はない。
(ああ、もう心臓に悪い……)
「学校の方はどうだ? どちらも順調そうか?」
「ああ、問題ない」
「はい、クラウス様のおかげで問題なく通えています」
「そうか、それは良かった。もし何かあった時はすぐに報告しなさい。ナタリア嬢、特に使い魔の学校の方は色々と改革が出来ていない所が多い――充分に用心を」
「ありがとうござ――」
「手際が悪いな。俺達が入学する頃にはもっと改革が進んでいると思っていたが……」
「グレイス!? なんでクラウス様のことになるといつも以上に辛辣なの!? ここまで私達を気にしてもらってるだけでも充分なのに!」
「ナタリア嬢、グレイスの言う通り手際が悪いのは重々承知だ。学園の理事になるのにも予想以上の時間がかかったし、上は頑固でなかなか骨が折れる。手際は悪いが、こちらもこれが精一杯なのが現状だ。だから――後はお前達で頑張れ。お前達が決めた道だ」
「言われなくても進んでやるさ」
「茨の道でも――か……」
スッと眼が細められ、背筋が伸びる。
「茨の道でも――です。グレイスと一緒に頑張ります」
凛と返した私の言葉に、クラウスは悲しげに笑った。その瞳がグレイスと重なり、胸が痛くなる。
(それでも私は、諦めない――もう、決めたから)
「それじゃあ、そろそろ通信を切るな。ナタリア嬢、グレイス、次はセシリアの方から通信がいくと思うが、いつものように――」
「調理器具の場所は教えません!」
「そうしてくれると助かる。またキッチンを破壊されるのは勘弁願いたいからな」
最後のやり取りはこれ――とでも言うようにお決まりの台詞を言った私と、哀愁漂う彼の姿に思わず苦い顔をしてしまう。
(いつものことながら、クラウス様は苦労されているのね)
後ろで束ねた銀色の髪を揺らしながら紅い瞳を輝かせて料理に向かい、毎度キッチンを半壊――いや、全壊の比率の方が全体的に多い気がする……をさせてしまう人物を思い出し、遠い目をしてしまう。
「ああ、それと――グレイス、いつまでも『アレ』を引きずるのは格好悪いぞ。過去よりも現実……それを見誤るな」
フッと消えてしまったクラウス様の姿がまだそこにあるかのように、グレイスが不機嫌そうな表情のまま魔境を見続ける。
「ねぇ、グレイス――『アレ』って何?」
「過去のことだ…………」
「???」
小首を傾げて彼を見つめるが、グレイスはそれ以上教えるはないようだ。
(まあ、グレイスが話したくないんなら聞かない方がいいよね……気にはなるけど)
「ナタリア、昼寝はどうする?」
「うーん、目が冴えちゃったからなあ……」
「それじゃあ、残りの宿題をやるか」
「ウッ――急に持病の筋肉痛が……」
「そうか、筋肉痛なら大丈夫そうだな」
「あ、いや、違うの! 持病の背筋が――? いやいやいや、やっぱりちょっと眠たくなってきたなあ、なんて――?」
どうしても宿題のやる気が起きず、やらなくても良くなる言い訳を考えていると、グレイスの大きな手が私の頭を優しく撫でた。
「俺も手伝うから頑張ろうな?」
「うぅ……」
グレイスに頭を撫でられるのは好きだ。優しい彼の手に安心する。彼に撫でられるとちょっとだけ頑張ろうかなと思えてしまう。
その感触をもっと感じていたくて、頭をグリグリと彼の手の平に押しつけるようにすると、彼が薄ら笑ったような気配を感じられた。
「終わったら黒蜜きなこのアイスもあるぞ」
彼の魔法の手と魔法の言葉で、パアッと目が輝く。
「頑張る!! すぐやっちゃうね!!!」
私は勉強道具を取りに行くため、リビングを後にした。
★ ★ ★
「『アレ』か……言える訳がないだろう……ナタリアの初恋が親父で、ナタリアの初めては全部欲しいから嫉妬してる――だなんて……ああ、もう本当にかっこ悪い」
グレイスが珍しく頬を染めて顔を覆っている様子は、通信が切れて普通の鏡の役割を果たしている魔境しか見ていなかった。
お風呂から出てきてグレイスに髪を綺麗に整えてもらった私は、上機嫌でソファにダイブした。
「はあ――これぞ、至福の時いいいぃぃ」
クッションを抱きしめ、ゴロゴロと転がっていると、グレイスが苦笑した。
「そのまま寝るなよ? 体を痛めるぞ」
「うーん……」
グレイスの優しい声に返事かどうかも分からない声を出しながら夢の世界へと旅立とうとした瞬間、キーンという甲高い音が聞こえた。聞き覚えのあるその音に気怠いまぶたをなんとか開けると、リビングにあった一般回線用の魔境が発光し、湖に石を投げ入れたかのように鏡面が波打っているのが見えた。
「――通信? 誰からだろう……」
「ああ、ナタリア。眠いなら寝てて良いぞ。後でベッドまで運んでやるから」
グレイスの温かい声に再び目が閉じそうになるが、波紋の広がりの中心に見慣れた回線番号と名前が浮かび上がっているのを見つけ、一気に意識が覚醒する。
「クラウス様から!? グレイス、ど、どどどうしよう!!! 髪、服、えと、えっと、あ、顔とか!! 私、大丈夫かな!?」
ソファから飛び降りた私は急いで身支度を整え、素早く魔境の前に立っていたグレイスの隣に控える。
「親父に気なんて遣わなくて良いぞ」
「グレイスのお父様に対してそんなわけにはいかないわ! クラウス様には、どんな時でも優秀な私を見せておきたいの!」
グッと拳を握りしめる私に、グレイスが軽く「そうか」と言い、少しだけ不機嫌そうな表情のまま魔境に魔力を流して通信を繋げた。
途端、鏡の中に黒く短い髪を丁寧に撫でつけてオールバックにし、グレイスによく似た紫色の瞳を厳しく細めている長身の男が映った。細身の黒いスーツに白い手袋のスタイルは、見目麗しい彼によく似合っている。
「久しぶりだな、ナタリア嬢。それから、グレイス。元気そうで何よりだ」
「お久しぶりです、クラウス様。クラウス様もお元気そうで良かったです」
優雅に淑女のお辞儀をした私に対し、クラウス様が満足げに頷く。クラウス様の表情は乏しいが、時々グレイスと同じように優しい瞳を向けてくれるのが嬉しい。
「親父、用件は?」
「ちょっと、グレイス」
久しぶりの連絡にも塩対応のグレイスに、思わず咎めるように名を呼んでしまう。
「用もなければ息子に連絡も取れないのか? まったく……相変わらず、お前は私に似て人付き合いが苦手で心配になる。まあ、用はあるがな」
「あるならさっさと言え。ナタリアの昼寝の時間が削られるだろ」
「グレイスゥゥゥ!?」
(なんてこと言ってくれちゃってるのおおおおぉぉぉ!!!)
恥ずかしさとバツの悪さで赤面してしまう。
「まったく、お前は変わらんな。だが、それなら手短に済まそう」
「クラウス様! 私のことは気にせず、思う存分お話下さい!!!」
「ナタリア嬢は気にするな。それよりも、タイミングが悪かったようですまないな」
「まったくだ」
「グレイスウウウウゥゥゥゥ」
毎回、こんなやり取りにハラハラしてしまうが、クラウス様が気分を害した様子はない。
(ああ、もう心臓に悪い……)
「学校の方はどうだ? どちらも順調そうか?」
「ああ、問題ない」
「はい、クラウス様のおかげで問題なく通えています」
「そうか、それは良かった。もし何かあった時はすぐに報告しなさい。ナタリア嬢、特に使い魔の学校の方は色々と改革が出来ていない所が多い――充分に用心を」
「ありがとうござ――」
「手際が悪いな。俺達が入学する頃にはもっと改革が進んでいると思っていたが……」
「グレイス!? なんでクラウス様のことになるといつも以上に辛辣なの!? ここまで私達を気にしてもらってるだけでも充分なのに!」
「ナタリア嬢、グレイスの言う通り手際が悪いのは重々承知だ。学園の理事になるのにも予想以上の時間がかかったし、上は頑固でなかなか骨が折れる。手際は悪いが、こちらもこれが精一杯なのが現状だ。だから――後はお前達で頑張れ。お前達が決めた道だ」
「言われなくても進んでやるさ」
「茨の道でも――か……」
スッと眼が細められ、背筋が伸びる。
「茨の道でも――です。グレイスと一緒に頑張ります」
凛と返した私の言葉に、クラウスは悲しげに笑った。その瞳がグレイスと重なり、胸が痛くなる。
(それでも私は、諦めない――もう、決めたから)
「それじゃあ、そろそろ通信を切るな。ナタリア嬢、グレイス、次はセシリアの方から通信がいくと思うが、いつものように――」
「調理器具の場所は教えません!」
「そうしてくれると助かる。またキッチンを破壊されるのは勘弁願いたいからな」
最後のやり取りはこれ――とでも言うようにお決まりの台詞を言った私と、哀愁漂う彼の姿に思わず苦い顔をしてしまう。
(いつものことながら、クラウス様は苦労されているのね)
後ろで束ねた銀色の髪を揺らしながら紅い瞳を輝かせて料理に向かい、毎度キッチンを半壊――いや、全壊の比率の方が全体的に多い気がする……をさせてしまう人物を思い出し、遠い目をしてしまう。
「ああ、それと――グレイス、いつまでも『アレ』を引きずるのは格好悪いぞ。過去よりも現実……それを見誤るな」
フッと消えてしまったクラウス様の姿がまだそこにあるかのように、グレイスが不機嫌そうな表情のまま魔境を見続ける。
「ねぇ、グレイス――『アレ』って何?」
「過去のことだ…………」
「???」
小首を傾げて彼を見つめるが、グレイスはそれ以上教えるはないようだ。
(まあ、グレイスが話したくないんなら聞かない方がいいよね……気にはなるけど)
「ナタリア、昼寝はどうする?」
「うーん、目が冴えちゃったからなあ……」
「それじゃあ、残りの宿題をやるか」
「ウッ――急に持病の筋肉痛が……」
「そうか、筋肉痛なら大丈夫そうだな」
「あ、いや、違うの! 持病の背筋が――? いやいやいや、やっぱりちょっと眠たくなってきたなあ、なんて――?」
どうしても宿題のやる気が起きず、やらなくても良くなる言い訳を考えていると、グレイスの大きな手が私の頭を優しく撫でた。
「俺も手伝うから頑張ろうな?」
「うぅ……」
グレイスに頭を撫でられるのは好きだ。優しい彼の手に安心する。彼に撫でられるとちょっとだけ頑張ろうかなと思えてしまう。
その感触をもっと感じていたくて、頭をグリグリと彼の手の平に押しつけるようにすると、彼が薄ら笑ったような気配を感じられた。
「終わったら黒蜜きなこのアイスもあるぞ」
彼の魔法の手と魔法の言葉で、パアッと目が輝く。
「頑張る!! すぐやっちゃうね!!!」
私は勉強道具を取りに行くため、リビングを後にした。
★ ★ ★
「『アレ』か……言える訳がないだろう……ナタリアの初恋が親父で、ナタリアの初めては全部欲しいから嫉妬してる――だなんて……ああ、もう本当にかっこ悪い」
グレイスが珍しく頬を染めて顔を覆っている様子は、通信が切れて普通の鏡の役割を果たしている魔境しか見ていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる