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しおりを挟む胸の中央を止めていたリボンを解かれると、身体を包んでいた衣装が左右に割れて素肌があらわになる。
リュートが息を呑むのが聞こえてきた。
「綺麗だ」
うっとりとした声音で呟きながら、素肌に沢山のキスをされた。
体中、触られていないところがないくらいに求められて、ふにゃふにゃと骨がなくなったみたいに身体から力が抜けていく。
なすがままにされてしまうのが情けなくて恥ずかしいのに、相手がリュートであることがひどく嬉しい。
「あっ、やぁ……」
首筋や胸の間などの肉付きの薄い場所をキツく吸い上げられるとチリチリとした痛みが走る。
背中や、腰のくびれまで同じように愛されてリュートの執着心の底なし具合を思い知らされるみたいだった。
「濡れてる……このまま舐めていい?」
「ひあっ、だめぇ!」
べったりと肌に張りついた足の間の生地を撫で上げられ、セレンは甘ったるい悲鳴を上げた。
リュートの指の動きに合わせてくちゅくちゅと卑猥な音が響くのがわかる。
身体を包んでいた衣装と同じレースで作られた下着も、リボンをほどけばすぐに脱げてしまう作りなのに、リュートはわざと脱がそうとせずにそのままセレンの弱いところを探し始める。
「ここ。ぴったり張りついてるからぷっくりなってるのわかるよ」
「いっ、言わないでよぉ」
あまりの羞恥に足をばたつかせてみるが、逆に掴まれて片足を肩に担ぎ上げられるようにして思いきり足を開かされてしまう。
「あ、ああぁ……やぁ!」
「舐めちゃダメなんだろ? だったら触らせてよ」
「んぅう……も、そこだめぇ……」
くにくにと指で押しつぶすようにこねまわされ、まだ触れられていないところからとろとろと蜜が溢れていく。
執拗にそこだけを攻め立てられ、お腹の奥からせり上がってくる熱が一気に弾けた。
「やっ、あっ……ああっ……!!」
全身がこわばって、腰がガクガクと震えた。
「は、あっ……いま、の……」
「イッちゃった……?」
リュートの問いかけにセレンは悔しそうに唇を噛む。
娼館育ちの二人は性行為の知識だけは豊富だった。だから、何が起こったのかわかるのだ。
自分だけ乱されてしまった事実に悶えるセレンにリュートは笑みを深くする。
「次は一緒に気持ちよくなろう?」
「ひゃっ……!」
ようやく下着が取り払われ、びっしょりと濡れた秘所がリュートの眼下に晒される。
蜜を溢れさせる入り口にリュートの指が近づき、ノックするように指先を軽く沈めては出ていくを繰り返した。
「痛くない?」
「んっ……平気、かも」
違和感があるが、不思議と怖くはなかった。
相手がリュートだからだろうか。
「ゆっくり慣らすからね」
「あっ、うううんっ……!」
男性の太い指がゆっくりと胎内を埋めていく。何も受け入れたことのない硬い内壁が驚きに震えるが、リュートは根気よくそれらをほぐしていく。
優しく抜き差ししながら、時折広げるように関節を折り曲げてその存在を覚え込ませてくる。
違和感が抜けた頃に指が増やされ、さぐるように奥をこねまわしていった。
合間に、もう一つの手で胸の先端や先ほどいじり回された突起を摘ままれると、違和感の奥からじわじわとした快感が湧いてくるのがわかった。
「あ、ああっ……」
もう入れて欲しい。何度懇願してもリュートは指を抜いてはくれなかった。
痛みを感じさせたくない、気持ちよくなって欲しい。
愛情からというよりは、そうしなければならないと思い込んでいるような必死な声音に、愛しさとは違う理由で胸が締め付けられる。
「だいじょうぶだから、だってリュートは私を愛してくれてるんでしょ……?」
娼館で姐さんたちがされていた行為とは何もかも違う。
だから安心してと囁いて、セレンは自分からリュートの唇にキスを落とした。
「セレンっ……!」
リュートの声から余裕がなくなる。
ズボンを破きかねない勢いで脱ぎ捨てれば、腹につきそうなほどに反り上がった雄槍が存在を主張するようにびくびくと震えていた。
凶悪な姿はずなのに愛しく思えてしまうのは、恋心故だろうか。
雄幹に手を添えたリュートは、先端をゆっくりと蜜口に押しつけた。
指とは全然違う存在感と熱さに腰がわななく。
「入れるぞ」
「うん……あっ……」
ずっ、と生々しい音が響く。
引き攣れるような僅かな痛みと圧迫感に呼吸が乱れる。
それでも散々にならされたおかげなのか、想像よりも痛くはない。
むしろゆっくりと押しつけられるリュートの腰や、ぽたぽたと肌に落ちる汗の雫がやけに生々しくて、抱かれているという事実に心臓が痛いほどに早く脈打っていた。
「あ」
密着したお互いの腰と、お腹の奥にこつんと何かがぶつかった感触におもわず声が出た。
みっしりと身体の中を埋める圧倒的な質量。自分のものではない脈拍が粘膜を震わせる。
繋がった。一つになれた。多幸感に心が酔いしれる。
「リュート……」
名前を呼ぶために顔を上げたセレンが見たのは、セレンを見つめながら涙を流すリュートの顔だった。
まるで子どもみたいに顔をくしゃくしゃにして水晶みたいな綺麗な涙粒を溢れさせている。
「セレン。俺のセレン。全部俺のだ。もう二度と離さない」
ただでさえ大きな存在がお腹の中で更に硬度と質量を増した。
ゆるゆると動き出され、待って、と叫ぶつもりで開けた口からは言葉にならない声しか出てこない。
余裕のない律動が切なくも苦しい。だが、リュートがそれほどまでに愛してくれていることが嬉しくて、心も身体も満たされていく。
「あっ、ああっ……リュート、リュー……」
たくましい腕にすがりつくように爪を立て、揺さぶられる動きに身体を合わせることしかできない。
ずんずんと腰をたたきつけるような抽挿に合わせて、あ、あ、と間抜けな声がこぼれた。
硬く尖った先端が、隘路を蹂躙し抉っていく。
お互いの弱点を晒し合うこの荒々しい行為が、どうしてこんなに気持ちいいのか。
「あっああっ……!」
「くっ……セレン……!!!」
唸ったリュートにきつく抱きしめられ、最奥を突き上げられる。
本能のままに甲高く叫んだセレンのお腹の奥にぶわりとあたたかい何かが広がったのがわかった。
胚を満たす愛しい男の子種。
溺れるような恋しさを感じながら、セレンは自らの薄い腹を愛しげに撫でた。
「あ……!」
ぴくん、とまだ中に収まっていたリュートの雄が再び膨らんでいくのが伝わってくる。
困惑しながら顔を上げれば、リュートは汗で額に張りついた前髪をかき上げているところだった。
見下ろす瞳には明らかな情欲が宿っている。唇を舐める舌の動きが官能的で、隘路がきゅうっと勝手に収縮してしまう。
「まだたりない」
「ひぅう……や、まだまってぇぇ……!」
両足をひとまとめにするように抱えられ、再びの律動がはじまる。
先ほどとは違い、怖いくらいに緩やかに穿たれ、セレンはぐずるような声を上げた。
ひと突きされるごとに、身体が高みに押し上げられてしまう。弱い場所を全部抉られ、撫でられて。最奥のその奥に、溢れるほどに熱を注がれて。
「すき、すき、リュート」
「セレン……セレン、愛してる」
お互いを必死に求め合うだけの獣じみた二人の睦みあいは、空が白むまで続けられたのだった。
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