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『機灰の孤島』編
気配
しおりを挟むどれ程歩いただろう。
歩数計を見れば、3万歩に達しそうだった。
あれから遭遇した敵は居たものの、難なく突破。
しかしまあ……これだけ歩いて3匹しか遭遇せず新しい敵は一匹のみだった。
その見た目は大きな蛇で、動きも蛇そのもの。突然ジャンプして噛み付いて来たのは……まあまあ焦ったな。
俺達の攻撃も何とも奇妙な動きで避けられ続けたが、なんとか首をはねると動かなくなった。
「……分かるか、樹」
俺はふと、そんな事を言う。
「……」
頷く樹。
やっぱり、俺だけじゃない。
歩いていると身体が雰囲気の違いを感じとっている。
何時から始まったのか分からない。これは俺の第六感か――この灰色の世界の、新しい領地に入ったような感覚。
説明出来ない、何かが変わった……気がするんだ。
「――…………」
「――…………」
「――…………」
ふと両耳に聞こえてきたのは、ほんの微かな機械音。
それはこれまでの敵とは明らかに違う雰囲気、かつ――それが『三』。
三方向から、三角で俺達を囲んでいるようだった。
ゆっくりと、確実に、俺達を仕留めに来ている。
俺は――酷く渇いた唾を、飲み込んだ。
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