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2人の想い
しおりを挟む~とある二人のプレイヤーside②~
「なぁ俊。なんであそこで引いたんだよ。相手は初心者装備のプレイヤーと瀕死のゴブリンだけだったじゃねぇか。」
俺は思わずため息をつく。
「お前、俺がいなかったら死んでたぞ?」
「どういう事だよ。俺ら攻略組があんな奴らに負けるって言うのか?あぁ?」
どうして俺の相棒は死にたがり…いや、気が荒いのか。
斗真は、モンスターがいると突撃していっては返り討ちに遭うタイプのやつだ。
先が思いやられる。
俺は【鑑定】というスキルを持っている。
チュートリアルのときに取得したのだ。
【鑑定】スキルを俺はどんな時でも使っている。
モンスターにも、 対人の時でも。
だから、今回もいつものように相手を【鑑定】した。
奴のステータスの1部が視えた見た時、冷や汗が止まらなくなった。
あんな化け物みたいな奴に挑む真似なんて俺には到底出来ない。
だからこそ、俺は斗真に奴の恐ろしさを伝えなければいけない。
斗真は【鑑定】スキルを持っていないから。
「斗真。俺が【鑑定】スキル持ってるの知ってるよな?」
斗真は不貞腐れたように頷く。
「知ってるよ。だからなんだっていうんだ?」
「そのスキルを初心者用装備をしていた奴に使ったんだよ。自分でも正直見なければ良かったと思った。…奴の種族レア度、そして、ステータス、あれは化け物だった。」
あのステータスの数字は明らかにおかしかった。
あれを化け物の呼ばずしてなんと呼ぶのか。
「……。けどよ、化け物って言ったって、奴の装備はボロボロの初心者用装備だったじゃないか。Lvだってそこまで強そうには見えなかったぞ?」
…斗真にも【鑑定】スキルを取らせておくべきだったな。
相手を外見で判断するなと、あれほど言っているのに。
あの化け物…るしのステータスを見れたのは俺の方がLvが高かったからだろう。
ステータスが見れるって言っても、見れる限度がある。
モンスターの場合だと、今のところ、種族、レア度、Lv、パッシブスキル、アクティブスキルを視るのが限界だ。
プレイヤーの場合だと、種族、レア度、名前、Lv、HP、MP。
相手のHP、MPが見れるのは、自分よりLvが低い場合のみである。
これ以上プレイヤーのステータスが見えてしまうと、個人情報の流出みたいなもんだからな。
そこんとこは、運営も配慮したんだろう。
「斗真、耳をかっぽじってよく聞いてくれ。今から俺は奴のステータスを言う。」
「ハイハイ。聞けばよろしいんでしょ?聞けば。」
コイツ……ッ。
人の気も知らないで…
ぜってー後で【鑑定】取らせてやる。
取得するまで、ずーっと人間観察させてやるからな。
覚えとけよ。
「奴の名前はるし。
種族 堕天使 レア度☆8。
HP 860
MP 1060
Lvが4だぞ?俺らと1つしか変わらないってのに、このステータス。化け物だろ?明らかに俺達の倍はある。分かるか?斗真。俺達は奴…るしを見逃したんじゃない。……見逃されたんだ。 」
ここまで言うと、斗真もるしの化け物っぷりに気づいたようで、顔を青ざめさせる。
るし…恐ろしいやつだった。
☆8を引き当てるなんて…ずるいっ。
俺は諦めてヒューマンにしたというのに。
しかも、イケメンだった。
堕天使でイケメンって…俺を、ヒューマンを馬鹿にしてるんじゃないか?
くそっ。
ここで斗真もショックから立ち直ったみたいで、何か考え込んでいる。
「斗真?どうしたんだ?」
斗真は少し顔を赤くして
「アイツ、るしって奴。アイツ…男じゃなくて、女じゃなかったか?そう思ったら…ドキドキして。」
えっ…?
あんなイケメンな顔してるのに、女?それはない……ないのか?
いや、あるんじゃないか?
声も中性的だったし…。
「あと、近づいた時にいい匂いもしたし…。」
おおおい!?
斗真、君は一体何を言ってるんだ!?
まさか、【魅了】スキルとかで、やられてしまったのか?
そうなのか?そうなんだな?
おのれ…るし。
なんて、恐ろしいやつなんだ。
「俊、今思うと、あの黒い翼、かっこよかったな。」
「そうだな。かっこよかったな。」
本当にかっこよくて美しい翼だった。
「今度会ったときは触らせてもらおうぜ?」
「そうだな。」
……。
俊、るしはお前とはもう会いたくないって言ってたけど、それをお前はもう忘れたのか?
まぁ、そんなことは俺にとってはどうでもいい事だがな。
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