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世界戦⑤
しおりを挟む『ベスト4進出おめでとうございます。本日行われる準決勝は午後1時からとなっております。相手は日本代表、カイン選手です。勝った場合は、午後6時から決勝が行われます。全力を賭して1位を目指してください』
世界ランキング4位以内が決定した。
心臓がバクバクするよ。
「るし様、お相手は誰ですか?」
「カインだよ」
「ほほぅ。あの小僧、勝ち残っていたのか」
「アイツな、攻撃受けた瞬間、シュバってなって、ヒュンってなるんだぜ?」
「ウォッカーそれじゃあ伝わらないよー?あのねーカウンターみたいな感じー」
ん?ジンさんや、カウンターとは何ぞ?
というか、カインのこと見ててくれたんだね。
リサーチありがと。
「ジン、詳しくっ」
「んーとねー」
ジン曰く、
・攻撃を加えると、そのままの威力で自分に攻撃が返ってくる。
・その時、カインは傷一つついていない。
・無敵?
・攻撃を受ける時もある。
・その時は跳ね返していない。
・使用制限あり?
カインが【カウンター】のようなスキルを持っていると仮定する。
【カウンター】を使うと、無敵になる。
その際に攻撃すると、自分の攻撃が跳ね返ってくる。
ということは、神槍の【防御無視】があれば、【カウンター】されることはないんじゃないだろうか。
最初は満月を使って本当に【カウンター】かどうか確かめてから、もしそうだったら神槍を使おう。
私がカインと当たるということは、Noel VSジャンヌか。
どっちが勝つかな。
まぁ、例えどっちが勝とうと1位の椅子を渡す気はないんだけどね。
『さぁ、ついに始まりました!!本日初戦、日本代表、軍服、るしVS日本代表、圧殺、カイン!!今日は日本同士の壮絶な1位争奪戦だぁぁ!!!』
『ここまで来たらもう言うことはありません!力の限りを尽くして世界1位の椅子を我がものとしてください!!』
石畳を上り、カインと相対する。
「るし、全力で」
「…分かっている」
互いに武器を取り、いつ飛び出してもいいように構える。
極振り同士が相見える。
『go!!!』
「スティール・ラック!」
「ディフェンスアップ!!」
長剣と大太刀がぶつかり合う。
「…っ重っ!!」
「ふっ!」
暫くお互いに剣をギリギリと押し合う。
筋力にものを言わせてグイグイ押す。
カインの鎧の隙間から汗がポタポタと流れ落ち、地面に小さな水溜りを作っている。
見ると、手が痺れてきたのか、少し震えていた。
「ん?もうへばったのか?少々早くはないか!」
「へっ…まだまだこれからだよ!!この筋肉バカっ!!」
レディに向かって筋肉バカとは何だい!
失敬な。
剣を弾き、距離をとろうとするカインだったが、自ら作った小さな水溜りで足を滑らせた。
「うおっ!?」
アホな顔で体制を崩した。
「ラッキー。」
首を狙って満月を落とす。
「…っ!カウンター!!」
カインの首に刃が触れた瞬間、自分の身体に痛みが走った。
「…っ!?」
すくさまカインと距離を開ける。
自分のHPを見ると、約2割ほど減っていた。
確か、私が攻撃する瞬間に【カウンター】って言っていた。
これはジンの言う通りだね。
では、効力はいつまで持つのか実験だ。
【残月】を使う。
シャン
シャン
シャン
「っ!カウンター!ヘビーメタル!!」
痛みが身体を襲う。
カインは身体を鋼鉄で覆い、【残月】の傷を軽減していた。
HPを見ると、減っているのは先ほどと同じ約2割。
これは、まさか?
【カウンター】は1回使うと1回攻撃しか反射することが出来ないんじゃないか?
だから【重鉄付与】を使ったんじゃないのか?
もう1度、三回振ってみよう。
シャン
シャン
シャン
「~っ!!か…カウンター!!ヘビーメタルっ!!」
ビンゴ。
ではここで武器交換と行きますか。
満月を神槍に。
カインが、神槍が出てきた瞬間、少し後ずさったのが見えた。
「さぁ、カイン。覚悟は出来ているか?」
「はっ!とっくのとうにな!!るし!お前こそ出来てんのかよ!」
出来ているさ。
神槍、行くよ。
幸いの友を亡き者にしてでも。
1位になるために。
私の心に応じるように神槍が美しい赤を伴い輝く。
「猛毒付与」
一応これを付けとく。
カインは硬いから、1回で倒せないかもしれない。
猛毒が付いた神槍をカインに向かって思いっきり投げる。
戦略兵器は手を離れた瞬間、30本の鏃に変化した。
「カウンター!カウンター!カウンター!!!ヘビーメタル!!ヘビーメタル!!ヘビーメタル!!ヘビーメタル!!ヘビーメタル!!ヘビーメタル!!っ!」
抵抗虚しきかな。
30本の鏃がカインを貫く。
「か…かふっ…なん…で………ぽ…ポー…ション…カッハ……クソ…」
アイテムボックスから震える手でポーションを取り出し、痛々しい自らにかける。
生きているのが不思議だ。
「ど……うした……るじぃ!……俺はまだ…いけ…ゴフッ……」
大量の血を吐くカイン。
みるみる顔色が悪くなっていく。
猛毒が回ってきたみたいだ。
パリンっ
ポーションを落とし、金色の粉に変わっていった。
「盟友よ。よき戦いであった」
『決勝進出は日本代表、るし選手!!投げると同じ鏃が数十本出るとか、もはやそれは武器ではなく兵器ですね!!!』
『両者ともにお疲れ様でした!!カイン選手、あの槍を受けてもなお生き続けていたところに胸を打たれました!!そして、るし選手、次を勝てば世界1位です!!頑張ってください!!』
石畳を下りると、カインがいた。
目に涙を貯めながらも泣かないように奥歯を食いしばりながら、手を出している。
私はその手を握った。
「後は任せろ」
「…っおう」
ぐしぐしと涙を吹き、彼は晴れやかな笑顔を浮かべた。
「…いってくる…」
「行ってきます」
2人はゆっくりと立ち上がる。
ニコニコと笑顔を貼り付けているが、ピリピリとした緊張感を隠せないでいる。
「「「行ってらっしゃい」」」
私達は二人の背中を押す。
どちらが勝っても嬉しいが、どちらかが負けるのも悲しいものだ。
願わくば…。
「手加減は出来ませんよ?」
「…当たり…前…」
『go!!!』
2人は直ぐに動いた。
「魂の断罪!!」
「…終焉のラッパ…」
宙に現れた十字架。
天から降りてきた天使。
十字架の数は10本。
天使の数は20体。
十字架は天使目掛けて飛んでいき、10体を撃墜してから朽ちるように消えていった。
まだ天使は10体残っている。
「~っ!スピード・アップ!!」
ジャンヌは天使の包囲網かは抜け出そうと自身の敏捷力を上げるが、天使達の広範囲に渡る包囲網からは抜け出すことが出来なかった。
天使達は己の唇にラッパをあて、悲しみの音色を奏で始める。
それと同時にNoelが右手に光を集め始めた。
「ああああああああああああ!!!!」
強力な精神攻撃を受けて叫び声を上げるジャンヌ。
鼻から大量に血が。
目からは赤い涙が。
鼓膜が破れたのか、耳からも血が。
音色を聞かぬようにと耳を塞ぐが、これは精神攻撃。
直接心に攻撃を与えているため、耳を塞いだぐらいでは何も変わらない。
頭がパンクしたのか、地面に膝をつき、倒れた。
「…衝撃光」
追撃にNoelの拳がジャンヌの頭に炸裂する。
「仲間なのに頭潰したりします?」
「…だって…ジャンヌ…気絶した…フリ…して…た…から…」
「ふふふ、バレてましたか。…後はよろしくお願いしますね?」
「…うん…任さ…れた…」
彼女達は互いに抱擁を交わした。
私の最後の相手はNoel。
相手にとって、不足はなし。
場内にいるNoelと目が合った。
彼女の目は、熱く燃えていた。
負けられない。
私は手に持っている野菜とお肉がたっぷり敷きつまれたケバブを齧った。
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