1 / 1
始まりは唐突に
しおりを挟む「お疲れ様でしたー」
部活仲間にそう言い、風のように僕は玄関に向かった。
下駄箱から靴を取り出し、いざ帰らん。
リュックからマフラーを取り出し首にグルグルと巻き付ける。ガラス張りの扉をスライドして開けると、夜の冷たい風が頬を掠めた。
さ、寒い!!
吐く息は白いから、これは10度以下決定だな。体の芯から冷えあがってしまいそうだ。
意を決して外に出ると、やっばり寒い。
「これは人間が生きていける温かさではありませんな」
電灯に照らされた紅葉の並木道を下りつつ、そんな愚痴を零してみたりする。
だって寒いんだから仕方ない。
手に握られているカイロからはほんのりとした温かさがくるけど、あんまり効果がない。
あー…寒い。
家に帰ればコタツにみかん。先週購入した新作のゲーム機。
帰りたい。
温かさに埋もれたい。
そんな煩悩を頭の中ではべらせて、にまにまと口角を緩める。
濡れた落ち葉に足を取られないよう進まなきゃいけない。
昨日は雨降りだったから滑りやすい。
こういう日に限って転んぶんだよな。
ボゴッ。
「ほうぇい!?」
突然足元が膨らみ、僕は前のめりで転んだ。
「ぃ~~ッ!!」
慌てて手で顔を守ったから良かったものの、ズボンは大惨事だ。破けて血が出てる。
うわぁ、グロい。
「いてててて」
痛みに顔を顰めながら立ち上がり、後ろを振り向いた。そこにあるのは不自然に盛り上がった石畳。
…あれは、何?
嫌な予感がする。どうしてかは分からないけど、ここを離れた方がいい気がする。
僕の考えを肯定するかのように電灯がチカチカと点滅し始めた。
故障ではないようで、ここから見える範囲すべての電灯が同じような症状を起こしている。
明らかなる異常。
「…大丈夫。大丈夫、大丈夫、だいじょーぶ!!」
固まっていた体を叩き、自分を鼓舞する。
怖いけど、ずっとここにいては駄目だ。行動しなくては。
腕を抱き、体を擦る。恐怖に怯えた心に少し余裕が出来た。
…行ける。
「う、うぉぉお!!」
一歩。
もう一歩。
そして僕は走り出した。
《スキル【危機回避】を習得しました》
《人類初のスキル獲得者に、スキル【開花の序章】が贈られます》
《スキル【開花の序章】を習得しました》
死に物狂いで走っている中で聞こえた声を無視して。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
二本のヤツデの求める物
あんど もあ
ファンタジー
夫の父の病が重篤と聞き、領地から王都の伯爵邸にやって来たナタリーと夫と娘のクリスティナ。クリスティナは屋敷の玄関の両脇に植えられた二本の大きなヤツデが気に入ったようだ。
新たな生活を始めようとするナタリーたちだが、次々と不幸が襲いかかり……。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
他国ならうまくいったかもしれない話
章槻雅希
ファンタジー
入り婿が爵位を継いで、第二夫人を迎えて後継者作り。
他国であれば、それが許される国もありましょうが、我が国では法律違反ですわよ。
そう、カヌーン魔導王国には王国特殊法がございますから。
『小説家になろう』『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる